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吹田市でトイレに感知器は要るのか|温水洗浄便座の扱いを大阪府内5市と比較

温水洗浄便座と手を乾かす器具のある公共施設のトイレの写真に、吹田市でトイレに感知器は要るのかを問うタイトルを重ねた画像

トイレの天井に感知器が要るかどうかは、図面を描く人も消防設備の業者も迷いやすいところです。
吹田市消防本部は「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」で、不特定多数が使う施設のトイレに温水洗浄便座などがあれば感知器を付けると答えています。
この記事では、吹田市の答えを入口に、国の消防法施行規則と、豊中市・大阪市・東大阪市・堺市の運用基準を並べて、トイレの扱いの違いを順にたどります。
同じ大阪府内でも、便所を外す書き方、ヒーター機器の扱い、掃除用流しの扱いが市ごとに違っているのが特徴です。

吹田市で図書館を改修して、トイレを温水洗浄便座に替えます。
トイレの天井にも感知器は要りますか?

吹田市の質疑応答集では、図書館のような不特定多数が使う施設のトイレに温水洗浄便座があれば、感知器を付けると答えています。

トイレには感知器は要らないと聞いたことがあるのですが。

それは市ごとの運用の話です。
国の規則から順に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 国の消防法施行規則第23条第4項第1号は、感知器を付けなくてよい場所に便所を挙げていません
  • 吹田市は、不特定多数が使う施設のトイレに温水洗浄便座・電気温水器・手を乾かす器具等があれば、感知器を付けるよう答えています
  • 吹田市は、収容人員を把握・管理できる施設として小規模な診療所・老人施設・保育園等を例に挙げて除いています
  • 豊中市・大阪市の特例は「浴室、シャワー室、洗面所」などを挙げるだけで、便所の語がありません
  • 東大阪市・堺市は便所を感知器の要らない場所に挙げ、東大阪市はヒーター機器、堺市は可燃物を例外にしています

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国の基準と吹田市・豊中市・大阪市・東大阪市・堺市でトイレの感知器の扱いがどう違うかを比べた図

国の基準はトイレの感知器をどう決めているのか

机の並ぶ事務室の天井に丸い感知器があり、隣の小さなトイレの断面を描いたアイソメ図
まず国の基準です。自動火災報知設備の感知器をどこに付けるかは、消防法施行規則第23条第4項が決めています。
消防法施行規則 第二十三条第四項第一号(抜粋) 感知器は、次に掲げる部分以外の部分で、点検その他の維持管理ができる場所に設けること。
イ (略)取付け面(略)の高さが二十メートル以上である場所
ロ 上屋その他外部の気流が流通する場所で、感知器によつては当該場所における火災の発生を有効に感知することができないもの
ハ 天井裏で天井と上階の床との間の距離が〇・五メートル未満の場所
条文を読むと、次のことが分かります。
  1. 感知器は、ここに挙げた場所以外の部分に付けるのが原則です。
  2. 国が全部の感知器について外しているのは、取付け面の高さ20メートル以上、外気が流れる上屋など、天井裏で0.5メートル未満の3つです。
  3. 続くニとホは煙感知器と炎感知器だけの除外で、便所という語は第1号のどこにも出てきません。
  4. 便所が出てくるのは第6項第3号のかっこ書で、場所に適応する感知器を選ぶ規定から「廊下、便所その他これらに類する場所」を除いている部分です。
消防法施行規則 第二十三条第六項第三号 前項又は前二号に掲げる場所以外の場所(廊下、便所その他これらに類する場所を除く。) その使用場所に適応する感知器
つまり国の規則には、便所なら感知器を付けなくてよいという規定はありません。トイレを外すかどうかは、各市の運用基準が令第32条などを根拠に決めています。
感知器の種類と取付け面の高さの関係は、天井の感知器はどれも同じものなのかの記事で解説しています。

国の規則には、トイレを外すとは書いていないのですね。

はい、外すかどうかは市の運用で決まります。
まず吹田市の答えを見ましょう。

吹田市はトイレの感知器をどう答えているのか

温水洗浄便座の付いた3つの個室と手を乾かす器具、天井の丸い感知器がある博物館の公衆トイレを描いたアイソメ図
吹田市消防本部の質疑応答集は、第5節 自動火災報知設備の問15で「トイレ内に感知器は必要か」を取り上げています。
吹田市 質疑応答集 第5節 答15 不特定多数の者が使用する施設※1(収容人員の把握、管理が可能な施設を除く※2)のトイレで、トイレ内に温水洗浄便座、電気温水器又は手を乾燥させる器具等が設けられている場合は、設置すること。
※1 特定用途対象物・公共施設等(図書館・博物館・美術館)
※2 小規模な診療所・老人施設・障がい者施設・幼稚園・保育園等
答15を分けて読むと、感知器を付けるのは次の3つが全部そろうトイレです。
  1. 不特定多数の者が使用する施設であること。※1で、特定用途の防火対象物と、図書館・博物館・美術館などの公共施設等が挙がっています。
  2. 収容人員の把握・管理ができる施設ではないこと。※2で、小規模な診療所・老人施設・障がい者施設・幼稚園・保育園等が除かれています。
  3. トイレ内に温水洗浄便座、電気温水器、手を乾燥させる器具等が設けられていること。電気で熱や温風を出す器具が目安になります。
答15には、根拠となる条文の番号は書かれていません。また、3つの条件に当たらないトイレについて「不要」とは書いていないので、事務所の社員用トイレなどは所轄の消防署で確認してください。
※2の「小規模な」がどの施設まで掛かるのかも文面からは決められないため、診療所や福祉施設の規模で迷うときは事前に相談すると確実です。

図書館のトイレは、温水洗浄便座に替えると感知器が要るのですね。

はい、答15の3つの条件にそろって当たります。
トイレのまわりの場所も見ておきましょう。

吹田市ではトイレのまわりの場所はどう扱うのか

ガラス扉の風除室、ロッカーのある脱衣室、鏡と流しのある洗面場を並べて描いたアイソメ図
吹田市の同じ節には、トイレの近くにある場所の答えもあります。問12は風除室・脱衣室・洗面場です。
吹田市 質疑応答集 第5節 答12 洗面場以外は必要。
モデルルームのトイレと、介護用の機械浴室についても答えています。
吹田市 質疑応答集 第5節 答18 トイレ、浴室及び廊下も展示物の一部とし、1㎡以上あれば設置すること。
吹田市 質疑応答集 第5節 答20 定温式防水型の感知器を設置すること。
まとめると、吹田市の答えは次のように並びます。
場所吹田市の答え出典
不特定多数が使う施設のトイレ(温水洗浄便座等あり)設置する問15
風除室・脱衣室設置する問12
洗面場設置しない問12
モデルルームのトイレ・浴室・廊下1㎡以上なら設置する(差動式で可・無窓階を除く)問18
介護入浴設備等のある浴室定温式防水型を設置する問20

※表は吹田市消防本部の質疑応答集 第5節を要旨でまとめたものです。

洗面場は付けない一方で、風除室と脱衣室には付けるのが吹田市の線引きです。押入やクローゼットの扱いは吹田市でクローゼットや物置に感知器は要るのかの記事で解説しています。

洗面場は要らないのに、脱衣室には要るのですね。

はい、同じ水まわりでも答えが分かれます。
次は豊中市と大阪市を見ましょう。

豊中市と大阪市はトイレをどう扱っているのか

浴槽とシャワーのある浴室の隣に、洗濯乾燥機と壁掛けの電気温水器のある洗面所を描いたアイソメ図
豊中市の「消防用設備等の設置に関する運用基準」は、第2部 第2章 第1節 自動火災報知設備の第11 特例基準で、令第32条を適用して感知器を付けなくてよい場所を挙げています。
豊中市 運用基準 第11 特例基準 2(抜粋) 次のいずれかに該当するものについては、自動火災報知設備の感知器を設置しないことができる。
(4) 浴室、シャワー室、洗面所、洗濯場等の用途に供する場所
大阪市の「消防用設備等の設置に係る運用基準」も、自動火災報知設備の第12 特例基準で、令第32条又は条例第47条を適用して同じような場所を挙げています。
大阪市 運用基準 第12 特例基準 2(4) 浴室、シャワー室、洗面所等の用途に供する場所。ただし、当該部分に洗濯乾燥機、電気湯沸器、電気温風器等又はガラス曇り防止器等ヒーターを内蔵した機器等のうち、電気用品安全法(昭和36年法律第234号)に基づき、安全性が確認されていないもの又は機器個々のヒーターの出力が2キロワットを超えるものを設置した場所を除く。
2つを並べると、次のようになります。
  1. どちらも、浴室・シャワー室・洗面所を感知器を付けなくてよい場所に挙げています。
  2. どちらの条文にも「便所」の語がありません。便所が「等」に入るかは、文面からは決められません。
  3. 大阪市は、ヒーターを内蔵した機器のうち電気用品安全法で安全性が確認されていないもの、又はヒーターの出力が2キロワットを超えるものを置いた場所を、付けなくてよい場所から外しています。
  4. 豊中市の(4)には、このヒーター機器のただし書きがありません。代わりに洗濯場を挙げています。
大阪市の17の場所の全体は、大阪市で浴室や短い廊下に感知器はいらないのかの記事で解説しています。豊中市・大阪市でトイレに付けるかどうかは、所轄の消防署で確認してください。

豊中市と大阪市は、トイレについてはっきり書いていないのですね。

はい、便所の語がないので確認が要ります。
東大阪市と堺市は便所を書いています。

東大阪市と堺市は吹田市と何が違うのか

掃除用の深い流しとモップとバケツ、トイレットペーパーの棚がある小さな掃除用具室と天井の感知器を描いたアイソメ図
東大阪市の自動火災報知設備の基準は、特例基準で令第32条又は条例第52条を適用し、便所を付けなくてよい場所に挙げています。
東大阪市 自動火災報知設備 Ⅱ 細目 9 特例基準 ⑴カ 便所、便所に付随した洗面所及び浴室の用途に供する場所。ただし、当該部分に洗濯乾燥機、電気湯沸器、電気温風器等又はガラス曇り防止器等ヒーターを内蔵した機器等のうち、電気用品安全法(昭和36年法律第234号)に基づき、安全性が確認されていないもの又は機器個々のヒーターの出力が2キロワットを超えるものを設置した場所を除く。
堺市は、省令第23条第4項第1号イからハによるほかとして、細目の「感知器の設置を要しない場所」に便所を挙げています。
堺市 自動火災報知設備 Ⅱ 細目 2(3)ウ 便所、便所に付随した洗面所(可燃物が存する場合を除く。)及び浴室の用途に供する場所
なお、SK(掃除用流し)については、掃除用具やトイレットペーパー等の可燃物が存置されるおそれがあるため、感知器を設置すること。
5市の書き方を並べると、次のとおりです。
市トイレの扱い例外・条件
吹田市不特定多数が使う施設のトイレで温水洗浄便座等があれば設置収容人員を把握・管理できる施設を除く
豊中市特例の場所に便所の語なし(浴室・洗面所・洗濯場等は不要)ヒーター機器のただし書きなし
大阪市特例の場所に便所の語なし(浴室・洗面所等は不要)安全性未確認又は2kW超のヒーター機器の場所は除く
東大阪市便所・付随する洗面所・浴室は不要安全性未確認又は2kW超のヒーター機器の場所は除く
堺市便所・付随する洗面所・浴室は不要洗面所に可燃物があれば除く・掃除用流し(SK)は設置

※表は各市の運用基準・質疑応答集を要旨でまとめたものです。八尾市は消防用設備等の審査基準が公開されていないため、表に入れていません。

違いを順に読むと、次の4点になります。
  1. 東大阪市は、ヒーター機器でも安全性が確認され2キロワット以下なら、便所を付けなくてよい場所のままにしています。
  2. 吹田市は出力の線を引かず、不特定多数の施設なら温水洗浄便座などがあるだけで設置としています。
  3. 堺市はヒーターではなく可燃物で線を引き、掃除用流しには感知器を付けるとしています。
  4. 豊中市と大阪市は便所の語がないため、所轄の消防署の判断を確かめる必要があります。
三重県や埼玉県の扱いは、四日市市でトイレに感知器は要るのかの記事で比べています。計画のときは、建物のある市の基準でトイレ・洗面所・掃除用具入れを一つずつ図面で拾い出すと漏れが出にくくなります。

同じ温水洗浄便座でも、吹田市と東大阪市で扱いが変わるのですね。

はい、市境をまたぐと答えが変わることがあります。
迷うときは図面の段階で相談しましょう。

よくある質問

Q吹田市の事務所ビルの社員用トイレに温水洗浄便座があります。感知器は要りますか?
A答15が設置を求めるのは不特定多数の者が使用する施設のトイレで、※1には特定用途の防火対象物と図書館などの公共施設等が挙がっています。事務所だけの建物はこの例に入っていませんが、「不要」とまでは書かれていないので所轄の消防署で確認してください。
Q吹田市の保育園のトイレに温水洗浄便座がある場合はどうなりますか?
A※2で幼稚園・保育園等が収容人員の把握・管理ができる施設の例に挙がっており、答15の設置の条件から除かれています。「小規模な」の掛かり方は文面から決められないため、規模が大きい施設は事前に相談すると確実です。
Q東大阪市で温水洗浄便座のあるトイレには感知器が要りますか?
A東大阪市は便所を付けなくてよい場所に挙げ、ヒーター機器は安全性が確認されていないもの又は出力2キロワット超の場合だけ例外にしています。機器の表示と出力を確かめてください。
Q堺市でトイレの中にある掃除用流しには感知器が要りますか?
A堺市は、掃除用流し(SK)には掃除用具やトイレットペーパー等の可燃物が置かれるおそれがあるため、感知器を設置するとしています。

まとめ

✔国の消防法施行規則第23条第4項第1号は、感知器を付けなくてよい場所に便所を挙げていません
✔吹田市は、不特定多数が使う施設のトイレに温水洗浄便座・電気温水器・手を乾かす器具等があれば感知器を付けると答えています
✔吹田市は、小規模な診療所・老人施設・保育園等のように収容人員を把握・管理できる施設を除いています
✔吹田市は風除室・脱衣室には付け、洗面場には付けないと答えています
✔豊中市・大阪市の特例は浴室・洗面所等を挙げるだけで、便所の語がありません
✔東大阪市はヒーター機器の安全性と2キロワット、堺市は可燃物と掃除用流しで例外の線を引いています
✔運用基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認しましょう

まず施設の用途と、トイレに付ける電気の器具を図面で拾い出します。
迷うところは消防署に相談します!

トイレの感知器は器具を選ぶ前に決めておくのが近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および吹田市・豊中市・大阪市・東大阪市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたものです。運用基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認してください。トイレに感知器を付けなくてよいかどうかは、個々の建物ごとに所轄の消防署にご確認ください。

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