防火地域や準防火地域の建物のうち、延べ面積が特に大きいものではなく、もう少し小規模な建物を管理している防火管理者の方も多いのではないでしょうか。
実は施行令第136条の2は、二号・三号・四号という区分ごとに、仕様基準(イ)で求められる範囲が少しずつ狭くなっていく作りになっています。
どこまでが基準の対象になるのかを条文どおりに押さえておくと、改修や増築の相談を受けたときにも見当がつけやすくなります。
今日は施行令第136条の2第二号から第四号のイが具体的に何を求めているのかを、条文に沿って整理します。
うちの建物は延べ面積がそこまで大きくないので、一号の対象にはならないと聞いたんですけど、それなら基準はもう気にしなくていいんでしょうか。
一号に当てはまらなくても、二号・三号・四号のどれかで基準がかかってきます。
ただ、求められる範囲は号ごとに変わるんです。
範囲が変わるというのは、建物のどの部分を基準に合わせればいいかが号によって違う、ということですか。
はい、主要構造部・外壁・外壁開口部設備のどこまでが対象かが号ごとに変わります。
まずはその全体像から見ていきましょう。
- 施行令第136条の2の二号・三号・四号は、いずれも仕様基準(イ)と計算(ロ)のどちらかを選べる
- 二号イは主要構造部、三号イは外壁及び軒裏、四号イは外壁開口部設備だけが対象という具合に、求められる範囲が号を追うごとに狭くなる
- 二号イは第107条の2各号か第109条の3第一号・第二号のどちらかを満たせばよい選択制になっている
- 三号イは木造建築物等限定で外壁・軒裏の防火性能を求め、四号イは木造建築物等を除くものに外壁開口部設備の基準だけを求める
- 二号から四号のイに共通して、外壁開口部設備には加熱開始後20分間火炎を出さない基準が適用される
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目次
二号から四号のイはなぜ求める範囲が狭くなっていくのか

延べ面積が大きい一号より小規模な建物には、二号・三号・四号がそれぞれ別の基準を用意しています。
一号イが特定主要構造部の全体を対象にしていたのに対し、二号イは主要構造部が対象です。
三号イになると対象は外壁及び軒裏だけに絞られ、四号イでは外壁開口部設備だけが対象になります。
建物の規模が小さくなるほど周囲に及ぼす延焼の影響も小さくなるため、求める範囲を絞る作りになっていると考えられます。
次の章で、二号・三号・四号にそれぞれどんな規模の建物が当てはまるのかを確認します。
号が進むごとに対象が絞られていくと言われても、まだ少しイメージしにくいです。
一号は建物まるごと、四号は窓まわりだけ、というくらいのイメージで大丈夫です。
次は号ごとの規模の境目を見てみましょう。
二号三号四号にはどんな規模の建物が当てはまるのか

まずは二号の対象になる建物の範囲を見てみます。
防火地域なら階数2以下・延べ面積百平方メートル以下、準防火地域なら階数3(延べ面積千五百平方メートル以下)や階数2以下(延べ面積五百平方メートル超〜千五百平方メートル以下)が二号にあたります。
三号・四号はさらに小規模で、準防火地域の地階を除く階数2以下・延べ面積五百平方メートル以下という共通の規模のなかで、木造建築物等かどうかによって分かれます。
- 三号 準防火地域で地階を除く階数2以下・延べ面積五百平方メートル以下の木造建築物等に限るもの
- 四号 同じ規模のうち木造建築物等を除くもの
うちは準防火地域で二階建て、延べ面積が四百平方メートルほどの木造の倉庫なんですけど、これは三号になりますか。
はい、その規模と木造建築物等という条件が合えば三号の対象になります。
次は三号イが求める中身を見てみましょう。
二号三号四号のイは具体的に何を満たせばよいのか

対象になる部位が号によって違うため、求められる性能の中身も変わります。
一つは第107条の2各号が定める本来の準耐火性能(壁・柱・床・はりは45分間、屋根・階段は30分間、通常の火災による損傷を生じないこと等)で、そのまま準耐火構造にする道です。
もう一つは第109条の3第一号又は第二号が定める代替仕様で、外壁を耐火構造にして屋根の性能を確保する組み合わせや、柱とはりを不燃材料にして外壁を防火構造にする組み合わせなど、準耐火構造と同等の性能を別の仕様で示す道です。
どちらを選んでも、外壁開口部設備には共通して加熱開始後20分間火炎を出さない基準がかかります。
- 三号イ 外壁と軒裏の延焼のおそれのある部分が第108条各号(加熱開始後30分間、損傷を生じず温度も可燃物燃焼温度以上に上昇しないこと)に適合し、外壁開口部設備も20分間の基準を満たす
- 四号イ 外壁そのものへの基準はなく、外壁開口部設備が20分間の基準を満たせば足りる
二号は主要構造部、三号は外壁と軒裏というふうに、号ごとに見る場所を変えないといけないんですね。
そのとおりです。
次はこの範囲の分け方で見落としやすい点を見てみましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

四号の対象は準防火地域で地階を除く階数2以下・延べ面積五百平方メートル以下の木造建築物等を除く建物で、条文上は外壁開口部設備の基準しか課されていません。
一方で同じ規模でも木造建築物等に該当すれば三号となり、外壁及び軒裏にも第108条各号の基準がかかるため、同じ延べ面積・階数でも木造かどうかで求められる範囲がまったく変わります。
もう一つの見落としが二号イです。第107条の2と第109条の3のどちらの基準で適合しているかは設計段階で選ばれているため、増改築の際は既存の適合方法を確認してから計画を進める必要があります。
外壁の仕上げや窓の交換を検討するときは、まず自分の建物がどの号に当てはまるかを確認することが欠かせません。
三号と四号って結局どちらも延べ面積五百平方メートル以下なので、正直あまり違いが分かっていませんでした。
見た目の規模は同じでも、木造建築物等かどうかで号も基準の中身も変わります。
改修のときは特に注意してください。
明日からなにを確認すればよいのか

- 敷地が防火地域か準防火地域かを確認する
- 建物の階数と延べ面積を確認し、二号・三号・四号のどれに当てはまるかを特定する
- 木造建築物等に該当するかどうかを確認する(三号・四号の切り分けに関わる)
- 設計図書で主要構造部が第107条の2と第109条の3のどちらの基準で適合しているかを確認する(二号の場合)
- 外壁開口部設備が20分間の遮炎基準を満たす防火設備になっているかを確認する
つまり区域と規模と木造かどうかを確認すれば、どの基準が関わるかがだいたい分かるんですね。
はい、最初の見当付けとしてはそれで十分です。
最後によくある質問をまとめておきます。
よくある質問
まとめ
四号は外壁開口部設備だけが対象になるって知って、うちの倉庫の改修計画がすっきり整理できました!
改修のご相談はお早めにどうぞ。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法施行令第136条の2(防火地域又は準防火地域内の建築物の壁、柱、床その他の部分及び防火設備の性能に関する技術的基準)
- 建築基準法施行令第107条の2(準耐火性能に関する技術的基準)
- 建築基準法施行令第109条の3(主要構造部を準耐火構造とした建築物と同等の耐火性能を有する建築物の技術的基準)
- 建築基準法施行令第108条(防火性能に関する技術的基準)
- 建築基準法施行令第109条の2(遮炎性能に関する技術的基準)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署または特定行政庁にご確認ください。





