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消防用設備等の点検結果報告書は郵送で提出できるのか|必要書類と不備があった場合の対応を解説

点検結果報告書と切手を貼った返信用封筒がデスクに置かれているアイキャッチ

消防法第17条の3の3に基づく点検結果は、防火対象物の関係者が定期に消防長又は消防署長へ報告しなければなりません。
以前から郵送による報告は認められていましたが、対象になる防火対象物や必要書類は消防本部ごとにまちまちでした。
平成31年4月26日、消防庁は郵送による点検報告をすべての防火対象物に広げ、留意事項を整理した通知を発出しました(消防予第167号)。
必要書類の不備を知らずに送ると受理されず、報告そのものが滞ってしまいます。

毎回消防署の窓口まで点検結果報告書を持って行くのが正直手間です。

消防予第167号により、すべての防火対象物が郵送での点検報告に対応してもらえます。
順番に見ていきましょう。

ただ、書類に不備があると突き返されそうで少し不安です。

形式の要件を満たしていれば、届いた時点で報告義務を果たしたことになります。
まずは経緯から確認しましょう。

この記事の結論
  • 平成31年4月26日の消防予第167号により、郵送による消防用設備等の点検報告をすべての防火対象物で受け付けることになりました。
  • 郵送するのは点検結果報告書の正本で、返信を希望する場合に限り副本と返信用封筒を同封します。
  • 郵送された報告は行政手続法第37条が定める「届出」にあたり、形式上の要件を満たせば到達時点で報告義務が履行されたとみなされます。
  • 押印漏れや点検者一覧表の添付漏れがあると、形式上の要件を満たさず再提出を求められます。
  • この通知により平成11年の145号通知・平成28年の382号通知が定めていた郵送の対象範囲は整理・統合されました。

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点検結果報告書を郵送で提出する4つの手順を示す図解

点検報告はなぜ郵送で受け付けるよう通知されたのか

点検結果報告書が入った封筒と消防署の建物を示すイラスト
消防用設備等の点検報告は、消防署の窓口へ持参するものと思われがちです。
実はそれ以前から、条件付きで郵送による報告も認められていました。
(平成31年4月26日 消防予第167号)消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第17条の3の3の規定に基づく消防用設備等の点検報告における郵送による報告については、「消防用設備等に係る点検及び報告の推進等について(通知)」(平成11年6月14日付け消防予第145号。以下「145号通知」という。)及び「消防用設備等点検報告制度に係る留意事項等について(通知)」(平成28年12月20日付け消防予第382号。以下「382号通知」という。)に基づき、各消防本部において適切に運用していただいているところです。消防庁では、平成27年度から「消防用設備等点検報告制度のあり方に関する検討部会」を開催し、点検報告率の向上や点検基準の見直し等に向けた検討を行っています。今般、検討部会において、点検報告における防火対象物の関係者の負担を軽減し、点検報告率の向上を図るためには、郵送による点検報告を積極的に推進することが適当であるとの結論が得られたこと等を踏まえ、郵送による点検報告を適切に受け付けるために留意すべき事項をとりまとめました。
きっかけは、点検報告率を上げるための検討部会の結論でした。
消防庁は平成27年度から「消防用設備等点検報告制度のあり方に関する検討部会」を開き、報告率の向上や点検基準の見直しを議論してきました。
その結論の一つが郵送による点検報告の積極的な推進で、防火対象物の関係者が窓口へ出向く負担を軽減するねらいがあります。
これを受けて消防予第167号が発出され、従来の145号通知・382号通知が定めていた郵送に関する規定はこの通知に統合・整理されました。
次は、この通知でどの防火対象物が対象になったのかを見ていきます。

郵送の点検報告は前からあると聞いたことがありますが、何が変わったのでしょうか。

対象になる防火対象物の範囲が大きく広がりました。
次は対象を見ましょう。

郵送による点検報告はどの防火対象物が対象になるのか

オフィスビルや店舗や工場など複数の用途の建物が並ぶイラスト
以前の145号通知・382号通知は、郵送を受け付ける防火対象物に条件を付けていました。
消防予第167号は、その条件そのものを取り払いました。
(消防予第167号)1 145号通知記2及び382号通知記2に示す条件を満たす防火対象物だけでなく、消防法第17条の3の3に基づく点検報告が義務付けられているすべての防火対象物を対象として郵送による点検報告を受けることが適当であること。
(消防法第17条の3の3)第17条第1項の防火対象物(政令で定めるものを除く。)の関係者は、当該防火対象物における消防用設備等又は特殊消防用設備等について、総務省令で定めるところにより、定期に、当該防火対象物のうち政令で定めるものにあつては消防設備士免状の交付を受けている者又は総務省令で定める資格を有する者に点検させ、その他のものにあつては自ら点検し、その結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない。
対象は、点検報告の義務がある防火対象物すべてです。
以前は消防本部が独自に定めた条件を満たす防火対象物に限って郵送が案内される例もありましたが、この通知以降は条件を問わず郵送での報告を受け付けることが原則になりました。
オフィスビル・店舗・工場・共同住宅など、消防法第17条の3の3に基づく点検報告義務があるものであれば、規模や用途を問わず対象です。
ただし郵送を受け付ける事務の具体的な細部は消防本部ごとに整備されるため、送付先や必要書類は事前に確認しておくと確実です。
次は、実際に何を送ればよいのかを見ていきます。

うちのビルは以前のルールだと郵送の対象外だと思っていました。

今はほぼすべての防火対象物が対象です。
次は送る書類を確認しましょう。

郵送で点検報告するとき何を送ればよいのか

点検結果報告書の正本と副本と切手を貼った返信用封筒を示すイラスト
郵送で報告するときに送る書類は、通知の別紙にまとめられています。
返信を希望するかどうかで、必要な書類が変わります。
(消防予第167号 別紙1)郵送により点検報告を行う場合における必要書類等は、次のとおりとすること。ただし、⑵及び⑶については、届出者が、消防署において受付印を押印した点検結果報告書の返信を希望する場合に必要なものであること。⑴点検結果報告書 正本 ⑵点検結果報告書 副本(必要部数)⑶返信用封筒(宛名が記入済みであり、必要な料金分の切手が貼付されたもの)
必ず送るのは、点検結果報告書の正本だけです。
受付印を押した報告書の返信を希望する場合に限り、副本と、宛名を記入し切手を貼った返信用封筒を同封します。
返信を希望しない場合は正本のみで手続きが完了し、副本や返信用封筒は不要です。
返信を希望した場合の返送時期は受付後おおむね1〜2週間が目安とされ、郵送件数が多い時期は遅れることもあります。
次は、この郵送手続きで実務上見落としやすい点を確認します。

返信はいらないので、正本だけ送れば大丈夫でしょうか。

返信不要なら正本だけで問題ありません。
次は不備の例を見ましょう。

郵送の点検報告で見落としやすいのはどこか

押印のない書類と点検者一覧表が添付された書類を対比したイラスト
郵送された点検報告は、行政手続法が定める「届出」として扱われます。
形式の要件を欠くと、せっかく送っても受理されません。
(行政手続法第37条)届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする。
(消防予第167号)郵送された書類が届出の形式上の要件に適合していない場合は、再度提出させる等により指導すること。形式上の要件に適合していない場合の例としては、次のようなものが考えられること。⑴点検結果報告書における届出者の押印がない場合 ⑵有資格者が点検を行っているにもかかわらず、点検結果報告書に添付する点検者一覧表が添付されていない場合 ⑶点検結果報告書に記載すべき報告年月日や届出者の欄に記載が無い場合 ⑷消防用設備等ごとの点検票において点検が必要とされている点検項目の判定結果が記載されていない場合
落とし穴は、形式の不備で「届いていない」扱いになることです。
行政手続法第37条により、形式上の要件を満たした届出は消防署に到達した時点で報告義務を果たしたとみなされますが、逆に要件を満たさない書類は到達しても義務を果たしたことになりません。
よくある不備は、届出者の押印漏れ、点検者一覧表の添付漏れ、報告年月日や届出者欄の記載漏れ、点検票の判定結果の記載漏れです。
点検結果に不良内容があるのに改修(予定を含む)の記載が無い場合も、指導書が同封されて返送されることがあります。
郵送する前に、これらの記載・添付漏れが無いかを自分の目でもう一度確認しておくと手戻りを防げます。
次は、郵送する前に明日から確認すべき手順をまとめます。

押印を忘れただけでも、受理されないことがあるんですね。

形式の不備は再提出の指導対象になります。
最後に確認の手順を整理しましょう。

点検報告を郵送する前に明日から何を確認すればよいのか

郵送前の確認チェックリストと郵便ポストを示すイラスト
郵送を始める前に、確認する順番を決めておくと迷いません。
最後に手順を整理します。
(消防予第167号)郵送により報告を受けた場合におけるトラブル防止のため、郵送先や送付すべき書類等、防火対象物の関係者が郵送による点検報告を行う場合に留意すべき事項を消防本部等のホームページにより周知することとし…郵送方法については任意ですが、消防機関に郵送物が届かない場合、消防機関では責任を負いかねますので…郵送事故等による書類の紛失を防止するため、簡易書留等の配達記録が残る方法で行っていただくことを推奨します。
確認は、書類・送付先・発送方法の順で進めます。
まず点検結果報告書の正本に記載漏れや押印漏れが無いかを確認し、必要書類(点検票別記様式を含む)がすべて添付されているかを確かめます。
返信を希望する場合は副本と宛名・切手を用意した返信用封筒を揃えます。
送付先は消防本部・消防署ごとに異なるため、管轄消防のホームページ等で最新の送付先を確認します。
郵送事故による書類の紛失を防ぐため、簡易書留等の配達記録が残る方法で発送することが推奨されています。

この順番で確認すれば、窓口まで行かずに済みそうです。

正本の記載漏れさえなければ郵送で完結します。
よくある質問もあわせてご確認ください。

よくある質問

Q郵送で点検結果報告書を送ればどの防火対象物でも受け付けてもらえますか?
A原則としてすべての防火対象物が対象です。消防法第17条の3の3に基づく点検報告義務がある防火対象物であれば、以前のような追加条件は問われません。実際の受付方法は所轄消防にご確認ください。
Q受付印を押した報告書の返信は必ず届きますか?
A返信を希望する場合に限り届きます。副本と、宛名・切手を用意した返信用封筒を同封しなかった場合は返信されません。返信時期の目安は受付後おおむね1〜2週間です。
Q押印を忘れて送った場合はどうなりますか?
A形式上の要件を満たさないため、再度提出させる等の指導を受けることになります。届出者の押印・点検者一覧表の添付・報告年月日の記載は、送る前に必ず確認してください。
Q郵送中に書類が届かなかった場合、消防機関は責任を負ってくれますか?
Aいいえ。郵送事故について消防機関は責任を負いません。通知は簡易書留等、配達記録が残る方法で送ることを推奨しています。

まとめ

✔平成31年4月26日の消防予第167号により、郵送による消防用設備等の点検報告がすべての防火対象物で受け付けられることになりました。
✔根拠は消防法第17条の3の3に基づく点検報告義務で、これがある防火対象物はすべて対象です。
✔郵送で必ず送るのは点検結果報告書の正本で、返信を希望する場合のみ副本と返信用封筒を同封します。
✔郵送された報告は行政手続法第37条が定める「届出」にあたり、形式要件を満たせば到達時点で報告義務が履行されます。
✔押印漏れ・点検者一覧表の添付漏れ・記載漏れは形式上の要件違反となり、再提出の指導対象になります。
✔発送は簡易書留等の配達記録が残る方法が推奨され、郵送事故について消防機関は責任を負いません。
✔この通知により平成11年の145号通知・平成28年の382号通知が定めていた郵送の対象範囲の規定は整理・統合されました。

郵送で点検報告が完結するのがよくわかりました!

送付先は事前に確認してくださいね。
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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 「郵送による消防用設備等の点検報告の推進について(通知)」(平成31年4月26日 消防予第167号 消防庁予防課長)
  • 「消防用設備等に係る点検及び報告の推進等について(通知)」(平成11年6月14日 消防予第145号)
  • 「消防用設備等点検報告制度に係る留意事項等について(通知)」(平成28年12月20日 消防予第382号)
  • 消防法第17条の3の3
  • 行政手続法第37条

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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