津市消防本部の「津市予防事務審査検査基準」には、自動車の修理や整備をする部分と駐車場の床面積の数え方を決めた節があります。
政令は広さで特別な消火設備が要るかを決めていますが、油庫や部品庫、整備場の前の庇をどこまで足すかまでは書いていません。
その数え方を、各地の消防本部が審査基準で定めています。
この記事では津市の基準を政令から順にたどり、鈴鹿市・四日市市・埼玉県央広域・堺市の書き方と比べます。
津市の自社ビルの2階に、車の整備場を作る計画があります。
整備場そのものは200平方メートルより小さいのですが、それで足りるでしょうか。
整備場の隣に油庫や部品庫があると、その面積も足すのが原則です。
どの部屋を足すかで、泡消火設備などが要るかどうかが変わります。
事務室や更衣室まで足されると、すぐに超えてしまいそうです。
事務室を外す書き方は、多くの消防本部で共通しています。
違いが出るのは区画の造りと庇の扱いなので、順に見ていきましょう。
- 自動車の修理又は整備の部分は、地階又は2階以上で200平方メートル以上、1階で500平方メートル以上になると消防法施行令第13条の消火設備が要りますが、床面積の数え方は政令に書かれていません
- 津市は事務室・休憩室・便所・更衣室を外せるとし、油庫・部品庫・コンプレッサー室は足したうえで、準耐火構造などア〜オの区画をすれば外せるとしています
- 整備に使う庇は、津市と埼玉県央広域は床面積に入れ、鈴鹿市は算入しないと書いていて扱いが逆です
- 同じ階に分かれた駐車場を別々に数えるための区画は、津市が耐火構造(60分以上)と特定防火設備、埼玉県央広域は不燃材料の壁又は防火設備と書いています
- 鈴鹿市と埼玉県央広域は、整備の部分と駐車の部分が隣接していれば床面積を合算するとしています
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目次
国の基準では整備の部分と駐車場はどの広さから特別な消火設備が要るのか

まず政令の表の該当する2行を確かめます。
別表第一に掲げる防火対象物の自動車の修理又は整備の用に供される部分で、床面積が、地階又は二階以上の階にあつては二百平方メートル以上、一階にあつては五百平方メートル以上のもの 泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備
別表第一に掲げる防火対象物の駐車の用に供される部分で、次に掲げるもの
一 当該部分の存する階(屋上部分を含み、駐車するすべての車両が同時に屋外に出ることができる構造の階を除く。)における当該部分の床面積が、地階又は二階以上の階にあつては二百平方メートル以上、一階にあつては五百平方メートル以上、屋上部分にあつては三百平方メートル以上のもの
二 昇降機等の機械装置により車両を駐車させる構造のもので、車両の収容台数が十以上のもの 水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備
整備の部分は地階又は2階以上で200平方メートル以上、1階で500平方メートル以上になると、泡消火設備などのいずれかが要ります。
駐車の部分も同じ線に屋上300平方メートル以上が加わり、機械式で収容台数10以上なら広さに関係なく対象です。
ただ、どの部屋までを「整備の用に供される部分」として足すのか、車路や庇を入れるのかは、政令の表には書かれていません。
そこで各消防本部は審査基準で数え方を決めていて、津市では「1-14 駐車の用に供する部分等における床面積の取扱い」がその節です。
同じ200平方メートルでも、どこまで数えるかは消防本部の基準を見るのですね。
はい、政令は線を引き、数え方は審査基準が決めています。
次は津市が整備場のまわりの部屋をどう数えるかを見ましょう。
津市では整備工場の油庫や事務室を床面積に入れるのか

足す部屋でも、区画の造りがそろえば外せる仕組みです。
⑴ 事務室、休憩室、便所、更衣室等の居室は床面積の算定から除外できるものとする。
⑵ 油庫、コンプレッサー室、部品庫等の自動車の修理、整備部分に従属すると認める室については床面積に算入するものとする。
ただし、次により防火上有効に区画された場合は、床面積の算定から除外できるものとする。(第14-1図参照)
ア 準耐火構造(45分以上)の床又は壁で区画されていること。
イ 屋内に面する窓及び出入口の戸は、常時閉鎖式の防火戸とすること。
ウ 屋内に面する換気口(ガラリ等)は、防火設備(略)が設けられていること。
エ 給水管、配電管その他の管が、区画の壁又は床を貫通する場合においては、当該管と区画との隙間をモルタルその他の不燃材料で埋めること。
オ 換気、暖房又は冷房の設備の風道が、区画の壁又は床を貫通する場合は、(略)防火ダンパーを設けること。
事務室・休憩室・便所・更衣室は外せますが、油庫・コンプレッサー室・部品庫は整備に従属する室として足します。
外すには、準耐火構造(45分以上)の床か壁で囲み、戸を常時閉鎖式の防火戸にし、換気口・配管・風道の貫通部までア〜オの5つをそろえます。
たとえば2階に整備場150平方メートル、油庫20平方メートル、部品庫30平方メートルがあると、合計は200平方メートルで政令の線に届きます。
油庫と部品庫をア〜オで区画すれば150平方メートルとして数えられるので、設計の段階で建具表まで決めておくと判断が早くなります。
| 消防本部 | 事務室など | 油庫・部品庫など | 外すための区画 |
|---|---|---|---|
| 津市消防本部 | 事務室・休憩室・便所・更衣室等の居室は外せる | 足す | 準耐火構造(45分以上)+ア〜オ |
| 鈴鹿市消防本部 | 事務所その他これらに類する室を除く | 接続する室等は足す | 準耐火構造+内装の仕上げを不燃材料+(イ)〜(オ) |
| 埼玉県央広域消防本部 | 事務所その他これらに類する室を除く | 接続する室等は足す | 鈴鹿市と同じ5項目 |
| 四日市市消防本部 | 事務所を除く | 倉庫・油庫を含めすべて合算 | 付属室を区画で外す書き方は見当たらない |
| 堺市消防局 | 合計の対象に挙がっていない | 油庫・部品庫・工具室・機械の室を足す | 耐火構造の壁(開口部は特定防火設備)で区画し車両が通れなければ区画ごと |
油庫の扉を普通の扉にすると、その面積も整備場に足されるのですね。
はい、外すには常時閉鎖式の防火戸まで要ります。
平面図で整備場に面した扉と換気口を全部拾っておきましょう。
整備場の前の庇の下も整備の部分として数えるのか

この庇の扱いは、消防本部によって書き方が正反対です。
⑶ 自動車の修理、整備部分に接して設ける庇で、建築基準法の床面積に算入される部分において、自動車の修理、整備部分として使用する場合は、自動車の修理、整備部分の床面積に算入すること。
ただし、上記⑵ア~オにより防火上有効に区画された場合は、床面積の算定から除外できるものとする。
⑷ 隣り合う自動車の修理又は整備の用に供する部分が、上記⑵アからオにより防火上有効に区画された場合であっても、床面積を合算して算入する。
イ 修理又は整備の用に供される部分に接して設ける庇は床面積に算入しない。
津市は、建築基準法の床面積に入る庇で整備に使うなら、整備の部分として足すと書いています。
ここでも外す条件は⑵のア〜オを借りてくる書き方で、庇のための別の区画基準は置かれていません。
埼玉県央広域(鴻巣市・桶川市・北本市)も、庇と車路(上部が常時外気に開放されている部分と傾斜路を除く)を床面積に算入するとし、図の中で庇に床面積が生じた場合はそれを含めた合計で政令第13条を当てはめると添えています。
一方で鈴鹿市は、同じ位置の庇を算入しないと一文で書いていて、四日市市と堺市の節には庇の記載がありません。
津市の⑷は、整備の部分同士はア〜オで区画しても合算するとしていて、国の質疑応答でも間仕切壁の構造に関係なく合算するとされています。
| 消防本部 | 整備に接する庇 | 整備の部分同士の区画 |
|---|---|---|
| 津市消防本部 | 建築基準法の床面積に入る部分を整備に使えば算入(ア〜オの区画で外せる) | 隣り合う部分はア〜オで区画しても合算 |
| 埼玉県央広域消防本部 | 算入(車路も算入・上部開放部分と傾斜路を除く) | この節に記載なし |
| 鈴鹿市消防本部 | 算入しない | この節に記載なし |
| 四日市市消防本部 | 記載なし | 整備以外の場所を挟んだ2か所は耐火構造の壁又は特定防火設備で区画すれば別々 |
| 堺市消防局 | 記載なし | 作業室と油庫等を耐火構造の壁で区画し車両が通れなければ区画ごと |
同じ形の庇でも、鈴鹿市と津市では数え方が違うのですね。
はい、隣の市の基準を流用しないことが大切です。
庇の下で作業するかどうかを、計画書にはっきり書いておきましょう。
同じ階に分かれた駐車場は別々に数えられるのか

政令の駐車の行は「当該部分の存する階」の床面積で見るので、分かれた2か所を合算するかが問題になります。
⑴ 車路は、床面積に算入するものとする。
ただし、上部が開放されている部分については算入しないものとする。
⑵ 1の階において、駐車の用に供しない部分を介して2箇所以上の駐車の用に供する部分がある場合は、それぞれの駐車の用に供される部分の床面積を合算して算入すること。
ただし、次により防火上有効に区画された場合は、床面積の算定から除外できるものとする。(第14-2図参照)
ア 耐火構造(60分以上)の壁で区画されていること。
イ 屋内に面する窓及び出入口の戸は特定防火設備とすること。
ウ 給水管、配電管その他の管が耐火構造の壁又は床を貫通する場合の処理は、耐火区画とすること。
津市は、同じ階の駐車場は合算し、耐火構造(60分以上)の壁・特定防火設備の戸・耐火区画の貫通処理の3つがそろえば合算から外せるとしています。
整備の部分が整備以外の部分を挟んで2か所以上ある場合も、1⑸でこの2⑵を準用するので、同じ3つの条件で見ます。
たとえば1階に駐車場A300平方メートルと駐車場B250平方メートルがあると、合算すれば550平方メートルで1階の500平方メートルの線を超えます。
間の部分を3つの条件で区画すれば300と250を別々に見るので、どちらも500未満になり、区画の造りで消火設備の要否が変わります。
| 消防本部 | 分かれた駐車場を別々に数える条件 | 車路 |
|---|---|---|
| 津市消防本部 | 耐火構造(60分以上)の壁・特定防火設備・貫通部は耐火区画 | 算入(上部が開放されている部分は除く) |
| 鈴鹿市消防本部 | 耐火構造とした壁又は特定防火設備で区画した場合に限る | 算入(上部が開放された部分は除く) |
| 四日市市消防本部 | 耐火構造とした壁又は特定防火設備で区画した場合に限る | 算入(上下階に通じる傾斜路・ランプ・カーリフト等は除く) |
| 埼玉県央広域消防本部 | 不燃材料とした壁又は防火設備で区画した場合に限る | 算入(上部が開放された部分は除く) |
| 堺市消防局 | 耐火構造の壁(開口部は特定防火設備)で区画し、区画間を車両が通れない | 歩行者用通路も含めて算入(上部が開放された上下階への傾斜路等は除く) |
間にお店を挟んでも、壁の造りしだいで一つの駐車場として数えられるのですね。
はい、津市では耐火構造(60分以上)の壁が分かれ目です。
壁の耐火時間を設計図で確かめておきましょう。
整備場と駐車場が並ぶ建物はどう確かめればよいのか

この並び方について、鈴鹿市と埼玉県央広域ははっきり書いています。
⑸ 修理又は整備の用に供される部分及び駐車の用に供する部分が隣接する場合、これらの部分は一般火災の特性と自動車の燃料タンク内のガソリン又は軽油による火災の特性の両方を有しており出火危険及び延焼危険が高く、かつ、消火困難性を有するから、⑶及び⑷のとおり算定し床面積を合算する。ただし、⑷イに定める区画を有する場合は、それぞれの部分ごとに床面積を算定する。
鈴鹿市と埼玉県央広域は、整備の部分と駐車の部分が隣接していれば、それぞれの数え方で出した面積を合算するとしています。
別々に数えられるのは駐車場の分割と同じ区画がある場合で、鈴鹿市なら耐火構造の壁又は特定防火設備、埼玉県央広域なら不燃材料の壁又は防火設備です。
津市・四日市市・堺市の床面積の節には、整備と駐車が隣り合う場合の合算の記載は見当たらないので、計画があれば所在地の消防本部に扱いを確かめます。
図面での確かめ方は次の5段です。
- 階ごとに、整備場・付属室・庇・車路・駐車マスを色分けする
- 事務室・休憩室・便所・更衣室など外せる部屋を消す
- 油庫や部品庫が区画の条件を満たしているかを建具表と断面図で確かめる
- 庇・車路・分かれた駐車場・隣り合う整備と駐車を、所在地の基準どおりに足す
- 出た面積を政令第13条の地階・1階・2階以上・屋上の線に当てはめる
つまり、部屋ごとに色を塗って足し算してから、政令の線と比べるのですね。
そのとおりです、階ごとに分けて足すのを忘れないでください。
面積表を作ってから消防本部に持って行きましょう。
よくある質問
まとめ
まず2階の部屋を色分けして面積表を作り、津市消防本部に相談します!
面積の数え方ひとつで消火設備の要否が変わるので、設計の早い段階で確かめるのが近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令 第13条第1項(e-Gov法令検索)
- 津市消防本部「津市予防事務審査検査基準」1-14 駐車の用に供する部分等における床面積の取扱い 1-14のPDF
- 鈴鹿市消防本部「鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準」第2章 第3 建築物の床面積及び階の取り扱い 第3のPDF
- 四日市市消防本部「四日市市消防同意事務審査基準」第1章 第3 床面積の判定及び階の取扱い 第1章のPDF
- 埼玉県央広域消防本部「埼玉県央広域消防本部消防用設備等に関する審査基準」第2章 第3 建築物の床面積及び階の取り扱い 第3のPDF
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第4 床面積、階及び高さの取扱い 1 床面積の算定
※本記事は各消防本部が公開している審査基準と国の法令に基づく一般的な解説です。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防本部で確認してください。各本部の資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。





