建物の外壁に沿って設けられた屋外の階段を見かけることがあります。
火災や地震のときに使う避難経路として、建物の中とは別に外に階段を用意しているケースです。
実はこの屋外階段には、建築基準法施行令で「木造にしてはならない」と材料そのものを名指しした規定があります。
今回は建築基準法施行令第百二十一条の二が定める木造禁止のルールと、唯一認められる例外について解説します。
うちの建物、非常階段が外に付いているタイプなんです。
木造ではないので大丈夫だと思うんですが、確認しておきたくて。
屋外に設ける直通階段には、建築基準法施行令第百二十一条の二という専用の規定があります。
木造は原則として使えません。
え、木造は駄目なんですか。
うちは鉄骨製なので問題なさそうですが、他にも注意点はありますか。
はい、例外や関連する規定もあるので順番に見ていきましょう。
屋外階段だからといって油断はできません。
- 建築基準法施行令第百二十一条の二は、屋外に設ける直通階段を木造にしてはならないと定めています。
- 対象になるのは第百二十条・第百二十一条の規定による直通階段のうち、屋外に設けられたものです。
- 唯一認められる例外は、準耐火構造のうち有効な防腐措置を講じたものに限られます。
- 屋外に階段があるだけでは、建物の規模に応じて求められる避難階段としての基準を満たしたことにはなりません。
- 五階以上や地下二階以下などの建物では、第百二十三条が定める避難階段の構造要件も重ねて確認する必要があります。
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目次
なぜ屋外に設ける直通階段は木造にしてはならないのか

ただし「屋外だから何でもよい」わけではありません。
屋外の直通階段は雨風や紫外線に常にさらされる場所にあり、木材は年月とともに腐食して強度が落ちていきます。
避難のときに使う階段が壊れてしまっては本末転倒なので、施行令は木造そのものを原則として禁止しました。
この規定は建築基準法第三十五条が定める避難施設の技術的基準の一部で、廊下や出入口と並んで階段の構造にも国が最低ラインを引いています。
つまり屋外だから基準が緩いのではなく、屋外だからこそ耐久性を重視した基準になっていると理解してください。
屋外にあるから鉄骨でも木造でもいいと思っていました。
耐久性の問題だったんですね。
はい、雨風にさらされる分、材料の劣化がそのまま強度低下につながるからです。
次は対象になる階段の範囲を見てみましょう。
この規定はどんな階段が対象になるのか

まず「前二条の規定による直通階段」という言葉の中身を確認します。
各階の居室から避難階または地上まで、他の階を経由せずに行き着ける階段を施行令は直通階段と呼びます。
このうち建物の外壁に取り付けられ屋根も壁もない開放型のものが、第百二十一条の二でいう屋外に設けるものにあたります。
建物の内部に完全に囲われた階段や、避難とは無関係な搬入用の外階段は、この条文の直通階段には含まれません。
つまり屋外にある階段すべてではなく、避難経路として機能を義務づけられた階段だけが対象になります。
うちの外階段は避難経路として使う設計です。
ということはこの規定の対象になりますね。
そのとおりです。
避難用でない搬入階段などとは区別して考えてください。
木造が禁止される内容と唯一認められる例外とは何か

原則と例外をセットで押さえておきましょう。
普通の木造では、いくら太い部材を使っても年月による腐食までは防げないため認められません。
唯一認められるのは、準耐火構造としたうえで、さらに薬剤処理などの有効な防腐措置を講じたものに限られます。
鋼材や鉄筋コンクリートであれば木造そのものに当たらないため、この条文の制限は受けません。
新築や改修で屋外階段の材料を選ぶときは、この二段構えの条件を満たしているかをまず確認してください。
木製のウッドデッキ階段を検討していたんですが、厳しそうですね。
鋼製に変えたほうが早そうです。
はい、防腐措置つきの準耐火構造を証明するのは手間がかかります。
鋼製や鉄筋コンクリート製のほうが確実です。
屋外に階段があれば避難階段の基準も満たしていることになるのか

建物の規模によっては、さらに重い基準が別に用意されています。
第百二十一条の二は材料だけを規制する条文で、耐火性能や開口部からの距離までは求めていません。
一方で建物が五階以上や地下二階以下の階を持つ場合は、第百二十二条により階段そのものを避難階段または特別避難階段としなければなりません。
屋外に設ける避難階段には、第百二十三条第二項で開口部から二メートル以上の距離を取ることや耐火構造とすることなど、さらに細かい要件が重なります。
「木造ではないから安心」で止めず、建物の階数と規模に応じた基準まで確認することが実務では欠かせません。
うちは4階建てなので大丈夫だと思っていましたが、念のため確認したいです。
該当したら何を見ればいいですか。
五階以上や地下二階以下に該当するかをまず確認してください。
該当すれば開口部からの距離や耐火構造まで見る必要があります。
屋外階段を点検するときは何を確認すればよいのか

新築時の設計確認だけでなく、既存の建物でも点検の視点として使えます。
まず屋外階段の材料が木造でないか、木造であれば防腐措置つきの準耐火構造であることを示す資料が残っているかを確認します。
次に建物が五階以上や地下二階以下に該当するかを調べ、該当する場合は避難階段としての追加基準の対象になります。
最後に開口部からの距離や腐食・さびの有無を目視で確認し、劣化が進んでいれば早めに改修を検討します。
これらは新築時だけでなく、既存の建物を維持管理するうえでも定期的に見直すべき項目です。
材料と規模と構造、順番に確認すればいいんですね。
今日の点検で早速チェックしてみます。
はい、その3点を押さえれば大きな見落としはなくなります。
気になる点があればいつでもご相談ください。
よくある質問
まとめ
屋外階段の材料と規模、どちらも見落とさないようにします!
防腐措置の証明が難しいときも、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第三十五条(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令第百二十条・第百二十一条・第百二十一条の二・第百二十二条・第百二十三条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





