ビルの電気室やキュービクルの扉を開けると、配電盤の上のほうに赤いランプが点いていることがあります。
その横に「非常電源確認表示灯」と書いてあれば、消防用設備等へ送る非常電源の回路に電気が来ていることを示す表示灯です。
国の消防法施行規則はこの表示灯を付けることまでは書いておらず、付ける場所や数は消防本部の審査基準が決めています。
四日市市・鈴鹿市・埼玉県央広域・津市・堺市の基準を並べると、対象の受電設備も、1つでよいか回路ごとかも違います。
電気室の配電盤に、赤いランプがずっと点いているんです。
消し忘れかと思って、スイッチを探してしまいました。
それは非常電源確認表示灯かもしれません。
点いているのが正常で、消せるスイッチは付けない決まりの市が多いです。
消防の決まりで付けるものなんですか。
国の規則ではなく、各消防本部の基準が付け方を決めています。
5つの消防本部の基準を順に見ていきましょう。
- 消防法施行規則第12条第1項第4号イは非常電源専用受電設備に開閉器の表示を求めるが、非常電源確認表示灯を付けることまでは定めていない
- 四日市市は高圧・特別高圧の非常電源専用受電設備について、配電盤や監視室の前室などに赤色の表示灯を付けるよう指導している
- 鈴鹿市と埼玉県央広域はキュービクル式以外の受電設備に限って、配電盤や監視盤の前面に同じ表示灯を付けるよう指導している
- 津市は配線用遮断器ごとに表示灯を付け、大きさや難燃材料のカバー、外から見える位置まで決めている
- 堺市は検査で赤色の電源表示灯が付いているかと点灯するかを確かめ、国の点検要領も点灯を点検項目にしている
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目次
国の規則は非常電源の表示灯を付けるよう求めているのか

屋内消火栓設備の非常電源の規定が、ほかの消防用設備等にも借りて使われる元の条文です。
イ 非常電源専用受電設備は、次の(イ)から(ト)までに定めるところによること。
(イ) 点検に便利で、かつ、火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所に設けること。
(ロ) 他の電気回路の開閉器又は遮断器によつて遮断されないこと。
(ハ) 開閉器には屋内消火栓設備用である旨を表示すること。
(ニ)〜(ト) (略)
規則が求める「表示」は、開閉器に何の設備用かを書くことだけです。
キュービクル式の基準を定めた昭和50年消防庁告示第7号も、外箱の外に出してよい部品として「表示灯(カバーを不燃性又は難燃性の材料としたものに限る。)」を挙げているだけで、付けることを義務にはしていません。
一方で消防庁の「消防用設備等の点検要領」第23は、配電盤面に「非常電源確認表示灯」などの表示があることと、非常電源確認表示灯が正常に点灯することを点検項目にしています。
つまり点検では見られるのに、どこに何個付けるかは各消防本部の審査基準を読まないと分かりません。
点検では見られるのに、付け方は国の規則に書いていないのですね。
そうなんです、だから管轄の基準を読む必要があります。
次は四日市市の基準から見ていきます。
四日市市は表示灯をどこにどう付けるよう求めているのか

高圧又は特別高圧で受電する非常電源専用受電設備の「表示」の項に、表示灯の決まりがまとめてあります。
(ア)開閉器には、消防用設備等用である旨の表示を設けること。
(イ)非常電源専用受電設備の配電盤又は分電盤若しくは監視室等の前室には、非常電源回路の電流が充電されていることを容易に確認できる表示灯を次により設けること。ただし、同一変圧器の二次側に非常電源回路が2以上ある場合にあっては、電源確認表示は1とすることができる。
a 表示灯の電源は、非常電源回路用過電流遮断器の二次側より分岐すること。
b 表示灯回路には、適正なヒューズを用いること。
c 表示灯の光色は赤色とすること。
d 表示灯の直近には、非常電源確認表示灯である旨の表示を行なうこと。
e 表示灯回路には点滅器を設けないこと。
付ける場所は配電盤・分電盤か、監視室等の前室です。
電源は非常電源回路の過電流遮断器の二次側から取るので、遮断器が切れていれば表示灯も消え、回路が生きているかが外から分かります。
同じ変圧器の二次側に非常電源回路が2つ以上あっても、表示灯は1つでよいとされています。
四日市市の基準では行政指導の部分に下線が引かれており、(イ)の本文とa〜dには下線があり、eの「点滅器を設けない」には下線がありません。
まずは自分の建物の配電盤で、赤いランプの横に表示があるか、消せるスイッチが付いていないかを見ておきます。
ランプを消せないようにしておくのは、消し忘れではなく理由があるのですね。
点いていれば回路が生きている、消えていれば異常と読めるようにするためです。
鈴鹿市と埼玉県央広域の書き方も比べてみましょう。
鈴鹿市と埼玉県央広域の表示灯は四日市市と何が違うのか

ここでは埼玉県央広域の第4章第23 非常電源を引用します。
(イ) 配電盤若しくは分電盤又は監視室等の監視盤の前面には、非常電源回路の電源が充電されていることを容易に確認できる表示灯を次により設けること。▲
ただし、同一変圧器の二次側に非常電源回路が2以上ある場合にあっては、表示灯は1とすることができる。
a 表示灯の電源は、非常電源回路用過電流遮断器の二次側より分岐すること。
b 表示灯回路には適正なヒューズを用いること。
c 表示灯の光色は赤色とすること。
d 表示灯の直近には、非常電源確認表示灯である旨の表示を行うこと。
e 表示灯回路には点滅器を設けないこと。
a〜eの中身は四日市市と同じですが、この項目は「キュービクル式以外」の受電設備の構造の中に置かれています。
付ける場所も四日市市の「監視室等の前室」ではなく、監視盤の前面と書かれています。
両本部とも▲の印が付いており、凡例では▲は行政指導を示します。
鈴鹿市の第4章第23 3⑵イ(イ)も、語尾が「設ける」になっているほかは同じ内容で、同じく▲が付いています。
開放形の受電設備を使っている建物では、監視盤の前面に表示灯が見えるかを確かめておきます。
つまりキュービクル式なら、鈴鹿市や埼玉県央広域ではこの項目の対象外ということですね。
この項目の書き方としてはそうなります。
キュービクル式の扱いまで書いているのが津市なので、次に見ます。
津市の確認表示灯はなぜ回路ごとに付けるのか

キュービクル式高圧受電設備以外の受電設備の項に、確認表示灯の決まりが9つ並んでいます。
非常電源回路の配線用遮断器の二次側には、非常電源確認表示灯(以下「確認表示灯」という。)を次により設けること。
b 複数の配線用遮断器を設ける場合は、確認表示灯をそれぞれの回路に設けること。
d 確認表示灯は、取付け穴の直径(22.3mm以上)以上の大きさとすること。
e 確認表示灯は、外部から容易に確認できる位置に取り付けること。なお、キュービクル式のものに確認表示灯を設ける場合は、次によること。(略)
g 確認表示灯のカバーには、建基政令第1条第6号に定める難燃材料又はこれと同等以上の性能を有する材料を用いること。
(a・c・f・h・iは略)
四日市市・鈴鹿市・埼玉県央広域が「同じ変圧器なら1つでよい」としているのに対し、津市は配線用遮断器ごとに付けるとしています。
ほかにも、取付け穴の直径22.3mm以上という大きさ、難燃材料のカバー、外から見える位置を決めています。
キュービクル式に付ける場合は、検針窓や計器窓から見える位置(第24-1図)か、確認専用の窓を設けるとしています。
光色は赤、ヒューズを入れる、点滅器を付けない、表示灯である旨を書く、という点は他の本部と同じです。
津市の基準には義務と指導を分ける記号がなく、この項目も「〜すること」の書きぶりです。
遮断器が3つあれば、表示灯も3つ並ぶことになるのですか。
津市の基準ではそう読めます。
どの回路が生きているかを1つずつ見分けられるのが利点です。
堺市の検査や日頃の点検では赤い表示灯の何を見るのか

大阪府の堺市消防局は、設置の決まりではなく検査の基準の中で赤色の表示灯に触れています。
Ⅰ 外観検査 3 構造(2)非常電源専用受電設備は、非常電源回路用過電流遮断器の二次側に赤色の電源表示灯が設けてあること。
Ⅱ 性能検査 5 非常電源の作動試験及び合否の判定(1)高圧又は特別高圧で受電する非常電源専用受電設備の場合
ア 非常電源回路の過電流遮断器二次側に設けた赤色の電源表示灯が点灯すること。
堺市は消防用設備等の検査で、赤色の電源表示灯が付いているかを外観で、点灯するかを作動試験で確かめるとしています。
大阪市の非常電源の基準を確認したところ、配線の図に表示灯回路が出てくるだけで、この表示灯を付ける決まりは見当たりませんでした。
行田市と羽生市は審査基準を公開していないため、比べられませんでした。
建物を持つ側としては、点検要領が点灯を確かめる項目にしているので、点検報告書の「表示灯」の欄に不良が書かれていないかを見ておきます。
赤いランプが消えていたら、電気主任技術者や点検業者に回路の状態を確かめてもらいます。
赤いランプが消えていたら、まず誰かに知らせればいいのですね。
はい、非常電源が消防用設備等に届いていないおそれがあります。
自分で配電盤を開けて触らず、電気主任技術者に連絡しましょう。
5つの消防本部の決まりを表にまとめます。
| 項目 | 四日市市 | 鈴鹿市・埼玉県央広域 | 津市 | 堺市 |
|---|---|---|---|---|
| どの受電設備か | 高圧・特別高圧のもの | 高圧・特別高圧のうちキュービクル式以外 | キュービクル式高圧受電設備以外(キュービクル式に付けるときの位置も規定) | 非常電源専用受電設備(検査) |
| 付ける場所 | 配電盤・分電盤か監視室等の前室 | 配電盤・分電盤か監視盤の前面 | 配線用遮断器の二次側・外から見える位置 | 過電流遮断器の二次側 |
| 数 | 同じ変圧器なら1つでよい | 同じ変圧器なら1つでよい | 配線用遮断器ごと | 定めなし |
| 大きさ・カバー | 定めなし | 定めなし | 直径22.3mm以上・難燃材料のカバー | 定めなし |
| 色・点滅器 | 赤色・点滅器なし | 赤色・点滅器なし | 赤色・点滅器なし | 赤色 |
| 印 | 下線(行政指導)・点滅器の項は下線なし | ▲(行政指導) | 記号なし | 記号なし(検査の基準) |
よくある質問
まとめ
まずは配電盤の赤いランプと、表示があるかを見てみます!
点いているかと、消せるスイッチが無いかも確かめておきましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則 第12条第1項第4号(e-Gov法令検索)
- キュービクル式非常電源専用受電設備の基準(昭和50年消防庁告示第7号)(総務省消防庁)
- 消防用設備等の点検要領 第23 非常電源(非常電源専用受電設備)(総務省消防庁)
- 四日市市消防同意事務審査基準 第27 非常電源(四日市市消防本部)
- 鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準 第4章第23 非常電源(鈴鹿市消防本部)
- 埼玉県央広域消防本部消防用設備等に関する審査基準 第4章第23 非常電源(埼玉県央広域消防本部)
- 津市予防事務審査検査基準 5-24 消防用設備等の非常電源(津市消防本部)
- 堺市消防同意・消防用設備等審査基準 第4章 消防用設備等検査実施要領 第3 非常電源(堺市消防局)
※本記事は公表されている法令および各消防本部の審査基準に基づく一般的な解説です。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防本部でご確認ください。電気設備の改修は電気主任技術者・電気工事業者とご相談ください。





