屋内消火栓設備やスプリンクラー設備のポンプ方式の加圧送水装置には、呼水装置という一式の付属装置が組み込まれています。
水源の水位がポンプより低い位置にある建物では、ポンプを起動する前に配管を満たしておく必要があるからです。
呼水槽の有効水量や配管の口径には、実は告示で細かい数値まで定められています。
本記事では呼水装置の構造基準を、根拠となる告示から順に解説します。
ポンプ室の壁に、小さなタンクが付いているのを見かけました。
それは呼水槽と呼ばれる装置です。
ポンプより水源が低いときに欠かせません。
ただの補助タンクだと思っていました。
実は水量や配管の太さまで細かく決まっています。
順番に見ていきましょう。
- 呼水装置は、呼水槽・溢水用排水管・排水管・呼水管・減水警報装置の発信部・自動給水装置という6つの機器で構成されます
- 呼水槽の材質は、鋼板、合成樹脂又はこれらと同等以上の強度・耐食性・耐熱性を持つものとされています
- 呼水槽の有効水量は100リットル以上、フート弁の呼び径が150以下の場合は50リットル以上とすることができます
- 配管口径は補給水管15以上・溢水用排水管50以上・呼水管40以上と、管ごとに太さが定められています
- 減水警報装置の発信部は、有効水量の2分の1となる前に音響で警報を発するものでなければなりません
▼
目次
なぜ呼水槽をはじめとする一式の装置が要るのか

水源の水位がポンプより低い位置にある場合に、送水前の準備を担う装置です。
そもそも呼水装置は、水源の水位がポンプより低い位置にある場合に、ポンプ及び配管に充水を行う装置と告示上定義されています。
呼水槽本体だけでなく、溢水用排水管・排水管・呼水管・減水警報装置の発信部・自動給水装置まで含めて一式の付属装置として扱われます。
つまり呼水槽は単独の水槽ではなく、充水から警報、自動補給までを担う仕組みの一部だということです。
呼水槽って、水を貯めておくだけの箱だと思っていました。
実は6つの機器がセットになった装置なんです。
まずは材質から見ていきましょう。
呼水槽の材質はどこまで自由に選べるのか

腐食への配慮まで含めて確認しておきたいところです。
告示は呼水槽の材質を、鋼板、合成樹脂又はこれらと同等以上の強度・耐食性・耐熱性を持つものと定めています。
腐食するおそれがある部分については、有効な防食処理を施すことも同時に求められます。
つまり材質そのものの選定と、腐食対策という2つの条件を同時に満たす必要があるということです。
錆びやすい場所だと、それだけ対策も増えるんですね。
はい、材質と防食処理はセットです。
次は水量の話をします。
有効水量はなぜ100リットルと50リットルの2段階になっているのか

実は接続するフート弁の太さによって、必要な水量が変わります。
呼水槽の有効水量は、原則として100リットル以上とすることが求められています。
ただし吸水管の先端に取り付けるフート弁の呼び径が150以下という小口径の場合に限り、50リットル以上まで減らすことが認められます。
つまり呼水槽の大きさは一律ではなく、接続されるフート弁の太さとあわせて判断される基準だということです。
同じ建物でも、槽の大きさが違うことがあるんですね。
はい、フート弁の太さとセットで決まります。
次は配管の口径を見ましょう。
配管の口径はなぜ管ごとに太さが違うのか

役割の違いが、そのまま口径の違いにつながっています。
補給水管の口径は呼び15以上と最も細く、少量の給水を補うための配管であることがうかがえます。
溢水用排水管は呼び50以上、呼水管は呼び40以上と、あふれた水や充水そのものを流す配管ほど太くなっています。
つまり口径の違いは、それぞれの配管が担う水量の大きさをそのまま反映した基準だということです。
配管ごとに役割が違うから、太さも変わるんですね。
はい、流す水量に合わせた太さです。
最後は減水警報を見ていきます。
減水警報と自動給水はどう連携しているのか

告示はこの2つをどちらも定めています。
減水警報装置の発信部はフロートスイッチ又は電極とされ、貯水量が有効水量の2分の1となる前に音響で警報を発することが求められています。
一方で呼水槽が減水した場合には、水道や高架水槽等からボールタップ等を使って自動的に水を補給する装置も備えなければなりません。
つまり呼水槽は、水位が半分を割る前に人へ知らせつつ、補給そのものは自動で行う二段構えの仕組みだということです。
半分減る前に警報が鳴って、給水も自動なら安心ですね。
はい、警報と自動給水の二段構えです。
ここまでの内容を整理しましょう。
よくある質問
まとめ
呼水槽の中身が、やっと分かりました!
呼水装置の点検や整備もお手伝いできます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第12条第1項第7号ニ(屋内消火栓設備の加圧送水装置の構造及び性能)
- 加圧送水装置の基準(平成9年6月30日消防庁告示第8号)第五 ポンプ方式の加圧送水装置 二 呼水装置
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。設備の仕様や点検の実施方法は機種や建物ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署または専門業者にご確認ください。





