危険物は、ガソリンのような液体だけでなく、常温では固体に見える物品も分類の対象になります。
では、ある物品が「液体」として扱われるかどうかは、どうやって決まるのでしょうか。
実は消防法令には、専用の試験管を使って液状かどうかを判定する具体的な手順が定められています。
規則が定める試験管と時間の基準を、条文から確認します。
うちの倉庫にある薬剤なんですが、常温では固体のように見えます。
これも危険物の「液体」として扱われることがあるんでしょうか。
見た目が固体でも、温度によっては液体として扱われることがありますよ。
条文の定義を確認してみましょう。
そんな判定基準があるんですね。
誰が見ても同じ結果になるように決まっているんでしょうか。
はい。
規則が定める試験管を使った手順で判定します。
- 危険物の分類では、常温で固体に見える物品でも液体として扱われる場合があります。
- 温度20度で液状であるもの、または20度を超え40度以下で液状となるものが液体です。
- 液状かどうかは、規則第六十九条の二が定める試験管を使った試験で判定します。
- 試験管を水平にしてから90秒以内に物品が流れれば、液状と判定されます。
- 第三石油類など一部の品名は、引火性液体として扱うために20度で液状であることが別途必要です。
▼

目次
危険物はなぜ常温で固体でも液体として扱われることがあるのか

消防法の別表第一には、液体をどう定義するかがあらかじめ書かれています。
常温(20度)ですでに液状であるものはもちろん、
20度を超え40度以下の範囲で液状になるものも、この定義上は液体として扱われます。
つまり、真夏の保管環境や体温程度の温度で溶け出す物品も、液体としての基準が及ぶ可能性があります。
常温での見た目だけで固体と判断してしまうと、この定義を見落とすことになります。
常温で固体に見えても、液体として扱われることがあるんですね。
気づきませんでした。
そうなんです。
次は、実際に液状かどうかをどう判定するのかを見てみましょう。
液状かどうかはどうやって判定するのか

規則には、判定に使う器具の規格まで細かく定められています。
使うのは内径30ミリメートル、高さ120ミリメートルの平底円筒型のガラス製試験管です。
この試験管に物品を一定の高さまで入れ、垂直の状態から水平に倒すという手順で試験を行います。
器具の寸法まで規則で決まっているので、事業者や消防機関によって判定基準がぶれることはありません。
試験管の大きさまで決まっているんですね。
誰が測っても同じ手順になりそうです。
はい。
次は実際に試験管を倒してから何を測るのかを見てみましょう。
試験管を倒してから何を測るのか

決め手になるのは、物品が動き出してからの時間です。
試験管を垂直から水平に倒した瞬間から測定が始まります。
中の物品が動き出し、その先端が試験管の底から85ミリメートルの位置を通過するまでの時間を計ります。
この時間が90秒以内であれば、その物品は液状であると判定されます。
逆に90秒を過ぎても先端が到達しなければ、液状とは判定されません。
つまり、時間内に流れ出すかどうかがポイントなんですね。
そのとおりです。
ただし、品名によっては別の条件も加わります。
なぜ品名によって液状の条件が変わることがあるのか

ところが、一部の品名についてはこの範囲がさらに絞られています。
第三石油類・第四石油類・動植物油類として引火性液体に該当させるには、20度を超えてから液状になるものでは足りず、20度の時点で液状である必要があります。
つまり、備考第一号だけを見て「20度を超え40度以下で液状になるから液体だ」と判断しても、これらの品名では引火性液体としての条件を満たさない場合があります。
理由までは条文に書かれていませんが、常温での状態をより厳しく区別する趣旨と考えられます。
品名ごとに条件が変わる可能性があることを踏まえて確認する必要があります。
それだと、自分たちだけでは判断が難しそうです。
はい。
次は、実務でどう確認すればよいかを見てみましょう。
液状かどうかを確認するには実務でどうすればよいか

事業者が自己判断だけで結論を出すのは適切ではありません。
- 物品の性状(常温での状態や、加熱した場合に液状になる温度)を、まず安全データシートなど製造者の資料で確認する
- 境界線上にあり自己判断が難しい物品は、専門の試験機関に依頼して規則第六十九条の二の試験を行ってもらう
- 第三石油類・第四石油類・動植物油類に該当しうる品名は、20度での状態も別途確認しておく
- 判定結果は所轄の消防署に相談し、品名や指定数量の考え方をすり合わせておく
結局、自分たちで境界線を決めつけないことが大事なんですね。
試験機関や消防署への相談が確実です。
最後によくある質問を見てみましょう。
よくある質問
まとめ
液体の定義が試験管と時間で決まっているなんて、よく分かりました!
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)別表第一備考第一号・第十号
- 危険物の規制に関する規則(昭和三十四年総理府令第五十五号)第六十九条の二
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





