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移送取扱所の配管はなぜ海上に設置すると地上と違う基準になるのか|地震と波と船の航行に備える基準を解説

海上に配管を渡すときには何を満たせばよいか アイキャッチ

移送取扱所の配管は、地下や地上だけでなく、海上に設置して沖合の設備までつなぐことがあります。
危険物の規制に関する規則は、この海上設置について、地上設置とは別に独立した基準を置いています。
支持構造だけでなく、船の航行を妨げないための空間や衝突への備えまで、一つの条文にまとめて求められています。
この記事では、配管を海上に設置するときに何を満たせばよいのかを条文から整理します。

海の上に配管を渡すのも、地上に設置するのと同じ基準でよいと思っていました。

実は海上設置には、地上には無い波への備えが加わるんです。

船がぶつかったりしないための備えも必要になるということですか。

はい、船の航行と衝突の両方が条文に書かれています。
今日は配管を海上に設置するときの基準を条文から解説します。

この記事の結論
  • 海上に配管を設置するときは、地震、風圧、波圧等に対し安全な構造の支持物で支持しなければなりません
  • 配管は、船舶の航行により損傷を受けない空間を海面との間に確保して設置します
  • 船舶の衝突等で配管や支持物が損傷を受けるおそれがある場合は、告示で定める防護設備を設置しなければなりません
  • 配管は、他の工作物に対し維持管理上必要な間隔を有することも求められます
  • これら四つを満たしても、外面腐食を防止する塗装は別の条文で独立して求められます

海上設置の配管に求められる支持構造船舶の航行空間防護設備維持管理間隔の四つの基準を示す図解

移送取扱所の配管を海上に設置するとはどんな工事を指すのか

沖合まで支持物の上を渡る海上設置の配管
移送取扱所の配管は、陸上の移送基地から沖合の桟橋や係留設備まで、海の上を渡って設置されることがあります。
この海上設置には、地下埋設や地上設置とは別に、独立した条文が置かれています。
危険物の規制に関する規則第28条の2の9(移送取扱所の基準) 令第十八条の二第一項に規定する移送取扱所の位置、構造及び設備の技術上の基準は、次条から第二十八条の五十一までに定めるとおりとする。
海上設置は独立した一つの条文にまとめられています。
規則第28条の18(海上設置)は、配管を海上に設置する場合の基準を四つの号にまとめて定めており、その根拠は危険物の規制に関する政令第18条の2第1項にさかのぼります。
この政令の規定を受けて、規則第28条の2の9が第28条の3から第28条の51までを移送取扱所の技術基準として定めることを明らかにしています。
次の見出しから、四つの号の中身を一つずつ確認していきます。

海の上に配管を設置するというのは、そんなに珍しいことなのでしょうか。

移送基地と沖合の設備を結ぶときなどに使われる方法です。
次の見出しから、条文が求める基準を順番に見ていきましょう。

地震や風や波の力に対してどんな支持構造が求められるのか

波を受けながら配管を支える海上の支持物
海の上に配管を設置する場合、まず問われるのは配管を支える構造そのものの強さです。
条文は、支持物が耐えるべき力を具体的に列挙しています。
危険物の規制に関する規則第28条の18第1項第一号(海上設置) 配管は、地震、風圧、波圧等に対し安全な構造の支持物により支持すること。
支持物は地震と風と波の三つに耐える必要があります。
規則第28条の18第一号は、配管を支える支持物について、地震、風圧、波圧等に対して安全な構造とすることを求めています。
地上設置の支持物が主に地震や地盤沈下、温度変化による伸縮を想定しているのに対し、海上設置ではこれに波圧という海特有の力が加わります。
次の見出しでは、支持構造だけでなく、船の航行との関係を確認します。

地上の配管と同じ支持物では足りないのですか。

はい、波の力に耐える強さが別途必要になります。
次は船の航行との関係を見てみましょう。

船の航行を妨げないためにどれだけの空間と設備が必要なのか

船が安全にくぐれる空間と防護設備を備えた海上の配管
配管を支える構造がそろっても、海の上には船が行き来します。
条文は、船舶の航行と衝突の両方に備えることを求めています。
危険物の規制に関する規則第28条の18第1項第二号・第三号(海上設置) 二 配管は、船舶の航行により、損傷を受けることのないよう海面との間に必要な空間を確保して設置すること。三 船舶の衝突等によつて配管又はその支持物が損傷を受けるおそれのある場合は、告示で定める防護設備を設置すること。
船の航行には、空間の確保と防護設備の両方で備えます。
第二号は、配管が船舶の航行により損傷を受けないよう、海面との間に必要な空間を確保して設置することを求めています。
第三号は、船舶の衝突等によって配管や支持物が損傷を受けるおそれがある場合に、告示で定める防護設備を設置することを求めており、空間を確保しただけでは足りない場面があることを示しています。
つまり、通常の航行に対しては空間で備え、衝突のおそれがある場面には設備で備えるという、二段構えの基準になっています。

海面との間に空間を確保していれば、防護設備までは要らないのではないですか。

いいえ、衝突のおそれがある場所では、空間だけでなく防護設備も必要です。
次は他の設備との間隔について確認します。

支持構造の基準を満たすだけで足りるのか

隣の配管と維持管理のための間隔を保つ海上の配管
ここまでの三つの号を満たしても、配管の維持管理という視点がもう一つ残っています。
条文は、他の工作物との関係も定めています。
危険物の規制に関する規則第28条の18第1項第四号(海上設置) 配管は、他の工作物(当該配管の支持物を除く。)に対し当該配管の維持管理上必要な間隔を有すること。
他の工作物との間隔は維持管理のために必要です。
第四号は、配管について他の工作物(当該配管の支持物を除く。)との間に、維持管理上必要な間隔を有することを求めています。
点検や補修の際に人や機材が近づける余地がなければ、支持構造や防護設備の基準を満たしていても、実際の維持管理に支障が出ます。
さらに、海上設置の配管には第28条の18とは別に、外面腐食を防止するための塗装(規則第28条の9第2項)という独立した基準も課されており、第28条の18の四つの号だけを満たして終わりにはできません。

第28条の18の四つを満たせば、それで完成ということでよいのでしょうか。

いいえ、腐食を防ぐ塗装は別の条文で定められています。
次の見出しで、確認の手順をまとめます。

明日から何を確認すればよいのか

海上設置の配管を点検表で確認する作業員
海上設置の基準は、四つの号と、別条文の腐食防止措置に分かれています。
実務では、この全体を一つの確認リストとして扱うことが欠かせません。
危険物の規制に関する規則第28条の9第2項(防食被覆) 地上又は海上に設置する配管等には、外面腐食を防止するための塗装を施さなければならない。
確認は五つの基準をまとめて一度に行います。
支持物が地震、風圧、波圧等に耐える設計になっているか、船舶の航行に必要な空間が確保されているか、衝突のおそれがある箇所に防護設備があるか、他の工作物との間隔が保たれているか、そして外面腐食を防止する塗装が施されているかを、図面と現地の両方で照合します。
一つでも欠けていれば、海上設置の配管として基準を満たしているとはいえません。

五つも確認することがあると、つい抜けが出そうです。

四つの号と塗装の基準をまとめて一枚のチェックリストにしておくと確認しやすくなります。
まずは自社の海上設置の配管がこの五つを満たしているか、図面から確認してください。

よくある質問

Q海上に配管を設置するときの基準はどこに定められていますか?
A危険物の規制に関する規則第28条の18(海上設置)に、支持物の強度、船舶の航行に必要な空間、防護設備、他の工作物との間隔の四つが定められています。
Q船が通れる空間を確保していれば、防護設備は不要ですか?
Aいいえ。第28条の18第三号により、船舶の衝突等で配管や支持物が損傷を受けるおそれがある場合は、空間を確保していても告示で定める防護設備を別途設置しなければなりません。
Q海上設置の配管にも腐食を防ぐ措置は必要ですか?
A必要です。第28条の18とは別に、規則第28条の9第2項が地上又は海上に設置する配管等について外面腐食を防止する塗装を義務付けています。
Q他の工作物との間隔はどのように決まりますか?
A第28条の18第四号は具体的な数値ではなく、維持管理上必要な間隔を有することを求めており、点検や補修の作業スペースが確保できるかで判断します。

まとめ

海上に配管を設置するときは地震、風圧、波圧等に対し安全な構造の支持物で支持します
配管は船舶の航行により損傷を受けない空間を海面との間に確保します
船舶の衝突等のおそれがある場合は告示で定める防護設備を設置しなければなりません
配管は他の工作物との間に維持管理上必要な間隔を有することも求められます
これら四つの基準とは別に外面腐食を防止する塗装(規則第28条の9第2項)も必要です
地上設置の支持物と異なり、海上設置には波圧という要素が加わります
まずは自社の海上設置の配管が五つの基準を満たしているかを図面と現地の両方で確認してください

海上に配管を渡すときは波と船の両方に備える必要があるとよく分かりました。

まずは海上設置の配管の図面から確認してください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第28条の2の9・第28条の9・第28条の18
  • 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第18条の2

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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