病院や工場でスプリンクラー設備を導入すると、自動火災報知設備は必要なくなるのではと考える方が少なくありません。
消防法施行令には、条件を満たすスプリンクラー設備等があれば自動火災報知設備を省略できる定めが実際にあります。
ただしこの省略には、対象になる設備の条件と省略が認められない用途という二つの壁があります。
省略できる条件と、省略できない用途の境目を、消防法施行令と施行規則の条文にもとづいて解説します。
うちはスプリンクラーを入れてるんですが、それでも自動火災報知設備は別に要るんでしょうか。
実は消防法施行令第21条第3項に、条件を満たせば自動火災報知設備を省略できる規定があるんです。
じゃあうちも当てはまるかもしれないってことですね。
設備の条件と建物の用途によっては当てはまらないこともあります。
順番に確認していきましょう。
- 条件を満たすスプリンクラー設備等があれば自動火災報知設備を省略できます(消防法施行令第21条第3項)
- 対象になるのは標示温度75度以下・種別一種の閉鎖型スプリンクラーヘッドだけです
- 省略できるのは設備の有効範囲内の部分だけで、建物全体が対象になるわけではありません
- 旅館・ホテル・病院・地下街など不特定多数が出入りする用途では省略が認められません
- 省略するかどうかは任意で、両方の設備を設置することも選べます
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目次
スプリンクラー設備があれば自動火災報知設備は省略できるのか

ただし消防法施行令には、一定の条件のもとで自動火災報知設備を設置しなくてよいとする例外の定めがあります。
根拠は消防法施行令第21条第3項で、スプリンクラー設備等が一定の技術基準どおりに設置されていることが前提です。
対象になるのはスプリンクラー設備のほか水噴霧消火設備・泡消火設備も含まれますが、実務でもっとも多いのはスプリンクラー設備のケースです。
この先はどんな条件を満たせば対象になるかを順番に見ていきます。
スプリンクラーを入れてる建物は、それだけで自動火災報知設備が要らなくなるんですか。
条件次第では省略が認められるんです。
ただし誰でもというわけではありません。
省略の対象になるスプリンクラー設備等はどんな条件を満たす必要があるのか

施行規則が、対象になるヘッドの種類まで細かく定めています。
開放型ヘッドや、これより高い標示温度のヘッドは対象に含まれません。
さらに施行令第21条第3項が求めるとおり、スプリンクラー設備自体が第12条の技術上の基準どおりに設置されている必要があります。
既存の設備がこの条件を満たしているかどうかは、設計図書や点検記録で確認できます。
うちのスプリンクラーがこの条件を満たしているかは、どこを見ればわかりますか。
ヘッドの標示温度と種別は、設計図書か銘板で確認できます。
省略できるのは建物のどの範囲までか

省略できる範囲には、はっきりとした限定が付いています。
スプリンクラーヘッドが届いていない部分には、引き続き自動火災報知設備の設置義務が残ります。
また条文は「設置しないことができる」という書き方で、省略するかどうかは任意です。両方の設備を設置することも選べます。
建物の一部だけにスプリンクラーがある場合は、区画ごとにどちらの設備が有効かを整理しておく必要があります。
うちは半分のフロアにしかスプリンクラーが無いんですが、その場合はどうなりますか。
その部分だけ省略の対象になり、残りは自動火災報知設備が必要です。
病院やホテルなど省略が認められない用途があるのはなぜか

施行規則は、除外される用途をはっきり列挙しています。
具体的には(1)項から(4)項(劇場・キャバレー等・飲食店・百貨店)、(5)項イ(旅館・ホテル)、(6)項(病院・福祉施設等)、(9)項イ(特殊な公衆浴場)、地下街や準地下街、これらを含む複合用途ビルの一部が対象外です。
不特定多数が出入りし、避難に時間がかかりやすい用途ほど、スプリンクラーだけに頼らず自動火災報知設備による早期の感知が求められている、と読み取れます。
自分の建物がこの用途に当てはまる場合は、スプリンクラーの有無にかかわらず自動火災報知設備の設置が必要です。
うちは小さな旅館なんですが、それでも対象外になりますか。
はい、(5)項イの旅館は除外用途にあたるので省略できません。
明日からなにを確認すればよいか

最後に、そもそもの設置義務がどこから来ているかもおさえておきましょう。
当てはまらない用途であれば、次にスプリンクラーヘッドの標示温度と種別、施行令第12条の基準どおりに設置されているかを確認します。
条件を満たしていても、消防法第17条第1項が定めるとおり設置した設備は維持する義務も続きます。省略した場合はスプリンクラー側の点検をより丁寧に行う必要があります。
判断に迷う場合は自己判断で設備を撤去せず、所轄消防署に確認してから進めてください。
自己判断で外してしまうところでした。
まず消防署に相談してみます。
判断を誤ると設置義務違反になるので、必ず確認してから進めてください。
よくある質問
まとめ
省略できる条件と、できない用途がはっきり分かりました。
まずうちの用途を確認してみます。
条件に当てはまるか迷ったときは、早めに確認しておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第17条
- 消防法施行令第21条
- 消防法施行令第12条
- 消防法施行規則第23条
- e-Gov 法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





