地震後、地下駐車場を巡回したら、二酸化炭素消火設備の避圧口が落下物で塞がれていました。このまま駐車場を再開してよいのでしょうか。
外から見えるごみを取り除いても、ダクトやダンパーまで正常とは限りません。
結論からいえば、避圧口の有効な開口と防護区画の機能を確認するまで再開してはいけません。
立入停止、専門点検、復旧記録を一つの再開手順としてBCPへ組み込むことが重要です。
避圧口が、
がれきで塞がれています。
駐車場を再開しないでください。
区画全体の確認が先です。
表面を空けるだけでは、
あかんのですか。
内部閉塞や区画の損傷が、
残っているかもしれません。
- 避圧口が塞がれた防護区画は再開しない
- 異常を見つけたら立入と設備操作を止める
- 避圧口・ダクト・排出口・防護区画を一体で確認する
- 閉塞除去と機能確認は専門事業者へ依頼する
- 復旧結果と再開承認をBCPへ残す
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目次
避圧口が塞がれていたら駐車場を再開してよいのか

避圧口が正常に機能すると確認できるまで、駐車場を再開してはいけません。
避圧口は、二酸化炭素の放射で防護区画内の圧力が上がり過ぎることを防ぐための開口です。
消防法施行規則第19条第5項第22号の2は、全域放出方式の防護区画について圧力上昇を防止する措置を求めています。避圧口の閉塞は、放射時の圧力を逃がす経路が失われた可能性を意味します。
その状態で利用を再開すると、火災時に設備が作動しても想定どおりに圧力を逃がせません。見える範囲のがれきを除いたことだけで復旧とは判断しないでください。
火災が起きていなくても、
再開保留なんですね。
はい。
圧力上昇防止の機能不良です。
どの避圧口と防護区画を確認対象にするのか

壁のルーバー単体ではなく、圧力を外へ逃がす経路全体を確認します。
地震では、避圧口の前面だけでなく、ダクト、ダンパー、屋外排出口、防護区画の扉や開口部が同時に影響を受けることがあります。
- 二酸化炭素を放射する全域放出方式の防護区画
- 区画内の避圧口と有効開口の状態
- 避圧ダクトの変形、脱落、内部閉塞
- ダンパーや自動閉鎖装置の作動状態
- 屋外排出口の閉塞と周囲の安全
- 扉、シャッター、貫通部など区画の変更
消防庁の質疑応答は、避圧口の開口面積を、消火剤の最大流量、防護区画の許容圧力、ダクト損失などから求める考え方を示しています。見た目の大きさだけで足りるとは判断できません。
対象区画の設計図、点検票、避圧口の計算資料をそろえ、現況と照合します。区画の用途変更や間仕切り工事があった場合は、防護区画の条件が変わっていないかも確認してください。
ルーバーだけでなく、
奥と出口も見るんですね。
そうです。
空気の通り道を一続きで見ます。
発見から閉塞除去と復旧判断までどう進めるのか

異常を見つけたら、駐車場への立入と設備の操作を止めます。
施設担当者がルーバーを外したり、ダンパーを手で動かしたりすると、区画や設備をさらに損傷させるおそれがあります。
- 防護区画と避圧口周辺への立入を止める
- 防火管理者と設備担当者へ異常を連絡する
- 触れずに閉塞位置と発見時刻を記録する
- 図面でダクトと屋外排出口の経路を確認する
- 消防設備の専門事業者へ点検を依頼する
- 閉塞除去後に有効開口と区画の機能を確認する
- 修理内容と再開承認を記録して利用を戻す
消防庁は、二酸化炭素消火設備の点検や工事で防護区画へ人が立ち入る場合、閉止弁を閉止し、自動・手動切替えを手動状態に維持する安全対策を示しています。作業は専門的な安全管理の下で進めます。
設備が復旧するまでの間は、区画の利用停止、火気管理、巡回、代替警戒などを施設ごとに決めます。必要に応じて所轄消防署へ相談し、担当者だけで再開を決めません。
触らずに記録して、
立入を止めます。
その順番です。
安全措置から始めます。
開口部を空けるだけでは何を見落とすのか

外側のルーバーが空いていても、必要な圧力を逃がせるとは限りません。
ダクト内部の落下物、変形したダンパー、屋外排出口の閉塞は、区画内から見えないことがあります。
- ルーバーの奥に残った小さながれき
- ダクトのつぶれ、外れ、継手のずれ
- ダンパーや自動閉鎖装置の固着
- 屋外排出口の養生シートや積載物
- 間仕切り変更による区画容積の変化
- 扉や貫通部の損傷による区画性能の低下
消防庁の点検基準は、圧力上昇を防止する措置が適正に設けられ、正常に作動することに加え、防護区画や開口部の面積が変更されていないことを確認対象にしています。見た目がきれいになっただけでは不十分です。
避圧口の面積やダクトの条件は、設計時の計算とつながっています。施設担当者が開口を広げたり、別のルーバーへ交換したりせず、図面と計算資料を使った専門確認で復旧してください。
正面が空いても、
奥は見えませんね。
そうなんです。
経路全体を確かめます。
明日から避圧口の閉塞にどう備えるのか

地震後の巡回表に避圧口と屋外排出口の確認欄を追加します。
異常を発見した人が設備へ触れず、立入停止と連絡へ進めるようにしてください。
- 防護区画と避圧口の位置を図面へ記入する
- ダクトと屋外排出口の経路を現場で確認する
- 避圧口前へ物を置かない範囲を表示する
- 異常発見時の立入停止範囲を決める
- 防火管理者と専門事業者の連絡先を更新する
- 点検結果、修理内容、確認者を記録する
- 施設再開の承認条件を消防計画とBCPへ反映する
内閣府の事業継続ガイドラインは、重要業務を支える資源の復旧手順を整え、点検と改善を続ける考え方を示しています。避圧口を含む消防用設備の安全機能を業務再開の条件として明文化します。
記録には、発見時刻、対象区画、閉塞位置、立入停止範囲、修理内容、点検者、再開承認者を残します。資材を仮置きする場所も見直し、次の地震で再び塞がない運用にしてください。
避圧口と出口を、
図面でつないでおきます。
ええですね。
再開条件まで決めましょう。
よくある質問
まとめ
二酸化炭素消火設備の避圧口は、消火剤の放射時に防護区画の圧力が上がり過ぎることを防ぐ重要な経路です。地震後に閉塞を見つけたら、防護区画への立入を止め、避圧口から屋外排出口までを確認します。
専門点検で有効開口と防護区画の機能を確認してから再開することが、消防計画とBCPをつなぐ要点です。
出口までの経路を、
図面で確認しておきます!
専門点検後の再開が大切です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- e-Gov法令検索 消防法第17条・第17条の3の3
- e-Gov法令検索 消防法施行規則第19条
- 総務省消防庁 不活性ガス消火設備等の避圧口に関する質疑応答
- 総務省消防庁 消防用設備等の点検基準 点検要領 点検票
- 総務省消防庁 不活性ガス消火設備等の点検基準
- 総務省消防庁 二酸化炭素消火設備に係る安全対策
- 内閣府 事業継続ガイドライン 令和5年3月
※本記事は公表されている法令および公的資料に基づく一般的な解説です。二酸化炭素消火設備の方式、防護区画、避圧口の有効開口、ダクト条件、安全措置、代替措置、復旧判断は施設により異なります。個別の判断は所轄消防署、消防設備の専門事業者、施設管理者などへご確認ください。





