危険物を入れたコンテナが、港で船や貨物列車への積み込みを待つことがあります。
指定数量以上の危険物は、貯蔵所以外の場所に置けないのが原則です。
消防庁は令和4年12月13日、その待ち時間の扱いを示した通知を、消防危第275号で改正しました。
この記事では、改正後のタンクコンテナ等の仮貯蔵の考え方を解説します。
危険物を入れたコンテナを、港でしばらく置いておくのは問題ないのでしょうか。
指定数量以上なら、承認を受けた仮貯蔵という扱いになります。
承認の期間を過ぎたら、もう同じ場所には置けなくなるのですか。
原則はそうです。
ただし、責によらない事由がある場合の例外が通知に示されています。
- 消防危第275号は、令和4年12月13日に消防庁危険物保安室長が出した通知で、平成4年の消防危第52号(タンクコンテナ等による危険物の仮貯蔵)を改正しています。
- 指定数量以上の危険物は、所轄消防長又は消防署長の承認を受ければ、10日以内の期間に限って仮に貯蔵できます。
- 承認期間を過ぎて同じ場所で繰り返すのは原則できませんが、感染症等の影響を含む申請者等の責によらないやむを得ない事由があれば、繰り返して承認できるとされています。
- 改正後の通知は、タンクコンテナのほか、ドライコンテナ、リーファーコンテナ等の箱型コンテナも対象にしています。
- 屋外の仮貯蔵は周囲に3メートル以上の空地を保有し、積み重ねは頂部まで6メートル以下にする、といった指針が示されています。
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目次
タンクコンテナ等の仮貯蔵はなぜ消防長や消防署長の承認が必要なのか

荷積みを待つあいだだけ置くときの扱いが、この通知の出発点です。
指定数量以上の危険物は、貯蔵所(略)以外の場所でこれを貯蔵し、又は製造所、貯蔵所及び取扱所以外の場所でこれを取り扱つてはならない。ただし、所轄消防長又は消防署長の承認を受けて指定数量以上の危険物を、十日以内の期間、仮に貯蔵し、又は取り扱う場合は、この限りでない。
消防法第10条第1項は、貯蔵所以外での貯蔵を禁じつつ、承認を受けた10日以内の仮貯蔵だけを例外にしています。
通知の記1は、申請者が同一で、同一時期に同一場所で複数のタンクコンテナ等を仮貯蔵するときは、1の仮貯蔵にできるとしています。
申請書に添付する書類は、屋外なら周囲の状況を表した見取図で足り、屋内ならこれに建築物の構造図が加わります。
通知は、書類を必要最小限にとどめ、申請者に過重な負担をかけないよう求めています。
コンテナを置く前に、承認の申請が必要なのですね。
はい。
通知は、事務の迅速化も求めています。
承認期間を過ぎても同じ場所で仮貯蔵を繰り返せるのはどんなときか

例外は、記4に定められています。
記4は、まず原則として繰り返せないと書き、そのあとに例外を置いています。
改正前の記4は、自然災害や事故による船舶の入出港の遅れ、鉄道の不通等のやむを得ない事由を挙げていました。
改正後は、感染症等の影響による港湾の稼働状況の悪化と、申請者等の責によらないという要件が加わっています。
記4は「承認できる」と書いているので、実際の可否は所轄の消防長や消防署長が判断します。
船が遅れたら、それだけで自動的に延長できるわけではないのですね。
はい。
承認できると書かれているので、早めに消防署へ相談しましょう。
新たな仮貯蔵の承認がいらない場面はどこまでなのか

記5は、承認がいらない場面を3つ挙げています。
| 場面 | 記5に書かれている内容 |
|---|---|
| 複合輸送で車両に積んで運ぶ | 船舶から貨車、または貨車から船舶へ積み込むため、桟橋、岸壁若しくはコンテナヤードと同一又は隣接した敷地の鉄道貨物積卸場との間で、一時的に車両に積載して運ぶ場合 |
| 完成検査を待って一時的にとどめる | コンテナ船又は貨車の到着前に積載式移動タンク貯蔵所の設置又は変更許可を受けた場合に、到着後に完成検査を受けるためタンクコンテナを埠頭、コンテナヤード等に一時的にとどめる場合 |
| 駐停車禁止などで場所を移す | 車両の駐停車が禁止されている等の事由により、コンテナヤード等で完成検査を受けられないときに、車両に積載して同一又は隣接した別の場所に移動する場合 |
1つ目は、船と貨車のあいだを、一時的に車両で運ぶ場合です。
2つ目と3つ目は、積載式移動タンク貯蔵所の完成検査を受けるために、コンテナを一時的にとどめたり移したりする場合です。
荷積みを待つだけの置き場は、この3つには挙げられていないので、通常の仮貯蔵の承認が必要かどうかを見ておく必要があります。
自社の運び方が3つのどれに当たるかは、事前に消防署へ確認しておきましょう。
運ぶだけなら承認はいらないけれど、置いておくなら承認が要るということですね。
はい。
記5の3つの場面に当てはまるかを確認しましょう。
屋外で仮貯蔵するときは場所と設備をどう整えるのか

まず、屋外で仮貯蔵する場合の場所と設備を見ます。
場所は、湿潤でなく、排水と通風がよく、周囲に3メートル以上の空地がある所です。
空地の例外は、高引火点危険物だけを貯蔵する場合と、不燃材料の塀で消防長等が安全と認めた場合です。
なお、ここでいう不燃材料は、危険物の規制に関する規則第10条により、建築基準法第2条第9号の不燃材料のうちガラス以外のものです。
ロープや白線で区画し、標識と掲示板、第4種又は第5種の消火設備を用意しておきましょう。
区画して、標識も掲示板も消火器も要るのですね。
はい。
空地の3メートルを、まず確認してください。
仮貯蔵中の管理と屋内の仮貯蔵はどこが違うのか

屋内で仮貯蔵するときの構造は、指針の第2に別に定められています。
(略)政令で定める防火設備は、防火戸、ドレンチャーその他火炎を遮る設備とする。
コンテナ同士のあいだには、点検のための間隔を空け、管理責任者が適宜巡回して異常を確認します。
屋内で仮貯蔵する場合は、耐火構造又は不燃材料の専用室で、出入口に防火戸、窓には網入ガラスが必要です。
出入口の防火戸は、改正前は建築基準法施行令第110条の甲種防火戸又は乙種防火戸でしたが、令和4年の改正で第109条第1項の防火戸に改められています。
改正の理由までは通知に書かれていないので、専用室の構造は所轄の消防署に確認しておきましょう。
屋内に置くときは、専用室の出入口の防火戸が決まっているのですね。
はい。
専用室と網入ガラスも忘れないでください。
よくある質問
まとめ
コンテナを置く前に、承認の要否を消防署に確認します!
危険物の仮貯蔵の相談も、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 「タンクコンテナによる危険物の仮貯蔵について(通知)」の改正について(令和4年12月13日 消防危第275号 消防庁危険物保安室長)
- タンクコンテナ等による危険物の仮貯蔵について(通知)(平成4年6月18日 消防危第52号 消防庁危険物規制課長。令和4年12月13日消防危第275号で改正)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第10条第1項
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第9条第2項・第20条・別表第5
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第10条
- 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第7号・第9号
- 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第109条第1項
- 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





