新築ビルの工事が終わりに近づいているのに、スプリンクラーヘッドだけが届かないことがあります。
ヘッドが付かなければ検査を受けられず、建物の使用開始が遅れるのではと心配になります。
消防庁は令和4年12月2日、ヘッドの供給不足を踏まえた検査の柔軟な対応を、消防予第608号で求めました。
この記事では、その通知が示す先行検査と追加検査の流れを解説します。
工事は終わりそうなのに、ヘッドの納品が遅れて検査が受けられないと聞きました。
消防庁は、供給不足を受けて検査の柔軟な対応を求める通知を出しています。
検査が遅れたら、建物の使用開始も遅れてしまいますよね。
通知は、先行検査と追加検査の二段階で進める方法を示しています。
- 消防予第608号は、令和4年12月2日に消防庁予防課長が出した通知で、ヘッドの供給不足で工事が完了しない場合の検査の柔軟な対応を求めています。
- スプリンクラー設備は、ヘッド以外の部分の工事が完了した段階で、関係者の希望等に応じて先行検査を受けられます。
- 先行検査の結果は文書で交付され、全てのヘッドの設置後に、写真等で確認する追加検査が行われます。
- スプリンクラー設備以外の消防用設備等は、設置工事が完了したものから設置届を受け付けて検査し、適合していれば検査済証が交付されます。
- 建築基準法の完了検査でも、ヘッドの取付け未了のみを理由に申請の受理を延期しないことが国土交通省から通知されています。
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目次
スプリンクラーヘッドの供給不足はなぜ検査の混乱につながるおそれがあったのか

通知の前文は、検査が短期間に集中して混乱するおそれを挙げています。
工業会の資料は、会員のヘッド製造会社4社へのヒアリング(令和4年7月13日)をまとめたものです。
各社は令和3年度の約110%から120%へ増産し、受検も令和3年度の約116%を見込むとされています。
供給不足の解消は年末が目標で、資料の注記には、令和4年12月頃に解消すると思われるとあります。
それでも、工事の予定を組むときは、ヘッドの納期を早めに確認しておくと安心です。
ヘッドが足りなくて、検査が集中するおそれがあったのですね。
はい。
供給不足が検査の混乱につながるとして、通知が出されました。
ヘッド以外の消防用設備等はどの時点で検査を受けられるのか

まず、スプリンクラー設備以外の扱いを見ます。
第十七条第一項の防火対象物のうち特定防火対象物その他の政令で定めるものの関係者は、(略)消防用設備等又は特殊消防用設備等(政令で定めるものを除く。)を設置したときは、総務省令で定めるところにより、その旨を消防長又は消防署長に届け出て、検査を受けなければならない。
記1は、設置工事が完了した設備から設置届を受け付け、検査を実施するとしています。
技術基準に適合していれば、その設備の検査済証が交付されます。
設置届は、消防法施行規則第31条の3第1項で、工事が完了した日から4日以内に出すとされています。
つまり、自動火災報知設備や屋内消火栓設備などは、ヘッドの遅れを待たずに手続きを進められます。
自動火災報知設備などは、先に検査を受けられるのですね。
はい。
完了したものから設置届を出す形です。
スプリンクラー設備の検査は二段階にどう分けられるのか

ヘッドの取付けの前後で分ける考え方です。
| 段階 | 受ける時期 | 検査の内容 |
|---|---|---|
| 先行検査 | ヘッド以外の部分の工事が完了した段階 | 設置届を受け付け、工事が完了した部分を先に検査する。結果は文書で交付される |
| 追加検査 | 全てのヘッドの設置工事が完了した段階 | 設置工事の完了を写真等で確認する等の方法で検査する |
先行検査は、ヘッド以外の部分の工事が完了した段階で受けられます。
ただし、通知は関係者の希望等に応じと書いているので、希望を消防署に伝えることが前提です。
ヘッドの設置後には、写真等で確認する追加検査が行われます。
先行検査で終わりではないので、全体の工程に両方の検査を入れておきましょう。
ヘッドがなくても、先に検査してもらえるのですね。
はい。
ただし対象はヘッド以外の部分に限られます。
先行検査を受けたあとに見落としやすいことは何か

建築の完了検査との関係も、あわせて押さえておく必要があります。
建築主は、第六条第一項の規定による工事を完了したときは、国土交通省令で定めるところにより、建築主事等の検査(略)を申請しなければならない。
国土交通省の通知は、ヘッドの取付け未了のみを理由に、検査の申請の受理や引受けを延期しないよう求めています。
取付けが確認できないときは、後日写真等で確認し、確認後は速やかに検査済証を交付するとされています。
一方、消防の先行検査は、結果を文書で交付するとされていますが、検査済証とは書かれていません。
先行検査の文書の扱いは、所轄の消防署に確認しておきましょう。
建築の完了検査も、ヘッドが未了のまま受けられるということですね。
はい。
ただし取付けは後日、写真等で確認されます。
明日から工事の遅れにどう備えればよいのか

順に確認すれば迷いません。
- スプリンクラーヘッドの納期を、施工業者に確認したか
- ヘッド以外の部分の工事が完了する時期を、工程表で把握しているか
- 先行検査を希望するかどうかを、所轄の消防署に相談したか
- 全てのヘッドの取付け後に、写真等で確認できるよう、取付け状況を記録しているか
- 建築の完了検査の窓口にも、ヘッド未了の扱いを相談したか
通知は助言なので、実際の運用は消防機関ごとに異なる場合があります。
設置届は、工事が完了した日から4日以内に出す決まりです。
工程に遅れが出たら、早めに消防署と施工業者へ相談しましょう。
先行検査と追加検査の日程は、消防署と調整してください。
納期を確認して、消防署に早めに相談すればいいんですね。
はい。
先行検査の希望から伝えましょう。
よくある質問
まとめ
検査の流れと工程を、消防署に早めに相談します!
消防設備の検査対応も、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- スプリンクラーヘッドの供給不足の影響を踏まえた消防用設備等の検査における柔軟な対応について(令和4年12月2日 消防予第608号 消防庁予防課長)
- 完了検査の円滑な実施について(令和4年12月2日 国住指第341号 国土交通省住宅局建築指導課長)(消防予第608号別添2)
- スプリンクラーヘッドの生産状況(今後の見通し)について(令和4年8月23日 日消装発第R04-23号 一般社団法人日本消火装置工業会)(消防予第608号別添1)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条の3の2
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第31条の3
- 建築基準法(昭和25年法律第201号)第7条・第7条の2
- 消防組織法(昭和22年法律第226号)第37条
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





