屋外消火栓設備は、建物の外に設ける消火設備です。
設置や運用の細目は、消防庁が質疑応答 の形で示してきました。
この記事では、水平距離、水源、プールの機械室、非常電源についての質疑応答から五つを選び、現行の条文と照らして読みます。
水平距離の起点、水道直結、プールの機械室、昭和50年の非常電源、専用受電設備を、順に確かめます。
屋外消火栓の40メートルは、建物のどこから測るんでしょうか。
そこが誤解されやすい点です。
五つの質疑応答で、運用の実際を見ていきます。
昔の回答は、今の条文とどうつながるんでしょうか。
一つずつ確かめます。
現行の条文に当てはめて読みます。
- 屋外消火栓の水平距離40メートルは、建築物の各部分を1階部分の外壁又はこれにかわる柱等として、地上1メートル程度で見てよいと答えられました
- 都市に敷設されている水道直結は、常時所定の水圧や水量が得られるとは限らないため、水源の代わりとして認められないと答えられました
- プールに付属する機械室は、プールの一部とみなすことはできませんが、出火、延焼危険が著しく少ないと認められる場合は、令第32条で消火栓を設けないことができます
- 昭和50年の回答は、屋外消火栓設備に非常電源の附置を義務づけていないとされましたが、現行の令第19条は附置を求めています
- 一の建築物とみなされた屋外消火栓設備でも、個々の棟の特定防火対象物が1,000平方メートル未満なら、令第32条を適用して専用受電設備を認めて差し支えないと答えられました
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目次
屋外消火栓の水平距離40メートルは、建築物のどこを起点に測るのか

その「建築物の各部分」が、どこまでを指すのかが問われました。
(昭和50年6月16日 消防安第65号 消防庁安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて)
現行の令第19条第3項第1号は、屋外消火栓を、建築物の各部分から一のホース接続口までの水平距離が40メートル以下となるように設けると定めています。
第2号は、消防用ホースの長さを、そのホース接続口からの水平距離が40メートルの範囲にある建築物の各部分へ、有効に放水できる長さとしています。
回答は、「建築物の各部分」を、一般に1階部分の外壁又はこれにかわる柱等の部分(地上1メートル程度)と解してよいとしました。
問の後半は、大規模な工場で内部に40メートルが届かない部分が出た場合に、配管を屋内へのばしてホース接続口を屋内に設けてよいかを尋ねています。ただし、回答はその点に触れておらず、測る起点だけを答えたものです。屋内に接続口を設ける計画が認められるかは、この回答から読み取れないので、所轄の消防機関に確かめます。
起点は、外壁や柱のところなんですね。
はい。
1階部分の外壁又はこれにかわる柱等が目安です。
都市に敷設されている水道直結は、屋外消火栓設備の水源の代わりになるのか

水源の代わりとして認められるのかが問われました。
(昭和50年6月16日 消防安第65号 消防庁安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて)
現行の令第19条第3項第3号は、水源を、水量が屋外消火栓の設置個数(2を超えるときは2)に7立方メートルを乗じて得た量以上となるように設けると定めています。
第4号は、すべての屋外消火栓(設置個数が2を超えるときは2個)を同時に使った場合に、ノズルの先端で放水圧力が0.25メガパスカル以上、放水量が350リットル毎分以上の性能を求めています。
問は、この放水圧力と放水量が得られるなら、令第32条を適用して水道直結を認めてよいかを尋ねました。水道の水圧や水量はその時々で変わりうるため、貯めた水の量と、ノズルの先端での性能を常に確保する条文の考え方に合わない、という趣旨と読めます。
この回答は、水道直結を令第32条で水源に代える扱いを認めていません。個別の計画で水源をどう確保するかは、所轄の消防機関に確かめます。
水道が引いてあれば、水槽は要らないと思っていました。
そこが誤解されやすい点です。
水道直結は、水源の代わりとして認められないと答えられました。
プールに付属する機械室は、プールと同じように消火栓の免除を受けられるのか

その隣の機械室まで、同じ扱いになるのかが問われました。
なお、機械室が著しく出火、延焼危険が少ないと認められる場合は、消防法施行令第32条の規定を適用し、屋内消火栓設備及び屋外消火栓設備を設置しないことができる。
(昭和59年5月25日 消防予第92号 消防庁予防救急課長から長野県生活環境部長あて)
令第32条は、消防長又は消防署長が、防火対象物の位置、構造又は設備の状況から判断して、この節の基準によらなくても、火災の発生又は延焼のおそれが著しく少なく、かつ、被害を最少限度に止めることができると認めるときに、基準を適用しないと定めています。
問が挙げた昭和38年の通達は、プールを、この特例で免除できる例として扱っていました。回答は、その扱いを機械室へ広げなかったことになります。
問の空調機械室は機器を収める部分で、水をたたえたプールとは性質が違います。免除されるかは、機械室ごとに、出火、延焼危険が著しく少ないと認められるかで決まり、条文にその数値は書かれていません。所轄の消防機関に確かめます。
プールの隣の機械室まで、まとめて免除とはならないんですね。
はい。
機械室ごとに、危険の少なさを見ます。
昭和50年の回答が屋外消火栓設備に非常電源を求めなかったのは、今も通用するのか

今の条文と照らすと、食い違う点が見つかります。
2 前段は、消防隊が火災現場に到着し放水開始を期待することができること等を考慮したものである。後段は、さしつかえない。
(昭和50年6月16日 消防安第65号 消防庁安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて)
回答の理由は、屋外消火栓設備が火災の相当進んだ段階で使われ、その段階では消防隊も現場に到着して放水を始められると期待できる、というものでした。条例で上乗せすることも、さしつかえないとされています。
ところが現行の令第19条第3項第6号は、屋外消火栓設備には、非常電源を附置することと定めています。規則第22条も、非常電源を規則第12条第1項第4号の規定の例により設けると定めています。
回答が示した「義務づけていない」という扱いは、現行の条文には当てはまりません。古い回答の理由だけを拾って「屋外消火栓に非常電源は要らない」と読むと、誤ります。今の基準は、現行の令と規則、そして所轄の消防機関で確かめます。
昔の回答だと、非常電源は要らなかったんですね。
はい。
現行の令第19条は、非常電源の附置を求めています。
一の建築物とみなされた屋外消火栓設備に、非常電源専用受電設備は使えるのか

棟が複数あって一の建築物とみなされるとき、専用受電設備が使えるのかが問われました。
2 下図の防火対象物において、令第19条第2項により一の建築物とみなされ屋外消火栓設備が設置された場合、個々の棟が延べ面積1,000平方メートル以上の特定防火対象物に該当しないことから、非常電源は非常電源専用受電設備として差し支えないか。
2 令第19条第2項により一の建築物としてみなされており、全部の棟の特定用途に供される部分の床面積の合計が1,000平方メートル以上を超える場合にあっては、非常電源を自家発電設備又は蓄電池設備とすべきであるが、個々の棟において特定防火対象物の延べ面積が1,000平方メートル未満の場合にあっては、防火対象物の位置、構造等にかんがみ、令第32条の規定を適用し、非常電源専用受電設備として認めて差し支えない。
(平成4年5月22日 消防予第108号 消防庁予防課長から各都道府県消防主管部長あて)
現行の規則第12条第1項第4号は、屋内消火栓設備の非常電源を、非常電源専用受電設備、自家発電設備、蓄電池設備又は燃料電池設備によるとしています。ただし、特定防火対象物で延べ面積が1,000平方メートル以上のもの(小規模特定用途複合防火対象物を除きます)は、自家発電設備、蓄電池設備又は燃料電池設備に限られます。規則第22条は、屋外消火栓設備の非常電源にこの号の例を使うと定めています。
問1の図は、1階と2階が(15)項、3階から6階が(4)項で、各階の床面積が500平方メートルです。屋外消火栓設備の対象は1階と2階の部分で、答えは「お見込みのとおり」でした。
問2の図は、木造の4棟で、延べ面積が900、1,200、900、600平方メートルです。答えは、合計が1,000平方メートルを超えれば自家発電設備又は蓄電池設備が原則としつつ、個々の棟が1,000平方メートル未満なら令第32条を適用して専用受電設備を認めてよい、というものでした。
ただし、現行の令第19条第2項は、耐火建築物と準耐火建築物を除く同一敷地内の二以上の建築物で、一階の外壁間の中心線からの水平距離が一階にあっては3メートル以下、二階にあっては5メートル以下である部分を有するものを、一の建築物とみなすと定めています。図の棟の間は6メートルで、この数字を超えており、図の配置をそのまま現行の条文に当てはめられるとは限りません。回答の「特定用途に供される部分の床面積の合計」と、規則の「延べ面積が1,000平方メートル以上」の特定防火対象物とは、言い回しも違うので、数え方は所轄の消防機関に確かめます。
棟が集まると、電源の選び方も変わるんですね。
はい。
一の建築物とみなされるかで、数える単位が変わります。
よくある質問
まとめ
質疑応答が、条文とつながりました。
うちの屋外消火栓も確かめてみます!
質疑応答も、今の条文の意味を理解するために読めます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第17条
- 消防法施行令第19条、第32条
- 消防法施行規則第12条、第22条
- 屋外消火栓設備に関する回答(昭和50年6月16日 消防安第65号 消防庁安全救急課長から各都道府県消防主管部長あて)
- 疑義事項の照会に対する回答(昭和59年5月25日 消防予第92号 消防庁予防救急課長から長野県生活環境部長あて)
- 屋外消火栓設備の非常電源についての回答(平成4年5月22日 消防予第108号 消防庁予防課長から各都道府県消防主管部長あて)
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は発出当時のもので、条番号や機関の名称、単位等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





