ガソリンにエタノールを混ぜた燃料を給油所で扱うとき、給油取扱所の基準はどうなるのでしょうか。
平成24年1月11日、消防庁は消防危第2号で、エタノール等を取り扱う給油取扱所の技術上の基準の運用を通知しました。
通知は、E10を例に、漏れた危険物を収容する設備の要否の計算や、泡消火薬剤の種類まで示しています。
この記事では、通知の対象と中身、見落としやすい点を、消防庁の通知と現行の条文をもとに解説します。
エタノールを混ぜたガソリンを扱う給油所には、特別な基準があると聞きました。
どこまで気にすればよいのでしょうか。
平成24年1月に、消防庁が運用の留意事項を通知しています。
対象の範囲から順に確かめましょう。
通知には、具体的な数字も出てくるのでしょうか。
はい。
漏れた危険物を収容する設備の要否を、割り算の値で判断する例が示されています。
- 消防庁は平成24年1月11日の消防危第2号で、エタノール等を取り扱う給油取扱所の技術上の基準の運用を通知しました。
- 「エタノールを含有するもの」は、エタノールを含有する第4類の危険物の総称で、E3も含みますが、ETBEを混合したガソリンは含まれません。
- 注入口の周囲に設ける容量4立方メートル以上の設備は、4000リットルが漏れたときのエタノール量を油分離装置の収容量で割った値が0.6未満なら要りません。
- E3とE10を扱う給油取扱所では、泡を放射する消火器の泡消火薬剤を耐アルコール型にします。
- 見落としやすいのは、エタノールと直接触れるゴム製やコルク製のパッキン類と強化プラスチック製の地下貯蔵タンクや配管を念入りに点検することです。
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目次
エタノール含有ガソリンを扱う給油取扱所の通知はなぜ出されたのか

政令と省令が改正されて、基準が整ったことによる運用の通知です。
危険物の規制に関する政令の一部を改正する政令(平成23年政令第405号)及び危険物の規制に関する規則等の一部を改正する省令(平成23年総務省令第165号)が平成23年12月21日に公布され、第4類の危険物のうちエタノール又はこれを含有するもの(以下「エタノール等」という。)を取り扱う給油取扱所の技術上の基準に係る改正については、平成24年1月11日から施行されることとなりました。
第四類の危険物のうちメタノール若しくはエタノール又はこれらを含有するものを取り扱う給油取扱所については、当該危険物の性質に応じ、総務省令で、前三項に掲げる基準を超える特例を定めることができる。
公布は平成23年12月21日で、エタノール等を取り扱う給油取扱所の基準の施行は平成24年1月11日でした。
それまでは、エタノールを3%含有するガソリン(E3)だけが、平成20年3月24日付け消防危第44号(以下「44号通知」)で運用されていました。
通知は、基準が整備されたことから44号通知を廃止し、運用の留意事項を改めて取りまとめたと述べています。
つまり、E3の運用が、エタノール等全体の運用に置き換わりました。
それまでの運用は、E3だけが対象だったのですね。
はい。
44号通知は、この通知の発出とともに廃止されました。
通知でいうエタノールを含有するものはどこまでを指すのか

ここを外すと、その後の基準が当てはまるかどうかを誤ります。
令第17条第4項に規定するエタノールを含有するものとは、エタノールを含有する第4類の危険物の総称であること。なお、44号通知で運用基準を示しているE3についても、エタノールを含有するものに含まれるものであること。また、バイオエタノールの一種であるETBE(エチル―ターシャリ―ブチルエーテル)をガソリンに混合したものは、令第17条第4項に規定するエタノールを含有するものには含まれないものであること。
E3もE10も、この総称に含まれます。
ガソリンにETBEを混ぜたものは、バイオエタノールの一種を使っていても対象に含まれません。
また、エタノールを含有するもののうち、揮発油等の品質の確保等に関する法律の規格に適合して販売されるものは、この法律で揮発油と位置付けられます。
それでも、給油取扱所については、令第17条第4項の位置、構造及び設備の基準が適用されると、通知は述べています。
| 取り扱うもの | 通知の扱い |
|---|---|
| エタノールを3%含有するガソリン(E3) | エタノールを含有するものに含まれる |
| エタノールを10%含有するガソリン(E10) | エタノールを含有するものとして、基準の運用が示されている |
| E10よりも多量にエタノールを含有するガソリン | 個別に確認のうえ判断する |
| ETBEをガソリンに混合したもの | エタノールを含有するものには含まれない |
ETBEを混ぜたガソリンは、対象外なのですね。
はい。
通知は、含まれないと明記しています。
エタノール含有ガソリンの給油取扱所にはどんな設備の基準が示されたのか

注入口の周囲の設備、漏れの検知、消火設備の3点です。
規則第28条の2第3項第1号のただし書きに規定する「専用タンクの注入口からエタノールを含有するものが漏れた場合において危険物が給油空地及び注油空地以外の部分に流出するおそれのない場合」とは、専用タンクの注入口からエタノールを含有するものが4000リットル漏れた場合において、当該危険物に含まれるエタノール量を当該給油取扱所に設置される油分離装置の収容量で除した値が0.6未満となる場合であること(例えば、エタノールを10%含有するガソリン(以下「E10」という。)を取り扱う給油取扱所に設置される油分離装置の収容量が1200リットルの場合、4000リットルの当該危険物に含まれるエタノール量400リットルを油分離装置の収容量1200リットルで除した値は約0.3(<0.6)となることから、収容設備等の設置は要しないものであること。)。
第四類の危険物のうちエタノールを含有するものを取り扱う専用タンクの注入口の周囲には、排水溝、切替弁及び漏れた危険物を収容する容量四立方メートル以上の設備を設けること。ただし、専用タンクの注入口から当該危険物が漏れた場合において危険物が給油空地及び注油空地以外の部分に流出するおそれのない場合にあつては、この限りではない。
注入口の周囲の設備は、4000リットルが漏れたときのエタノール量を油分離装置の収容量で割った値が0.6未満なら、設ける必要がありません。
通知の例では、E10で油分離装置が1200リットルなら、400÷1200で約0.3となり、収容設備等は要らないとされています。
漏れの検知では、E3とE10を扱う給油取扱所は、検知管で検知することが困難な場合に該当しないものとされています。
ただし、検知管にエタノールの漏れを検知できる装置を設けた場合は、危険物に含まれるエタノール量に関わらず、この規定に該当しないとされています。
| 項目 | 通知が示した内容(E3・E10) |
|---|---|
| 注入口の周囲の設備 | 4000リットル漏れたときのエタノール量を油分離装置の収容量で除した値が0.6未満なら、収容設備等は要しない |
| 地下貯蔵タンクの漏れの検知 | 検知管で検知することが困難な場合(規則第28条の2第3項第2号)には該当しない |
| 泡を放射する消火器 | 泡消火薬剤は耐アルコール型のものとする |
| 第3種の固定式の泡消火設備(E10) | たん白泡消火薬剤を用いる場合は、耐アルコール型のものとする |
| E10よりも多量にエタノールを含有するもの | 個別に確認のうえ判断する |
E10なら、割り算の値が小さくて設備が要らない例があるのですね。
あくまで通知の例です。
自分の施設の油分離装置の収容量で、計算し直してください。
実務で見落としやすいのはどこか

見落としやすいのは、部品の点検、区分の変更、混合の禁止の3点です。
1 エタノール等を貯蔵し、又は取り扱う設備・機器等については、腐食等劣化の状況に留意して日常点検及び定期点検を実施するとともに、異常がみられたとき等には、速やかに修理・交換等を行うこと。特に、エタノール等と直接接するゴム製又はコルク製のパッキン類、強化プラスチック製の地下貯蔵タンクや配管については、念入りに点検を実施し安全性の確認を行うこと。
3 ガソリンとエタノールを混合してエタノールを含有するものを製造する行為について、給油取扱所において行うことは認められないものであること。
第1に、エタノールと直接触れるゴム製やコルク製のパッキン類と、強化プラスチック製の地下貯蔵タンクや配管を、念入りに点検します。
第2に、既設のE3の給油取扱所は、新たに令第17条第4項の給油取扱所に区分が変わります。
ただし、通知は、この区分の変更に伴って位置・構造・設備や貯蔵する危険物の品名、指定数量の倍数に変更は生じないため、所有者等に届出を行わせる必要はないとしています。
第3に、給油取扱所の中で、ガソリンとエタノールを混ぜてエタノール含有ガソリンを製造する行為は認められません。
区分が変わっても、届出は要らないのですね。
はい。
通知は、所有者等に届出を行わせる必要はないと述べています。
明日から何を確認すればよいのか

施設の関係者は、次の5点を自分の施設に当てはめて確かめてみてください。 確認は、扱う燃料・収容設備・検知・消火薬剤・部品の順に進めます。
扱う燃料が、E3、E10、それより多量にエタノールを含むもの、ETBE混合ガソリンのどれかを、まず確かめましょう。
数字の確認は、油分離装置の収容量が出発点です。
- 扱う燃料がエタノールを含有するものに当たるか(E3・E10か、それより多量か、ETBE混合か)を確かめる
- 注入口の周囲の設備の要否を、4000リットルが漏れたときのエタノール量と油分離装置の収容量で計算して確かめる
- 地下貯蔵タンクの漏れの検知が、検知管に頼っている場合に、エタノールの漏れを検知できる装置の有無を確かめる
- 泡を放射する消火器や泡消火設備の泡消火薬剤が、耐アルコール型になっているかを確かめる
- ゴム製やコルク製のパッキン類、強化プラスチック製の地下貯蔵タンクや配管の日常点検と定期点検の記録を見直す
まず、うちが扱う燃料が対象に入るかを確かめます。
油分離装置の収容量も、一緒に確認してください。
よくある質問
まとめ
扱う燃料と設備を見直して、備えを固めます!
危険物施設の防火管理の相談も、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 「エタノール等を取り扱う給油取扱所の技術上の基準に係る運用について」(平成24年1月11日 消防危第2号 消防庁危険物保安室長通知)
- 危険物の規制に関する政令(昭和34年政令第306号)第17条第4項 e-Gov法令検索
- 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第23条の3・第28条の2・第28条の2の2 e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





