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煙感知器は階段やエレベーター昇降路やパイプシャフトのどこまで要るのか|垂直距離15メートルと1平方メートルの線引きを五つの質疑応答から現行の条文と照らして解説

煙感知器は階段やエレベーター昇降路やパイプシャフトのどこまで要るのか

階段やエレベーターの昇降路、パイプシャフトは、火災のときに煙が上の階へ抜ける通り道になります。
そのため消防法施行規則は、これらの場所に煙感知器 を付けるよう定めています。
この記事では、消防庁が昭和44年に示した質疑応答から五つを選び、現行の条文と照らして読みます。
昇降路と機械室、昇降路の頂部、縦穴の広さ、階段の間隔、警戒区域を、順に確かめます。

階段や昇降路の感知器って、機械室に付けてあれば足りるんじゃないんですか。

そこが誤解されやすい点です。
五つの質疑応答で、線引きの実際を見ていきます。

昔の質疑応答は、今の条文とどうつながるんでしょうか。

一つずつ確かめます。
現行の条文に当てはめて読みます。

この記事の結論
  • エレベーターの昇降路は機械室とは別の場所なので、機械室に煙感知器を付けても昇降路には別に設けなければならないと答えられました(水平にしゃ断されていれば機械室には要りません)
  • 昇降路の頂部は維持管理が難しくても除外できず、感知器の取付け面を維持できる面まで下げることで運用してよいと答えられました
  • パイプシャフトなどの縦穴は、水平断面積がおおむね1平方メートル以上のものが対象で、広さは特殊な最大部分でなく平均的な大きさで判定します
  • 階段の煙感知器は垂直距離15メートルごとに付け、各階の階段が5メートル未満ずれていても直通しているものとみなします
  • 階段に付ける感知器は廊下の感知器と別の警戒区域にし、昇降路等は600平方メートル以内なら一つの警戒区域にできます

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煙感知器の質疑五問として、昇降路は機械室と別に付ける、頂部は付け面を下げてよい、縦穴は平均の広さで判断する、階段は垂直の距離で数える、階段と廊下は別の警戒区域にする、を並べた図解

エレベーター機械室に煙感知器を付ければ、昇降路には付けなくてよいのか

背の高い灰色のエレベーターの昇降路の上に小さな機械室が載り、二つの間を厚いベージュの床が仕切って、機械室の天井に小さな白い丸い感知器が付いているイメージ
エレベーターの昇降路の真上には、巻上機を収めた機械室があることが多く、点検で見るのも機械室のほうです。
その機械室に感知器があれば昇降路の分も足りるのか、が問われました。
問(要旨) エレベーター機械室に煙感知器を設置しても、なお昇降路に煙感知器を設けなければならないものであるか。
答 お見込みのとおり。
なお、機械室とエレベーターの昇降路とが水平しゃ断されている場合は、機械室には設ける必要はない。
(昭和44年11月20日 消防予第265号 消防庁予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
機械室に付けても昇降路には別に要る、という答えでした。
現行の消防法施行規則第23条第5項は、煙感知器を設けなければならない場所を号ごとに挙げています。第1号が階段及び傾斜路、第3号がエレベーターの昇降路、リネンシュート、パイプダクトその他これらに類するものです。
昇降路は、機械室とは別に名指しされた「場所」です。だから、機械室の感知器で昇降路の義務を果たしたことにはなりません。
回答は、昇降路と機械室が水平にしゃ断されている場合は、機械室のほうには設けなくてよいとも述べています。しゃ断の程度を条文は数値で決めていないため、自分の建物の機械室と昇降路がこれに当たるかは、所轄の消防機関に確かめます。

機械室と昇降路は、別々に数えるんですね。

はい。
昇降路そのものに設けます。

昇降路の頂部が点検しにくいときは、感知器を付けなくてよいことになるのか

背の高い灰色の昇降路の最上部の断面で、ベージュの屋根スラブの下に、少し下がった天井板があり、その板に小さな白い丸い感知器が付いているイメージ
昇降路の頂部は、かごが上がってこない高い場所にあります。
人が入って点検するのが難しいことから、設けなくてよい部分として扱えるかが問われました。
問(要旨) エレベーター昇降路の頂上部は、煙感知器の維持管理が非常に困難であると思われるので、設置を要しない部分として取り扱ってもよいか。
答 設置を除外することはできない。
この場合、感知器の取付け面が、維持管理上著しく困難である場合は、その取付け面をエレベーター昇降路の最上部から維持可能な面まで下げることができるものとして運用してさしつかえない。
(昭和44年11月20日 消防予第265号 消防庁予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
頂部でも除外はできず、取付け面を維持できる高さまで下げて設ける、という答えでした。
現行の規則第23条第4項第1号は、感知器を点検その他の維持管理ができる場所に設けることを求めています。
維持管理がしにくいことは、設けないでよい理由にならず、感知器を維持管理のできる位置へ持ってくる理由になる、という整理です。回答には、頂部の下に感知器の取付け面を下げた図が付いています。
同じ第4項第7号は、煙感知器の下端を取付け面の下方0.6メートル以内に設けることも求めています。どこまで下げてよいかは条文に数字がないため、所轄の消防機関に確かめます。

点検しにくいから外す、ではなくて、下げて付けるんですね。

はい。
外すのでなく維持できる位置へ動かします。

パイプシャフトやダクトはどれくらいの広さから煙感知器の対象になるのか

三つの階を貫く断面で、二本の縦穴が並び、幅の広い四角い縦穴には青い配管と紺色のダクトと橙のケーブルラックがあり、細い縦穴には細い青い管が一本だけ通っているイメージ
規則第23条第5項第3号には、昇降路とリネンシュートとパイプダクトのあとに、「その他これらに類するもの」とあります。
その中身と、狭い縦穴の扱いが問われました。
問(要旨) 問41 規則第23条第5項第3号にいう「その他これらに類するもの」を例示されたい。
問42 リネンシュート等の水平断面積が1平方メートル未満のものは煙感知器を設けなくてよいとされているが、その水平断面積は、リネンシュート等の最大部分(ダストシュートの場合、塵芥の溜り場は広くなっている。)をもって判定すべきか。
答 問41 吸排気ダクト、ダストシュート、パイプシャフト等防火対象物に垂直方向に設けられたたて穴で、火災の際、煙の流通経路となるおそれのあるもののうち、水平断面積がおおむね1平方メートル以上のものである。
問42 特殊な最大部分ではなく、平均的な大きさの部分で判定するものである。
(昭和44年11月20日 消防予第265号 消防庁予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
対象は煙の通り道になる縦穴のうち、水平断面積がおおむね1平方メートル以上のものという答えでした。
現行の規則第23条第5項第3号は「その他これらに類するもの」と書くだけで、1平方メートルという数字は条文にありません。この数字は、この回答が示した目安です。
同じ質疑応答には、各階で水平に区画されたシャフトの一部に開口があり、その開口の合計が1平方メートル未満でも、シャフトの断面積が1平方メートル以上なら設けるという答えもあります。
広さは、たまたま広くなっている溜り場などの最大部分でなく、平均的な大きさで見ます。おおむねとされている以上、境目に近い縦穴は所轄の消防機関に確かめます。

条文に書いてない数字が、回答の中にあるんですね。

はい。
目安は回答に、義務は条文にあります。

階段の煙感知器は何メートルごとに付け、各階の階段の位置がずれていたらどう数えるのか

四つの階を貫く灰色のコンクリートの非常階段が折り返しながら上がり、紺色の手すりがあり、二つの高さの天井に小さな白い丸い感知器が付いているイメージ
階段は、階を貫いて煙が上がっていく場所です。
階ごとに階段の位置がずれている場合や、見通しのよい階段について、数え方が問われました。
問(要旨) 問31 各階の階段がそれぞれ異なった位置に設けられている場合の煙感知器の設置方法を示されたい。
問34(3) 旅館等の階段の場合、1階から最上階まで貫通した見透しのできるものにあっても、垂直距離15メートルにつき1個以上の個数を設けなければならないか。
答 問31 各階の階段が5メートル未満の範囲内で異なった位置に設けられている場合は、当該階段は、直通しているものとみなし、垂直距離15メートルにつき1個以上を設けてさしつかえない。
問34(3) お見込みのとおり。
(昭和44年11月20日 消防予第265号 消防庁予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
階段は垂直距離15メートルごとに数え、位置のずれが5メートル未満なら直通しているものとみなす、という答えでした。
現行の規則第23条第4項第7号ヘは、階段及び傾斜路について、垂直距離15メートル(三種の感知器にあっては10メートル)につき1個以上と定めています。回答の「15メートルにつき1個以上」は、この基準と同じ数え方です。
ただし、現行の条文には、回答になかった上乗せもあります。特定一階段等防火対象物の階段では、一種又は二種の感知器を垂直距離7.5メートルにつき1個以上にします。
自分の建物が特定一階段等防火対象物に当たるかは、避難階以外の階から避難階又は地上に直通する階段の数などで決まります。当時の回答の15メートルだけで判断せず、現行の条文と所轄の消防機関で確かめます。

見通せる階段でも、高さで数えるんですね。

はい。
階段は床の広さでなく垂直の距離で数えます。

階段や昇降路に付けた感知器は、廊下や居室と同じ警戒区域にまとめてよいのか

一つの階を上から見た薄い床板が、橙の階段室の区画と、細長い青い廊下の帯と、紺色の縦穴の区画の三つに小さな隙間を空けて分かれ、それぞれに小さな白い丸い感知器が付いているイメージ
感知器を付けたあとは、火災のあった場所を受信機で見分けるための警戒区域を決めます。
階段と昇降路について、廊下や居室との分け方が問われました。
問(要旨) 問37 煙感知器の警戒区域について、(1) 階段が25メートルある場合、感知器は2個設けるが、警戒区域としては廊下の警戒区域と同じでよいか。(2) 最上階においてエレベーターの昇降路、パイプダクト、リネンシュート等が警戒区域600平方メートル以内にある場合は1警戒区域でよいか。
答 (1) 階段に設ける感知器と、廊下に設ける感知器とは別警戒区域とされたい。
(2) お見込みのとおり。ただし、居室、廊下等が同一の警戒区域になる場合は、居室、廊下等とは別警戒区域とされたい。
(昭和44年11月20日 消防予第265号 消防庁予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
階段の感知器は廊下と別の警戒区域にし、昇降路等は居室や廊下と分けたうえで600平方メートル以内なら一つにできる、という答えでした。
現行の消防法施行令第21条第2項第1号は、警戒区域が防火対象物の二以上の階にわたらないことを原則とし、ただし書で総務省令に委ねています。第2号は、面積を600平方メートル以下、一辺の長さを50メートル以下と定めています。
その総務省令が、規則第23条第1項です。第5項第1号(階段及び傾斜路)と第3号(昇降路等)の規定により煙感知器を設ける場合は、二の階にわたる警戒区域にできます。階段や昇降路が階を貫くのは、この例外があるからです。
警戒区域の分け方の細かな運用は、受信機の表示や点検のしやすさにも関わります。自分の建物の区域割りは、設計図書と所轄の消防機関で確かめます。

階段は階をまたいでも、廊下とは別に数えるんですね。

はい。
階を貫く場所は、廊下と分けて区域を決めます。

よくある質問

Q煙感知器を必ず付ける場所は、条文のどこに書かれているのですか?
A規則第23条第5項です。第1号が階段及び傾斜路、第3号がエレベーターの昇降路、リネンシュート、パイプダクトその他これらに類するもので、いずれも煙感知器と定めています。
Q階段の煙感知器は、何メートルごとに付けるのですか?
A規則第23条第4項第7号ヘが、垂直距離15メートル(三種は10メートル)につき1個以上と定めています。特定一階段等防火対象物では、一種又は二種の感知器を7.5メートルにつき1個以上とします。
Qパイプシャフトの1平方メートルは、条文に書かれた数字ですか?
A条文には書かれていません。「おおむね1平方メートル以上」は、昭和44年の質疑応答が示した目安で、広さは平均的な大きさで判定すると答えられています。
Q昭和44年の回答は、今もそのまま使えますか?
A回答は発出当時のもので、規則の号数や細目が変わった部分があります。現行の規則第23条と、所轄の消防機関で確認します。

まとめ

✔規則第23条第5項が、階段・傾斜路と昇降路・リネンシュート・パイプダクトに煙感知器を求めている
✔昇降路は機械室と別の場所で、機械室に付けても昇降路には別に設ける
✔昇降路の頂部は除外できず、取付け面を維持できる面まで下げる扱いになる
✔縦穴は水平断面積がおおむね1平方メートル以上が目安で、平均的な大きさで判定する
✔階段は垂直距離15メートルごとで、現行は特定一階段等防火対象物で7.5メートルになる
✔階段の感知器は廊下と別の警戒区域にし、階を貫く警戒区域は規則第23条第1項の例外による
✔個別の適用は、現行の規則と所轄の消防機関に確認する

質疑応答が、条文とつながりました。
うちの階段や昇降路も確かめてみます!

質疑応答も、今の条文の意味を理解するために読めます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行令第21条
  • 消防法施行規則第23条
  • 消防法施行令及び同法施行規則の一部改正に伴う質疑応答について(昭和44年11月20日 消防予第265号 消防庁予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
  • 消防実務六法 質疑応答編

※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は発出当時のもので、条番号や機関の名称、単位等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。

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