指定認定機関は、国土交通大臣に代わって型式適合認定などを行う機関です。
ただし、機関という名前の組織が自動的に判断を出すわけではなく、実際に認定等を実施する人が条文で決められています。
その人の選び方や、機関の職員に課される守秘の決まりも、法律に書かれています。
今回は建築基準法第77条の42から第77条の45までを中心に、認定員、秘密保持義務、認定等を行う義務、認定等業務規程、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
指定認定機関が認定等を行うといっても、誰が実際に判断するのでしょうか。
機関の職員なら誰でもよいのですか。
認定員という人に実施させなければなりません。
建築基準法第77条の42が定めています。
では、認定員にはどのような決まりがあるのでしょうか。
秘密の扱いや業務のルールも気になります。
選任、解任、秘密保持、業務規程まで定められています。
順番に条文を見ていきましょう。
- 第77条の42第1項は、指定認定機関が認定等を行うときは、国土交通省令で定める方法に従い、認定員に実施させなければならないと定めています。
- 認定員は、建築技術に関して優れた識見を有する者として国土交通省令で定める要件を備える者から選任し、選任や解任は国土交通大臣に届出が必要です。
- 国土交通大臣は、一定の場合に、指定認定機関に認定員の解任を命ずることができます(第77条の42第4項)。
- 指定認定機関とその職員、これらの者であった者は、認定等の業務に関して知り得た秘密を漏らし、盗用してはなりません(第77条の43第1項)。
- 認定等を求められたときは、正当な理由がある場合を除き遅滞なく行わなければならず、業務規程には国土交通大臣の認可が必要です(第77条の44・第77条の45)。
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目次
指定認定機関の認定等はなぜ認定員に実施させなければならないのか

(建築基準法第七十七条の四十二第二項)認定員は、建築技術に関して優れた識見を有する者として国土交通省令で定める要件を備える者のうちから選任しなければならない。
「認定等」は、型式適合認定や認証など、第68条の24第1項に挙げられた手続のことです。
実施の方法は、国土交通省令で定められています。
機関の名前で出す判断であっても、その中身を実施するのは認定員だと、条文が求めているのです。 第2項は、認定員を、建築技術に関して優れた識見を有する者として国土交通省令で定める要件を備える者から選任しなければならないと定めています
認定員になれるのは、省令の要件を備える者に限られます。
要件の具体的な内容は、条文ではなく国土交通省令に委ねられています。
認定員は、誰でもなれるわけではないのですね。
要件は省令で決まっているのですか。
建築技術に関する優れた識見が求められます。
次の見出しで、選任と解任の扱いを確認します。
認定員の選任や解任はなぜ届出や解任命令の対象になるのか

(建築基準法第七十七条の四十二第四項)国土交通大臣は、認定員が、第七十七条の四十五第一項の認可を受けた認定等業務規程に違反したとき、認定等の業務に関し著しく不適当な行為をしたとき、又はその在任により指定認定機関が第七十七条の三十八第三号に掲げる基準に適合しなくなつたときは、指定認定機関に対し、その認定員を解任すべきことを命ずることができる。
届出は、選任のときも解任のときも必要です。
届出の方法は、国土交通省令で定められています。 第4項は、国土交通大臣が指定認定機関に認定員の解任を命ずることができる場合を、三つ挙げています
一つ目は、認定員が第77条の45第1項の認可を受けた認定等業務規程に違反したときです。
二つ目は、認定員が認定等の業務に関し著しく不適当な行為をしたときです。
三つ目は、認定員がその職にあることで、指定認定機関が第77条の38第3号の基準に適合しなくなったときです。
第77条の38第3号は、役員や職員の構成が認定等の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないことを求める基準です。
解任を命じるのは、どのようなときなのでしょうか。
機関が自分で決めるのではないのですね。
第4項で、国土交通大臣が命ずることができると定められています。
次は、認定員を含む職員の秘密保持義務を確認します。
指定認定機関の職員に認定等の業務で知った秘密を守る義務があるのはなぜか

第1項と第2項を確認しましょう。
(建築基準法第七十七条の四十三第二項)指定認定機関及びその職員で認定等の業務に従事するものは、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
指定認定機関が法人であるときは、その役員も対象に含まれます。
職員には、認定員も含まれると、条文の中で明記されています。
「これらの者であった者」とあるので、機関を離れたあとも義務は続きます。 第2項は、認定等の業務に従事する指定認定機関の職員などは、刑法その他の罰則の適用について、法令により公務に従事する職員とみなすと定めています
民間の機関の職員であっても、罰則を考えるときは公務に従事する職員として扱われます。
認定等が、国土交通大臣に代わって行う公的な仕事であることの表れと読めます。
秘密を漏らすだけでなく、盗用もいけないのですね。
辞めたあとまで義務が続くとは知りませんでした。
「であった者」まで対象です。
次は、認定等を行う義務と、業務規程を確認します。
求められた認定等を遅滞なく行う義務と認定等業務規程の認可はなぜ必要なのか

まず、認定等を行う義務からです。
断ってよいのは、正当な理由がある場合に限られます。
どのような理由が正当かは、この条文には書かれていません。 続いて、認定等業務規程を定めた第77条の45を確認しましょう。
(建築基準法第七十七条の四十五第二項)認定等業務規程で定めるべき事項は、国土交通省令で定める。
(建築基準法第七十七条の四十五第三項)国土交通大臣は、第一項の認可をした認定等業務規程が認定等の公正かつ適確な実施上不適当となつたと認めるときは、その認定等業務規程を変更すべきことを命ずることができる。
規程で定めるべき事項は、国土交通省令で定められています(第2項)。
第3項は、認可をした規程が認定等の公正かつ適確な実施上不適当になったと大臣が認めるときは、その規程の変更を命ずることができると定めています。
第77条の42第4項は、この認可を受けた規程に認定員が違反した場合を、解任命令の理由の一つにしています。
規程は、機関が自由に決めてよいものではないのですね。
認可のあとに変更を命じられることもあるのですか。
認可のあとでも、不適当になれば変更を命じられます。
最後に、整理表で全体を確認しましょう。
認定員と秘密保持と業務規程の規定を防火管理の現場ではどのように受け止めればよいのか

分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 項目 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 認定員 | 認定等は認定員に実施させ、省令の要件を備える者から選任(第77条の42第1項・第2項) | 認定等は認定員が実施します |
| 選任と解任 | 選任・解任は国土交通大臣に届出、三つの場合は解任を命ずることができる(第3項・第4項) | 解任は大臣が命ずることがあります |
| 秘密保持 | 知り得た秘密を漏らし、盗用してはならない(第77条の43) | これらの者であった者も対象です |
| 認定等を行う義務 | 求められたら正当な理由がなければ遅滞なく行う(第77条の44) | 断れるのは正当な理由がある場合だけです |
| 認定等業務規程 | 定めて国土交通大臣の認可を受ける、不適当なら変更を命ぜられる(第77条の45) | 変更も認可が必要です |
この規定は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
ただし、防火設備や耐火構造などの認定に関する書類を受け取ったときは、どの機関が発行したものかを、施工業者に尋ねておくと、改修や交換の相談が進めやすくなります。
建築基準法の手続が整っていても、消防法令の設置や維持の基準は別に確かめる必要があります。
明日から、次の点を確認してください。
- 建物の防火設備や耐火構造の認定書類が、どの機関の発行かを施工業者に尋ねて控えておく。
- 書類の名称、日付、番号を、施工業者から書面でもらって保管する。
- 認定書類の手続が遅れているときは、まず施工業者に状況を確認する。
- 認定や認証の内容に疑問があるときは、建築の窓口と施工業者に速やかに相談する。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築の窓口と所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。
認定員や規程の仕組みは分かりました。
現場では、何から確かめればよいですか。
認定や認証の書類を出した機関について、施工業者に確認しておきましょう。
消防の基準は、別に確かめます。
よくある質問
まとめ
認定員や規程の仕組みがよく分かりました。
認定書類の発行元を、施工業者に確認します!
建築の認定と消防の基準は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第七十七条の三十八・第七十七条の四十二・第七十七条の四十三・第七十七条の四十四・第七十七条の四十五・第六十八条の二十四(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。認定員の要件や業務規程の細部は機関と建築の窓口ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





