給油取扱所の設計では、舗装の材料、接している道の種類、通気管や固定給油設備の位置など、「何に当たるか」「どこから測るか」を決める場面が続きます。
昭和60年から62年にかけての消防庁の質疑応答には、ベアコート舗装は空地の舗装に当たるか、私道は規則でいう道路に当たるかといった問い合わせが残っています。
この記事では、その二つに、通気管・固定給油設備の間隔・屋内給油取扱所の事務所を加えた五つの論点を取り上げ、現行の危険物の規制に関する政令や規則と照らして読みます。
何が認められ、何が認められなかったのかを、順に確かめます。
舗装の材料にも、決まりがあるんでしょうか。
はい。
ベアコート舗装が舗装に当たるかで、昭和60年に質疑が出ています。
昔の質疑応答は、今の政令とどうつながるんでしょうか。
一つずつ確かめます。
現行の条番号に読み替えながら読みます。
- ベアコート舗装は、防火性能試験の結果などの資料から、給油空地の舗装に該当すると答えています
- 幅員8メートルの私道でも、一般交通の用に供されていれば規則第1条第1号ニの道路に当たるとされ、町道として供用開始が公示されればイの道路になると答えています
- 引火点が低い危険物のタンクの通気管は、隣地との境界線を敷地境界線として1.5メートル以上離してよいと答えています
- 固定給油設備の間隔は、給油取扱所の外にある建築物の壁や、隣地・河川などの一般的な敷地境界からも保つと答えています
- 屋内給油取扱所の上屋の中に独立して設ける事務所は、不燃材料で造ることは認められないと答えています
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目次
ベアコート舗装は、給油空地の舗装として認められるのか

昭和60年には、砕石にアスファルトを少量混ぜて敷き均した層へ、特殊なセメントミルクを浸透させるベアコート舗装について、大阪府から照会がありました。
(昭和60年10月21日 消防危第118号 危険物規制課長(大阪府あて)から回答)
問の資料には、防火性能試験の基材試験が不合格という結果も書かれています。回答はその点にふれず、理由も書いていません。ここから「基材試験が不合格でも舗装に当たる」と一般化することはできません。
当時の第2号は、現行では政令第17条第1項第4号に当たります。規則第24条の16は、その舗装を、漏れた危険物が浸透し、又は劣化し、若しくは変形するおそれがなく、想定される自動車等の荷重で損傷するおそれがなく、耐火性を有するものとしています。
現行の条文は、材料の名前ではなく要件で定めています。新しい工法の舗装を使うときは、この三つの要件を試験成績書などで確かめ、所轄の消防機関に確認します。
新しい工法でも、要件で判断されるんですね。
はい。
浸透・荷重・耐火性の三つを確かめます。
給油取扱所に接する私道は、規則でいう道路に当たるのか

昭和61年には、工場の正門に通じる幅員8メートルの私道に接して営業用の給油取扱所を設ける計画について、佐賀県から照会がありました。
(昭和61年5月29日 消防危第57号 危険物規制課長(佐賀県あて)から回答)
現行の規則第1条第1号は、道路を、イ道路法による道路、ロ土地区画整理法などによる道路、ハ港湾法の臨港交通施設である道路、ニイからハまでに定めるもののほか、一般交通の用に供する幅員4メートル以上の道で自動車の通行が可能なものと定めています。
問が挙げた事情は、幅員8メートル、24時間の車両の通行、公衆用道路としての登記などでした。回答は理由を書いていませんが、これらが条文の「一般交通の用に供する」「幅員4メートル以上」「自動車の通行が可能」に当たると考えられます。ただ、正門のゲートで通行が制限されることがある点をどう見たかは、回答からは読み取れません。
道路に当たると、現行の政令第17条第1項第12号イにより、固定給油設備は道路境界線から4メートルから6メートル以上離します。後段のとおり町道として供用開始が公示されれば、イの道路法による道路になります。今の計画で私道に接するときは、道の幅や通行の実態を持って、所轄の消防機関に確認します。
私道でも、道路になることがあるんですね。
はい。
幅員と一般交通の実態で見ます。
通気管の敷地境界線は、隣地との境界線でよいのか

昭和62年には、専用タンクを敷地の外に設ける場合と内に設ける場合の両方について、隣地との境界線が通気管の基準でいう敷地境界線に当たるかを、長崎県が照会しました。
(昭和62年9月9日 消防危第91号 危険物規制課長(長崎県あて)から回答)
回答は、図1と図2のどちらの場合かを分けず、「お見込みのとおり」と答えています。
当時の規則第20条第2項第1号は、現行では、給油取扱所の専用タンクの通気管に、政令第17条第1項第8号イと政令第13条を経て、規則第20条第3項が当てはまります。同項第4号は「前項各号の基準に適合する」ことを求め、前項(第2項)第1号が、引火点が40度未満の危険物のタンクに設ける通気管は、敷地境界線から1.5メートル以上離すことを定めています。
現行の条文は、この敷地境界線が給油取扱所の境界か隣地との境界かを、文字では区別していません。回答は、隣地との境界線をもってよいという読み方を示したものです。個別の配置は、所轄の消防機関に確認します。
通気管は、隣地の境界から1.5メートル離すんですね。
はい。
引火点が40度未満の危険物のタンクの場合です。
固定給油設備の間隔は、隣地の建築物や隣地との境界線からも測るのか

昭和62年の同じ質疑には、その「建築物」と「敷地境界線」がどこまでを指すのかという問いもありました。
(昭和62年9月9日 消防危第91号 危険物規制課長(長崎県あて)から回答)
当時の第8号は、現行では政令第17条第1項第12号に当たります。同号は、固定給油設備を、ロ敷地境界線から2メートル以上、ハ建築物の壁から2メートル以上(給油取扱所の建築物の壁に開口部がない場合には、1メートル以上)離すこととしています。イの道路境界線からは、最大給油ホース全長などに応じて4メートルから6メートル以上です。ただし、総務省令で定めるところによりホース機器と分離して設置されるポンプ機器は、この限りではありません。
現行の条文で、開口部のない壁の1メートルは「給油取扱所の建築物の壁」に限って書かれています。回答のとおり、隣の建物の壁も「建築物の壁」に含まれるので、隣地の建物が近いときは、その壁から距離を測ります。今の計画で隣地との間が狭いときは、配置図を持って、所轄の消防機関に確認します。
隣の家の壁からも、離さないといけないんですね。
はい。
給油取扱所の外の建築物も含まれます。
屋内給油取扱所の上屋の中に別に建てた事務所は、不燃材料で造ってよいのか

昭和62年の同じ質疑には、上屋の柱やはりは耐火構造とし、その中に上屋とは独立した事務所を設ける場合の構造の問いもありました。
(昭和62年9月9日 消防危第91号 危険物規制課長(長崎県あて)から回答)
回答は、理由を書いていません。現行の政令第17条第2項第5号は、建築物の屋内給油取扱所の用に供する部分の壁、柱、床、はり及び屋根を耐火構造とするとともに、開口部のない耐火構造の床又は壁で建築物の他の部分と区画されたものであることを求めています(上部に上階がない場合の屋根は、不燃材料で造ることができます)。
一方、屋外の給油取扱所の建築物について定める第1項第17号は、壁、柱、床、はり及び屋根を「耐火構造とし、又は不燃材料で造る」としています。屋内では不燃材料で足りるとは書かれていない点が、この回答と符合します。ただ、これが回答の理由だったとは断定できません。
「延焼のおそれのある建築物がない」という問の付記があっても、認められないという答えは変わりませんでした。今の計画で上屋の中に事務所を設けるときは、構造の図面を持って、所轄の消防機関に確認します。
上屋の中の事務所も、耐火構造が基本なんですね。
はい。
屋内給油取扱所は、屋外より構造が厳しくなります。
よくある質問
まとめ
質疑応答が、条文とつながりました。
うちの給油取扱所も、今の政令で確かめてみます!
質疑応答も、今の条文の意味を理解するために読めます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 危険物の規制に関する政令第13条・第17条
- 危険物の規制に関する規則第1条・第20条・第24条の16
- 昭和60年10月21日 消防危第118号(給油取扱所の空地地盤の舗装材について)
- 昭和61年5月29日 消防危第57号(給油取扱所に関する疑義について)
- 昭和62年9月9日 消防危第91号(給油取扱所に係る疑義について)
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は発出当時のもので、条番号や機関の名称、単位等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





