指定確認検査機関は、建築確認を行う民間の機関ですが、確認や検査を実際に行うのはどのような人なのでしょうか。
秘密を守る義務や、業務のルールブックは、条文でどう決められているのでしょうか。
今回は建築基準法第77条の24から第77条の27までを中心に、確認検査員と副確認検査員、秘密保持義務、確認検査の義務、確認検査業務規程、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
民間の確認検査機関では、誰が確認や検査をしているのでしょうか。
資格は決まっているのですか。
第77条の24に、確認検査員と副確認検査員の規定があります。
まず、そこから見ていきましょう。
機関は、確認や検査の依頼を断ることもできるのでしょうか。
決まったルールはあるのですか。
第77条の26に、確認検査の義務の規定があります。
順番に条文を確認していきます。
- 第77条の24第1項は、指定確認検査機関が確認検査を行うときは、確認検査員または副確認検査員に実施させなければならないと定めています。
- 確認検査員は一級、副確認検査員は二級の建築基準適合判定資格者登録簿への登録を受けている者から選任し、選任や解任は国土交通大臣等に届け出ます(第77条の24第2項〜第4項)。
- 指定確認検査機関は、秘密を漏らしたり盗用したりしてはならず、確認検査の業務に従事する職員は、罰則の適用では公務に従事する職員とみなされます(第77条の25)。
- 確認検査を求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく行わなければなりません(第77条の26)。
- 確認検査業務規程を定めて国土交通大臣等の認可を受けなければならず、認可を受けた規程によらない確認検査は、指定の取消しか停止命令の対象になり得ます(第77条の27第1項、第77条の35第2項第2号)。
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目次
指定確認検査機関の確認検査は誰が行うのか

(建築基準法第七十七条の二十四第二項)確認検査員は、第七十七条の五十八第一項の登録(同条第二項の一級建築基準適合判定資格者登録簿への登録に限る。)を受けている者のうちから、選任しなければならない。
(建築基準法第七十七条の二十四第三項)副確認検査員は、第七十七条の五十八第一項の登録(同条第二項の二級建築基準適合判定資格者登録簿への登録に限る。)を受けている者のうちから、選任しなければならない。
ただし、その確認検査が大規模建築物に係るものである場合は、確認検査員に実施させる必要があります。
大規模建築物は、法第4条第7項の中で定義されています。
ここでは、定義の部分だけを引用します。
副確認検査員は、第3項で、二級建築基準適合判定資格者登録簿への登録を受けている者から選任するとされています。
大規模建築物の中身を具体的に定める建築士法第3条第1項の各号は、この記事では取り上げません。
副確認検査員は、どんな建築物の確認検査でも担当できるのですか。
大規模建築物では、条文は確認検査員に実施させると書いています。
副確認検査員は、それ以外の確認検査の場面で出てきます。
確認検査員の選任と解任はどう届け出て何が命じられるのか

(建築基準法第七十七条の二十四第五項)国土交通大臣等は、確認検査員又は副確認検査員の在任により指定確認検査機関が第七十七条の二十第五号に掲げる基準に適合しなくなつたときは、指定確認検査機関に対し、その確認検査員又は副確認検査員を解任すべきことを命ずることができる。
第5項の解任命令は、在任によって指定確認検査機関が第77条の20第5号の基準に適合しなくなったときに出せます。
第77条の20は、指定の基準を定める条文です。
第1号と第5号を引用します。ほかの号は省略します。
一 第七十七条の二十四第一項の確認検査員又は副確認検査員(いずれも常勤の職員である者に限る。)の数が、指定区分ごとに確認検査を行おうとする建築物の種類、規模及び数に応じて国土交通省令で定める数以上であること。
五 法人にあつては役員、法人の種類に応じて国土交通省令で定める構成員又は職員(第七十七条の二十四第一項の確認検査員又は副確認検査員を含む。以下この号において同じ。)の構成が、法人以外の者にあつてはその者及びその職員の構成が、確認検査の業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
第5号は、役員や職員の構成が、確認検査の業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであることを求めています。
第77条の35第2項第3号は、第77条の24第5項の命令に違反したときを、指定の取消しか業務の停止を命ずることができる場合の一つに挙げています。
第77条の35第2項は、第2号と第3号を引用し、ほかの号は(略)で省略します。
一 (略)
二 第七十七条の二十七第一項の認可を受けた確認検査業務規程によらないで確認検査を行つたとき。
三 第七十七条の二十四第五項、第七十七条の二十七第三項又は第七十七条の三十第一項の規定による命令に違反したとき。
四 (略)
五 (略)
六 (略)
解任を命じるのは、誰なのでしょうか。
第77条の24第5項が書いているのは、国土交通大臣等が命ずることができるという点です。
命令の具体的な内容は、条文には書かれていません。
秘密保持義務と確認検査の義務は条文でどう定められているのか

(建築基準法第七十七条の二十五第二項)指定確認検査機関及びその職員で確認検査の業務に従事するものは、刑法その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
(建築基準法第七十七条の二十六第一項)指定確認検査機関は、確認検査を行うべきことを求められたときは、当該確認検査が大規模建築物に係るものである場合において当該指定確認検査機関が確認検査員を選任しないものであることその他の正当な理由がある場合を除き、遅滞なく、確認検査を行わなければならない。
法人であれば、役員も対象です。職員には、確認検査員と副確認検査員も含まれます。
第2項は、刑法その他の罰則の適用については、確認検査の業務に従事する職員が、法令により公務に従事する職員とみなすと定めています。 第77条の26は、確認検査を行うべきことを求められたときの義務を定めています。
確認検査が大規模建築物に係るもので、指定確認検査機関が確認検査員を選任しないものであること、そのほかの正当な理由がある場合を除き、遅滞なく確認検査を行わなければなりません。
どのような場合が正当な理由になるかは、条文には具体的に書かれていません。
確認検査の依頼は、いつでも断れるのでしょうか。
条文は、正当な理由がある場合を除いて、遅滞なく行うと書いています。
正当な理由の中身は、条文には書かれていません。
確認検査業務規程とは何でなぜ認可が必要なのか

(建築基準法第七十七条の二十七第二項)指定確認検査機関は、確認検査の業務に関する規程(以下この節において「確認検査業務規程」という。)を定め、国土交通大臣等の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
(建築基準法第七十七条の二十七第三項)国土交通大臣等は、第一項の認可をした確認検査業務規程が確認検査の公正かつ適確な実施上不適当となつたと認めるときは、その確認検査業務規程を変更すべきことを命ずることができる。
この規程を変更しようとするときも、同様に認可が必要です。
第2項は、規程で定めるべき事項は、国土交通省令で定めるとしています。
第3項は、認可した規程が確認検査の公正かつ適確な実施上不適当となったと認めるときは、規程を変更すべきことを命ずることができると定めています。
第77条の35第2項第2号は、認可を受けた規程によらないで確認検査を行ったときを、指定の取消しか業務の停止を命ずることができる場合の一つに挙げています。
取り消したときや停止を命じたときは、第3項により公示されます。
規程の具体的な中身は、条文に書いてあるのですか。
第77条の27第2項は、国土交通省令で定めるとしています。
条文本体には、具体的な項目は書かれていません。
確認検査員や業務規程の規定を防火管理の現場ではどのように受け止めればよいのか

分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 項目 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 確認検査を行う人 | 確認検査員または副確認検査員に実施させる。大規模建築物は確認検査員(第77条の24第1項) | 一級は確認検査員、二級は副確認検査員です |
| 選任と解任 | 選任または解任したときは国土交通大臣等に届け出る。基準に適合しなくなったときは解任を命じられる(第77条の24第4項・第5項) | 命令する主体は国土交通大臣等です |
| 秘密保持義務 | 業務に関して知り得た秘密を漏らしたり盗用したりしてはならない(第77条の25) | みなし公務員の規定があります |
| 確認検査の義務 | 求められたときは、正当な理由がある場合を除き、遅滞なく行う(第77条の26) | 正当な理由の中身は書かれていません |
| 確認検査業務規程 | 規程を定めて認可を受ける。認可を受けた規程によらないと取消しか停止命令の対象になり得る(第77条の27、第77条の35第2項第2号) | 項目は国土交通省令で定めます |
この規定は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
また、第77条の24から第77条の27までには、届出の様式、正当な理由の具体例、規程に定める項目の中身などは書かれていません。
確認済証や検査済証を受けている建物では、発行元の機関と日付を控えておくと、後の相談で慌てずに済みます。
明日から、次の点を確認してください。
- 建物の確認済証や検査済証が、どの機関の発行かを施工業者に尋ねて控えておく。
- 書類の名称、日付、番号を、施工業者から書面でもらって保管する。
- 機関の指定や業務規程の認可に関する事項は、国土交通大臣等が扱うので、必要なときは建築の窓口で確かめる。
- 建築確認や検査で分からないことは、特定行政庁の窓口に問い合わせる。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築の窓口と所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。
確認検査員の決まりは分かりました。
現場では、何から確かめればよいですか。
書類の発行元と日付を、施工業者に確認して控えておきましょう。
消防の基準は、所轄消防署に別に確かめます。
よくある質問
まとめ
確認検査員や規程の仕組みがよく分かりました。
書類の発行元を、施工業者に確認します!
建築の確認検査と消防の基準は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第七十七条の二十四・第七十七条の二十五・第七十七条の二十六・第七十七条の二十七・第七十七条の二十・第七十七条の三十五・第四条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。確認検査員の選任や規程の運用は機関と建築の窓口ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





