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非常ベルや非常放送の総合点検はなぜ常用電源の主開閉器を遮断して行うのか|非常電源への切替確認と内蔵電池の点検要領を解説

非常ベルや非常放送の総合点検はなぜ常用電源の主開閉器を遮断して行うのか|非常電源への切替確認と内蔵電池の点検要領を解説

非常ベルや非常放送の総合点検で、常用電源の主開閉器を遮断するという指示があるのをご存じでしょうか。
建物が停電してしまうように聞こえて、驚く方も多いと思います。
しかし点検要領は、これを総合点検の留意事項として定めています。
この記事では、点検要領と規則をもとに、非常警報設備の点検で電源を落として確かめる理由と手順を整理します。

総合点検で主開閉器を遮断するなんて、建物が停電してしまいませんか。

遮断するのは、非常電源に切り替わるかを確かめるためです。
順番に見ていきましょう。

停電にして、いったい何を確かめているのでしょうか。

停電のときに、非常ベルや放送が鳴ることです。
まず全体像から確認します。

この記事の結論
  • 非常警報設備の点検で電源を落とす場面は、機器点検の切替装置と総合点検の総合作動の二つです。
  • 機器点検では、常用電源回路のスイッチを遮断して、自動で非常電源に切り替わることを確かめます。
  • 総合点検では、常用電源の主開閉器又は分電盤等の専用開閉器を遮断して非常電源に切り替えます。
  • 判定は、火災表示及び音響装置並びにスピーカーの鳴動が正常に行われることです。
  • 内蔵の非常電源は、端子電圧と充電装置も機器点検で確かめます。

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非常警報設備の点検で、機器点検の切替装置を確かめ、総合点検で主開閉器を遮断して非常電源に切り替え、火災表示と音響とスピーカーが正常に鳴るかを確かめることを整理した図解

非常警報設備の点検で電源を落として確かめるのはどこか

壁の放送用操作部に緑のランプとマイクが付き、隣の壁にスピーカーと赤いベルがあり、手前の机に白紙の点検票を挟んだ板があるイラスト
消防用設備等の点検は、消防法施行規則第31条の6で、種類と点検内容に応じて行うことが定められています。
点検の方法は消防庁長官が定めることとされ、非常ベル、自動式サイレン、放送設備の点検要領は第14に並んでいます。
点検は機器点検と総合点検に分かれ、電源を落として確かめる項目は、その両方にあります。
消防法施行規則第25条の2第2項第5号
非常電源は、第二十四条第四号の規定に準じて設けること。
非常警報設備の非常電源は、規則の上で自動火災報知設備の非常電源の規定に準じて設けるものとされています。
準じる先の規定は、蓄電池設備の容量について、10分間有効に作動できる容量以上と定めています。
だから点検でも、常用電源が止まったときに、実際に非常電源へ切り替わって鳴るかを確かめる項目が置かれているのです。

ここで点検する非常電源は、建物全体の非常電源も含むのですか。

点検要領の非常電源の欄は、内蔵型のものに限るとされています。
内蔵型以外は、この表の対象外です。

機器点検の切替装置は、停電と復旧をどう確かめるのか

壁の灰色の制御箱に二つの位置を選ぶ回転スイッチと緑のランプがあり、右に青い電池箱がケーブルでつながるイラスト
機器点検の非常電源の欄には、外形や表示、端子電圧のほかに、切替装置の項目があります。
点検方法は、常用電源回路のスイッチを遮断すること等による確認です。
消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第14 非常警報器具及び設備 2 機器点検 非常電源(内蔵型のものに限る。) 切替装置
(点検方法)常用電源回路のスイッチを遮断すること等により確認する。
(判定方法)常用電源を停電状態にしたときに自動的に非常電源に切り替わり、常用電源が復旧したときに自動的に常用電源に切り替わること。
切替装置は、停電になったら自動で非常電源へ、復旧したら自動で常用電源へ戻るかを確かめる項目です。
見るのは切り替わりの両方向です。
非常電源へ切り替わって終わりではなく、復旧時に常用電源へ戻ることまで判定に入っています。
受信機に内蔵された予備電源の基準は受信機の予備電源の記事で整理しています。

切替装置の点検は、どうやって停電をつくるのでしょうか。

点検要領は、常用電源回路のスイッチを遮断する方法を示しています。
実際の手順は、機器の取扱説明書で確認してください。

総合点検ではなぜ主開閉器か専用開閉器を遮断するのか

扉を開いた灰色の主開閉器の盤で黒いレバーが下がり、右の分電盤の小さな開閉器の列へケーブルがつながるイラスト
総合点検には、総合作動という項目があります。
点検方法は、非常電源に切り替えた状態で、起動装置などを操作して確認するものです。
その留意事項に、電源の落とし方が書かれています。
消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第14 非常警報器具及び設備 3 総合点検 総合作動
(点検方法)非常電源に切り替えた状態で、任意の起動装置若しくは操作部の非常放送スイッチを操作し又は自動火災報知設備から起動のための信号を受信することにより確認する。
(判定方法)火災表示及び音響装置並びにスピーカーの鳴動が正常に行われること。
※ 非常電源に切り替える場合は、常用電源の主開閉器又は分電盤等の専用開閉器を遮断して行うこと。
非常電源への切替は、常用電源の主開閉器か分電盤等の専用開閉器を遮断して行います。
点検要領は理由を書いていませんが、実際の停電と同じ条件で確かめるためと読み取れます。
遮断すれば、その先の機器も停電しますから、作業の前に建物の関係者へ知らせておくと安心です。

主開閉器を落とすと、ほかの設備も止まりませんか。

点検要領には、分電盤等の専用開閉器を遮断する方法も示されています。
ただし影響範囲は建物ごとに違うので、事前に確認してください。

非常電源に切り替えた状態で何を確かめるのか

壁の操作部で赤い火災表示灯が点灯し、赤いベルが鳴る様子を曲線で示し、右の天井にスピーカーがあるイラスト
非常電源に切り替えたら、任意の起動装置か、操作部の非常放送スイッチを操作します。
自動火災報知設備から起動のための信号を受信させる方法も示されています。 判定は、火災表示及び音響装置並びにスピーカーの鳴動が正常に行われることです。
停電の状態でも、表示と音と放送がそろって働くことを見ます。
同じ総合点検には、音響装置とスピーカーの音圧を騒音計で測る項目もあります。
音圧の基準と測り方は音圧の測り方の記事にまとめています。
消防用設備等の点検に係る運用について(平成14年6月11日消防予第173号)
点検終了後は、電源電圧、スイッチ類の位置及び収納状態等を再度確認することにより必ず元の状態に復旧しておくこと。
確かめ終えたら、遮断した開閉器を元の位置へ戻し、電源の状態を再確認します。
点検の運用を示した通知も、元の状態への復旧を求めています。

総合作動の起動は、受信機からの信号でも確かめたことになりますか。

点検要領は、自動火災報知設備から起動のための信号を受信する方法も示しています。
建物の設備の構成に合った方法を選びます。

内蔵の非常電源は端子電圧と充電装置をどう見るのか

ふたを開けた青い電池の箱から灰色の充電装置へケーブルがつながり、手前の棚に回路計が置かれたイラスト
内蔵型の非常電源の機器点検には、切替装置のほかにも項目があります。
端子電圧と、充電装置です。
消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第14 非常警報器具及び設備 2 機器点検 非常電源(内蔵型のものに限る。)
(端子電圧・点検方法)非常電源試験スイッチ等を操作し、電圧計又は回路計により確認する。
(判定方法)電圧計等の指示値が規定値(電圧計にあっては、赤線目もり)以上であること。
※ 電圧計等の指示が適正でない場合には、充電不足、充電装置、電圧計の故障等が考えられるので注意すること。
(充電装置・判定方法)変形、損傷、著しい腐食、異常な発熱等がないこと。
※ 充電回路で抵抗器が使用されているものにあっては、高温となる場合があるので、発熱のみで判定するのではなく、変色等があるかないかを確認すること。
端子電圧は、非常電源試験スイッチ等を操作して、指示値が規定値以上かを確かめます。
指示が適正でなければ、充電不足、充電装置、電圧計の故障などが考えられます。
充電装置は、発熱だけで不良と判定しないことがポイントで、変色があるかどうかも見ます。
点検票の作り方と報告の期間は点検票と報告の記事にまとめています。

充電装置が熱くなっていたら、すぐに不良と判定しなくてよいのですか。

抵抗器を使う充電回路は、高温になる場合があるため、点検要領は発熱だけで判定しないとしています。
変色などの有無もあわせて確認します。

よくある質問

Q総合点検では、どのように電源を落とすのですか?
A非常電源に切り替えるときは、常用電源の主開閉器又は分電盤等の専用開閉器を遮断して行うと、点検要領が定めています。
Q機器点検の切替装置では、何を確かめますか?
A常用電源を停電状態にしたときに自動的に非常電源に切り替わり、復旧したときに自動的に常用電源に切り替わることを確かめます。
Q非常電源に切り替えたあとの判定は何ですか?
A火災表示及び音響装置並びにスピーカーの鳴動が正常に行われることです。
Q端子電圧の指示が適正でないときは、何が考えられますか?
A点検要領は、充電不足、充電装置、電圧計の故障等が考えられるとしています。

まとめ

✔電源を落として確かめる場面は、機器点検の切替装置と総合点検の総合作動の二つ
✔切替装置は、停電で非常電源へ、復旧で常用電源へ自動で切り替わるかを確かめる
✔総合点検では、常用電源の主開閉器又は専用開閉器を遮断して非常電源に切り替える
✔判定は、火災表示と音響装置とスピーカーの鳴動が正常であること
✔起動は、起動装置か非常放送スイッチ、又は自動火災報知設備の信号で行う
✔端子電圧が適正でなければ、充電不足や充電装置の故障などを疑う
✔終わったら、遮断した開閉器を戻し、電源とスイッチ類を元の状態に復旧する

まず電源を落とす手順と影響範囲を、事前に確認しておきます!

その一手間が、安全な点検につながります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等の点検及び報告)、第25条の2第2項第5号、第24条第4号
  • 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第14 非常警報器具及び設備
  • 消防用設備等の点検に係る運用について(平成14年6月11日消防予第173号)

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。

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