防炎規制は、建物のどこまで及ぶのか。
階段だけなのか、居室や廊下も入るのか、共用部分や展示場の広場はどうなのか。
消防の実務書には、この範囲を一つずつ確かめた質疑応答が並んでいます。
この記事では、その中から5問を取り上げ、現行の条文に照らして読みます。防炎規制の及ぶ範囲を、順に確かめます。
じゅうたんの防炎って、階段だけの話じゃないんですか。
いいえ。
どこで使うかと何を敷くかで、範囲が決まります。
その線引きが、よく分からないんです。
一つずつ確かめます。
現行の条文に当たれるところは、当たって読みます。
- 体育館でも、演芸等の催しに使うものは(1)項として扱い、床に敷くシートは防炎の対象になると答えています
- 防炎防火対象物では、階段だけでなく居室や廊下のじゅうたん等も対象になると答えています
- 複合用途では、防炎防火対象物の存する階から避難階までの共用部分が対象になると答えています
- 家屋展示場は、屋内の広場だけが対象で、屋外の広場と展示している家屋は対象外と答えています
- マット状のものを継ぎ合わせて2平方メートル以上になるなら、じゅうたん等として扱うと答えています
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目次
防炎規制は、どの条文で範囲が決まっているのか
消防法第8条の3第1項は、高層建築物、地下街、劇場、旅館、病院その他の政令で定める防火対象物で使う防炎対象物品は、政令で定める基準以上の防炎性能を持たなければならないと定めています。施行令第4条の3第1項は、別表第一の(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項、(9)項イ、(12)項ロ、(16の3)項を防炎防火対象物とし、第2項は、(16)項の部分でこれらの用途に当たるものを、その用途の一の防炎防火対象物とみなしています。
同条第3項は、防炎対象物品にカーテン、じゅうたん等、展示用の合板、工事用シートなどを掲げ、じゅうたん等の中身は、施行規則第4条の3第2項が、じゅうたん、毛せん、人工芝、合成樹脂製床シートなどと定めています。
範囲は「どの建物か」と「どの物品か」の二つで決まる、というのが以下の5問の出発点です。
体育館で催しのときだけ敷くシートは、防炎の対象になるのか

開催期間に限って敷くシートでも、防炎の対象になるのでしょうか。
(消防庁の防炎規制に関する質疑応答)
(1)項は、施行令第4条の3第1項が防炎防火対象物に掲げる用途です。床に敷くシートは、施行規則第4条の3第2項第6号の合成樹脂製床シートなどに当たります。
体育館という名前ではなく、催しに使われる実態で用途を見る読み方です。
体育館だから対象外、とはならないんですね。
はい。
催しに使うかどうかで見ます。
防炎規制は、階段のじゅうたんだけが対象なのか

居室や廊下に敷くものは、どうなのでしょうか。
(消防庁の防炎規制に関する質疑応答)
法第8条の3第1項は、防炎防火対象物において使用する防炎対象物品を規制しており、階段に限る書き方はありません。
階段は「いうまでもなく」対象で、居室や廊下も同じです。建物が対象なら、敷く場所は問われません。
階段だけ気をつければいい、ではないんですね。
はい。
建物の中のどこでも対象です。
複合用途の共用部分は、どこまで防炎規制を受けるのか

階段や廊下のような共用部分は、どう扱われるのでしょうか。
(消防庁の防炎規制に関する質疑応答)
現行の施行令第4条の3第2項は、別表第一(16)項の部分でこれらの用途に当たるものを、その用途の一の防炎防火対象物とみなしています。
回答は、その階から避難階までの共用部分を、避難の経路として一体で見る読み方を示しています。共用部分だから対象外とは言えません。
共用の階段でも、対象になる階があるんですね。
はい。
避難階までつながる部分が対象です。
家屋展示場の広場は、防炎規制の対象になるのか

広場に敷くじゅうたん等や、展示している家屋の中に敷くものは、どこまで対象になるのでしょうか。
(消防庁の防炎規制に関する質疑応答)
別表第一(4)項は「百貨店、マーケツトその他の物品販売業を営む店舗又は展示場」を掲げ、(4)項は施行令第4条の3第1項の防炎防火対象物です。屋内の広場は、その展示場の部分に当たります。
屋外の広場は建物の外にあり、(4)項の展示場の部分に当たらないためと読めます。展示している家屋の理由は、回答には書かれていません。
同じ展示場でも、屋内か屋外かで変わるんですね。
はい。
屋内の広場だけが対象です。
小さなマットを継ぎ合わせたときは、じゅうたん等になるのか

一枚は小さくても、つなげると大きくなります。この場合、どう扱われるのでしょうか。
(消防庁の防炎規制に関する質疑応答)
施行規則第4条の3第2項の各号には、面積の数字は書かれていませんが、回答は、2平方メートル以上のものを規制の対象とする運用を前提にしています。
表示は、設置する状態で見て、表面に打ち付けるメダルで行います。一枚ごとの表示は要らず、運ぶときは梱包の下げ札で足りると答えています。
一枚は小さくても、つなげると対象になるんですね。
はい。
敷いた状態の大きさで見ます。
よくある質問
まとめ
敷く場所にも、細かい決まりがあるんですね。
うちも、建物と用途ごとに確認します!
敷く前に用途を確認するのが安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第8条の3
- 消防法施行令第4条の3・別表第一
- 消防法施行規則第4条の3
- 消防庁の防炎規制に関する質疑応答(予防行政の通知)
※本記事は公表されている法令および通知に基づく一般的な解説です。掲載した回答は発出当時のもので、条番号や言葉づかい等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





