BLOG

建築士の設計によらない工事をすると罰金になるのか|建築基準法第101条の第1号と第5条の6を解説

夕日の中で木造の骨組みと鉄骨が組まれた建築現場と設計図の写真

一定の建物は、建築士の設計でなければ工事ができないと聞いたことがあるかもしれません。
建築基準法第5条の6がその定めで、これに違反した場合の罰則が第101条の第1号に置かれています。
今回は第1号を、罰せられる人と根拠になる第5条の6の各項に分けて解説します。

建築士の設計によらない工事をすると、罰金になることはありますか。

第101条第1号に、100万円以下の罰金の定めがあります。
この記事で、その中身を確認します。

罰せられるのは、建築主や設計者ですか。

第1号が書いている相手は、限られています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 第101条は、各号のいずれかに該当する者を、100万円以下の罰金に処すると定めています。
  • 第1号は、第5条の6の違反があった場合の、その建築物の工事施工者を罰する規定です。
  • 第1号が挙げるのは、第5条の6の第1項から第3項まで又は第5項で、第4項は挙げていません。
  • 第5条の6は、建築士や構造設計一級建築士、設備設計一級建築士の設計によらなければ工事ができない場合を定めています。
  • 第2項の故意の規定は第3号、第4号、第6号を挙げ、第1号は含みません。

▼

建築基準法第101条の第1号が、第5条の6の建築士の設計によらない工事の違反について工事施工者を100万円以下の罰金で罰する仕組みを示す図解

第101条第1号は建築士の設計によらない工事の施工者をどう罰するのか

工事中の建物の骨組みのイラスト
まず、第101条の前文と第1号、そして第2項を確認しましょう。
(建築基準法第百一条(前文))次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。
(建築基準法第百一条第一号)一 第五条の六第一項から第三項まで又は第五項の規定に違反した場合における当該建築物の工事施工者
(建築基準法第百一条第二項)前項第三号、第四号又は第六号に規定する違反があつた場合において、その違反が建築主又は建築設備の設置者の故意によるものであるときは、当該設計者又は工事施工者を罰するほか、当該建築主又は建築設備の設置者に対して同項の刑を科する。
第1号は、第5条の6の第1項から第3項まで又は第5項の規定に違反した場合の、その建築物の工事施工者を、100万円以下の罰金に処すると規定しています
罰する相手として書かれているのは工事施工者だけで、建築主と設計者は書かれていません。
第3号や第4号にある、設計者から工事施工者へ罰する相手を置き換える括弧書きも、第1号にはありません。
第2項の故意の規定が挙げるのは第3号、第4号、第6号で、第1号は含まれていません。

第1号は、罰する相手を建築主と書いていますか。

書いていません。
第1号は、工事施工者と書いています。

第5条の6第1項は建築士の設計をどこまで求めているのか

図面と製図道具のイラスト
続けて、第1号の根拠になる第5条の6第1項を確認しましょう。
(建築基準法第五条の六第一項)建築士法第三条第一項(同条第二項の規定により適用される場合を含む。以下同じ。)、第三条の二第一項(同条第二項において準用する同法第三条第二項の規定により適用される場合を含む。以下同じ。)若しくは第三条の三第一項(同条第二項において準用する同法第三条第二項の規定により適用される場合を含む。以下同じ。)に規定する建築物又は同法第三条の二第三項(同法第三条の三第二項において読み替えて準用する場合を含む。以下同じ。)の規定に基づく条例に規定する建築物の工事は、それぞれ当該各条に規定する建築士の設計によらなければ、することができない。
第1項は、建築士法が定める一定の建築物の工事は、それぞれの条に規定する建築士の設計によらなければ、することができないと規定しています。
建築士法第3条の2第3項の規定に基づく条例に規定する建築物も、同じ扱いです。
つまり、設計を建築士が行っていない工事は、第1項に違反することになります。
どの建築物がどの条に当たるかは、建築士法に書かれており、第5条の6の条文の中では説明されていません。

第1項の対象になる建物は、第5条の6に書かれていますか。

第5条の6は、建築士法の条を挙げているだけです。
対象の範囲は、建築士法で確認します。

第2項と第3項は構造設計と設備設計に何を求めているのか

構造の骨組みと設備の配管のイラスト
続けて、第2項と第3項を確認しましょう。
(建築基準法第五条の六第二項)建築士法第二条第七項に規定する構造設計図書による同法第二十条の二第一項の建築物の工事は、構造設計一級建築士の構造設計(同法第二条第七項に規定する構造設計をいう。以下同じ。)又は当該建築物が構造関係規定に適合することを構造設計一級建築士が確認した構造設計によらなければ、することができない。
(建築基準法第五条の六第三項)建築士法第二条第七項に規定する設備設計図書による同法第二十条の三第一項の建築物の工事は、設備設計一級建築士の設備設計(同法第二条第七項に規定する設備設計をいう。以下この項及び次条第三項第三号において同じ。)又は当該建築物が設備関係規定に適合することを設備設計一級建築士が確認した設備設計によらなければ、することができない。
第2項は、構造設計図書による建築士法第20条の2第1項の建築物の工事は、構造設計一級建築士の構造設計、又は構造設計一級建築士が構造関係規定に適合することを確認した構造設計によらなければ、することができないと規定しています。
第3項も同じ組み立てで、設備設計図書による建築士法第20条の3第1項の建築物の工事について、設備設計一級建築士の設備設計、又は設備関係規定に適合することを確認した設備設計を求めています。
第1号は、この第2項と第3項の違反も罰する対象に挙げています。
どの建築物が第20条の2や第20条の3の対象になるかは、建築士法で確認します。

構造や設備の設計にも、建築士の資格が求められていますか。

第2項と第3項が、構造設計一級建築士と設備設計一級建築士の設計を求めています。
対象になる建物は、建築士法で確かめます。

第4項と第5項は工事監理者と工事の可否をどう定めているのか

現場の囲いと書類のイラスト
続けて、第4項と第5項を確認しましょう。
(建築基準法第五条の六第四項)建築主は、第一項に規定する工事をする場合においては、それぞれ建築士法第三条第一項、第三条の二第一項若しくは第三条の三第一項に規定する建築士又は同法第三条の二第三項の規定に基づく条例に規定する建築士である工事監理者を定めなければならない。
(建築基準法第五条の六第五項)前項の規定に違反した工事は、することができない。
第4項は、建築主が第1項に規定する工事をする場合に、建築士である工事監理者を定めなければならないと規定しています。
第5項は、前項の規定に違反した工事は、することができないと規定しています。
ここで、第1号が挙げているのは第1項から第3項までと第5項で、第4項そのものは挙げていません。
第4項の義務を負うのは建築主ですが、第1号が罰する相手として書くのは工事施工者です。
どの場合が第4項や第5項の違反に当たるかは、条文の文言からは決められないので、個別の事案は建築の窓口で確かめます。

第4項の工事監理者を定める義務は、第1号に書かれていますか。

書かれていません。
第1号が挙げるのは、第1項から第3項までと第5項です。

第1号を整理すると何が分かるのか

表を広げた事務所の机のイラスト
最後に、ここまでの内容を整理します。
規定書かれていることポイント
第101条第1号第5条の6の第1項から第3項まで又は第5項に違反した場合の工事施工者を100万円以下の罰金に処する罰する相手は工事施工者
第5条の6第1項建築士法が定める一定の建築物の工事は、建築士の設計によらなければすることができない対象の範囲は建築士法で確認
第5条の6第2項・第3項構造設計一級建築士、設備設計一級建築士の設計又は確認を求める第1号が挙げている
第5条の6第4項・第5項建築主が工事監理者を定める。違反した工事はすることができない第4項は第1号に挙げられていない
第101条第2項故意の場合に建築主等にも同項の刑を科す第1号は含まない
第1号の罰金は、100万円以下と定められています
これは建築基準法の罰則であり、消防法令の義務とは別の規定です。
また、どの建築物が第5条の6の対象に当たるか、誰が違反した者に当たるかは、第101条には書かれていません。
工事を頼む側も請け負う側も、こうした罰則があることを頭に入れておくと安心です。
明日から、次の点を確認してください。
  • 工事をする建物が、建築士の設計を求める第5条の6の対象かを、建築の窓口で確かめる。
  • 設計図書が、建築士の設計によるものかを、設計の契約書で確かめる。
  • 建築主は、建築士である工事監理者を定めているかを、契約で確かめる。
  • 工事施工者は、設計によらない工事になっていないかを、着工の前に確かめる。
  • 建物の防火管理などの義務は別の規定なので、所轄消防署へ確かめる。
建築基準法の罰則については建築の窓口に、消防法令の義務については所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。

整理はできました。
現場では、何から確かめればよいですか。

まず、その工事が第5条の6の対象に当たるかを確認しましょう。
消防法令の義務は、所轄消防署に別に確かめます。

よくある質問

Q第1号は誰を罰しますか?
A第5条の6の違反があった場合の、その建築物の工事施工者を、100万円以下の罰金に処すると定めています。
Q第1号は第5条の6のどの項を挙げていますか?
A第1項から第3項まで又は第5項を挙げています。第4項は挙げられていません。
Q構造設計一級建築士や設備設計一級建築士は、どの項に出てきますか?
A構造設計一級建築士は第2項に、設備設計一級建築士は第3項に出てきます。
Q第2項の故意の規定は第1号にも及びますか?
A第2項が挙げているのは第3号、第4号、第6号で、第1号は含まれていません。

まとめ

✔第101条の第1号は、第5条の6の違反があった場合の工事施工者を、100万円以下の罰金で罰すると定めています。
✔第1号が挙げるのは、第5条の6の第1項から第3項まで又は第5項で、第4項は挙げていません。
✔第1項は、建築士法が定める一定の建築物の工事について、建築士の設計を求めています。
✔第2項と第3項は、構造設計一級建築士と設備設計一級建築士の設計を求めています。
✔第2項の故意の規定は、第3号、第4号、第6号を挙げ、第1号は含みません。
✔どの建築物が対象に当たるか、誰が違反した者に当たるかは、第101条には書かれていません。
✔これは建築基準法の罰則で、消防法令の義務とは別なので、防火管理者は建築の窓口と所轄消防署の両方に確認します。

建築士の設計によらない工事に罰則があることがよく分かりました。
まず、第5条の6の対象かを確認します!

建築の罰則と消防の罰則は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第五条の六・第百一条(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。罰則の適用は事案ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
夕日の中で木造の骨組みと鉄骨が組まれた建築現場と設計図の写真
一定の建物は、建築士の設計でなければ工事ができないと聞いたことがあるかもしれません。建築基準法第5条の6がその定めで、これに違反した場合の罰則が第101条の第1号に置かれています。今回は第1号を、罰せられる人と根拠になる...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →