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末端試験弁がないスプリンクラー設備はどうやって放水性能を確かめるのか|圧力計の指示値から計算する点検方法を解説

末端試験弁がないスプリンクラー設備の点検風景。スプリンクラーヘッドと圧力計付きの測定装置、点検記録用のクリップボード

スプリンクラー設備の点検では、配管の末端に付いている末端試験弁を開き、そこから出る水の圧力を確かめるのが基本です。
ところが特定施設水道連結型スプリンクラー設備など一部の設備には、この末端試験弁そのものが設置されていないことがあります。
弁がなければ、開けて確かめるという普段の方法はそもそも使えません。
末端試験弁がない設備は、圧力計の指示値から計算した放水圧力で性能を確かめます

うちのスプリンクラー、点検のときに末端試験弁が見当たらないんです。

それは特定施設水道連結型という方式かもしれません。
弁がない代わりに専用の装置で確かめます。

装置だけで本当に性能が確認できるんですか。

圧力計の指示値を基に計算すれば、弁を開けなくても同じように確認できます。

この記事の結論
  • 対象は特定施設水道連結型スプリンクラー設備のうち、放水圧力及び放水量を測定できる装置があるものに限られます
  • 末端試験弁がない場合は、その装置の圧力計の指示値を基に計算した放水圧力で確認します
  • 判定基準の放水圧力は0.02MPa以上1MPa以下(仕上げが準不燃材料以外は0.05MPa以上1MPa以下)に変わります
  • 点検は常用電源のまま行ってよい場合があります
  • 乾式・予作動式は止水弁の閉止と感知器の作動確認を経てから試験弁を操作します

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末端試験弁がなくても点検は欠かせないことを示す図解。対象は特定施設水道連結型だけ、圧力計の指示値から計算する、常用電源のままでもよい、乾式と予作動式は二段階、基準値以上かを判定するの5点を整理

末端試験弁を省略できるのはどんな設備か

末端試験弁がある通常のスプリンクラー配管と、弁のない特定施設水道連結型スプリンクラー設備の測定装置を比較したイラスト
多くのスプリンクラー設備は、配管の末端に末端試験弁という専用の弁を設けて点検します。
しかし一部の設備だけは、この弁自体を省略してよいと定められています。
問1 消防法施行規則第十四条第一項第五号の二は、閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いる設備の配管の末端に末端試験弁を設けるよう定めているが、特定施設水道連結型スプリンクラー設備でその放水圧力及び放水量を測定することができるものは、末端試験弁を設けないことができるとされているが、これでよいか。
答1 お見込みのとおりである。放水圧力及び放水量を測定できる装置を備えていれば、末端試験弁を設けなくてよい。
省略が認められるのは特定施設水道連結型スプリンクラー設備だけです。
この設備は、水道の配管にそのままつないで使う小規模な建物向けのスプリンクラーで、ポンプや水源を設けない場合もあります。
末端試験弁を省略できるのは、代わりに放水圧力及び放水量を測定できる専用の装置を備えている設備に限られます。
弁が無いからといって、どの設備でも点検を省略してよいわけではありません。
まず自分の建物がこの対象に当たるかどうかを確認することが、点検の出発点になります。

うちは水道に直結した小さいスプリンクラーなんですが、これに当たるんでしょうか。

放水圧力と放水量を測る装置が付いていれば、それが対象の特定施設水道連結型です。

末端試験弁がないとき放水性能はどうやって確かめるのか

圧力計の指示値を基に放水圧力を計算して確認する様子を示したイラスト
末端試験弁を開けて圧力計を読む、という普段の確認方法はここでは使えません。
では、何を読み取って判断するのでしょうか。
問2 点検要領では、末端試験弁を設けない特定施設水道連結型スプリンクラー設備について、放水圧力及び放水量を測定することができる装置の圧力計の指示値を基に計算した放水圧力で確認するとされているが、これでよいか。
答2 お見込みのとおりである。当該装置の圧力計の指示値を基に計算した放水圧力で確認する。
確認に使うのは、設備に組み込まれた測定装置の圧力計です。
末端試験弁を開ける代わりに、自動火災報知設備の感知器の作動と連動させるなどして加圧送水装置を起動させます。
そのうえで、最遠と直近それぞれの位置について、装置の圧力計の指示値を基に計算した放水圧力を読み取ります。
弁を手で開ける操作がない分、どの装置の値を読むのかを事前に把握しておくことが欠かせません。
判定基準の数値そのものも、通常の末端試験弁がある設備とは異なります。

装置の圧力計を読むだけで、最遠と直近の両方が分かるんですか。

起動させた状態でそれぞれの位置の指示値を読み、計算した放水圧力で確認します。

点検のときに常用電源のままでよいのはなぜか

常用電源のまま加圧送水装置を点検する様子と非常用発電機が接続されていない様子を示したイラスト
加圧送水装置の点検は、本来は非常電源に切り替えて行うのが原則です。
しかし、いくつかの場合はこの切り替えをしなくてよいとされています。
問3 点検要領では、病院等で非常電源に切り替えて点検することが短時間であっても困難な場合又は特定施設水道連結型スプリンクラー設備は、常用電源で点検することができるとされているが、これでよいか。
答3 お見込みのとおりである。該当する場合は常用電源のまま点検してよい。
常用電源のままでよいのは、2つの場合に限られます。
一つは病院等で非常電源への切り替えが短時間でも困難な場合、もう一つは特定施設水道連結型スプリンクラー設備そのものです。
この設備は小規模な建物向けで、そもそも非常電源を備えていないことがあるため、常用電源での点検が前提になっています。
対象外の設備まで常用電源のまま点検してよいわけではないので、切り替えを省略できる根拠を確認してから進める必要があります。

非常電源に切り替えないで点検していいんですか、ちょっと不安です。

対象の設備であれば認められています。
もともと非常電源を前提にしていない設備なんです。

乾式と予作動式ではどこを多く確かめるのか

乾式は止水弁の操作、予作動式は感知器と電動バルブの作動確認を経る二段階の点検手順を示したイラスト
開放型や湿式とは異なり、乾式・予作動式のスプリンクラー設備には配管の中に水がない状態があります。
そのぶん、点検で確かめる手順にも段差があります。
問4 点検要領では、乾式にあっては流水検知装置二次側の止水弁を閉止し試験弁又は排水弁の操作により確認し、予作動式にあってはさらに感知器を作動させ電動バルブ等が作動したことを確認した後に試験弁又は排水弁を開放して確認するとされているが、これでよいか。
答4 お見込みのとおりである。予作動式は感知器の作動確認が一段階多い。
乾式は、止水弁を閉じてから試験弁や排水弁を操作するだけで確認が終わります。
予作動式はそれだけでは足りず、まず感知器を作動させ、電動バルブ等が実際に作動したことを確かめる段階を経ます。
その確認が終わってはじめて、試験弁又は排水弁を開放して加圧送水装置の起動を確かめます。
手順を一段階飛ばしてしまうと、予作動式ならではの電動バルブの作動確認が抜け落ちてしまいます。

予作動式は乾式より手順が1つ多いんですね。

感知器と電動バルブの作動を確かめる段階が入るので、そこを飛ばさないようにしてください。

判定基準の放水圧力はなぜ下がるのか

特定施設水道連結型スプリンクラー設備の判定基準となる圧力計のしきい値を示したイラスト
通常のスプリンクラー設備の放水圧力は0.1MPa以上1MPa以下が基準です。
ところが特定施設水道連結型スプリンクラー設備では、この基準自体が変わります。
問5 消防法施行規則第十三条の六第2項では、特定施設水道連結型スプリンクラー設備の放水圧力の基準を、通常の0.1MPa以上1MPa以下に対して0.02MPa以上1MPa以下(壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料以外の材料でした場合は0.05MPa以上1MPa以下)と定めているが、これでよいか。
答5 お見込みのとおりである。仕上げが準不燃材料かどうかで下限値がさらに分かれる。
放水圧力の下限が下がるのは、水道の配管にそのままつないで使うため十分な圧力を確保しにくい事情があるからです。
その代わりに、壁や天井の仕上げが燃えにくい準不燃材料でなければ、下限値は0.05MPa以上とさらに高く設定されます。
点検ではこの数値を物差しにして、計算した放水圧力が基準を満たしているかを判定します。
基準値そのものが設備の種類ごとに違うので、点検の前にどちらの基準で判定するのかを確認しておく必要があります。

うちの建物はどっちの基準になるのか、ちょっと分からないです。

仕上げが準不燃材料かどうかで変わるので、まずそこを確認しましょう。

よくある質問

Q末端試験弁がないスプリンクラー設備は、どの設備が対象になるのか?
A特定施設水道連結型スプリンクラー設備のうち、放水圧力及び放水量を測定することができる装置を備えているものに限られます。
Q末端試験弁を開けずに、どうやって放水性能を確認するのか?
A設備に組み込まれた測定装置の圧力計の指示値を基に計算した放水圧力で確認します。
Q点検のときは必ず非常電源に切り替えなければならないのか?
A病院等で切り替えが短時間でも困難な場合、または特定施設水道連結型スプリンクラー設備であれば、常用電源のまま点検することができます。
Q予作動式のスプリンクラー設備は、乾式よりも確認する手順が多いのか?
Aはい。止水弁の閉止に加えて感知器と電動バルブ等の作動確認という段階が一つ多く入ります。

まとめ

✔末端試験弁を省略できるのは特定施設水道連結型スプリンクラー設備のうち、放水圧力・放水量を測定できる装置があるものに限られます
✔省略した場合は、その装置の圧力計の指示値を基に計算した放水圧力で確認します
✔加圧送水装置は最遠・直近それぞれの位置で指示値を読み、計算して放水圧力を求めます
✔非常電源への切り替えは、病院等で切り替えが困難な場合とこの設備自体に限り省略できます
✔乾式は止水弁の閉止と試験弁・排水弁の操作で確認します
✔予作動式はさらに感知器と電動バルブ等の作動確認を経てから試験弁・排水弁を操作します
✔判定基準の放水圧力は0.02MPa以上1MPa以下(仕上げが準不燃材料以外は0.05MPa以上1MPa以下)に変わります

装置の読み方まで分かれば、点検のときに迷わずに済みます!

特定施設水道連結型の点検でお困りなら、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第十三条の六第2項
  • 消防法施行規則第十四条第一項第五号の二
  • 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年6月11日消防予第172号)別添第3
  • e-Gov法令検索(デジタル庁)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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