屋内消火栓設備の点検は、ポンプや配管だけに目が行きがちです。
けれど点検要領は、水を送り出す前の水源にも、貯水槽・水量・給水装置・バルブ類という項目を細かく割り当てています。
中でも兼用と自然水利には、点検要領が専用の留意事項を置いています。
この記事では、屋内消火栓の水源点検で何を・どう確かめるのかを、施行令と点検要領から整理します。
うちのビルの消火栓は、屋上の受水槽をほかの設備と共有しているみたいなんです。
水源を兼用している場合は、点検要領に専用の確認事項があります。
順番に見ていきましょう。
裏の池からポンプで吸い上げている設備もあるんですが、これも点検の対象になりますか。
自然水利は四季を通じた水量の確保が論点です。
あわせて整理します。
- 屋内消火栓の水源は、消防法施行令が水量の基準を定めています。
- 水量は水位計の機能を確認したうえで確かめ、水位計がないものはマンホールを開けて検尺します。
- 他の施設・設備と水源を兼用する場合は、必要規定量を算定し直して確認します。
- 河川・湖沼・池等の自然水利を用いる場合は、四季を通して規定水量を確保できることを確認します。
- 水状・給水装置・バルブ類も、それぞれ点検要領の判定方法に沿って確認します。
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目次
屋内消火栓の水源はまず何を点検で確かめるのか

まず、施行令が定める規定水量の考え方を確認します。
第1号ハ 水源は、その水量が屋内消火栓の設置個数が最も多い階における当該設置個数(当該設置個数が二を超えるときは、二とする。)に二・六立方メートルを乗じて得た量以上の量となるように設けること。
第2号イ(4) 水源は、その水量が屋内消火栓の設置個数が最も多い階における当該設置個数(当該設置個数が二を超えるときは、二とする。)に一・二立方メートルを乗じて得た量以上の量となるように設けること。
1号消火栓等の防火対象物では2.6立方メートルに設置個数(上限2)を掛けた量、2号消火栓等では1.2立方メートルに設置個数(上限2)を掛けた量が下限です。
点検要領は、この規定水量を確保した貯水槽そのものについて、まず外形を確認するよう定めています。
確認方法は目視で、判定は変形・損傷・漏水・漏気・著しい腐食等がないことです。
だから点検の前に、建物の屋内消火栓が1号系統か2号系統かを、設計図書で確かめておきましょう。
うちが1号消火栓なのか2号消火栓なのか、設計図書を見ればわかりますか。
はい、設置基準の根拠条項が明記されています。
あわせて確認しておきましょう。
屋内消火栓の水量は点検でどうやって確かめるのか

点検要領の文は、次のとおりです。
水量 点検方法:水位計の機能を調べたのちこれにより確認する。なお、水位計のないものにあっては、マンホールの蓋等を開けて検尺する。
判定方法:規定の水量が確保されていること。
まず水位計の機能そのものを調べ、そのうえで指示値により水量を確認します。
水位計のない貯水槽は、マンホールの蓋等を開けて検尺で直接測ります。
判定は「規定の水量が確保されていること」で、さきほど確認した2.6立方メートル又は1.2立方メートルの基準と照らして確認します。
だから点検の当日は、検尺棒とマンホールの鍵を、あらかじめ用意しておきましょう。
水位計の数値を読むだけでは、だめなんですか。
点検要領は水位計の機能を調べたのち確認する、としています。
壊れた水位計の数値は当てになりません。
他の施設と水源を兼用しているときは何を確かめるのか

点検要領は、この場合に特有の留意事項を置いています。
水量 判定方法:規定の水量が確保されていること。
※(ア) 他の施設・設備と水源を兼用する場合は、必要規定量を算定し確認すること。
屋上の受水槽をほかの用途と共有していたり、ほかの消防用設備と同じ水槽を使っていたりするケースが対象です。
点検要領は算定の手順や計算式までは示しておらず、各設備の規定水量を積み上げて確認することになります。
屋内消火栓側の規定水量は、さきほど確認した2.6立方メートル又は1.2立方メートルに設置個数を掛けた量です。
だから兼用水源のビルでは、点検のたびに他設備側の使用量や設計変更の有無も、あわせて確かめましょう。
ほかの用途で水位が下がっている時期に点検したら、水量不足と判定されますか。
兼用している以上、屋内消火栓分の必要量が確保されているかで判定します。
他設備側の運用もあわせて確認しましょう。
河川や池を水源にしているときは何を確かめるのか

この場合も、点検要領に固有の留意事項があります。
水量 判定方法:規定の水量が確保されていること。
※(イ) 河川、湖沼、池等の自然水利を用いる場合は、四季を通して常に規定水量が確保できること。
河川・湖沼・池等を水源にしている場合、渇水期でも規定水量を下回らないことが条件です。
点検要領は「四季を通して」と定めており、点検時にたまたま満水でも、それだけでは足りません。
点検者は、過去の水位の記録や渇水期の実績を、関係者に確認する必要があります。
だから自然水利を使う建物では、点検の記録に季節ごとの水位も残しておくと、次回の判定がしやすくなります。
夏場に点検して満水なら、それで合格にしてよいのですか。
点検要領は四季を通しての確保を求めています。
一回の点検結果だけでは判断できません。
水の状態と給水装置とバルブ類はどう点検するのか

点検要領には、次の定めがあります。
水状 点検方法:マンホールの蓋等を開け、目視又はバケツ等を用いて採水して確認する。
判定方法:著しい腐敗、浮遊物、沈澱物等がなく、使用上支障がないこと。
給水装置 点検方法:目視及び排水弁の操作により確認する。なお、排水量が非常に多い場合又は排水弁が設けられていないもの等この方法によりがたいときは、水位電極を用いるものは電極の回路の配線を外すこと等により、ボールタップを用いるものはボールを水中に没すること等により、それぞれ減水状態にして給水を、その後もとに戻すことにより満水状態を再現して、給水の停止を確認する。
判定方法:ア 変形、損傷、著しい腐食等がないこと。イ 減水状態では給水し、満水状態では給水が停止すること。
バルブ類 点検方法:目視及び手で操作することにより確認する。
判定方法:ア 漏れ、変形、損傷等がないこと。イ 開閉位置が正常であり、開閉操作が容易にできること。ウ 「常時開」又は「常時閉」の表示が適正であること。
水状はマンホールを開けてバケツ等で採水し、腐敗や浮遊物・沈澱物がないかを見ます。
給水装置は排水弁を操作して減水・満水の状態を再現し、水位電極やボールタップが正しく給水を停止するかを確かめます。
バルブ類は手で操作し、開閉位置と「常時開」「常時閉」の表示が実際の状態と合っているかを見ます。
だから点検の際は、排水弁を操作してよい条件(水質・排水先)を事前に確認してから、作業に入りましょう。
排水弁を操作するのは、少し心配です。
排水量が多い場合は電極やボールタップでの再現に切り替えられます。
無理に排水しなくても確認できます。
よくある質問
まとめ
まず、うちの建物の水源の方式を図面で確かめてみます!
兼用や自然水利は、点検要領の留意事項をふまえて確認する点検です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法第17条の3の3(消防用設備等の定期点検及び報告)
- 消防法施行令第11条(屋内消火栓設備に関する基準)第3項第1号ハ・第2号イ(4)
- 消防用設備等の点検要領の全部改正について(平成14年6月11日消防予第172号) 別添 第2 屋内消火栓設備
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検の実際の進め方は設備の状況と所轄消防署の指導によります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





