パイプダクトやダムウェーターにも煙感知器は要るのか、壁のないオープンな階段はどう扱うのか——昭和44年の質疑応答には、今も使える線引きが残っています。
消防実務六法には、煙感知器をどこに設けるべきかをめぐって、当時の消防庁が答えた質疑応答が数多く収録されています。
この記事では、そのなかから五つを選び、現行の消防法施行規則と照らし合わせて読み直します。
階段やダクト、機械室で煙感知器をどこまで省略できるのかを順に確かめていきましょう。
うちのビル、階段の横にパイプダクトがあるんですが、あれにも煙感知器って要るんでしょうか。
昭和44年の質疑応答に、まさにその疑問へ答えた回答が残っていますよ。
オープンな階段とか機械室とか、場所によって扱いが変わったりするんですか。
はい。
今日は五つの質疑応答を、現行の条文に当てはめて順番に見ていきましょう。
- パイプダクトやダムウェーター等の縦穴は原則として煙感知器の設置対象で、延焼のおそれが著しく少なければ令第32条の特例で省略できるとされました
- 階段の煙感知器は出入口の近くではなく、踊り場の天井に設置すべきとされました
- 壁のないオープンな階段は、外部の気流が流通し有効に感知できない場所に該当すれば設置を要しないとされました
- 階段室のない階段や倉庫の階段も、原則として煙感知器の設置が必要とされました
- 機械室は著しく高温となる場所を避ければ設置でき、発電機室・駐車場・格納庫は一般に除外対象として扱われてきました
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目次
パイプダクトやダムウェーターにも煙感知器は要るのか

階段の周囲に間仕切りがない建物では、この縦穴をどう扱うのか迷う場面があります。
(昭和44年11月20日 消防予第265号 消防庁予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
現行の規則第23条第5項第3号は、エレベーターの昇降路、リネンシュート、パイプダクトその他これらに類するものに煙感知器を設けることと定めています。
パイプダクトやダムウェーターもこの「その他これらに類するもの」に含まれ、原則どおりなら設置が必要です。
この回答が示した「延焼のおそれがない」という例外判断は、現行の令第32条の特例基準がそのまま引き継いでいます。
ただし特例の適用は所轄消防署の個別判断で、縦穴があるからといって自動的に省略できるわけではありません。
うちのダムウェーターも、縦穴だから対象になるってことですね。
はい。
延焼のおそれが著しく少ないと判断されない限り、設置が原則です。
階段の煙感知器はどこに取り付けるのが正しいのか

煙は踊り場までは上がらないだろうと考えて、出入口の近くに付けてよいかという質問が残っています。
(昭和44年11月20日 消防予第265号 消防庁予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
現行の規則第23条第5項第1号は、階段及び傾斜路に煙感知器を設けることを定めていますが、具体的な取付け位置までは条文に書かれていません。
この回答は、煙が滞留しやすい踊り場の天井こそが有効に感知できる位置だと示しました。
階段の構造や踊り場の数が増えるほど、出入口付近だけに頼る配置では感知が遅れるおそれがあります。
現場で感知器の位置を確認するときは、出入口ではなく踊り場の天井を基準に見る習慣をつけておくと安心です。
うちの階段、出入口の近くにしか付いてなかった気がします。
踊り場の天井に付いているか、一度確認してみましょう。
壁のないオープンな階段でも煙感知器は要るのか

囲む壁がない場合、煙感知器の設置そのものが必要なのかという質問です。
(昭和44年11月20日 消防予第265号 消防庁予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
現行の規則第23条第4項第1号ロは、「上屋その他外部の気流が流通する場所で、感知器によつては当該場所における火災の発生を有効に感知することができないもの」を設置除外の対象としていて、この条番号は昭和44年当時からそのまま変わっていません。
壁のないオープンな階段は煙が拡散してしまい、感知器を置いても有効に働かない典型例として扱われます。
ただし「壁がない=即除外」ではなく、気流の流通具合によって火災を有効に感知できないと言えるかどうかが判断の分かれ目です。
屋外階段や吹き抜け階段を設計・改修するときは、この除外規定に当てはまるかを所轄消防署と具体的に確認する必要があります。
うちの非常階段、屋外のオープンなタイプなんですが、それなら要らないってことですか。
気流の状況次第です。
所轄消防署に確認してから判断しましょう。
階段室のない階段や倉庫の階段はどうか

用途や構造が特殊な建物でも、煙感知器の設置義務は同じように及ぶのでしょうか。
(昭和44年11月20日 消防予第265号 消防庁予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
現行の規則第23条第5項第1号は「階段及び傾斜路」とだけ定めていて、階段室で囲まれているかどうかという構造の条件は付いていません。
倉庫のように人が常時いない用途であっても、対象となる防火対象物(令第21条第1項各号)に該当すれば、階段には原則として煙感知器が必要です。
例外として設置を省略できるのは、前の項目で見た令第32条の特例や、気流が流通して有効に感知できない場合に限られます。
階段の見た目が簡素だからといって、設置義務そのものが軽くなるわけではないという点を押さえておく必要があります。
倉庫の裏階段くらいなら、要らないと思ってました。
原則は設置が必要です。
省略できるのは特例に当てはまる場合だけです。
機械室や発電機室にも煙感知器は要るのか

特に地階の機械室で、煙感知器をそのまま設置してよいのかという質問です。
(昭和44年11月20日 消防予第265号 消防庁予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
現行の規則第23条第4項第1号ニは、じんあいや水蒸気が多量に滞留する場所、著しく高温となる場所など、煙感知器の設置を避けるべき場所を列挙しています。
機械室そのものが一律に除外されるわけではなく、室内のどの部分がこの列挙に当てはまるかを個別に見る必要があります。
発電機室・駐車場・格納庫を煙感知器の設置場所から外すという扱いは、排気や粉じんの多い場所という共通点から実務上積み重ねられてきたものです。
機械室に設備を増設するときは、新しく高温・排気の発生源が加わっていないかを都度見直す必要があります。
地階の機械室に発電機があるんですが、煙感知器は付けなくていいんですか。
発電機室は除外対象として扱われてきましたが、室内の配置次第なので確認しておきましょう。
よくある質問
まとめ
階段やダクト、機械室の感知器も、根拠を確かめれば迷わず判断できそうです。
令第32条の特例は、所轄の消防機関との相談が前提です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第21条・第32条
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第23条
- パイプダクト等の煙感知器設置に関する質疑(昭和44年11月20日 消防予第265号 消防庁予防課長から都道府県消防主管部長あて回答)
- 階段の煙感知器取付け位置に関する質疑(同上)
- オープンな階段の煙感知器設置に関する質疑(同上)
- 階段室のない階段の煙感知器設置に関する質疑(同上)
- 機械室の煙感知器設置に関する質疑(同上)
- 消防実務六法 質疑応答編
※本記事は公表されている法令および通達に基づく一般的な解説です。掲載した回答は発出当時のもので、条番号や機関の名称、単位等は当時のものです。その後の改正により運用が変わっている場合があります。個別の事案についての適用は、所轄消防署にご確認ください。





