給油取扱所の地下に埋設されたタンクには、ガソリンの量を確認するための液面計が取り付けられています。
この液面計をタンクに固定している部分には、気密を保つためのゴム製パッキンが使われています。
パッキンが経年劣化で傷めば、そのすき間から雨水や地下水がじわじわと入り込みます。
消防庁は平成30年の執務資料で、このパッキンの劣化が車のエンジン故障まで招いた事例を示しました。
うちの給油取扱所にも地下タンクの液面計がありますが、見た目には特に異常はありません。
パッキンまで気にする必要があるんでしょうか。
見た目に異常がなくても、パッキンは経年劣化で気密が失われることがあります。
消防庁の執務資料にその実例が示されています。
気密が失われると、どんな問題につながるんでしょうか。
実際にお客様の車両が故障した事例があります。
順に見ていきましょう。
- 消防庁は平成30年5月29日付け消防危第101号の執務資料で、地下貯蔵タンクの液面計のパッキンが経年劣化で破損し気密漏れが生じた事例を示しました
- 気密漏れでタンク内のガソリンに水が混入したが気づかずに販売したため、給油した車両のエンジンに不具合が生じました
- 地下貯蔵タンクの計量口は、政令で計量するとき以外は閉鎖しておくことが定められています
- 見落としやすいのは、パッキンの劣化は外観の目視点検だけでは気づきにくいことです
- 日常の点検では、水分検知の器具でタンク内の水の有無を確認することが欠かせません
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目次
地下タンクの液面計はなぜ車の故障を招いたのか

地下貯蔵タンクの液面計を取り付けている部分から、気づかないうちに水が入り込んでいました。
液面計は、タンクの計量口に取り付けられてタンク内のガソリンの量を外から示す装置です。
この液面計とタンクの接合部には、気密を保つためのゴム製パッキンが使われています。
パッキンは目には見えにくい形で経年劣化し、やがて小さなすき間から地下水や雨水を通すようになります。
今回の事故では、このすき間から入り込んだ水がガソリンに混ざり、販売されたあとに車両側の不具合として表面化しました。
地下タンクの液面計なんて、普段あまり意識したことがありませんでした。
見た目には分かりにくい場所に、気密を保つ部品が隠れています。
どんな役割を持つ設備か、確認していきましょう。
液面計はどんな役割を持つ設備なのか

液面計は、この開口部を閉じたまま中の様子を外へ伝える役割を持っています。
地下貯蔵タンクは地中に埋まっているため、中の液量を直接のぞくことができません。
そこで計量口にフロート式などの液面計を取り付け、閉じたままタンク内の量を外から確認できるようにしています。
政令はこの計量口を計量するとき以外は閉鎖しておくことと定めており、常時は密閉された状態を保つことが前提です。
液面計はこの密閉を保ちながら計量機能を提供する部品なので、取付部の気密性そのものが安全上の要件になります。
計量口は、ふだんは閉じたままの場所なんですね。
閉じたまま使えるようにする役目が液面計にあります。
次に、密閉が崩れるとどうなるかを見ていきましょう。
なぜ水の混入に気づかず販売してしまったのか

水はガソリンより重いため、タンクの底にじわじわとたまっていきます。
パッキンのすき間から入った水は、比重の違いでガソリンの層の下に沈み、上からのぞいただけでは気づきにくい状態になります。
定期点検は本来、タンクや配管が技術上の基準に適合しているかを確認する機会ですが、外観の目視だけでは内部の水の有無までは分かりません。
今回の事例でも、販売の時点まで水が混入していることに誰も気づかず、そのままガソリンとして給油されてしまいました。
給油を受けた車両では、水を含んだ燃料がエンジン側の不具合につながりました。
タンクの中をのぞくだけでは、水が入っているかどうか分からないんですね。
比重の違いで底に沈むため、見ただけでは判断できません。
だからこそ、別の方法で確認する必要があります。
実務で見落としやすいのはどこか

経年劣化は、ひび割れのようにはっきり目に見える形で進むとは限りません。
今回のパッキンの破損も、まさにこの経年劣化による物的要因のひとつです。
外観点検で異常が見当たらないことと、内部の気密が保たれていることは同じではありません。
目視による外観点検だけで安心してしまうと、パッキンのような消耗部品の劣化を見逃しやすくなります。
見た目に問題がなくても、安心してはいけないんですね。
消耗部品だという意識を持つことが大切です。
最後に、明日からできる確認を見ていきましょう。
明日からなにを確認すればよいのか

パッキンそのものの劣化は見えなくても、水の混入なら別の方法で確認できます。
まず、水分検知の器具を計量口から差し込み、タンク内に水がたまっていないかを定期的に確認します。
次に、液面計取付部のパッキンも消耗部品として計画的に交換を検討します。
最後に、確認した結果を点検記録として残し、保安教育のなかで従業員にも水の混入リスクを共有します。
小さな部品の劣化が車両故障という大きな問題につながることを忘れずにいたいところです。
水分検知の器具なら、うちでもすぐに確認できそうです。
定期的な確認が一番の予防になります。
記録に残すところまで一緒に整えましょう。
よくある質問
まとめ
小さな部品も消耗品として見ていく習慣が大事だと分かりました。
点検のご相談はいつでもお寄せください。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 平成29年中の危険物に係る事故に関する執務資料の送付について(通知)(平成30年5月29日付け消防危第101号、消防庁危険物保安室長発出)別添1
- 危険物の規制に関する政令第26条第1項第4号(計量口の閉鎖)
- 危険物の規制に関する規則第62条の4第2項(定期点検の対象)
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





