大きなビルには、水を出す消火設備や煙を感知する警報設備など、たくさんの消防用設備等が置かれています。
それらを一つの盤でまとめて監視できるのが総合操作盤ですが、画面に出てくる項目の数は設備の種類によって違います。
屋内消火栓設備とスプリンクラー設備、自動火災報知設備と連結送水管では、表示・警報・操作のどこが増減するのかが変わってきます。
この項目数の違いがどんな決まりで割り振られているのかを解説します。
総合操作盤の画面、設備によって出てくる項目の数が全然違う気がするんですが、これって決まりがあるんでしょうか。
はい、総合操作盤が扱う表示・警報・操作の項目は、消防庁告示が設備ごとに別表で定めています。
全部の設備に同じ項目が並んでいるわけじゃないんですね。
そうです。
まずは告示がどんな仕組みで項目を割り振っているのか確認しましょう。
- 総合操作盤の表示・警報・操作の各機能は、総合操作盤の基準を定める件(平成16年消防庁告示第7号)の別表第1〜第3で設備ごとに定められている
- 屋内消火栓設備の表示項目は6つ・警報項目は2つだが、スプリンクラー設備は流水検知装置や感知器の項目が加わってどちらも増える
- 自動火災報知設備やガス漏れ火災警報設備は、個別列挙ではなく施行規則が定める受信機の表示・警報・操作事項をそのまま引用する形になっている
- 連結散水設備・非常コンセント設備・無線通信補助設備の3つは、別表第3に操作項目が定められていない
- 点検では、この表示・警報・操作の各項目が告示どおりに動くかどうかを消防用設備等の点検要領に沿って確認する
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目次
総合操作盤の表示・警報・操作はどの告示で決まっているのか

まず機能そのものの根拠を確認します。
根拠は総合操作盤の基準を定める件(平成16年消防庁告示第7号)です。
第五が表示機能、第六が警報機能、第七が操作機能を定め、それぞれ「消防用設備等ごとの項目は別表第2・別表第3による」と条文の中で指定しています。
告示の根拠は消防法施行規則第12条第1項第8号で、屋内消火栓設備など規模の大きい防火対象物に総合操作盤の設置を求める条文です。
つまり設備ごとの項目数の差は、担当者の裁量ではなく告示の別表が決めている範囲です。
盤のメーカーが自由に決めてるわけじゃないんですね。
はい、まずは項目数が一番少ない設備から、実際の差を見ていきましょう。
屋内消火栓設備とスプリンクラー設備で項目数はどう変わるのか

別表第2の記載を見ます。
スプリンクラー設備の表示項目は、受信部の表示事項に加えてイからリまでの9項目(減圧状態・加圧送水装置の作動状態・電源断・呼水槽減水・水源水槽減水・総合操作盤電源・手動状態・感知器の作動状態・連動断)です。
警報項目も流水検知装置の作動状態・減圧状態・加圧送水装置の電源断・減水状態のイからニまでの4項目に増えています。
増える項目は「流水検知装置」と「感知器」で、ヘッドが開いて水が流れたこと自体を別の経路で確認する必要があるためです。
同じ水系消火設備でも、起動の仕組みが増えるぶん確認すべき項目も増えると考えると分かりやすくなります。
スプリンクラーは自動で水が出る分、確認する場所も増えるということですね。
そのとおりです。
次は項目の作り方そのものが違う設備を見てみましょう。
自動火災報知設備はなぜ受信機の項目をそのまま使うのか

別表第2の記載を確認します。
消火設備のように「イ・ロ・ハ」で一から項目を列挙するのではなく、施行規則が受信機そのものに課している表示・警報事項をまず引用し、そこに警戒区域図など総合操作盤ならではの項目だけを追加する形になっています。
操作項目も同じ作り方で、受信機の操作事項に復旧・連動移報切替え・表示切替えを加えたものです。
ガス漏れ火災警報設備も同じ構造で、受信機の表示・警報・操作事項をそのまま引用しています。
受信機の機能がすでに施行規則で細かく決まっているため、告示は二重に書き直さず引用で済ませていると考えると理解しやすくなります。
受信機にもう決まっていることは、わざわざ書き直さないんですね。
はい、ガス漏れ火災警報設備も同じ作り方です。
では逆に、項目が足りない設備も見てみましょう。
連結送水管や非常コンセント設備に操作項目が無いのはなぜか

別表第3の範囲を確認します。
別表第2ではこの3設備にも表示項目(連結散水設備は散水区域図・総合操作盤の電源の状態、非常コンセント設備は非常コンセントの位置・電源断の状態、無線通信補助設備は端子の位置・電源断の状態)が定められています。
しかし別表第3にはこの3設備の行が無いため、総合操作盤から遠隔で操作するという項目自体が制度上存在しません。
一方、同じく加圧送水装置を持つ連結送水管には、加圧送水装置の遠隔起動・警報停止という操作項目が別表第3にあります。
起動させる機器(ポンプ等)を持つ設備と、位置や電源の状態を示すだけの設備とで、操作項目の有無が分かれていると整理できます。
無線通信補助設備は、盤から動かすものが無いから操作項目も無いんですね。
そのとおりです。
最後に、この項目数の違いが点検でどう扱われるか確認しましょう。
項目数の差は点検でどう確認されるのか

点検要領での扱いを確認します。
屋内消火栓設備なら6つの表示項目と2つの警報項目、スプリンクラー設備なら流水検知装置や感知器の項目まで含めて、それぞれ告示で定められた数だけ確認します。
自動火災報知設備やガス漏れ火災警報設備は、受信機側の点検結果と総合操作盤側の表示・警報・操作が一致しているかを見ます。
連結散水設備や無線通信補助設備のように操作項目が無い設備は、表示が正しく出ているかだけを確認し、総合操作盤からの遠隔操作そのものを試す必要はありません。
点検のたびに「この設備はどの別表のどの項目まで確認すればよいか」を押さえておくと、作業の抜け漏れを防げます。
設備ごとに確認する項目の数が違うのは、点検票にもそのまま反映されているんですね。
はい、建物にある設備の種類ごとに、告示の別表を確認しながら点検を進めてください。
よくある質問
まとめ
うちの建物にある設備が、それぞれどの別表の項目に当たるのか、点検のときに一緒に確認してもらいます。
ぜひそうしてください。
表示・警報・操作がすべて告示どおりに動くか、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 総合操作盤の基準を定める件(平成16年消防庁告示第7号)第五・第六・第七・別表第1・別表第2・別表第3
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条第1項第8号
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の建物・設備の判断は所轄消防署や専門業者にご確認ください。





