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危険物施設の目視点検はなぜカメラでの代替が認められるようになったのか|令和3年消防危第43号が定めた画像保管と対象範囲を解説

危険物施設の目視点検はカメラでも代替できるのか

危険物施設の定期点検は、すべて自分の目で確かめなければならないと思っていませんか。
実は平成3年の消防危第48号通知は、長らく「目視」を前提にした点検表のままでした。
令和3年3月、この点検表にカメラやドローンでの代替を認める規定が加わりました。
消防庁の通知が示した代替の条件と、画像の保管ルールを解説します。

点検表の「目視」という項目は、カメラや拡大鏡を使っても大丈夫なのでしょうか。

目視と同等以上の情報が得られれば代替できます。
消防庁が示した具体的な条件を見ていきましょう。

代替といっても、どの設備のどの点検表でも使えるんですか。

そのとおりです。
まずはなぜ代替が認められるようになったのかから説明します。

この記事の結論
  • 令和3年3月26日、消防危第43号により定期点検の「目視」項目にカメラ等での代替が認められました
  • 対象は配管・タンク・消火設備など48号通知の点検表すべて(別記2〜14)です
  • 代替方法を使ったときは措置内容欄への記載と画像(動画を含む)の保管が必要です
  • ドローンを使う場合は別のガイドラインに基づく飛行計画書等を予防規程に位置づける必要があります
  • 保管する画像は少なくとも次回の点検までは所有者等が保管する義務があります

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危険物施設の目視点検をカメラで代替する手順を示す図解

危険物施設の目視点検はなぜカメラでの代替が認められるようになったのか

高経年化が進む危険物施設の屋外タンクと消防庁の通知文書を示すイメージ
危険物施設は年々数が減っているのに、点検現場の負担はそう簡単には減りません。
背景には、施設そのものの高経年化があります。
消防危第43号(令和3年3月26日) 危険物施設の高経年化が進んでいることを踏まえ、消防庁では平成29年度から「危険物施設の長期使用に係る調査検討会」を開催し、危険物施設の事故や点検・維持管理に関する実態、最新技術を用いたモニタリング・診断手法の開発状況等の調査を行い、危険物施設における事故の発生防止や被害軽減を推進するための方策について検討を行ってきたところです。
きっかけは高経年化と検査機器の進化です。
平成3年に定められた消防危第48号の点検表は、長らく「目視」だけを前提にしていました。
しかし現場では、ファイバースコープやカメラ、ドローンなど、目視を補う検査機器がすでに広く使われるようになっています。
そこで消防庁は、同検討会の検討結果を踏まえ、令和3年3月26日付けの消防危第43号で48号通知を一部改正しました。
今回の改正によって、点検表の「目視」という表現そのものの意味が明確になったといえます。

30年前の通知が、今になって見直されたんですね。

はい、現場の実態に合わせた見直しです。
次は対象になる範囲を見ていきましょう。

どの点検表のどんな項目が代替の対象になるのか

タンクや配管やポンプなど複数の種類の危険物施設が対象になることを示すイメージ
改正は特定の設備だけを狙ったものではありません。
対象になる範囲を確認しましょう。
消防危第48号(平成3年5月29日、令和3年3月消防危第43号改正) 別記2から別記14までの点検表(製造所・一般取扱所点検表、屋内貯蔵所点検表、屋外タンク貯蔵所点検表、地下タンク貯蔵所点検表、移動タンク貯蔵所点検表、屋外貯蔵所点検表、給油取扱所点検表、移送取扱所点検表、屋内(外)消火栓設備点検表、泡消火設備点検表、自動火災報知設備点検表(略))において、点検方法が「目視」となっているもの。
消防法第14条の3の2 政令で定める製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者は、これらの製造所、貯蔵所又は取扱所について、総務省令で定めるところにより、定期に点検し、その点検記録を作成し、これを保存しなければならない。
対象はかなり広いです。
危険物を扱うほぼすべての施設の定期点検表が、今回の対象に含まれます。
製造所や一般取扱所はもちろん、屋内・屋外・地下・移動タンクの各貯蔵所、給油取扱所、さらに消火設備や自動火災報知設備の点検表まで及びます。
一方で、対象になるのは点検方法が「目視」と定められている項目だけです。
作動確認やハンマーテストなど、もともと目視以外の方法が指定されている項目は、今回の改正の対象になりません。

うちの給油取扱所の点検表も対象になりますか。

はい、対象になります。
具体的にどんな方法が認められるのか見ていきましょう。

代替する方法として何が認められ何を残す必要があるのか

ファイバースコープやカメラや拡大鏡など目視点検を代替する検査機器を示すイメージ
代替が認められたといっても、何でもよいわけではありません。
消防庁が示した条件を確認します。
消防危第43号(令和3年3月26日) 点検を実施する者が自らの目視によるときと同等以上の情報が得られると判断した方法(例えば、ファイバースコープ、カメラ、拡大鏡等の検査器具類を使用した結果、目視と同等以上の情報が得られる方法等)で代替しても差し支えない。この場合において、点検表中の措置内容欄に代替方法で実施した旨を記載するとともに、用いた画像(動画を含む)を保管すること。
消防危第43号(令和3年3月26日) 検査器具類を搭載したドローン等を使用する場合は、「プラントにおけるドローンの安全な運用方法に関するガイドラインVer2.0」、「プラント内における危険区域の精緻な設定方法に関するガイドライン」等に基づく飛行計画書、自主行動計画を予防規程に基づく文書(添付書類等)に位置づけること。
代替方法として名前が挙がっているのはファイバースコープ・カメラ・拡大鏡等です。
「点検を実施する者が自ら目視と同等以上の情報が得られると判断した方法」であることが条件になります。
使ったときは、点検表の措置内容欄に代替方法で実施した旨を書き、用いた画像(動画を含む)を保管しておく必要があります。
さらに検査器具を載せたドローンを使う場合は、別のガイドラインに基づく飛行計画書や自主行動計画を予防規程の添付書類に位置づけることが追加で求められます。
ドローンによる屋外貯蔵タンクの点検そのものの実務は、別の記事でさらに詳しく解説しています。

ドローンを使うだけで条件が増えるんですね。

はい、空を飛ぶ分の安全対策が別途必要になります。
実務で見落としやすい点を次に説明します。

実務で見落としやすいのはどこか

小型ドローンと保管する画像フォルダを示すイメージ
代替が認められたからといって、安心しきるのは早計です。
見落としやすい点が2つあります。
消防危第43号(令和3年3月26日) 点検を実施する者が自らの目視によるときと同等以上の情報が得られると判断した方法(略)で代替しても差し支えない。
消防危第43号(令和3年3月26日) 48号通知の2(5)の方法において用いた画像(動画を含む)は、少なくとも次回の点検までは、当該製造所等の所有者等において保管する必要があること。
1つ目は判断の主体です。
「同等以上の情報が得られる」と判断するのは、点検を実施する者自身です。機器を導入しただけで安心せず、その判断根拠を自分で説明できる状態にしておく必要があります。
2つ目は画像の保管期間です。通知が求めるのは「少なくとも次回の点検まで」であり、点検記録そのものの保存期間(危険物の規制に関する規則第62条の8が定める通常3年間等)とは別の話です。
画像だけを早めに消してしまうと、次の点検で前回との比較ができなくなるおそれがあります。

画像は点検記録と同じ期間保管すればいいと思っていました。

条件が別なので、分けて管理すると安心です。
最後に、明日からの確認事項をまとめます。

明日からなにを確認すればよいのか

点検チェックリストと消防本部への電話相談を示すイメージ
ここまでの内容を、やることに落とし込みます。
特別な準備は要りません。順番に確認するだけです。
消防危第43号(令和3年3月26日) 今般、同検討会における検討等を踏まえ、定期点検においてドローン活用を位置付ける等のため、48号通知を一部改正するとともに、点検実施上の留意事項をとりまとめましたので、危険物施設の関係者への周知をお願いします。
確認は3つで足ります。
まず自分の施設の点検表で「目視」とされている項目を確認します。
次に、カメラやファイバースコープなどで代替する予定があるなら、措置内容欄への記載方法と画像の保管先を点検担当者とあらかじめ決めておきます。
ドローンを検討している場合は、関連するガイドラインに基づく飛行計画書を予防規程の添付書類として準備しておく必要があります。
迷ったときは、次回の点検のタイミングで管轄消防本部に相談してみてください。

次の点検のとき、点検表の「目視」の項目を確認してみます。

それでじゅうぶんです。
「目視」の項目の確認から始めましょう。

よくある質問

Q目視点検はすべてカメラで代替してよいですか?
A回答は、点検を実施する者が自ら目視するときと同等以上の情報が得られると判断できる方法に限られるとしています。判断根拠を示せない代替は認められません。
Qドローンを使うときに特別な手続きは必要ですか?
A回答は、検査器具類を搭載したドローン等を使う場合、関連するガイドラインに基づく飛行計画書や自主行動計画を予防規程に基づく文書に位置づける必要があるとしています。
Q代替方法で使った画像はいつまで保管すればよいですか?
A回答は、少なくとも次回の点検までは、当該製造所等の所有者等が保管する必要があるとしています。点検記録そのものの保存期間とは別に管理する必要があります。
Q今回の改正はどの通知に基づいていますか?
A回答は、令和3年3月26日付け消防危第43号により、平成3年5月29日付け消防危第48号「製造所等の定期点検に関する指導指針の整備について」が一部改正されたとしています。

まとめ

✔令和3年3月26日、消防危第43号により48号通知の点検表が一部改正されました
✔対象は配管・タンク・消火設備など48号通知の点検表すべてのうち「目視」項目です
✔代替にはファイバースコープ・カメラ・拡大鏡等の検査器具類が使えます
✔判断基準は目視と同等以上の情報が得られるかどうかです
✔使った画像は措置内容欄に記載し保管する必要があります
✔ドローンを使う場合は別のガイドラインに基づく飛行計画書が追加で必要です
✔画像の保管期間は少なくとも次回の点検までとされています

目視だけでなくカメラという選択肢があると分かりました。
助かります。

代替方法の記録、画像の保管、そしてドローンを使うときのガイドライン確認。
この3つを順に進めれば大きく外しません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 「製造所等の定期点検に関する指導指針の整備について」の一部改正について(令和3年3月26日 消防危第43号)
  • 製造所等の定期点検に関する指導指針の整備について(平成3年5月29日 消防危第48号、令和3年3月消防危第43号改正)
  • 消防法第14条の3の2
  • 危険物の規制に関する規則第62条の8

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。代替方法の判断や運用は事業所や管轄消防本部ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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