令和2年12月22日、愛知県名古屋市内の立体駐車場で二酸化炭素消火設備が誤操作により放出され、死者1名・負傷者10名を出す事故が起きました。
消防庁はこれまで平成3年の通知で二酸化炭素消火設備の安全対策を定めてきましたが、その中には工事やメンテナンスを行う作業員への対策も含まれています。
事故を受け、消防庁は改めてこの安全対策の再周知を求める通知を発出しました。
二酸化炭素消火設備の近くで工事をするとき、なぜ消防設備士等の立会いが必要になるのかを確かめます。
近くで空調工事をする予定があるんですが、二酸化炭素消火設備は大丈夫でしょうか。
実は立会いが必要な工事があります。
名古屋の事故をきっかけに確かめましょう。
事故があったんですか、知りませんでした。
死亡事故を機に安全対策が再周知されました。
中身を見ていきましょう。
- 二酸化炭素消火設備の近くで他の設備機器の工事等が行われるときは、専門資格者の立会いが必要です。
- 対象は設置工事・改修工事(特にはつり工事等)・メンテナンスです。
- 立会うのは第3類の消防設備士又は二酸化炭素消火設備を熟知した第1種の消防設備点検資格者です。
- 目的は、工事による電線路の短絡や振動などが原因の誤作動・誤放出を防ぐことです。
- このルールは平成3年の通知で定められ、令和4年のガイドラインでも引き続き適用されています。
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目次
二酸化炭素消火設備の安全対策はなぜ名古屋の事故で見直されたのか

消防庁はこの事故を受け、以前からの安全対策を改めて周知する通知を出しました。
消防庁はこれまで平成3年の通知で二酸化炭素消火設備の安全対策を定め、平成9年のガイドラインでその充実を図ってきました。
今回の事故を踏まえ、工事やメンテナンスが行われる際の安全対策についても、改めて建物関係者への周知を求めています。
消防庁の通知は都道府県の消防防災主管部長や東京消防庁・指定都市消防長宛てに出され、各施設の管理者まで周知するよう求める形が一般的です。
自分の建物に二酸化炭素消火設備があるかどうかは、まず防災センターや機械室付近の制御盤から確認できます。
死亡事故がきっかけだったんですね。
はい、平成3年からの安全対策が改めて周知されました。
次は対象になる工事を確認しましょう。
どんな工事のときに立会いが必要になるのか

周辺で行われる別の設備機器の工事も対象になります。
典型例としてあげられているのははつり工事のような壁や床を削る作業ですが、設置工事・改修工事・メンテナンス全般が対象です。
二酸化炭素消火設備そのものを触らない、例えば空調や電気設備の工事であっても、設置場所が近ければ対象になります。
令和4年のガイドラインでも、このルールは第15としてそのまま引き継がれています。
自分の建物で近く行われる工事があれば、まず二酸化炭素消火設備からの距離を確認しておく必要があります。
空調工事くらいなら関係ないと思ってました。
設備機器の工事全般が対象です。
次は誰が立会うのかを見ていきます。
立会う資格者は誰でなにを防ぐためなのか

決められた資格を持つ人に限られます。
目的は、工事中に生じる電線路の短絡や振動によって消火設備が誤って作動し、二酸化炭素が放出されてしまうことを防ぐためです。
令和4年のガイドラインは、このルールを「抑制通知第3の5」として名指しで引用しており、平成3年の規定が今も現役であることがわかります。
立会う資格者は、工事中に作業員へ注意・指導を行う役割を担います。
依頼する業者を選ぶときは、二酸化炭素消火設備を熟知しているかどうかも確認材料になります。
普通の工事業者さんだけじゃダメなんですね。
専門の資格者の立会いが必要です。
次は見落としやすい点を確認しましょう。
実務で見落としやすいのはどこか

特に注意したい点を確認します。 見落としやすいのは、相手の工事業者が消防設備とは無関係だと思い込んでしまうことです。
空調業者や内装業者からすれば「自分たちの工事は消防設備と関係ない」と考えがちですが、場所が近ければ対象になります。
また、閉止弁を閉じる操作だけで対策が済んだと考えるのも見落としです。閉止弁の運用と資格者の立会いは別々に必要な対策です。
工事計画の早い段階で二酸化炭素消火設備の有無を伝えていないと、直前になって立会いの手配が間に合わないこともあります。
特に夜間や休日の緊急工事では、資格者の手配が後回しになりやすいので注意が必要です。
うちは空調業者さんにしか伝えてませんでした。
工事業者への事前共有が大切です。
最後に確認の手順を整理します。
明日からなにを確認すればよいのか

順番に進めれば迷いません。 確認は4つの手順に整理できます。
まず、自分の建物に二酸化炭素消火設備が設置されているかどうかを確認します。
次に、予定している工事や改修、メンテナンスの作業場所が、消火設備の付近に当たるかどうかを確認します。
対象になる場合は、第3類の消防設備士又は二酸化炭素消火設備を熟知した点検資格者の立会いを早めに手配します。
工事業者には、立会いが必要な工事であることをあらかじめ伝えておくと、当日の手配漏れを防げます。
工事の予定が入ったら、まず設備の有無から確認します。
早めの手配が安心です。
よくある質問もあわせて確認しましょう。
よくある質問
まとめ
立会いの必要性がよく分かりました。
立会う資格者の手配もまとめてご相談いただけます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- ハロゲン化物消火設備・機器の使用抑制等について(平成3年8月16日 消防危第88号・消防予第161号)第3
- 二酸化炭素消火設備の放出事故の発生について(令和2年12月23日 消防予第410号)
- 二酸化炭素消火設備の設置に係るガイドラインの策定について(令和4年11月24日 消防予第573号)別紙1第15
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





