BLOG

強化プラスチック製二重殻タンクの外殻はなぜ減圧法でも点検できるのか|ガス加圧法に代わる20kPaの基準を解説

FRP二重殻タンクはなぜ減圧法でも点検できるのかを表すアイキャッチ画像

地下に埋設する強化プラスチック製二重殻タンクの外殻は、危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99号)第71条により、定期的な漏れ点検が義務付けられています。
この点検はガス加圧法で行うのが基本とされてきましたが、平成20年、消防庁から新しい点検方法を認める通知が発出されました。
容量50キロリットル以下のタンクについては、真空ポンプで減圧して圧力の変化を見る「減圧法」も、告示が求める精度の点検として認められたのです。
減圧法とはどんな手順で、どんなタンクに使えるのかを確かめます。

うちの給油所の地下タンクなんですが、業者さんから「減圧法でも点検できますよ」と言われました。
ガス加圧法しか知らなかったので、本当に大丈夫か心配です。

実は減圧法は平成20年の通知で認められた、正式な点検方法なんです。
順番に確認しましょう。

正式な方法だったんですね、知りませんでした。

はい、強化プラスチック製二重殻タンクの外殻に限った話です。
まずはなぜこの方法が認められたのかから見ていきます。

この記事の結論
  • 平成20年12月、消防庁は強化プラスチック製二重殻タンクの外殻の漏れ点検について、従来のガス加圧法に加え「減圧法」も有効な点検方法として通知しました。
  • 対象は内殻・外殻とも強化プラスチック製の二重殻タンクで、容量50キロリットル以下が基本です(超える場合は測定時間を延長)。
  • 手順は、間げきを20キロパスカル減圧し15分間静置した後、105分間の圧力上昇を確認します。
  • 圧力上昇が試験圧力の10パーセント以下であれば「異常なし」と判定できます。
  • この基準は現在も危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示第71条第2項に明記された、現行の規定です。

▼

強化プラスチック製二重殻タンクの外殻点検で減圧法が有効になった経緯と手順を示す図解

強化プラスチック製二重殻タンクはなぜ減圧法でも点検できるようになったのか

法令書類と地下に埋まった二重殻タンクのイメージ図
外殻の漏れ点検は、長年ガス加圧法で行うのが基本とされてきました。
何がきっかけで、減圧法という新しい選択肢が加わったのかを確認します。
「強化プラスチック製二重殻タンクの外殻の漏れ点検について」(平成20年12月2日 消防危第386号) 強化プラスチック製二重殻タンクの減圧法による新たな点検方法について、平成17年から検討を重ねてきたところですが、この度、容量50キロリットル以下の強化プラスチック製二重殻タンクにあっては、下記の減圧法による漏れ点検方法が告示に規定する精度の点検として有効であるという結論が得られましたので、お知らせします。
減圧法は、はじめから告示に明記された方法ではありませんでした。
強化プラスチック製二重殻タンクの外殻の漏れ点検は、危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示第71条第2項の規定により、ガス加圧法またはその他の方法で行うこととされていました。
消防庁は平成17年から減圧法の検証を重ね、平成20年12月、消防危第386号でこの方法が告示の求める精度の点検として有効だと認めました。
現在ではこの基準は告示第71条第2項そのものに明記され、ガス加圧法と並ぶ正式な点検方法として定着しています。
古い通知だからといって、内容が廃れているわけではない点が、この通達の特徴です。

ガス加圧法しか認められていないと思い込んでいました。

平成20年の通知で状況が変わったんです。
次はどんなタンクが対象になるのかを見ていきます。

どのタンクのどの部分が減圧法の対象になるのか

二重殻タンクの断面図と容量を示すゲージのイメージ図
減圧法は、すべての地下タンクに使えるわけではありません。
対象になるタンクの条件を確認します。
「強化プラスチック製二重殻タンクの外殻の漏れ点検について」(平成20年12月2日 消防危第386号) 内殻及び外殻が強化プラスチック製である二重殻タンク(以下「強化プラスチック製二重殻タンク」という。)の外殻の漏れ点検の方法について、お知らせします。
危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示第71条第2項 二重殻タンクの外殻に係る漏れの点検は、ガス加圧法、減圧法またはその他の方法のいずれかにより行うことができる。鋼製強化プラスチック製二重殻タンクと強化プラスチック製二重殻タンクとでは、適用される数値基準が区分されている。
対象は、内殻も外殻も強化プラスチック製の二重殻タンクに限られます。
鋼製の内殻にプラスチックの外殻を組み合わせたタイプ(鋼製強化プラスチック製二重殻タンク)は、同じ減圧法でも異なる数値基準が適用されるため、まず自分のタンクがどちらの構造かを確認する必要があります。
容量は50キロリットル以下が基本の対象で、これを超えるタンクは、容量に応じて測定時間を延ばす計算式が告示で定められています。
小規模な給油取扱所の地下タンクであれば、容量面で対象になるケースが多いといえます。
施工時の図面や完成検査済証で、タンクの構造と容量をまず確かめましょう。

うちのタンクは図面に「FRP製二重殻タンク」と書いてありました。
これは対象になりますか。

はい、内殻・外殻ともFRP(強化プラスチック)製なら対象です。
次は具体的な点検の手順を見ていきます。

減圧法は具体的にどんな手順で行うのか

真空ポンプと圧力計を地下タンクに取り付けて点検する様子のイメージ図
減圧法は、専用の器具をタンクに取り付けて圧力の変化を測る方法です。
手順と合格の基準を確認します。
「強化プラスチック製二重殻タンクの外殻の漏れ点検について」別添 減圧法による強化プラスチック製二重殻タンクの外殻に係る漏れの点検実施要領 圧力計を監視しながら真空ポンプにより20キロパスカル(試験圧力)まで減圧し、その状態で120分間以上の圧力変動値を計測する。減圧後15分間の静置時間における圧力上昇が試験圧力の15パーセント以下であることを確認したうえで、続く105分間の圧力の上昇が試験圧力の10パーセント以下の場合は「異常なし」とする。
合格の基準は、数字で明確に決まっています。
開口部をバルブや止め板で閉鎖し、圧力計・温度計・真空ポンプを取り付けたうえで、20キロパスカルまで徐々に減圧します。
減圧を終えたら15分間静置し、その時点の圧力上昇が試験圧力の15パーセント以下であることをまず確認します。
続く105分間(容量が50キロリットルを超えるタンクは延長)で圧力の上昇が試験圧力の10パーセント以下なら「異常なし」と判定されます。
試験前後のタンク内温度・気温・気象変化も記録しておく必要があります。

数字がいくつも出てきて、覚えられるか不安です。

記録は業者さんが付けてくれますが、20キロパスカル・15分・105分・10パーセントの4つを押さえておけば十分です。
次は実務で見落としやすい点を確認します。

実務で見落としやすいのはどこか

複数のタンクをつなぐホースに禁止マークが付いたイメージ図
減圧法には、試験が無効になってしまう条件がいくつかあります。
見落としやすいポイントを確認します。
「強化プラスチック製二重殻タンクの外殻の漏れ点検について」別添「5 留意点」 気象変化の激しい時は、適切な結果が得られないため試験を実施しない。地下タンクに危険物を荷卸ししてから10時間以上経過していない時は、適切な結果が得られないため試験を実施しない。試験は、複数の強化プラスチック製二重殻タンクの間げきを接続することなく、単独の間げきについて実施する。
見落としやすいのは、試験のタイミングとタンクのつなぎ方です。
気象変化が激しい日や、危険物を荷卸ししてから10時間未満のタイミングでは、正しい結果が得られないため試験を実施できません。
複数のタンクが隣接していても、間げきを互いに接続した状態で試験してはいけません。単独の間げきごとに実施する必要があります。
また圧力の開放は急がず、1分間以上かけて徐々に行うことも安全対策として定められています。
点検業者に任せきりにせず、これらの条件が守られているかを施設側でも把握しておくと安心です。

業者さんに任せておけば大丈夫そうですね。

はい、ただ試験条件だけは施設側でも知っておくと安心です。
最後に明日からの確認手順を整理します。

明日からなにを確認すればよいのか

チェックリストと点検記録をまとめたファイルのイメージ図
ここまでの内容を、実際の確認の手順に落とし込みます。
順番に進めれば迷いません。
「強化プラスチック製二重殻タンクの外殻の漏れ点検について」別添「1 点検の準備と手順」 点検器具は、圧力計(圧力自記記録計)は最小目盛が0.1キロパスカル以下であり読み取り記録できる精度のもの、温度計は減圧状態に十分耐えうるもので最小目盛が1℃以下の表示式又は記録式のもの、真空ポンプは点検範囲を減圧できるものを用いる。
確認は3つの手順に整理できます。
まず、自分の施設の地下タンクが内殻・外殻とも強化プラスチック製の二重殻タンクで、容量50キロリットル以下かどうかを図面や完成検査済証で確認します。
次に、従来ガス加圧法で点検を依頼していた業者に、減圧法への切り替えができるかを相談します。
点検を実施する際は、気象条件や荷卸し後の経過時間など、試験が無効になる条件に当たっていないかを業者と一緒に確認します。
点検記録には使用した方法・数値・気象状況を残し、次回の点検まで保管しておくことが実務の対応です。

まずは自分のタンクの構造と容量を確認するところから始めればいいんですね。

はい、分からなければ所轄消防署や点検業者への相談もお忘れなく。
よくある質問もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q減圧法はどんなタンクに使えますか?
A内殻・外殻とも強化プラスチック製の二重殻タンクで、容量が50キロリットル以下のものが基本の対象です。これを超える場合は、容量に応じて測定時間を延ばす計算式が告示で定められています。
Q減圧法の合格の基準はどう判定しますか?
A20キロパスカルまで減圧して15分間静置した後、続く105分間の圧力上昇が試験圧力の10パーセント以下であれば「異常なし」と判定します。
Qどんなときに試験を実施してはいけませんか?
A気象変化が激しいときや、危険物を荷卸ししてから10時間以上経過していないときは、適切な結果が得られないため試験を実施しません。
Q減圧法はガス加圧法に取って代わるものですか?
Aいいえ。ガス加圧法も引き続き有効な方法であり、減圧法はこれに加わった選択肢の1つです。どちらを選ぶかは施設やタンクの条件に応じて判断します。

まとめ

✔平成20年12月、消防庁は強化プラスチック製二重殻タンクの外殻の漏れ点検について、従来のガス加圧法に加え「減圧法」も有効な点検方法として通知しました。
✔対象は内殻・外殻とも強化プラスチック製の二重殻タンクで、容量50キロリットル以下が基本です。
✔手順は20キロパスカル減圧し15分間静置した後、105分間の圧力上昇を確認します。
✔圧力上昇が試験圧力の10パーセント以下であれば「異常なし」と判定できます。
✔気象変化が激しいときや荷卸し後10時間未満は試験を実施できません。
✔複数のタンクの間げきを接続せず、単独の間げきごとに試験する必要があります。
✔この基準は現在も危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示第71条第2項に明記された、現行の規定です。

減圧法の基準がよく分かりました!

地下タンクの点検もまとめてご相談いただけます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 「強化プラスチック製二重殻タンクの外殻の漏れ点検について」(平成20年12月2日 消防危第386号)
  • 危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99号)第71条第2項第2号ロ
  • 危険物の規制に関する規則(昭和34年総理府令第55号)第62条の5の2第1項

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

BLOGカテゴリ
最新の記事
防火管理者代行サービス
無料1分概算見積
FRP二重殻タンクはなぜ減圧法でも点検できるのかを表すアイキャッチ画像
地下に埋設する強化プラスチック製二重殻タンクの外殻は、危険物の規制に関する技術上の基準の細目を定める告示(昭和49年自治省告示第99号)第71条により、定期的な漏れ点検が義務付けられています。 この点検はガス加圧法で行う...
リクルート 採用情報はこちら →
採用ページ 一緒に働く仲間を募集中 → フランチャイズ (株)防災屋と一緒に開業する → 協力業者 協力業者さん募集中 →