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堺市で5階建て以上なら屋内消火栓設備がいるのか|条例の上乗せを大阪市と東大阪市も比較

堺市で5階建て以上なら屋内消火栓設備がいるのかを解説する記事のアイキャッチ

ビルを建てたり用途を変えたりするときは、屋内消火栓設備がいるかどうかを、まず消防法施行令第11条で確かめます。
ところが堺市では、国の基準ではいらない規模の建物にも、堺市火災予防条例第65条で屋内消火栓設備が求められることがあります。
対象は、複合用途の建物((16)項)と、地階を除く階数が5以上の建物の2つです。
この記事では、国の条文から堺市の条例と審査基準の解説までを順にたどり、大阪市と東大阪市の条例とも比べます。

堺市で5階建ての小さな事務所ビルを計画しています。
延べ面積は小さいのに、屋内消火栓がいると言われました。

堺市の火災予防条例に、階数で決まる上乗せがあります。
国の基準とは別の条文です。

国の基準だけなら、いらない規模なのですか。

国の基準は、延べ面積や階の床面積で決まります。
国と堺市を分けて見ていきましょう。

この記事の結論
  • 国の消防法施行令第11条は、用途ごとの延べ面積と、地階・無窓階・4階以上の階の床面積で屋内消火栓設備の要否を決めています
  • 堺市火災予防条例第65条は、消防法第17条第2項に基づく上乗せとして、複合用途の建物((16)項)と地階を除く階数が5以上の建物に屋内消火栓設備を求めています
  • 複合用途の建物は、構造と内装に応じて延べ面積1,000・2,000・3,000平方メートル以上が対象で、用途ごとに分けず建物全体の延べ面積で判定します
  • 5階建て以上でも、5階以上の部分の床面積の合計が100平方メートル以下(耐火構造で内装を難燃材料にすれば200平方メートル以下)か、100平方メートル以内ごとに区画されていれば対象外です
  • 大阪市と東大阪市の条例にも同じ2つの上乗せがありますが、200平方メートルに広げる内装の条件や水源の水量、屋上の放水口に違いがあります

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消防法第十七条第二項から堺市火災予防条例第六十二条と第六十五条をたどり消防法施行令第十一条の例で屋内消火栓設備を設ける流れを示す図解

堺市は国の基準に屋内消火栓をどう上乗せしているのか

低い建物にはさまれた街角に細長い中層の灰色の事務所ビルが立つイラスト
まず、国の基準を確認します。
屋内消火栓設備を付ける建物は、消防法施行令第11条第1項が用途ごとに決めています。
消防法施行令 第十一条 第一項(抜粋) 二 別表第一(二)項から(十)項まで、(十二)項及び(十四)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が七百平方メートル以上のもの
三 別表第一(十一)項及び(十五)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が千平方メートル以上のもの
六 前各号に掲げる防火対象物以外の別表第一(一)項から(十二)項まで、(十四)項及び(十五)項に掲げる防火対象物の地階、無窓階又は四階以上の階で、床面積が、同表(一)項に掲げる防火対象物にあつては百平方メートル以上、同表(二)項から(十)項まで、(十二)項及び(十四)項に掲げる防火対象物にあつては百五十平方メートル以上、同表(十一)項及び(十五)項に掲げる防火対象物にあつては二百平方メートル以上のもの
第1項には、(1)項の延べ面積500平方メートル以上や、指定可燃物を多く扱う建物なども並んでいます。
ただし、「地階を除く階数が5以上」という基準はなく、複合用途の(16)項も号として挙がっていません。
(16)項の建物は、消防法施行令第9条で、用途ごとの部分をそれぞれ一つの防火対象物とみなして判定します。
消防法施行令 第九条(抜粋) 別表第一(十六)項に掲げる防火対象物の部分で、同表各項((十六)項から(二十)項までを除く。)の防火対象物の用途のいずれかに該当する用途に供されるものは、この節(略)の規定の適用については、当該用途に供される一の防火対象物とみなす。
国の基準は全国共通です。
これに上乗せする根拠が、消防法第17条第2項です。
消防法 第十七条 第二項 市町村は、その地方の気候又は風土の特殊性により、前項の消防用設備等の技術上の基準に関する政令又はこれに基づく命令の規定のみによつては防火の目的を充分に達し難いと認めるときは、条例で、同項の消防用設備等の技術上の基準に関して、当該政令又はこれに基づく命令の規定と異なる規定を設けることができる。
堺市は、この規定に基づいて、堺市火災予防条例の第5章に消防用設備等の「付加基準」を置いています。
条例の条文と【解説及び運用】は、堺市消防局の「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」の第5章に収められています。
堺市火災予防条例 第62条 第1項(通則) 法第17条第2項の規定により政令又はこれに基づく命令の規定と異なる規定として設ける消防用設備等の技術上の基準については、本章の定めるところによる。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第5章 第62条【解説及び運用】(抜粋) 消防用設備等の技術上の基準については、本来、政令・規則の定めるところによるものとされているが、この技術上の基準は全国的に画一化されて適用される最低基準を示したものである。
屋内消火栓設備の上乗せは、第65条です。
第65条の【解説及び運用】は、冒頭で「政令第11条第1項の適用を受けない防火対象物に対して」設置の基準を定めたものと説明しています。
つまり、国の第11条では対象にならない建物を、堺市の条例で拾っているという関係です。

国の基準は、全国共通の最低基準なのですね。

はい、そこに堺市が条例で上乗せしています。
次は、5階建て以上の基準を見ましょう。

5階建て以上の建物で屋内消火栓がいらないのはどんな場合か

コンクリートの建物の最上階が厚い壁で小さな部屋に仕切られ灰色の鉄の防火戸が付いたイラスト
第65条第1項第2号は、用途を問わず、地階を除く階数が5以上の建物に屋内消火栓設備を求めています。
堺市火災予防条例 第65条 第1項第2号 (2) 令別表第1に掲げる防火対象物で、地階を除く階数が5以上のもの(特定主要構造部が耐火構造であるか、又は主要構造部(建築基準法第2条第5号に規定する主要構造部をいう。)が不燃材料で造られているもので、5階以上の階の部分の床面積の合計が100平方メートル以下のもの及び特定主要構造部が耐火構造であるもので、5階以上の階の部分の床面積の合計100平方メートル以内ごとに耐火構造の床若しくは壁又は防火戸で区画されているものを除く。なお、特定主要構造部を耐火構造とし、かつ、壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを難燃材料でした防火対象物にあっては、当該数値の2倍の数値とする。)
かっこ書きが、対象から外れる場合です。
【解説及び運用】は、これを(1)から(5)に分けて説明しています。読みやすく並べ直すと次のとおりです。
対象外になる場合建物の構造壁と天井の仕上げ5階以上の部分
(1)耐火構造か、主要構造部が不燃材料問わない床面積の合計100平方メートル以下
(2)耐火構造難燃材料床面積の合計200平方メートル以下
(3)耐火構造問わない100平方メートル以内ごとに耐火構造の床・壁か防火戸で区画
(4)耐火構造難燃材料200平方メートル以内ごとに(3)と同じ区画
(5)(3)と(4)を満たすもの-100平方メートルの区画と200平方メートルの区画が混在してもよい
表の「耐火構造」は、条文では「特定主要構造部が耐火構造」と書かれています(特定主要構造部は建築基準法第2条第9号の2イの用語です)。
5階以上の部分が小さいか、細かく区画されていれば、5階建て以上でも対象外になるというしくみです。
例として、1階が店舗150平方メートル、2階から5階が各150平方メートルの事務所という、延べ750平方メートルの5階建てを考えます(地階と無窓階はないものとします)。
  • 国の基準:店舗の部分は150平方メートルで700平方メートルに届かず、事務所の部分も600平方メートルで1,000平方メートルに届きません。4階と5階の事務所も各150平方メートルで、第6号の200平方メートルに届かないので、国の第11条では対象外です
  • 堺市の第1号:複合用途ですが、延べ750平方メートルなので1,000平方メートルに届きません
  • 堺市の第2号:5階建てで、5階以上の部分は150平方メートルです。100平方メートルを超えるので、原則として屋内消火栓設備が必要になります
  • 耐火構造で壁と天井の仕上げを難燃材料にしていれば、基準が200平方メートルになり、150平方メートルは対象外の範囲に入ります
内装の「難燃材料」をどう判定するかについて、【解説及び運用】の3は、審査基準の別の節を借りるよう指示しています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第5章 第65条【解説及び運用】3 前1及び2における内装制限、防火材料にあっては、「第2章 第1節 第10 内装制限・防火材料」を準用すること。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第2章 第1節 第10 内装制限・防火材料 7 消防法令上の内装規制(抜粋) (1) 建基法令上では、床面1.2m以下の部分は規制の範囲の対象としていないが、消防法令上にあっては、床面から規制の対象範囲になること。
(2) 次に掲げる部分については、内装制限の対象としないこと。
ア 押入、物入その他これらに類するもの(収納のために人が内部に出入りするような規模及び形態を有していないものに限る)
イ ユニットタイプの浴室及びそれに付随する便所
この7は、国の第11条第2項の倍読みなどと並べて、条例第65条第1項の壁と天井の仕上げも同じ取扱いにすると明記しています。
建築基準法の内装制限の感覚で腰壁を木の板にしていると、消防法令上は難燃材料の内装と認められないおそれがあります。
区画のほうは、審査基準 第2章 第1節「第6 政令第8条等に規定する区画等の取扱い」の7が扱っています。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第2章 第1節 第6 7 条例第65条第1項第2号の区画(抜粋) 条例第65条第1項第2号に規定する区画(以下この項において「区画」という。)については、前3.(1).イ、(3).ア.(イ)及びイを準用するほか、次によること。
(1) 1の防火対象物で100㎡以内ごとの区画と200㎡以内ごとの区画が存在しても支障がないものとする。
この7も、同じ第6の3の一部を準用しています。
準用先の細部(区画の構造や開口部の扱い)はこの記事では扱わないので、区画で対象外にしたいときは、設計の段階で所轄の消防署に確かめてください。

5階の床面積が小さければ、いらないこともあるのですね。

はい、100平方メートルか200平方メートルが分かれ目です。
次は、複合用途の建物を見ましょう。

複合用途の建物は延べ面積をどう数えるのか

一階に橙色の日よけの店舗があり中の階が事務所で最上階にバルコニー付きの住戸がある複合ビルのイラスト
第65条第1項第1号は、店舗や事務所や住戸が同じ建物に入る複合用途の建物((16)項)の基準です。
堺市火災予防条例 第65条 第1項第1号 (1) 令別表第1(16)項に掲げる防火対象物で、延べ面積が、特定主要構造部(建築基準法第2条第9号の2イに規定する特定主要構造部をいう。以下同じ。)を耐火構造とし、かつ、壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを難燃材料でした防火対象物にあっては3,000平方メートル以上、特定主要構造部を耐火構造としたその他の防火対象物又は建築基準法第2条第9号の3のイ若しくはロのいずれかに該当し、かつ、壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを難燃材料でした防火対象物にあっては2,000平方メートル以上、その他の防火対象物にあっては1,000平方メートル以上のもの
建築基準法第2条第9号の3は準耐火建築物の定義です。
構造と内装の組み合わせで、延べ面積の基準は次の3段階になります。
建物の構造と内装対象になる延べ面積
耐火構造で、壁と天井の仕上げが難燃材料3,000平方メートル以上
耐火構造(内装は問わない)、または準耐火建築物で壁と天井の仕上げが難燃材料2,000平方メートル以上
それ以外1,000平方メートル以上
ここで大事なのが、用途ごとに分けず、建物全体の延べ面積で数えるという点です。
国の第11条では、(16)項の建物は第9条で用途ごとに分けて判定しました。
堺市の条例は、第62条第2項で第9条を準用しつつ、読み替えで第65条第1項第1号を外しています。
堺市火災予防条例 第62条 第2項(抜粋) 令第8条及び第9条の規定は、この章の規定の適用を受ける防火対象物について準用する。この場合において、令第8条中「この節」とあるのは「この章」と、令第9条中「この節(略)」とあるのは「この章(第65条第1項第1号、第66条第1項第4号、第68条第1項及び第69条第1項」と読み替えるものとする。
堺市「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版) 第5章 第62条【解説及び運用】2 第2項の政令第9条の規定の適用が除外されるものは、屋内消火栓設備(条例第65条第1項第1号)、スプリンクラー設備(条例第66条第1項第4号)、自動火災報知設備(条例第68条第1項)及び避難器具(条例第69条第1項)である。
第9条の「用途ごとに一つの防火対象物とみなす」ルールが第1号には働かないので、店舗・事務所・住戸の床面積をすべて足した延べ面積で判定する、と読めます。
なお、3,000・2,000・1,000平方メートルの並びは、国の(15)項などの1,000平方メートルに、第11条第2項の3倍・2倍の倍読み(内装と倍読みの記事)を当てはめた数字と同じです。
例として、1階が飲食店400平方メートル、2階が事務所400平方メートル、3階が共同住宅400平方メートルの、延べ1,200平方メートルの3階建てを考えます(地階と無窓階はないものとします)。
  • 国の基準:飲食店の部分400平方メートルも共同住宅の部分400平方メートルも700平方メートルに届かず、事務所の部分も1,000平方メートルに届かないので、国の第11条では対象外です
  • 堺市の第1号:準耐火建築物で壁と天井の仕上げを難燃材料にしていなければ「それ以外」に入り、1,200平方メートルは1,000平方メートル以上なので屋内消火栓設備が必要になります
  • 耐火構造なら基準は2,000平方メートル以上になり、1,200平方メートルの建物は対象外です
同じ延べ面積でも、構造と内装で結論が変わるので、設計の早い段階で確かめておくのが安全です。
(16)項の考え方は複合用途の建物の判定の記事でも解説しています。

複合ビルは、用途ごとではなく建物全体で数えるのですね。

はい、延べ面積の合計で判定します。
次は、付けるときの基準を見ましょう。

設置するときはどの基準で付けるのか

灰色の廊下の壁に扉の開いた赤い消火栓箱があり中に畳んだホースとノズルが見え横に箱を積んだ倉庫の棚があるイラスト
条例で対象になった建物に、どんな屋内消火栓設備を付けるのかは、第65条第2項が決めています。
堺市火災予防条例 第65条 第2項 前項の規定により設ける屋内消火栓設備は、令第11条第3項(令別表第1(12)項イ若しくは(14)項に掲げる防火対象物又は同表(16)項に掲げる防火対象物のうち同表(12)項イ若しくは(14)項に掲げる防火対象物の用途に供される部分に設けられるものにあっては、令第11条第3項第2号を除く。)及び第4項並びに規則第12条(令別表第1(12)項イ若しくは(14)項に掲げる防火対象物又は同表(16)項に掲げる防火対象物のうち同表(12)項イ若しくは(14)項に掲げる防火対象物の用途に供される部分に設けられるものにあっては、規則第12条第2項及び第3項を除く。)の規定の例により設置し、及び維持しなければならない。
条例は、技術的な中身を自分で書かず、国の第11条第3項・第4項と消防法施行規則第12条を「例により」借りています。
国の第11条第3項は、第1号が1号消火栓、第2号が2号消火栓(イ)と広範囲型の2号消火栓(ロ)の基準です。
消防法施行令 第十一条 第三項(抜粋) 一 (略)
イ 屋内消火栓は、防火対象物の階ごとに、その階の各部分から一のホース接続口までの水平距離が二十五メートル以下となるように設けること。
二 (略)
イ 次に掲げる基準
(1) 屋内消火栓は、防火対象物の階ごとに、その階の各部分から一のホース接続口までの水平距離が十五メートル以下となるように設けること。
第2項のかっこ書きは、工場・作業場((12)項イ)と倉庫((14)項)、複合用途の建物のうちその用途の部分について、第3項第2号を除いています。
消防法施行規則第12条第2項・第3項は、第2号イ・ロ(2号消火栓)の細目です。
したがって、工場や倉庫の部分は2号消火栓を選べず、1号消火栓の基準で付けると読めます。
これは、国の第11条第3項第1号が(12)項イと(14)項を1号消火栓に限っているのと同じ考え方です。
また、第4項の例によるので、スプリンクラー設備などを基準どおりに付けた部分は、その有効範囲内で屋内消火栓設備を省けることになります。
消防法施行令 第十一条 第四項(抜粋) 第一項各号に掲げる防火対象物又はその部分にスプリンクラー設備、(略)を次条、(略)に定める技術上の基準に従い、又は当該技術上の基準の例により設置したときは、同項の規定にかかわらず、当該設備の有効範囲内の部分(略)について屋内消火栓設備を設置しないことができる。
条例の基準そのものを外す特例は、第72条です。
堺市火災予防条例 第72条(基準の特例)(抜粋) この章の規定は、消防用設備等について、消防長又は消防署長が防火対象物の位置、構造及び設備の状況から判断して、この章の規定による消防用設備等の基準によらなくとも、火災の発生及び延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最小限度に止めることができると認めるとき、(略)においては、適用しない。
【解説及び運用】は、特例を使うかどうかは関係者や設計者ではなく消防長又は消防署長が判断するもので、申請は「堺市消防同意・消防用設備等事務処理要綱第14条」によると書いています。
ここまでの流れを、番号つきでまとめます。
  1. 消防法第17条第1項が、国の政令の技術上の基準に従って消防用設備等を設置・維持させる
  2. 同条第2項が、市町村は条例で政令と異なる規定を設けることができるとする
  3. 堺市火災予防条例第62条が、第5章をその付加基準とし、令第8条・第9条を準用する。読み替えで第65条第1項第1号には第9条の用途ごとのみなしが働かない
  4. 第65条第1項が、複合用途の建物の延べ面積と、地階を除く階数5以上で設置対象を決める
  5. 第65条第2項が、国の第11条第3項・第4項と規則第12条の例で付けさせる(工場・倉庫の部分は2号消火栓を除く)
  6. 審査基準の【解説及び運用】3が、内装の判定に第2章 第1節 第10を借り、区画は同じ節の第6 7が扱う
  7. 第72条が、消防長又は消防署長が認めるときは条例の基準を適用しない特例を置く
1と2が全国共通の国の基準で、3から7が堺市の条例と審査基準の取扱いです。

工場や倉庫の部分は、2号消火栓を選べないのですね。

はい、1号消火栓の基準で付けると読めます。
最後に、大阪市と東大阪市と比べましょう。

大阪市や東大阪市の条例とは何が違うのか

中層の建物の平らな屋上に灰色の水槽と赤い放水口の箱があり周りに低い建物の屋上が並ぶイラスト
大阪市火災予防条例第39条と東大阪市火災予防条例第45条も、屋内消火栓設備の上乗せを定めています。
大阪市は例規データベース、東大阪市は例規集で、それぞれ条文を確かめました。
どちらも、複合用途の建物の延べ面積と、地階を除く階数5以上という堺市と同じ2つの柱を持っています。
違いが出るのは、5階以上の部分の基準を200平方メートルに広げる条件です。
大阪市火災予防条例 第39条 第1項第2号(抜粋) 5階以上の階の部分の床面積の合計が100平方メートル(特定主要構造部が耐火構造で、かつ、5階以上の階の部分の壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを準不燃材料でしたものにあつては、200平方メートル)以下のもの
堺市は「建物の壁と天井を難燃材料」、大阪市は「5階以上の部分の壁と天井を準不燃材料」です。
準不燃材料は難燃材料より燃えにくい材料なので、材料の条件は大阪市のほうが高く、そのかわり範囲は5階以上の部分に限られています。
どちらが厳しいかは建物によって変わるので、市ごとの条文で確かめるのが確実です。
東大阪市の第45条第1項第2号も、大阪市と同じく準不燃材料です。
さらに、大阪市と東大阪市には、5階建て以上の水源の量と、東大阪市には屋上の放水口の規定もあります。
東大阪市火災予防条例 第45条 第3項・第5項 3 前項の規定にかかわらず、第1項の規定により地階を除く階数が5以上の防火対象物に設ける屋内消火栓設備の水源は、令第11条第3項第1号の規定の例により設置するものにあっては5.2立方メートル以上、同項第2号イの規定の例により設置するものにあっては2.4立方メートル以上、同号ロの規定の例により設置するものにあっては3.2立方メートル以上の水量となるように設けなければならない。
5 第1項又は令第11条第1項及び第2項の規定により設ける防火対象物の屋内消火栓設備には、その屋上に1以上の放水口を設けなければならない。
東大阪市は第4項で、この水源の規定を国の第11条で付ける5階建て以上の建物にも準用しています。
大阪市の第39条第3項も、条例と国の第11条のどちらで付ける場合も、5階建て以上の建物の水源を同じ数値以上にするとしています。
確かめた範囲を表にまとめます。
項目堺市(第65条)大阪市(第39条)東大阪市(第45条)
複合用途の延べ面積1,000・2,000・3,000平方メートル(構造と内装で区分)同じ区分(小規模特定用途複合防火対象物で(13)項の部分が延べ面積の10分の9以上のものを除く)同じ区分
5階建て以上が対象外になる基本の条件5階以上の部分が100平方メートル以下か、100平方メートル以内ごとに区画同じ同じ
200平方メートルに広がる内装の条件耐火構造で、壁と天井の仕上げが難燃材料耐火構造で、5階以上の部分の壁と天井が準不燃材料大阪市と同じ(準不燃材料)
設置の技術上の基準国の第11条第3項・第4項と規則第12条の例(工場・倉庫の部分は2号消火栓を除く)同じ同じ
5階建て以上の水源の上乗せ条例と審査基準の水源の項に見当たらない1号消火栓5.2立方メートル以上など大阪市と同じ数値
屋上の放水口屋内消火栓設備の条文には見当たらない第39条には見当たらない屋上に1以上
基準の特例第72条(消防長又は消防署長)第47条(消防長)第52条(消防長)
堺市には、屋上の放水口を連結送水管の付加基準(第71条)で定める条文がありますが、屋内消火栓設備の条文とは別のものです。
同じ大阪府内でも、市が変わると条文の細部が変わります。
大阪市の屋内消火栓設備の特例は大阪市の屋内消火栓の特例の記事で、堺市の複合用途の建物の自動火災報知設備は堺市の複合用途の自火報の記事で解説しています。

似た条文でも、内装の条件や水源で違いがあるのですね。

はい、市ごとに条文の細部が違います。
図面がまとまったら、所轄の消防署に確かめましょう。

よくある質問

Q堺市で4階建てのビルなら、条例第65条はかかりませんか?
A第65条第1項第2号は地階を除く階数5以上が対象なので、4階建てはかかりません。ただし、複合用途の建物なら第1号の延べ面積の基準がかかり、国の第11条(4階以上の階の床面積など)も別に確かめます。
Q単一用途の事務所ビルでも、5階建てなら対象になりますか?
Aはい、第2号は「令別表第1に掲げる防火対象物」全体が対象で、複合用途の建物に限りません。5階以上の部分の床面積や区画、内装によって対象外になる場合があります。
Q大阪市や東大阪市でも、堺市と同じ基準ですか?
A両市にも同じ2つの上乗せがありますが、200平方メートルに広げる条件は5階以上の部分を準不燃材料にすることです。大阪市と東大阪市には5階建て以上の水源の上乗せ、東大阪市には屋上の放水口の規定もあります。
Q条例の基準どおりに付けられないときはどうなりますか?
A第72条の特例があり、消防長又は消防署長が建物の位置・構造・設備の状況から判断します。関係者や設計者が判断するものではないので、事務処理要綱に沿って所轄の消防署に相談してください。

まとめ

✔国の消防法施行令第11条には、地階を除く階数5以上という基準がありません
✔堺市火災予防条例第65条は、消防法第17条第2項に基づき、複合用途の建物と5階建て以上の建物に屋内消火栓設備を求めます
✔複合用途の建物は、構造と内装に応じて延べ面積1,000・2,000・3,000平方メートル以上で、建物全体の延べ面積で判定します
✔5階以上の部分の床面積の合計が100平方メートル以下か、100平方メートル以内ごとに区画されていれば対象外です(耐火構造で内装が難燃材料なら200平方メートル)
✔付けるときは国の第11条第3項・第4項の例により、工場と倉庫の部分は1号消火栓の基準によると読めます
✔内装は審査基準 第2章 第1節 第10を借りて判定し、壁と天井の仕上げは床面から対象です
✔大阪市と東大阪市は、200平方メートルに広げる内装が準不燃材料で、水源や屋上の放水口の規定もあります

5階以上の床面積と内装を図面で確かめてみます。
まずは条例の対象になるかどうかを整理します!

対象かどうかが早く分かれば、設計の手戻りを防げます。
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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」(第二十二版)第2章 第1節 第6 政令第8条等に規定する区画等の取扱い 7・第10 内装制限・防火材料 7/第5章 火災予防条例審査基準(堺市火災予防条例 第62条・第65条・第72条と各条の【解説及び運用】) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
  • 大阪市火災予防条例 第39条・第47条(大阪市例規データベースで確認)
  • 東大阪市火災予防条例 第45条・第52条(東大阪市例規集で確認)
  • 消防法第17条
  • 消防法施行令第8条・第9条・第11条
  • 消防法施行規則第12条
  • 建築基準法第2条

※本記事は公表されている法令および各市の公開資料に基づく一般的な解説です。条例や審査基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。大阪市・東大阪市との比較は、各市の条例で確かめた範囲のものです。個々の建物に屋内消火栓設備が必要かどうかは、所轄消防署にご確認ください。

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堺市で5階建て以上なら屋内消火栓設備がいるのかを解説する記事のアイキャッチ
ビルを建てたり用途を変えたりするときは、屋内消火栓設備がいるかどうかを、まず消防法施行令第11条で確かめます。 ところが堺市では、国の基準ではいらない規模の建物にも、堺市火災予防条例第65条で屋内消火栓設備が求められるこ...
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