マンションや店舗の地階・1階に置く2段式の機械式駐車場は、上の段の車が鉄のパレットに載っているだけで、ふつうの床がありません。
こうした部分の床面積を、国の消防法令は数え方を書いておらず、建築の通知が「1台15平方メートル」という目安を示しています。
鈴鹿市消防本部の審査基準は、この目安を建物の中の駐車装置にどう当てはめるかを、1層目と2層目以上に分けてはっきり書いています。
同じ駐車装置でも、上の段を台数で足すか、真上から見た広さだけで数えるかで、消防本部ごとに床面積が変わります。
鈴鹿市でマンションの地下に2段式の駐車装置を入れる計画があります。
上の段の車の分も床面積に入るのか、迷っています。
鈴鹿市の審査基準では、1層目は真上から見た広さ、2層目からは台数×15平方メートルで数えます。
上の段の車も床面積に入るということです。
ほかの市でも同じ数え方なのですか。
堺市は消防用設備の判定で真上から見た広さだけを使うと書いていて、数え方が分かれます。
国の決まりから順に見ていきましょう。
- 消防法施行令第13条は駐車の部分を階ごとの床面積と機械式の収容台数10以上の2つで判定し、機械式の床面積の数え方は書いていない
- 床として認めにくい部分を1台15平方メートルで数える目安は、昭和61年の建設省住指発第115号から来ている
- 鈴鹿市は建物の中の機械式駐車場を1層目は水平投影面積、2層目より上は台数×15平方メートルで数えると書いている
- タワー方式の立体駐車場は鈴鹿市・埼玉県央広域・四日市市とも水平投影面積で数える
- 堺市は施行令第13条などの駐車の部分の判定で、機械式駐車場を壁や柱の中心線で囲んだ水平投影面積で数えるとしている
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目次
国の決まりでは機械式駐車場の床面積をどう数えるのか

表の「駐車の用に供される部分」の欄は、床面積で決まるものと、機械式の台数で決まるものの2つに分かれています。
別表第一に掲げる防火対象物の駐車の用に供される部分で、次に掲げるもの
一 当該部分の存する階(屋上部分を含み、駐車するすべての車両が同時に屋外に出ることができる構造の階を除く。)における当該部分の床面積が、地階又は二階以上の階にあつては二百平方メートル以上、一階にあつては五百平方メートル以上、屋上部分にあつては三百平方メートル以上のもの
二 昇降機等の機械装置により車両を駐車させる構造のもので、車両の収容台数が十以上のもの
機械式で収容台数が10以上あれば2号に当たり、泡消火設備などのいずれかが要ります。
台数が9台以下の小さな駐車装置は、1号の階ごとの床面積で判定することになり、ここで「上の段の車の分をどう数えるか」が効いてきます。
ところが、施行令にも施行規則にも機械式駐車場の床面積の数え方は書かれていません。
建築基準法施行令第2条第1項第3号は床面積を「壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積」としていて、第4号で各階の床面積の合計を延べ面積としています。
これを補うのが昭和61年4月30日の建設省住指発第115号「床面積の算定方法について」で、吊上式や機械式立体の自動車車庫のうち床として認めにくい部分は1台15平方メートル、機械式駐輪場は1台1.2平方メートルで数え、床と認められる部分はふつうに数えるとしています(堺市の審査基準に収録された本文で確認)。
消防の法令ではなく、建築の通知に目安が書いてあるのですね。
はい、各市の審査基準もこの115号の目安を土台にしています。
次は鈴鹿市の書き方です。
鈴鹿市では建物の中の機械式駐車場を何層目で分けて数えるのか

その1の⒁が機械式駐車場の項目です。
ア 吊上式自動車車庫、機械式立体自動車車庫等で、床として認識することが困難な形状の部分は、1台につき15㎡を、床面積として算定する。床としての認識が可能な形状の部分は、通常の算定方法による。
※自動車1台当たり幅2.5m・長さ6m、すなわち所要面積2.5m×6=15㎡と想定している。
イ 建築物の内部に設ける機械式自動車車庫について
(ア) 第1層目の駐車部分は床として認識できるので、壁その他の区画の中心線で囲まれる水平投影面積を床面積とする。
第2層目より上層は、床として認識が困難なことから、駐車台数に15㎡を乗じて算定した数値を床面積とする。
115号の「床と認められる部分はふつうに数える」という一文を、鈴鹿市は建物の中の駐車装置について1層目のことだと具体的に書いています。
15平方メートルの根拠も、車1台を幅2.5メートル・長さ6メートルと想定した数字だと注記されています。
原本のページで確かめると、アにもイにも行政指導を示す▲や●は付いておらず、法令の解釈として示された基準です。
試しに、地階の駐車部分が真上から見て150平方メートルで、そこに2段式を4基(下の段4台・上の段4台の計8台)置いたとすると、鈴鹿市の数え方では150+4台×15で210平方メートルになります。
収容台数は8台で2号の10台に届きませんが、1号の地階200平方メートルの線は超える計算になるので、上の段の台数は計画の早い段階で消防署と数え合わせておきます。
上の段が4台増えるだけで、60平方メートルも増えるのですね。
はい、台数が少なくても床面積の線をまたぐことがあります。
次は建物そのものが駐車場の場合です。
建物そのものがタワー型の立体駐車場ならどう数えるのか

鈴鹿市はこれを同じ章の2「消防用設備等の設置にあたっての床面積の算定」で扱っています。
ウ タワー方式の機械式駐車場(昇降機等の機械装置により車両を駐車させる構造のものをいい、建築物に限る。以下同じ。)及び機械式駐輪場(昇降機等の機械装置により自転車を駐輪させる構造のものをいい、建築物に限る。)の床面積は、水平投影面積を床面積として算入する。
同 1⒁イ
(イ) 準工作物等として扱われる機械式自動車車庫の築造面積について、上記を準用する。
建築物であるタワー方式の機械式駐車場は、何段あっても水平投影面積を床面積に入れると書かれていて、この欄も無印です。
埼玉県央広域の第2章第3 2⑷ウも同じ文で、四日市市の審査基準も第1章第3 1(2)エ(ウ)でタワー方式と機械式駐輪場を水平投影面積で算入するとしています。
四日市市のこの欄は、括弧の中の名称だけに下線が引かれていて、算入の方法を書いた本文には行政指導を示す下線はありません。
一方、鈴鹿市は準工作物等として扱われる機械式の車庫の築造面積に、前の見出しで見た1層目と2層目以上の数え方を準用するとしています。
タワー型か、建物の中の駐車装置か、屋外の工作物かで当てはめる項目が変わるので、計画図に「どの型か」を書き添えておきます。
同じ機械式でも、型によって数え方が違うのですね。
はい、まず建築物か工作物かを確かめてください。
並べて置いたときの台数の合算は別の記事で解説しています。
機械式の駐輪場は1台何平方メートルで数えるのか

鈴鹿市はこの機械式自転車車庫の項目を、機械式駐車場の次の⒂に置いています。
床として認識することが困難な形状の部分は、1台につき1.2㎡を、床面積として算定する。床としての認識が可能な形状の部分は、通常の算定方法による。
なお、2段式やラック式については、上段部分等が1台につき、1.2㎡を加算し算入する。
※自転車1台当たり幅0.6m・長さ2m、すなわち所要面積0.6×2=1.2㎡と想定している。
鈴鹿市は自転車1台を幅0.6メートル・長さ2メートルと想定して1.2平方メートルとし、2段式やラック式は上の段の台数分を加算すると書いています。
たとえば上の段に20台を載せる2段ラックなら、下の床の広さに20台×1.2で24平方メートルを足す計算です。
埼玉県央広域の⑿と、堺市の審査基準に収録された115号は、床として認めにくい部分を1台1.2平方メートルとするところまでで、上段の加算まで書いているのは鈴鹿市です。
建物になっている機械式駐輪場は、タワー方式の駐車場と同じく、鈴鹿市・埼玉県央広域・四日市市とも水平投影面積で数えます。
駐輪場の床面積は延べ面積に入るので、ラックの段数と上の段の台数を図面に書き込んでおくと、延べ面積の説明がすぐにできます。
自転車のラックも、上の段の分だけ床面積が増えるのですね。
鈴鹿市では上段の台数を数えておく必要があります。
最後に各市を並べて比べます。
埼玉県央広域や四日市市や堺市では同じ場面をどう扱うのか

堺市は消防用設備等の判定に使う駐車の部分の床面積について、機械式を別に書いています。
エ 政令第13条第1項、政令第21条第1項、条例第67条第1項又は条例第71条第1項に規定する「駐車の用に供される部分」(略)の床面積の算定は、次によること。
(オ) 機械式駐車場及び機械式駐輪場については、壁(壁のないものにあっては柱等)の中心線で囲まれた部分の水平投影面積を床面積とすること。
オ 屋外に設けられた機械式駐車装置については、前エ.(オ)を準用すること。★
| 消防本部 | 建物の中の機械式駐車場 | タワー方式(建築物) | 機械式駐輪場 |
|---|---|---|---|
| 鈴鹿市 | 1層目=水平投影面積/2層目より上=台数×15㎡ | 水平投影面積 | 1台1.2㎡・2段式は上段を加算 |
| 埼玉県央広域(鴻巣市など) | 床と認めにくい部分を1台15㎡(層の書き分けなし) | 水平投影面積 | 1台1.2㎡ |
| 四日市市 | 115号による(独自の書き分けなし) | 水平投影面積 | タワー型は水平投影面積 |
| 堺市 | 施行令第13条などの判定は壁・柱の中心線で囲んだ水平投影面積 | 水平投影面積(駐車の部分として) | 水平投影面積(同じ項目) |
| 津市 | 定めなし | 定めなし | 定めなし |
| 試算(地階・2段式4基・計8台) | 1層目 | 上の段 | 床面積 |
|---|---|---|---|
| 鈴鹿市の数え方 | 150㎡ | 4台×15㎡=60㎡ | 210㎡ |
| 堺市の数え方(施行令第13条などの判定) | 150㎡ | 加算しない | 150㎡ |
堺市は施行令第13条などの判定に使う駐車の部分では、機械式を壁や柱の中心線で囲んだ水平投影面積で数えるとしていて、この欄は無印です。
屋外の機械式駐車装置にも同じ数え方を使う、という一文には、堺市消防局独自の指導を示す★が付いています。
埼玉県央広域の⑾は115号と同じ文で、建物の中の2段式の上の段を何層目で分けるかまでは書いていないので、上の段の扱いは管轄で確かめます。
津市の審査基準の1-14 駐車の用に供する部分等の床面積の取扱いには機械式の数え方が見当たらず、大阪市・東大阪市の基準でも同じ定めは見つかりませんでした。
表の試算は仮の数字ですが、地階200平方メートルの線をはさんで結果が分かれることがあるので、段ごとの台数と装置の広さを図面に書いて事前相談に持っていきます。
つまり台数と広さの両方を図面に書いておけば、どの市の数え方にも対応できるのですね。
そうです、段ごとの台数が分かれば計算はすぐです。
建物のある市の基準で数えてみてください。
よくある質問
まとめ
まずは図面に段ごとの台数を書き込んでみます!
建物のある市の審査基準で床面積を数え直しましょう。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行令 第13条(e-Gov法令検索)
- 建築基準法施行令 第2条(e-Gov法令検索)
- 床面積の算定方法について(昭和61年4月30日 建設省住指発第115号)※堺市の審査基準 第4 床面積、階及び高さの取扱いに収録された本文で確認
- 鈴鹿市消防用設備等に関する審査基準 第2章 第3 建築物の床面積及び階の取り扱い(鈴鹿市消防本部)
- 埼玉県央広域消防本部消防用設備等に関する審査基準 第2章 第3 建築物の床面積及び階の取り扱い(埼玉県央広域消防本部)
- 四日市市消防同意事務審査基準 第1章 第3 床面積の判定及び階の取扱い(四日市市消防本部)
- 津市予防事務審査検査基準 1-14 駐車の用に供する部分等における床面積の取扱い(津市消防本部)
- 堺市消防同意・消防用設備等審査基準 第4 床面積、階及び高さの取扱い(堺市消防局)
※本記事は公表されている法令および各消防本部の審査基準に基づく一般的な解説です。運用基準・条例は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防本部でご確認ください。個別の判断は管轄の消防署にご相談ください。





