自動火災報知設備は、感知器や発信機から受信機まで信号を送る設備です。建物が大きくなると、その途中に中継器という機器を置くことがあります。
中継器は天井裏や壁の中など目立たない場所に付けられがちですが、国の規則は「防火上有効な措置を講じた箇所」に設けるよう求めています。
では、どんな場所なら「防火上有効」といえるのでしょうか。東大阪市消防局の運用基準は、この言葉の読み方を具体的に決めています。
この記事では、東大阪市の「自動火災報知設備の設置に係る運用基準」の中継器の項目を国の基準と分けて読み、大阪市と堺市の基準とも比べます。
東大阪市のビルで、自動火災報知設備の中継器を増やす計画があります。
どこに置けばよいのでしょうか。
東大阪市の運用基準には、中継器の置き場所の項目があります。
国の規則の言葉を言い換えています。
国の規則だけでは、決まらないのですか。
はい、規則は「防火上有効な措置」としか書いていません。
市の基準で中身を確かめましょう。
- 国の消防法施行規則第23条第9項第2号は、中継器を点検に便利で、かつ、防火上有効な措置を講じた箇所に設けるとだけ定めています
- 東大阪市は、これを天井・壁・床が準不燃材料で区画され、開口部が防火設備の場所で、点検に便利な箇所と読んでいます(行政指導基準)
- 東大阪市では、不燃性か難燃性の外箱で覆う場合や埋込型とする場合も、防火上有効な措置としてよいとされています
- 東大阪市は、感知器の上部に付くアナログ式中継器・遠隔試験機能のある中継器・無線式中継器を、この区画した場所という読み方から外しています
- 大阪市は外箱か埋込型で足りるとし、堺市は東大阪市と同じ区画の読み方ですが、無線式の扱いなどが3市で違います
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目次
国の規則は中継器の置き場所をどう決めているのか

一 受信機において、受信機から感知器に至る配線の導通を確認することができないものにあつては、回線ごとに導通を確認することができるように受信機と感知器との間に中継器を設けること。
二 中継器は、点検に便利で、かつ、防火上有効な措置を講じた箇所に設けること。
国の古い質疑応答では、不燃性のボックスに入れるか埋込型にすれば足りる、という回答が示されています。その内容は中継器の置き場所などの質疑応答の記事で解説しています。
この空白を埋めているのが、各市の運用基準です。東大阪市の中継器の項目は、次の柱書で始まります。
イ 感知器の公称蓄積時間並びに中継器及び受信機に設定された蓄積時間の最大時間の合計時間が六十秒を超えないこと。
国の規則は、防火上有効な措置の中身までは書いていないのですね。
はい、中身は運用基準で決まります。
次は東大阪市の読み方を見ます。
東大阪市は防火上有効な措置をどんな場所と読んでいるのか

ただし、不燃性又は難燃性の外箱で覆う場合又は埋込型とする場合等、防火上有効な措置を講じた場合は、この限りでない。
- 天井・壁・床が準不燃材料で区画されていること
- 区画の開口部(出入口など)が防火設備であること
- そのうえで、点検に便利な箇所であること
ただし書は、そうした部屋でなくても、不燃性か難燃性の外箱で中継器を覆う場合や、埋込型とする場合は「防火上有効な措置」を講じたものとしています。「等」とあるので、この2つに限る書き方ではありません。
(1)には●の印があります。東大阪市の凡例では、●は次の意味です。
区画された部屋でなくても、外箱に入れればよいのですね。
はい、不燃性か難燃性の外箱、または埋込型です。
ただ点検に便利なことも条件です。
感知器の上に付く中継器や無線式の中継器はどう扱うのか

除かれているのは、次の3種類の中継器です。
- アナログ式中継器で感知器上部に取り付けられるもの
- 遠隔試験機能を有する中継器
- 無線式中継器
- 国の規則第23条第9項第2号が、中継器を点検に便利で防火上有効な措置を講じた箇所に設けるとする
- 東大阪市の3柱書が、国の規定の「によるほか」、(1)と(2)によるとする
- (1)本文が、「防火上有効な措置を講じた箇所」を準不燃材料の区画と防火設備の場所で点検に便利な箇所と読む
- ただし、その読み方の前に、感知器上部のアナログ式・遠隔試験機能付き・無線式の3種類を除く
- (1)ただし書で、外箱で覆う場合や埋込型とする場合は区画の場所でなくてよいとする
ただし、除かれた3種類をどう置けば防火上有効といえるのかは、この項目には書かれていません。国の規則第23条第9項第2号はかかるので、計画するときは所轄の消防署と確かめましょう。
堺市の審査基準は、無線式の中継器について別の書き方をしています。無線式自動火災報知設備の項目で、中継器の項目をそのまま使うとしています。
★は、堺市の凡例で次の意味です。
無線式の中継器の扱いが、東大阪市と堺市で違うのですね。
はい、東大阪市は区画の読み方から外し、堺市は3の項目を使います。
建物のある市で確かめます。
振動や腐食性ガスのある場所と電源はどう決めているのか

1.(1).アを準用するほか次によること。
a 中継器の電源が停止した場合、ただちに受信機にその旨の信号を送る機能を有すること。
b 予備電源の良否を試験する機能を有すること。
堺市はさらに、蓄積式の中継器の置き場所も決めています。
大阪市には、アドレス表示の中継器のただし書があるのですね。
はい、感知器と同じ箇所に置く場合です。
堺市は予備電源の試験機能も求めます。
大阪市や堺市と比べると何が違うのか

堺市の審査基準は、中継器の(3)設置場所のアで、東大阪市とほぼ同じ区画の読み方をしています(無印)。
| 項目 | 東大阪市 | 大阪市 | 堺市 |
|---|---|---|---|
| 防火上有効な措置の読み方 | 準不燃材料の区画と防火設備の場所で点検に便利な箇所 | 不燃性の外箱か埋込型等 | 準不燃材料の区画と防火設備の場所で点検に便利な箇所 |
| 外箱・埋込型 | 不燃性か難燃性の外箱・埋込型等でもよい | 不燃性の外箱・埋込型等 | 不燃性か難燃性の外箱で覆う等でもよい |
| 区画の読み方から外す中継器 | 感知器上部のアナログ式・遠隔試験機能付き・無線式 | 書いていない(区画を求めていない) | 書いていない |
| 無線式中継器をボックスに入れる | 書いていない | 書いていない | 電波が透過する材質(★) |
| 振動・腐食性ガスの場所 | 設けない | 設けない(アドレス表示付きを感知器と同一箇所に置く場合を除く) | 設けない |
| 受信機から電源を受けない中継器 | 停電時ただちに受信機へ信号 | 同じ(◆) | 同じ+予備電源の良否を試験する機能 |
| 蓄積式中継器の置き場所 | 見当たらない | 見当たらない | 受信機内部か直近、外部なら外箱 |
| 基準の印 | ●(行政指導基準) | 無印 | 無印(無線式のボックスは★) |
また東大阪市だけが、感知器上部のアナログ式・遠隔試験機能付き・無線式を区画の読み方から外すと明記しています。
東大阪市の受信機の置き方は、東大阪市の無人の建物の自動火災報知設備の記事で扱っています。中継器を計画するときは、次の点を確かめましょう。
- 中継器の種類(感知器上部のアナログ式・遠隔試験機能付き・無線式に当たるか)
- 置く場所が準不燃材料で区画され、開口部が防火設備か(東大阪市・堺市)
- 区画した場所でないなら、不燃性か難燃性の外箱で覆うか、埋込型にするか
- 外箱や埋込型にしても、点検に便利な位置か
- 振動や腐食性ガスのある場所を避けたか、受信機から電源を受けない中継器の停電信号はあるか
同じ規則の言葉でも、市によって読み方が違うのですね。
はい、区画を原則にするかどうかが分かれます。
建物のある市の基準で確かめましょう。
よくある質問
まとめ
まず中継器の種類と置く場所の区画を図面で確かめます。
外箱にするかも検討します!
東大阪市では、3(1)の「除き」と「ただし書」まで読むのが要点です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 東大阪市消防局「自動火災報知設備の設置に係る運用基準」用語の定義 23・凡例、Ⅱ 細目 3 中継器(柱書・⑴・⑵)・7 電源 ⑴ 常用電源 ア (ウ) https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」凡例、第2章 第1節 自動火災報知設備 第5 中継器(柱書・1・2)・第9 電源 1(1)ウ https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第1章 総則 4 凡例、第12 自動火災報知設備 Ⅱ 細目 3 中継器((1) 常用電源・(3) 設置場所)・4 蓄積機能 (3)・12 無線式自動火災報知設備 (2) ウ https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 消防法施行規則 第23条第9項・第24条第7号(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および東大阪市・大阪市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準や審査基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。各資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。個々の建物の中継器の置き場所は、設備の設計者と所轄の消防署にご確認ください。





