工場や倉庫の敷地に立つ屋外消火栓のそばには、ホースやノズルを入れた赤い箱(屋外消火栓箱)が置かれています。
国の基準は、ホースの長さを「有効に放水できる長さ」とし、箱に「ホース格納箱」と表示することなどを決めていますが、ホースを何本入れるか、ノズルの口径を何ミリにするかまでは書いていません。そこを各消防本部の基準が補っています。
この記事では、堺市消防局の審査基準が屋外消火栓箱の構造・消火栓弁・ホース・ノズル・標識をどう決めているかを、国の基準と市の運用に分けてたどります。屋内消火栓設備の規定を借りている部分は番号つきの手順で示し、大阪市の運用基準とも比べます。
堺市の倉庫に屋外消火栓を付けます。
箱にはホースを何本入れればよいですか?
堺市は長さ20メートルのホースを2本以上としています。
国の条文から順に見ていきましょう。
箱の材質や標識の大きさも決まっているのですか?
はい、堺市は屋内消火栓の規定を借りて箱の構造を決めています。
大阪市とも比べます。
- 国の消防法施行令第19条と施行規則第22条は、箱の位置や「ホース格納箱」の表示を決めていますが、ホースの本数やノズルの口径までは書いていません
- 堺市は、箱の構造を屋内消火栓設備の規定の準用で決め、鋼製で厚さ1.6mm以上などとしています
- 堺市は、ホースを呼称50か65で長さ20mのものを2本以上、ノズルを口径19mm以上の評価品としています
- 消火栓の直近に設ける標識は、堺市・大阪市とも短辺10cm以上・長辺30cm以上の赤地に白文字です
- 大阪市の運用基準の屋外消火栓の節には、ホースの本数と長さ、箱の材質を決めた項目は見当たりません。最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認します
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目次
国の基準では屋外消火栓箱とホースはどこまで決まっているのか

五 屋外消火栓及び屋外消火栓設備の放水用器具を格納する箱は、避難の際通路となる場所等屋外消火栓設備の操作が著しく阻害されるおそれのある箇所に設けないこと。
二 屋外消火栓設備の放水用器具を格納する箱(以下この条において「屋外消火栓箱」という。)は、屋外消火栓からの歩行距離が五メートル以内の箇所に設けること。ただし、屋外消火栓に面する建築物の外壁の見やすい箇所に設けるときは、この限りでない。
三 加圧送水装置の始動を明示する表示灯は、赤色とし、屋外消火栓箱の内部又はその直近の箇所に設けること。
四 屋外消火栓設備の設置の標示は、次のイ及びロに定めるところによること。
イ 屋外消火栓箱には、その表面に「ホース格納箱」と表示すること。
ロ 屋外消火栓には、その直近の見やすい箇所に「消火栓」と表示した標識を設けること。
- ホースの長さは、ホース接続口から水平距離40mの範囲の各部分に有効に放水できる長さにする(令第19条第3項第2号)
- 箱は、避難の通路になる場所など操作が著しく阻害されるおそれのある箇所に置かない(同第5号)。屋外消火栓から歩行距離5m以内に置くのが原則(規則第22条第2号)
- ノズルなどの放水用器具は消防庁長官の定める基準に適合するものにする(規則第22条第1号の2)
- 箱の表面に「ホース格納箱」、消火栓の直近に「消火栓」の標識を設けるが、ホースの本数、ノズルの口径、標識の大きさと色は条文に書かれていない(規則第22条第4号)
どんな建物に屋外消火栓設備が要るかは屋外消火栓設備の設置基準の記事で、放水試験と箱の位置は屋外消火栓の放水試験の記事で解説しています。
国の条文には、ホースの本数は書かれていないのですね。
はい、「有効に放水できる長さ」とだけ書かれています。
堺市がどう具体化しているかを見ます。
堺市は屋外消火栓箱の構造と消火栓弁をどう決めているのか

イ 消火栓弁
(ア) 材質及び構造は第2 屋内消火栓設備Ⅱ.7.(1).イ.(イ)を準用すること。
(イ) 放水口のホース接続口は「消防用ホースに使用する差込式又はねじ式の結合金具及び消防用吸管に使用するねじ式の結合金具の技術上の規格を定める省令(平成25年3月27日総務省令第23号)」に規定する呼称50又は65に適合する差込式とすること。★
a 消火栓箱の扉は、容易に開閉できること。
b 消火栓箱の扉の開閉方向等は避難上及び操作上支障がないようにすること。
c 消火栓箱の材質は、鋼製とし、厚さは1.6mm以上のものとすること。この場合、外面の仕上げに難燃材のものをはることができる。
d 消火栓箱の奥行は、弁の操作、ホースの収納等に十分な余裕を有するものとすること。
(イ) 消火栓弁は、認定品を使用すること。★
- 堺市の第10 Ⅱ7(1)アは、箱の構造を第2 屋内消火栓設備Ⅱ.7.(1).イ.(ア)の準用とする
- 準用先の(ア)★により、扉は容易に開閉でき、開閉方向は避難と操作に支障がないようにし、材質は鋼製で厚さ1.6mm以上(外面に難燃材の仕上げも可)、奥行は弁の操作とホースの収納に十分な余裕をとる
- 第10 Ⅱ7(1)イ(ア)は、消火栓弁の材質と構造を第2 屋内消火栓設備Ⅱ.7.(1).イ.(イ)の準用とする。準用先は認定品を使用とする
- 第10 Ⅱ7(1)イ(イ)★は、ホース接続口を、結合金具の規格省令に規定する呼称50又は65に適合する差込式とする
- 第10 Ⅱ7(1)カ★は、箱の中に起動装置を設けるなら、容易に視認でき操作しやすい位置にするとしている(屋内消火栓のⅡ7(1)イ(カ)と同じ文)
堺市の屋外消火栓の配管とポンプは堺市の屋外消火栓の配管の記事と堺市の屋外消火栓のポンプ共用の記事で解説しています。
屋外の箱なのに、屋内消火栓の規定を借りているのですね。
はい、箱の構造と消火栓弁は屋内消火栓の準用です。
次はホースとノズルです。
堺市は屋外消火栓のホースとノズルをどう決めているのか

エ 消防用ホースは、呼称50又は65のもので、長さ20mのものを2本以上設けること。なお、屋内消火栓設備の代替えとして設置する場合は、折り畳み収納式とすること。★
- 国の令第19条第3項第2号は、ホースを有効に放水できる長さとだけ定め、本数は書いていない
- 堺市の第10 Ⅱ7(1)エ★は、ホースを呼称50又は65で、長さ20mのものを2本以上とする
- 屋内消火栓の代わりに屋外消火栓を設ける場合は、ホースを折り畳み収納式にする(エのなお書き)
- 第10 Ⅱ7(1)ウ★は、ノズルと管そうを評価品とし、ノズルの口径を19mm以上とする
| 項目 | 屋外消火栓(第10 Ⅱ7(1)) | 屋内の1号消火栓(第2 Ⅱ7(1)イ) |
|---|---|---|
| ホースの呼称 | 50又は65 | 40 |
| ホースの長さと本数 | 20mのものを2本以上 | 15mのもの2本以上 |
| ノズル | 評価品・口径19mm以上 | 評価品 |
| 消火栓弁 | 認定品(屋内を準用)・差込式の呼称50又は65 | 認定品 |
有効に放水できる範囲の数え方と、屋内消火栓の代わりにする場合の置き場所は四日市市の屋外消火栓の記事で6本部を比べています。
20メートルを2本入れておけば、どこでも届くわけではないのですね。
はい、建物の各部分まで届くかを図面で確かめるのが先です。
次は表示と標識です。
堺市は屋外消火栓箱と消火栓の表示をどう決めているのか

なお、省令第22条第4号ロに規定する標識は、短辺10cm以上・長辺30cm以上で赤地に白文字とすること。◆②
a 消火栓箱に表示する「消火栓」の文字の大きさは、1字につき20㎠以上とすること。
- 国の規則第22条第4号は、箱の表面に「ホース格納箱」と表示し、消火栓の直近に「消火栓」と表示した標識を設けるとする
- 堺市の第10 Ⅱ7(1)オは、表示を第2 屋内消火栓設備Ⅱ.7.(1).イ.(オ).aの準用とする
- 準用先のa★は、消火栓箱に表示する「消火栓」の文字を1字につき20㎠以上とする
- オのなお書き◆②は、規則第22条第4号ロの標識を短辺10cm以上・長辺30cm以上で赤地に白文字とする
加圧送水装置の始動を示す赤色の表示灯は、国の規則第22条第3号で箱の内部か直近に設けると決まっています。
消火栓の標識は、大きさと色まで決まっているのですね。
はい、堺市は赤地に白文字で10cm×30cm以上です。
最後に大阪市と比べます。
大阪市と比べると屋外消火栓箱の決まりは何が違うのか

ホースは、令第19条第3項第2号の規定によるほか、差込式結合金具を装着した呼称50又は65のものとする。
ノズルは、消防用接続器具の基準に適合するもののうち、放水口の呼称口径が19ミリメートル以上のものとすること。なお、認定評価を受けたものについては、消防用接続器具の基準に適合するものとして取り扱って差し支えないこと
| 項目 | 堺市 | 大阪市 |
|---|---|---|
| 箱の構造 | 屋内消火栓を準用。鋼製で厚さ1.6mm以上・扉の開閉方向など(★) | 屋外消火栓の節に材質を決めた項目は見当たらない |
| 箱の位置 | 国の規則(歩行距離5m以内)による。屋内消火栓の代替なら出入口付近(★) | 格納しない箱は消火栓と同一壁面に面し歩行距離5m以内(◆) |
| 消火栓弁 | 認定品(屋内を準用)・差込式の呼称50又は65(★) | 屋内消火栓等基準告示に適合・差込式の呼称50又は65(◆) |
| ホース | 呼称50又は65・長さ20mを2本以上(★) | 差込式の呼称50又は65(◆)。本数と長さを決めた項目は見当たらない |
| ノズル | 評価品・口径19mm以上(★) | 消防用接続器具の基準に適合・呼称口径19mm以上(◆) |
| 消火栓の標識 | 短辺10cm以上・長辺30cm以上・赤地に白文字(◆②) | 「屋外消火栓」幅10cm以上・長さ30cm以上・赤地に白文字 |
| 箱の表面の表示 | 屋内の「消火栓」の文字(1字20㎠以上)を準用 | 「ホース格納箱(屋外消火栓)」幅10cm以上・長さ30cm以上・赤地に白文字 |
違いが出るのは、ホースの本数と長さ、箱の材質を堺市だけが決めている点と、箱の表面の表示の決め方(堺市は文字の面積、大阪市は標識の大きさ)の2点です。大阪市で計画するときも、ホースは令第19条第3項第2号の「有効に放水できる長さ」を満たす本数を入れることに変わりはありません。 堺市で屋外消火栓箱を計画するときは、次の順に確かめると抜けが出ません。
- 箱を避難の通路にならない場所で、屋外消火栓から歩行距離5m以内に置く
- 箱は鋼製で厚さ1.6mm以上とし、扉の開閉方向と奥行の余裕を確かめる
- 消火栓弁は認定品で、ホース接続口を差込式の呼称50又は65にする
- ホースは長さ20mを2本以上入れ、建物の各部分に有効に放水できるかを確かめる。屋内消火栓の代わりなら折り畳み収納式にする
- ノズルは評価品で口径19mm以上とし、消火栓の直近に10cm×30cm以上の赤地に白文字の標識を設ける
大阪市の基準に慣れている人は、堺市のホースの本数に注意ですね。
はい、堺市は20mのホースを2本以上と決めています。
計画する市の基準で確かめましょう。
よくある質問
まとめ
まず箱の置き場所とホースの届く範囲を図面で確かめます。
そのうえで消防局に協議します!
堺市はホースの本数と箱の構造が要点です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 堺市消防局「堺市消防同意・消防用設備等審査基準」第1章 総則 凡例/第10 屋外消火栓設備 Ⅱ 細目 7 消火栓箱等(1)ア〜カ・キ、(2)ア、凡例◆②/第2 屋内消火栓設備 Ⅱ 細目 7(1)イ(ア)・(イ)・(エ)・(オ)a・(カ) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」凡例/第1章 第11節 屋外消火栓設備 第5・第6 2・第7、第10章 標識類 第1 標識の表示基準 https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 消防法施行令 第19条、消防法施行規則 第22条(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および堺市・大阪市の公開資料に基づく一般的な解説です。運用基準や審査基準は改正されることがあるため、最新の内容は管轄の消防署・消防局で確認してください。各資料は2026年10月時点の公開版で確認しています。堺市の審査基準が屋外消火栓箱の表示に屋内消火栓の「消火栓」の文字の規定を準用している点について、屋外の「ホース格納箱」の表示への当てはめ方は審査基準に書かれていないため、この記事では断定していません。





