非常電源として使う燃料電池設備は、地震の後も消防用設備等へ電気を供給できる状態でなければなりません。
点検では、アンカーボルトの緩みだけでなく、配管の揺れを逃がす可とう式管継手の状態と長さまで確認します。
管の呼び径によって長さの目安が変わるため、外観だけで「大丈夫」と決めることはできません。
燃料電池設備の耐震措置は、固定と配管の両方を点検することが要点です。
燃料電池設備は箱に入っているので、地震対策は終わっていると思っていました。
点検ではどこを見るのですか。
据付けを支えるアンカーボルトと、配管の動きを受ける継手を別に確認します。
どちらか一方だけでは足りません。
継手の長さまで決まっているのですね。
配管の太さも確認する必要がありますね。
はい。
呼び径と長さの組合せを、設備図書と現地で照合します。
- 燃料電池設備の耐震措置は、据付けと配管の両方を確認します
- アンカーボルトは変形・損傷・ナットの緩みを見て、点検時に増締めします
- 可とう式管継手は、漏れ・腐食・ひび割れと取付け状態を確認します
- 長さの目安は、呼び25未満が300cm、25以上50未満が500cm、50以上が800cmです
- 異常や改造の疑いを見つけたときは、自己判断で運転を続けず点検者へ共有します
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目次
燃料電池設備の耐震措置はなぜ固定と配管を分けて見るのか

燃料電池設備は、停電時に消防用設備等へ電気を供給する非常電源の一つです。消防庁の点検要領は、耐震措置としてアンカーボルトと可とう式管継手等を別の確認項目にしています。
アンカーボルトは設備本体の据付けを支え、可とう式管継手は配管に生じる相対的な動きを受けます。点検では、固定金具だけ、又は配管だけを見るのではなく、両者が設計どおりの状態にあるかを確認します。
固定してあれば、配管まで見なくてもよいと思っていました。
役割が違うのですね。
そのとおりです。
据付けと配管を一組の耐震措置として確認します。
アンカーボルトは何を確認して増締めするのか

点検要領では、アンカーボルトに変形、損傷、ナットの緩み等がないことを確認し、点検時にはすべて増締めを行うとしています。目視で緩みが見えない場合でも、点検時の増締めを省く趣旨ではありません。
増締めや分解を伴う作業は、設備の構造と安全手順を理解した点検者が行うものです。施設管理者は、地震後の異音、ずれ、床や架台の変化などに気付いたとき、運転記録とともに共有してください。
緩んで見えなければ、そのままでよいわけではないのですね。
点検時には全て確認するのですね。
はい。
全ての増締めを点検要領に沿って実施することが明記されています。
可とう式管継手は外観のどこまで確認するのか

可とう式管継手等では、変形、損傷、著しい腐食、漏れ、ゴム状のもののひび割れ等がないことを確認します。さらに、取付け状態が正常で、その寸法が適正であることも点検項目です。
外側から大きな傷が見えないことだけでは、確認を終えられません。配管を支持する部材、接続部、継手の種類を設備図書と突き合わせ、設置後の増設や改修で無理な力が掛かっていないかを確認します。
ゴム状の部分は、硬くなったり割れたりすることも見るのですね。
配管の漏れだけではないのですね。
はい。
外観と取付け状態を合わせて、漏れにつながる兆候を確認します。
呼び径で可とう式管継手の長さはどう変わるのか

消防庁の点検要領は、可とう式管継手の寸法の目安を第25の2-2表で示しています。管の呼びが25未満は300cm、25以上50未満は500cm、50以上は800cmです。
この数値は、どの継手でも自己判断で同じ長さに替えてよいという意味ではありません。点検で寸法の適否を判断するときの目安であり、実際の構成は設備図書、メーカー資料、点検要領を照合して有資格者が確認します。
配管が太くなるほど、長さの目安も長くなるのですね。
図面の呼び径を先に見ます。
その順序が安全です。
管の呼び径と現地の継手を取り違えないようにします。
施設管理者は点検前後に何を共有すればよいのか

施設管理者が日常的に行うのは、アンカーボルトを自己判断で締めることではありません。地震後や改修後に、設備本体のずれ、配管の接触、異音、におい、液体又はガスの漏れの疑いがないかを見て、点検者へ共有することです。
点検前には、改修工事、周辺機器の追加、配管ルートの変更、地震後の状況を伝えます。点検後には、不良箇所、是正の要否、次回までに管理者が注意すべき点を記録で確認し、設備を自己判断で改造しないようにします。
改修や地震の後の変化を、点検前に伝えるのですね。
普段の記録も残しておきます。
共有が点検の精度を高めます。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
よくある質問
まとめ
✔ 燃料電池設備の耐震措置は固定と配管を確認します。
✔ アンカーボルトはナットの緩みまで見ます。
✔ 点検時にはアンカーボルトを全て増締めします。
✔ 可とう式管継手は腐食・漏れ・ひび割れを確認します。
✔ 継手の長さは管の呼び径ごとに確認します。
✔ 地震後や改修後の変化は点検者へ共有します。
✔ 自己判断での締付けや改造は避け、有資格者へ相談します。
図面の呼び径と、地震後の変化を確認します。
点検前に記録も共有します。
日常の気付きが確実な点検につながります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
監修:㈱防災屋
参考・出典
※本記事は公表されている法令および消防庁資料に基づく一般的な解説です。設備の構成、改修、点検の取扱いは個別に異なるため、点検を行う有資格者および所轄消防署に確認してください。





