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吹田市で自動車整備工場の油庫や部品庫は床面積に入るのか|豊中市と堺市も比較

自動車をリフトで上げた整備工場の写真に、吹田市で油庫や部品庫が床面積に入るのかを問うタイトルを重ねた画像

自動車の整備工場や、車の販売店に付いた整備場を計画すると、整備をする部分の床面積しだいで、泡消火設備などの特別な消火設備が要るかどうかが決まります。
ところが、隣の油庫や部品庫、コンプレッサー室をその床面積に足すのかどうかは、消防法施行令には書かれていません。
この記事では、吹田市消防本部の質疑応答集が示す数え方を入口に、豊中市消防局と堺市消防局の基準を原文で比べます。
同じ大阪府の北部でも、油庫を外すための区画の造りが市によって違います。

吹田市で2階に整備場を作ります。
整備場の隣の油庫も面積に入りますか?

吹田市の質疑応答集では、整備場に接続する油庫や部品庫も足すのが原則です。
ただし区画すれば外せます。

外すにはどんな壁にすればよいのですか?

吹田市は準耐火構造の壁や床など5つの条件です。
豊中市と堺市は条件が違うので順に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 自動車の修理や整備をする部分は、地階か2階以上で200平方メートル以上、1階で500平方メートル以上になると消防法施行令第13条の特別な消火設備が要りますが、床面積の数え方は政令に書かれていません
  • 吹田市は、整備の作業室に接続する油庫・部品庫・工具室・機械の室と車路を足し、車検場や車両進入用の傾斜路は除くとしています
  • 吹田市は、準耐火構造の床か壁で区画し、常時閉鎖式の防火戸や防火ダンパーなど5つの条件をそろえた室を整備の部分から除けるとしています
  • 豊中市と堺市は、耐火構造の壁で区画し、開口部に特定防火設備を設け、区画の間を車が通れない場合に、区画ごとの床面積で判断するとしています
  • 大阪市・東大阪市・八尾市の公開されている基準では、この数え方を定めた箇所は見当たりませんでした

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吹田市と豊中市・堺市で、自動車整備工場の油庫などを床面積から外す区画の条件を比べた図

国の基準では整備をする部分の床面積はどこから問題になるのか

1階に自動車をリフトで上げた整備場があり2階にも整備場がある建物を切り開いたアイソメ図
自動車の修理や整備をする部分には、消防法施行令第13条で、広さに応じて特別な消火設備が求められます。
消防法施行令 第13条第1項の表(抜粋) 別表第一に掲げる防火対象物の自動車の修理又は整備の用に供される部分で、床面積が、地階又は二階以上の階にあつては二百平方メートル以上、一階にあつては五百平方メートル以上のもの 泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備
政令が決めているのは、地階か2階以上で200平方メートル、1階で500平方メートルという広さの線と、その線を超えたときに選べる4つの消火設備です。
一方で、「修理又は整備の用に供される部分」に、整備場の隣の油庫や部品庫、車が出入りする車路まで含めるのかは、政令にも施行規則にも書かれていません。
そのため、各地の消防本部が審査基準や質疑応答集で数え方を定めています。どこまで足すかで、線を超えるかどうかが変わるので、計画の早い段階で確かめておく必要があります。 国の基準の全体像は、車の修理や整備をする部分に特別な消火設備は要るのかの記事で解説しています。

政令には、油庫を足すかどうかは書いていないのですね?

はい、政令は広さの線だけです。
どこまで足すかは消防本部の基準を見ます。

吹田市では油庫や部品庫を整備の部分に足すのか

整備場の奥に油庫・部品庫・コンプレッサー室が並ぶ自動車整備工場の平面のアイソメ図
吹田市消防本部は「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」の第17節 設置単位・用途変更の問6で、この床面積の数え方を答えています。
吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第17節 問6・答6(抜粋) 自動車の修理又は整備の用に供される部分の床面積の床面積は、道路運送車両法(昭和26 年法律第185 号)に規定する道路運送車両(原動機付自転車及び軽車両を除く。)の整備又は修理を行なう作業室(車検場、検査場等を除く。)及びこれに接続する油庫、部品庫、工具室並びに整備又は修理のための機械が設けられている室及び車路(車両進入用の傾斜路、カーリフト等を除く。)の床面積の合計とする。
答6を分けて読むと、吹田市で足すものと除くものは次のとおりです。
区分吹田市の答6に書かれているもの
足すもの整備又は修理を行う作業室、これに接続する油庫・部品庫・工具室、整備又は修理のための機械が設けられている室、車路
除くもの作業室のうち車検場、検査場等、車路のうち車両進入用の傾斜路、カーリフト等
対象の車道路運送車両のうち、原動機付自転車と軽車両を除いたもの(道路運送車両法第2条でいう自動車)
質疑応答集には平面の例図も付いています。図では、整備場と洗車場が整備の部分として塗られ、油庫・コンプレッサー室・部品庫は、準耐火構造の壁と常時閉鎖式の防火戸で区画されて塗られていません。事務所も塗られていない部分にあります。
つまり吹田市では、油庫などは足すのが原則で、次の見出しの区画をしたときに初めて外せる、という組み立てです。

車検場は作業室から除くのですか?

吹田市の答6は作業室から車検場、検査場等を除いています。
豊中市と堺市の基準には、この言葉はありません。

吹田市で油庫を整備の部分から外す5つの条件は何か

整備場と油庫の間の壁に防火戸・換気口のダンパー・壁を貫通する配管・防火ダンパー付きの風道があるアイソメ図
答6は、合計とする原則のすぐ後に、外せる場合の条件を続けています。
吹田市消防本部 質疑応答集 第17節 答6(続き) ただし、次により防火上有効に区画された場合、修理又は整備の用に供される部分から除くことができる。
同(1)〜(5)(抜粋) (1) 準耐火構造の床又は壁で区画され、床、壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを不燃材料で仕上げること。
(2) 屋内に面する窓及び出入口の戸は、常時閉鎖式の防火戸とすること。
(5) 換気、暖房又は冷房の設備の風道が、不燃区画の壁又は床を貫通する場合は、当該貫通する部分又はこれに近接する部分に、防火ダンパーを設けること。
5つの条件を、確かめる場所ごとに並べると次のとおりです。
  1. 壁と床:準耐火構造の床か壁で区画し、室内に面する床・壁・天井の仕上げを不燃材料にする
  2. 窓と出入口:屋内に面する窓と出入口の戸を常時閉鎖式の防火戸にする
  3. 換気口:屋内に面するガラリなどの換気口に、煙や急な温度上昇で自動的に閉まる防火設備を設ける
  4. 配管:給水管や配電管が区画の壁や床を貫通するときは、すき間をモルタルなどの不燃材料で埋める
  5. 風道:換気・暖房・冷房の風道が貫通するときは、貫通する部分か近くに防火ダンパーを設ける
5つは「すべてそろえる」と書かれてはいませんが、「次により防火上有効に区画された場合」とあり、ひとつでも欠けると区画として認められない恐れがあります。
たとえば2階に整備場170平方メートル、油庫15平方メートル、部品庫20平方メートルがあると、合計は205平方メートルで200平方メートルの線を超えます。油庫と部品庫を5つの条件で区画すれば、整備の部分は170平方メートルとして数えられます。
なお、この5項目は三重県の鈴鹿市や埼玉県央広域消防本部の審査基準にもほぼ同じ文言で置かれていて、津市の整備工場の床面積の記事で比べています。

防火戸を開けっぱなしにして使うとどうなりますか?

条件は常時閉鎖式の防火戸です。
くさびで開けておくと区画の前提が崩れるので注意しましょう。

豊中市と堺市では区画の条件がどう違うのか

厚いコンクリートの壁と鉄の扉と段差で仕切られ車が通れない二つの整備場のアイソメ図
豊中市消防局の「消防用設備等の設置に関する運用基準」は、第2章 第1節 第3 建築物の床面積及び階の取扱いの中で、整備の部分の床面積を定めています。
豊中市消防局「消防用設備等の設置に関する運用基準」第3 1(2)サ(ア)(抜粋) 道路運送車両法(昭和26年法律第185号)に規定する普通自動車、小型自動車、軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車及び自動二輪車(以下「自動車等」という。)の整備又は修理を行う作業室及びこれに接続する油庫、部品庫、工具室並びに整備又は修理のための機械が設けられている室(以下「油庫等」という。)及び車路(車両進入用の傾斜路、カーリフト等であって上部が開放されている部分を除く。)の床面積の合計とすること。
同 サ(イ) 自動車等の整備又は修理を行う作業室と接続する油庫等が、耐火構造の壁(開口部を設ける場合にあっては、特定防火設備が設けられていること。)により相互に区画され、かつ、区画間において車両の通行ができない場合は、それぞれ区画された部分ごとの床面積とすることができる。
堺市消防局の「消防同意・消防用設備等審査基準」第4 床面積、階及び高さの取扱いも、ほぼ同じ文言です。
堺市消防局「消防同意・消防用設備等審査基準」第4 1(2)ウ(抜粋) ただし、自動車等の整備又は修理を行う作業室と接続する油庫等が、耐火構造の壁(開口部を設ける場合にあっては、特定防火設備が設けられていること。)により相互に区画し、かつ、区画間において車両の通行ができない場合は、それぞれ区画された部分ごとの床面積により政令第13条第1項の規定を適用する。
足すものの範囲は吹田市とほぼ同じですが、外し方の条件と細部に違いがあります。
項目吹田市豊中市・堺市
区画の壁準耐火構造の床又は壁耐火構造の壁
開口部常時閉鎖式の防火戸特定防火設備
そのほかの条件内装の不燃仕上げ、換気口の防火設備、配管のすき間埋め、風道の防火ダンパー区画の間を車が通れないこと
区画したときの扱い整備の部分から除くことができる区画された部分ごとの床面積で判断する
作業室から除くもの車検場、検査場等記載なし
車路から除くもの車両進入用の傾斜路、カーリフト等傾斜路、カーリフト等で上部が開放されている部分
吹田市の条件は壁を準耐火構造でよいとする代わりに、換気口や配管、風道の貫通部まで細かく決めています。豊中市と堺市は、壁を耐火構造、開口部を特定防火設備と、壁と扉の性能を高く求め、車が区画をまたいで通れないことを条件にしています。
大阪市消防局・東大阪市消防局・八尾市消防本部については、公開されている運用基準と例規集を確認した範囲では、整備の部分の床面積の数え方を定めた箇所は見当たりませんでした。この3市で計画する場合は、所轄の消防署に数え方を確かめてください。

吹田市の準耐火構造の壁は、豊中市では足りないのですか?

豊中市と堺市の基準は耐火構造の壁です。
市境の計画では、所在地の基準に合わせて壁を決めましょう。

大阪府北部で整備工場を計画するときは何を確かめればよいのか

黄色く塗り分けた平面図とメジャーとバインダーとヘルメットを置いた机と消火器のアイソメ図
整備場を含む建物を計画したら、次の順に確かめます。
  1. 所在地を確かめます。吹田市・豊中市・堺市で、区画の条件が違います。
  2. 平面図で、整備の作業室、接続する油庫・部品庫・工具室・機械の室、車路を色分けします。吹田市では車検場や検査場、車両進入用の傾斜路を除いて塗ります。
  3. 外したい室の区画を確かめます。吹田市は準耐火構造と5つの条件、豊中市と堺市は耐火構造の壁と特定防火設備、車が通れないことです。
  4. 階ごとに合計を出し、地階か2階以上は200平方メートル、1階は500平方メートルの線と比べます。
  5. 線に近い計画は、建具表と断面図を添えて事前相談し、所轄の消防署で数え方を確かめます。
吹田市の質疑応答集には、ほかにも新築マンションの収容人員の数え方などがあり、吹田市で新築のマンションの収容人員は何人で数えるのかの記事でも豊中市・堺市と比べています。

建物ができてから油庫を区画し直すこともできますか?

できても、壁や防火戸の工事のやり直しになります。
設計の段階で区画を決めるのが確実です。

よくある質問

Q吹田市で事務所は整備の部分に入りますか?
A吹田市の答6が足すとしているのは、作業室に接続する油庫・部品庫・工具室・機械の室と車路です。例図でも事務所は塗られていないので、事務所は足すものに挙がっていません。
Q吹田市で洗車場は整備の部分に入りますか?
A質疑応答集の例図では、洗車場は整備場と同じ色で塗られています。区画されていない洗車場は足すものとして扱われると読めます。
Q豊中市で油庫の扉を常時閉鎖式の防火戸にすれば外せますか?
A豊中市の基準は耐火構造の壁で、開口部には特定防火設備を求めています。防火戸の種類が条件に合うかを確かめてください。
Q1階の整備場なら油庫を足しても大丈夫ですか?
A1階の線は500平方メートルなので、地階や2階以上より余裕があります。ただし合計で500平方メートル以上になれば特別な消火設備が要ります。

まとめ

✔整備をする部分は地階か2階以上で200平方メートル、1階で500平方メートルが線で、数え方は政令に書かれていません
✔吹田市は作業室に接続する油庫・部品庫・工具室・機械の室と車路を足し、車検場や車両進入用の傾斜路は除きます
✔吹田市は準耐火構造の区画と防火戸・防火ダンパーなど5つの条件で、油庫などを整備の部分から除けます
✔豊中市と堺市は耐火構造の壁と特定防火設備で区画し、車が通れなければ区画ごとの床面積で判断します
✔大阪市・東大阪市・八尾市の公開資料では、この数え方の定めは見当たりませんでした
✔運用基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認しましょう

まず所在地の市の区画の条件を確かめます。
そのうえで図面を色分けして消防署に相談します!

区画は設計の段階で決めるのが近道です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

※本記事は公表されている法令および吹田市・豊中市・堺市・大阪市・東大阪市・八尾市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたもので、「見当たらない」「記載なし」としたものは、公開資料を確認した範囲の結果です。運用基準は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防局で確認してください。個々の建物の床面積の数え方は、所轄の消防署にご確認ください。

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