マンションの開放廊下に並ぶパイプシャフト(PS)の扉の中には、給水管や排水管のほか、ガス給湯器が入っていることがよくあります。
自動火災報知設備が必要な建物では、このPSの中にも感知器を付けるのか、付けるならどの種類なのかが、設計のたびに問題になります。
この記事では、吹田市消防本部の「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」がPSの感知器をどう答えているかを読み、国の基準と分けて整理します。
あわせて、大阪市・豊中市・東大阪市・堺市が、PSの感知器をどんな条件で省略できるとしているかを比べます。
吹田市でマンションを建てる計画です。
パイプシャフトの中に給湯器を置く予定です。
吹田市の質疑応答集は、給湯器があるPSについて感知器の種類まで答えています。
順に読んでいきましょう。
パイプシャフトにも煙感知器が要るのですか。
国の規則は、パイプダクトなどに煙感知器を求めています。
ただ、市ごとに省略の条件が違います。
- 国の消防法施行規則第23条第5項第3号は、エレベーターの昇降路やパイプダクトなどに煙感知器を設けるよう定めています
- 吹田市の質疑応答集は、PS等は有効面積1㎡以上あれば感知器が必要で、種類は問わないと答えています(答10)
- 煙感知器が必要になる防火対象物のPSは煙感知器が必要ですが、給湯器等を置くなら定温式の防水型でも支障なしとされています(答13)
- PSの床に床面積の10%以上の開口があれば竪穴区画として最頂部に煙感知器、竪穴区画としないなら種類は問わないとされています(答6)
- 大阪市・豊中市は「1㎡未満」か「耐火構造の区画+給水管と排水管だけ」で省略でき、東大阪市は中身の条件なし、堺市は電気配線だけのPSも含めるという違いがあります
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目次
吹田市の質疑応答集はパイプシャフトの感知器をどう答えているのか

有効面積1 ㎡以上あれば設置は必要であるが、感知器の種類は問わない。
必要であるが、PS内に給湯器等を設置する場合は、定温式の防水型としても支障なし。
当該床部分の面積の10%以上の開口部があれば竪穴区画とし、最頂部に煙感知器を設置すること。竪穴区画としない場合は、感知器の種類は問わない。
- まず、PSが感知器の対象になるかどうかは、答10の有効面積1㎡以上で線を引きます。
- 次に、そのPSが上下の階に縦につながった竪穴かどうかを、答6で見ます。床があっても、床面積の10%以上の開口があれば竪穴区画として扱います。
- 竪穴区画として扱うPSは、答6で最頂部に煙感知器とされます。答13の「煙感知器は必要」もこの場面と読めます。
- 竪穴区画としないPSは、答6で種類は問わないとされます。答10の「種類は問わない」と同じ扱いです。
- 煙感知器が必要なPSでも、中に給湯器等を置くなら、答13で定温式の防水型に替えてよいとされます。
床が各階で閉じているPSなら、種類は問わないのですね。
はい、答6は竪穴区画としない場合は種類を問わないと答えています。
次に、国の基準を見ます。
国の基準ではパイプシャフトのどこから煙感知器が要るのか

三 エレベーターの昇降路、リネンシュート、パイプダクトその他これらに類するもの
1平方メートルは条文の数字ではないのですね。
はい、条文はパイプダクトその他これらに類するものと書くだけです。
次は、給湯器の話です。
給湯器があるパイプシャフトはなぜ定温式の防水型でよいのか

(イ)じんあい、微粉又は水蒸気が多量に滞留する場所
(ホ)排気ガスが多量に滞留する場所
(ト)結露が発生する場所
給湯器のあるPSは、煙感知器を外して熱感知器にできるのですね。
吹田市の答13は、定温式の防水型としても支障なしと答えています。
ほかの市の条件と比べてみましょう。
大阪府内5市でパイプシャフトの感知器の省略はどう違うのか

ア 水平投影面積が1平方メートル未満のもの
イ ア以外のもので、次に適合するもの
(ア) 耐火構造の壁で造られ、かつ、階ごとに水平区画が施されたもので、開口部に防火戸又はこれらと同等以上のものが設けられているもの
(イ) 給水管及び排水管のみで、可燃物が存置されていないもの
| 市 | 基準の位置 | 面積で外れるもの | 区画で外れるもの | 中身の条件 | 給湯器の記述 |
|---|---|---|---|---|---|
| 吹田市 | 質疑応答集 第5節 答6・答10・答13 | 有効面積1㎡以上で設置(答10) | 床の開口が10%以上なら竪穴区画として最頂部に煙感知器、竪穴区画としない場合は種類を問わない(答6) | 記載なし | 定温式の防水型で支障なし(答13) |
| 大阪市 | 運用基準 第12 特例基準 2(9)(令第32条又は条例第47条) | 水平投影面積1平方メートル未満 | 耐火構造の壁+階ごとの水平区画+開口部に防火戸等 | 給水管と排水管だけで可燃物なし(区画と両方) | 記載なし |
| 豊中市 | 運用基準 第11 特例基準 2(9)(令第32条) | 水平投影面積1平方メートル未満 | 耐火構造の壁+各階ごとの水平区画+開口部に防火戸等 | 給水管と排水管だけで可燃物なし(区画と両方) | 記載なし |
| 東大阪市 | 自動火災報知設備 9 特例基準 ⑴コ(令第32条又は条例第52条) | 水平投影面積1平方メートル未満 | 耐火構造の壁+階ごとの水平区画+開口部に防火戸等 | 条件なし | 記載なし |
| 堺市 | 審査基準 Ⅱ細目 2(3)キ(規則第23条第4項第1号イからハによるほか) | 水平投影面積1㎡未満 | 耐火構造の壁+各階又は2の階以下ごとの水平区画+開口部に防火設備等 | 電気配線だけのPSも含む(配電盤・分電盤・照明器具・コンセント・電気メーター等がないもの) | 記載なし |
- 中身の条件:大阪市と豊中市は、区画に加えて給水管と排水管だけであることを求めています。東大阪市にはこの条件が無く、堺市は電気配線だけのPSも含めると書いています。
- 区画の単位:大阪市・豊中市・東大阪市は階ごとの水平区画ですが、堺市は各階又は2の階以下ごとでよいとしています。
- 給湯器:PSに給湯器を置く場合の扱いを書いているのは吹田市だけです。大阪市・豊中市の条件で読むと、給湯器は給水管・排水管ではないので、区画で外す条件には当たらないと読めます。
なお、パイプダクトその他これらに類する場所が2の階以下で完全に水平区画されている場合は熱感知器とすることができる。
大阪市だと、給湯器のあるPSは区画しても外せないのですね。
大阪市の(9)イは給水管及び排水管のみが条件なので、そう読めます。
最後に、確認の順番を整理します。
吹田市でパイプシャフトの感知器を計画するときの確認手順

- PSの有効面積が1㎡以上かを図面で確かめます。1㎡以上なら感知器の対象です(答10)。
- PSが各階の床で区切られているかを見ます。床があっても、床面積の10%以上の開口があれば竪穴区画として扱われます(答6)。
- 竪穴区画として扱うPSは、最頂部に煙感知器を計画します(答6・答13)。
- 竪穴区画としないPSは、感知器の種類は問われません(答6・答10)。
- PSの中に給湯器等を置くなら、定温式の防水型にできるかを確認します(答13)。
- 迷う点は、図面を持って吹田市消防本部の予防担当に相談します。
面積、床の開口、給湯器の有無の順に確かめればよいのですね。
はい、その3つをそろえておけば相談の話が早くまとまります。
よくある質問も見ておきましょう。
よくある質問
まとめ
PSの面積と床の開口、給湯器の位置を図面にまとめて、吹田市消防本部に相談します!
その3つがそろっていれば、感知器の種類の相談もすぐにまとまります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 吹田市消防本部「消防用設備等設置指導等に関する質疑応答集」第5節 自動火災報知設備 問6・答6、問10・答10、問13・答13(PDF2・3ページ目) https://www.city.suita.osaka.jp/anzen/1017917/1017954/1044807.html
- 大阪市消防局「消防用設備等の設置に係る運用基準」自動火災報知設備 第12 特例基準 2(9) https://www.city.osaka.lg.jp/shobo/page/0000350878.html
- 豊中市消防局「消防用設備等の設置に関する運用基準」自動火災報知設備 第11 特例基準 2(9) https://www.city.toyonaka.osaka.jp/kurashi/bosai/toyonakafiredept/todokede/setubiunnyoukijun.html
- 東大阪市消防局 自動火災報知設備 9 特例基準 ⑴コ https://www.city.higashiosaka.lg.jp/0000041303.html
- 堺市消防局「消防用設備等の審査基準」第12 自動火災報知設備 Ⅱ細目 2(3)キ・2(11)キ(ウ)(PDF31・66ページ目) https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/bosai/shobo/shokai/reiki/kijyun/index.html
- 消防法施行規則 第23条第4項第1号ニ・第5項第3号(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336M50000008006
※本記事は公表されている法令および吹田市・大阪市・豊中市・東大阪市・堺市の公開資料に基づく一般的な解説です。表は要旨を自分の言葉でまとめたものです。吹田市の答えどうしの関係や、国の規則との関係は、条文と答えを並べて読んだ整理であり、吹田市が明記しているものではありません。「見当たらない」とした項目は、各市の公開資料を全文検索した範囲でのものです。八尾市は消防用設備等の審査基準を公開していないため比較に入れていません。運用基準や質疑応答集は改正されることがあるため、最新は管轄の消防署・消防本部で確認してください。感知器が必要かどうかの個別の判断は、所轄の消防署にご確認ください。






