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防火シャッターが降下しない恐れはなぜ消防庁からも通知されたのか|平成20年の二つの通知と現行の条文を解説

防火シャッターが降下しない恐れを消防庁も通知した

廊下や階段の前で、火災のときに降りてくる防火シャッターを、消防設備とは別のものと考えていませんか。
平成20年9月と12月に、消防庁予防課長は、防火シャッターが降りない恐れがあるという通知を、続けて二つ出しました。
通知は、そのシャッターがスプリンクラー設備を設置することを要しない防火区画や、不活性ガス消火設備の防護区画に使われている場合があるとも述べています。
この記事では、二つの通知の中身、現行の条文との関係、確認したいことを解説します。

防火シャッターの通知なのに、なぜ消防庁が出したのですか。
消防設備とは別の話だと思っていました。

通知は、シャッターが消火設備の区画に使われている場合があることにも触れています。
まず、二つの通知を並べて確かめましょう。

降りない恐れがあるというのは、どんな不具合だったのですか。

部品の作動不良で、降下しない、又は途中で止まる恐れです。
その中身も、順に見ていきます。

この記事の結論
  • 消防庁予防課長は、平成20年9月22日の消防予第242号と12月5日の消防予第319号で、二つの会社の防火シャッターに、降下しない恐れのある不具合が判明したと伝えました。
  • 不具合は、部品の作動不良により、シャッターが降下しない、又は途中停止する恐れというもので、対象は国土交通省の別添で型式や部品が示されています。
  • 消防庁は、そのシャッターが規則第13条の防火区画部分や令第16条の防護区画部分に使われている場合があるとして、留意を求めました。
  • 国土交通省の別添は、建築行政の側に、既存建築物で製造者が講じた対策の結果を確認することを求めています。
  • 通知は当時の情報提供で、現在の対策状況までは書かれていません。通知が引いた建築基準法施行令の項番号も、現行の条文とは違います。

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防火シャッターの不具合通知を、二社の防火シャッターに不具合があったこと、降下しない恐れがあったこと、建築側は対策結果の確認を求めたこと、消防側は消火設備の区画への留意を求めたこと、型式と対策状況を確かめることの五段階で示した図解

消防庁はなぜ防火シャッターの不具合を通知したのか

白紙の封筒二通の右に、半分だけ降りた灰色のシャッターのある壁が並んだイラスト
二つの通知は、製造した会社が違うだけで、書き方がほぼ同じです。
まず、それぞれの書き出しを引いて確かめます。
消防予第242号「文化シヤッター㈱が販売した防火シャッターの不具合に関する対応について」(平成20年9月22日、消防庁予防課長)は、次のように述べています。
先般、文化シヤッター㈱が販売した防火シャッターについて、防火シャッターを構成する部品の作動不良により、当該シャッターが降下しない、又は、途中停止する不具合が発生する可能性があることが判明しました。
消防予第319号「東洋シヤッター㈱が販売した防火シャッターの不具合に関する対応について」(平成20年12月5日、消防庁予防課長)は、次のように述べています。
先般、東洋シヤッター㈱が販売した防火シャッターについて、防火シャッターを構成する部品の作動不良により、当該シャッターが降下しない不具合が発生する可能性があることが判明しました。
二つの通知は、別々の会社の防火シャッターについて、同じ形で出されました。
宛先は、各都道府県消防防災主管部長、東京消防庁・各指定都市消防長で、差出人は消防庁予防課長です。
どちらも、国土交通省住宅局建築指導課長が都道府県の建築行政主管部長に宛てた通知を、別添として付けています。
消防庁は、この別添が各都道府県宛に通知されたことを「お知らせします」と伝える形をとっています。
会社ごとに別の通知として出されており、消防と建築の両方にまたがる話だと分かります。
通知消防庁の通知の日付対象の会社別添の国土交通省通知
消防予第242号平成20年9月22日文化シヤッター㈱国住指第2444号(平成20年9月22日)
消防予第319号平成20年12月5日東洋シヤッター㈱国住指第3573号(平成20年12月5日)

国土交通省の通知が付いているのですね。

はい。
国土交通省の通知を別添にして、消防側の留意点を添えています。

不具合の中身は、どこまで通知に書かれているのか

半分で止まった灰色のシャッターのある壁の右に、灰色の小さな操作箱が立つイラスト
不具合の書き方は、二つの通知でほぼ同じですが、細部が違います。
消防庁の本文と、国土交通省の別添を並べて整理します。
消防予第242号は、別添について次のように述べています。
これを受けて、国土交通省住宅局から別添のとおり、各都道府県宛に通知されましたのでお知らせします。
通知が書いているのは、不具合の現れ方と、対象になる型式や部品までです。
消防予第242号は、文化シヤッター㈱のシャッターで「降下しない、又は、途中停止する」可能性があるとしています。
消防予第319号は、東洋シヤッター㈱のシャッターで「降下しない」可能性があるとしています。
国土交通省の別添は、対象を型式や部品で示しています。
一方で、原因の詳しい説明や事故の有無は、通知に書かれていません。
項目消防予第242号消防予第319号
製造した会社文化シヤッター㈱東洋シヤッター㈱
不具合の現れ方降下しない、又は、途中停止する可能性降下しない可能性
対象(国土交通省の別添)自動閉鎖装置 ER-AⅢ 又は 危害防止用連動中継器(別添に型式の記載あり)を有するシャッター自動閉鎖装置 ER-AⅢ 及び 調整バネが使用されているシャッター
設置建築物の一覧別送とされている別送とされている

型式まで書かれているのですね。

はい。
自分のシャッターの型式を確かめる手がかりになります。

二つの通知は、消防と建築の側に何を求めたのか

丸い印のある白紙の通知書と白紙のチェック表の右に、灰色のシャッターが閉まった小さな建物が並んだイラスト
求めた内容は、宛先ごとに二つに分かれます。
消防庁の通知と、国土交通省の別添で確かめます。
消防予第242号は、次のように述べています。
当該防火シャッターが消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第13条に規定するスプリンクラーを設置することを要しない防火区画部分及び消防法施行令(昭和36年政令第37号)第16条に規定する不活性ガス消火設備の防護区画部分に使用されている場合があること等にご留意下さい。
(略)
各都道府県消防防災主管部長におかれましては、貴都道府県内の市町村に対し、この旨周知するようお願いします。
消防庁は留意と周知を、国土交通省は対策結果の確認を求めました。
消防庁は、シャッターが二つの条文の区画に使われている場合があることへの留意を求めています。
都道府県の消防防災主管部長には、市町村へ周知するよう依頼しています。
国土交通省の別添は、都道府県の建築行政主管部長に、既存建築物で製造者が講じた対策の結果を確認することを求め、早急な対応を促しています。
あわせて、管内の特定行政庁へ周知するよう依頼しています。
出した機関と宛先求めた内容
消防庁予防課長(都道府県消防防災主管部長、東京消防庁・各指定都市消防長)規則第13条の防火区画部分と令第16条の防護区画部分に使われている場合があることへの留意/市町村への周知
国土交通省住宅局建築指導課長(都道府県建築行政主管部長)製造者からの報告を受けて、講じた対策の結果を確認すること/管内の特定行政庁への周知
設置されている建築物の一覧別送とされている

消防と建築で、求められる中身が違うのですね。

そのとおりです。
消防は留意、建築は結果の確認と整理できます。

なぜ防火シャッターの閉まり方が消火設備の条文に関わるのか

圧力計のついた赤いガス容器三本の右に、灰色のシャッターが閉まった小さな部屋が並んだイラスト
通知が挙げた二つの条文は、現行の条文を読み直せます。
令和の今の条文で、区画の開口部がどう書かれているかを確かめます。
消防法施行令(昭和三十六年政令第三十七号)第十六条第一号(現行)
全域放出方式の不活性ガス消火設備の噴射ヘッドは、(略)かつ、開口部に自動閉鎖装置(建築基準法第二条第九号の二ロに規定する防火設備(防火戸その他の総務省令で定めるものに限る。)又は不燃材料で造つた戸で不活性ガス消火剤が放射される直前に開口部を自動的に閉鎖する装置をいう。)が設けられている部分に、(略)設けること。ただし、当該部分から外部に漏れる量以上の量の不活性ガス消火剤を有効に追加して放出することができる設備であるときは、当該開口部の自動閉鎖装置を設けないことができる。
消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第十三条第二項第一号ハ(現行)
ロの開口部には、特定防火設備である防火戸(廊下と階段とを区画する部分以外の部分の開口部にあつては、防火シャッターを除く。)で、随時開くことができる自動閉鎖装置付のもの若しくは次に定める構造のもの(略)
建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第百十二条第十九項第一号(現行)
イ 常時閉鎖若しくは作動をした状態にあるか、又は随時閉鎖若しくは作動をできるものであること。
(略)
ニ 常時閉鎖又は作動をした状態にあるもの以外のものにあつては、火災により煙が発生した場合又は火災により温度が急激に上昇した場合のいずれかの場合に、自動的に閉鎖又は作動をするものであること。
規則第13条と令第16条は、どちらも開口部を閉じる設備が前提になっています。
令第16条第1号は、全域放出方式の不活性ガス消火設備の噴射ヘッドを、開口部に自動閉鎖装置が設けられている部分に設けると書いています。
ただし書で、外部へ漏れる量以上の消火剤を追加して放出できる設備なら、この自動閉鎖装置は設けないことができるとされています。
規則第13条第2項第1号ハは、廊下と階段を区画する部分以外の開口部では、防火シャッターを除くと書いています。
通知が引いた建築基準法施行令第112条第14項は、現行の条文では竪穴部分の規定で、防火区画に用いる特定防火設備の要件は第19項第1号に置かれています。
条項番号は通知の当時と違うので、通知の番号を現行の条文へそのまま当てないでください。
当時の規則第13条が現行と同じかどうかは、この記事では確かめていません。
通知の言葉現行の条文読み方
規則第13条に規定するスプリンクラーを設置することを要しない防火区画部分規則第13条第2項第1号ハ:廊下と階段を区画する部分以外の開口部では防火シャッターを除く第1項の第1号と第1号の2にも同じ括弧書きがある
令第16条に規定する不活性ガス消火設備の防護区画部分令第16条第1号:開口部に自動閉鎖装置が設けられている部分に噴射ヘッドを設ける。ただし書あり開口部を閉じる装置が前提で、ただし書で設けない場合もある
建築基準法施行令第112条第14項現行は第19項第1号イ・ニ:随時閉鎖でき、煙や温度上昇で自動的に閉鎖する通知の項番号は現行と違うので、条文を引き直す

規則の区画では、防火シャッターの使える場所が限られているのですね。

はい。
廊下と階段の区画の開口部以外は、括弧書きで除かれています。

自分の建物では、いま何を確認すればよいのか

白紙のチェック表と小さな道具箱の右に、灰色のシャッターが閉まった壁が並んだイラスト
通知は、建物の所有者向けの手順書ではありません。
そこで、通知と現行の条文から、確認したい点を五つに整理します。
消防予第319号は、次のように述べています。
当該防火シャッターが(略)使用されている場合があること等にご留意下さい。
確認の順番は、製造者と型式、問い合わせ、記録、設置場所、点検の五つです。
次の手順は通知に書かれた義務ではなく、通知と条文を踏まえた実務上のおすすめです。
通知は当時の情報提供で、現在の対策の状況までは書かれていません。
個別の適否は、所轄の消防署や特定行政庁で確かめてください。
  • 防火シャッターの製造者名と型式を、銘板や設置時の書類で確かめる
  • 通知に書かれた自動閉鎖装置や連動中継器、調整バネに当たるか、製造者や施工した会社に問い合わせる
  • 該当するときは、対策を講じた記録が残っているか、管理の書類を見直す
  • スプリンクラー設備を設置しない区画や不活性ガス消火設備の防護区画に、シャッターが使われていないか、設備図と現地を見比べる
  • 防火設備の定期検査や消防用設備等の点検で、シャッターの閉まり方を確かめた記録があるか見る

まず、うちのシャッターの型式を見に行きます。

それが入り口です。
銘板と設置時の書類から、確かめてください。

よくある質問

Qこの通知で、防火シャッターの点検が義務になったのですか?
Aいいえ。通知は情報提供と留意の依頼で、新しい義務を定める文言はありません。防火設備の定期検査は、建築基準法の仕組みで別に定められています。
Q通知に書かれた型式以外のシャッターは、安全なのですか?
A通知は、対象を型式や部品で限って示しています。それ以外のシャッターの状態について、通知は何も述べていません。
Q対象の建物の一覧は、建物の所有者に届くのですか?
A国土交通省の別添は、一覧を別送とし、対策の結果を確認するのは建築行政の側だと書いています。所有者への連絡の方法までは、通知に書かれていません。
Qスプリンクラー設備を設置しなくてよい区画には、どんな防火シャッターでも使えますか?
A現行の規則第13条第2項第1号ハは、廊下と階段を区画する部分以外の開口部では防火シャッターを除くと書いています。個別の区画の適否は、所轄の消防署に確かめてください。

まとめ

✔消防庁は、平成20年9月22日の消防予第242号と12月5日の消防予第319号で、防火シャッターの不具合を伝えた
✔不具合は、部品の作動不良でシャッターが降下しない、又は途中停止する恐れというものだった
✔対象は、国土交通省の別添で自動閉鎖装置などの型式や部品により示されている
✔消防庁は、規則第13条の防火区画部分と令第16条の防護区画部分に使われている場合があることへの留意を求めた
✔国土交通省の別添は、製造者が講じた対策の結果を確認することを求めた
✔通知が引いた建築基準法施行令第112条第14項の内容は、現行では第19項第1号にある
✔通知は当時の情報提供で、現在の対策状況は製造者や所轄庁に確かめる必要がある

型式と対策の記録から、確かめます!

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防予第242号「文化シヤッター㈱が販売した防火シャッターの不具合に関する対応について」(平成20年9月22日 消防庁予防課長)別添 国土交通省住宅局建築指導課長通知(国住指第2444号)
  • 消防予第319号「東洋シヤッター㈱が販売した防火シャッターの不具合に関する対応について」(平成20年12月5日 消防庁予防課長)別添 国土交通省住宅局建築指導課長通知(国住指第3573号)
  • 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第16条 e-Gov法令検索
  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第13条 e-Gov法令検索
  • 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第112条 e-Gov法令検索

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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