感知器の点検は、天井の感知器に加熱試験器を当てて、鳴るかどうかを見るものだと思っていませんか。
ところが点検要領には、加熱試験器を使わない場所がはっきり書かれています。
どんな場所で、代わりに何を使うのかも決まっています。
この記事では、点検要領の留意事項をもとに、試験器を場所で使い分ける理由と手順を整理します。
感知器の点検は、どの場所でも加熱試験器で行うのではないのですか。
ふつうの場所ではそうですが、引火や感電のおそれがある場所は別です。
使う試験器が点検要領で決まっています。
別の試験器とは、具体的に何のことでしょうか。
点検要領は、差動スポット試験器又は回路試験用押しボタン等と示しています。
順番に見ていきましょう。
- 熱感知器(スポット型)の作動試験は、ふつうの場所では所定の加熱試験器で確認します。
- 可燃性ガス等の滞留により引火のおそれがある場所では、加熱試験器ではなく別の試験器で行います。
- 高圧受変電室等の感電のおそれのある場所でも、同じく別の試験器に替えます。
- 替える試験器は、差動スポット試験器又は回路試験用押しボタン等です。
- 場所が変わっても、判定は確実に作動すること・警戒区域の表示が適正であることなどで変わりません。
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目次
感知器の作動試験は、ふつうの場所ではどんな試験器で確かめるのか

点検の方法は消防庁が通知で示していて、自動火災報知設備は第11に並んでいます。
まず、熱感知器のスポット型の項目が、試験器をどう書いているかを読んでみましょう。
(1) 差動式、定温式(再用型)及び熱アナログ式 所定の加熱試験器により確認する。
(2) 定温式(非再用型) 警戒区域ごとに設置されている感知器の数に応じて、第11-1表により抜き取り、再用型の感知器の加熱試験に準じて確認する。
(判定方法)
ア 確実に作動すること。
イ 警戒区域の表示が適正であること。
ウ 確認灯付感知器の場合は、確認灯が正常に点灯又は点滅すること。
判定は、確実に作動すること、警戒区域の表示が適正であること、確認灯が点灯又は点滅することの3点です。
この作動試験は、機器点検の中の感知器の項目です。
感知器の作動時間の目安は作動試験の秒数の目安の記事、非再用型の抜取りは同時作動試験と非再用型の抜取試験の記事で整理しています。
加熱試験器を当てれば、どの感知器でも同じように確認できるのですか。
スポット型の熱感知器は、種類ごとに試験の当て方が分かれます。
この記事では、場所による使い分けに絞って見ていきます。
可燃性ガス等がたまる場所では、なぜ別の試験器を使うのか

その一つ目が、引火のおそれがある場所についての定めです。
※ (ア) 可燃性ガス等の滞留により引火のおそれがある場所及び高圧受変電室等の感電のおそれのある場所に設けられた感知器を点検するときは、差動スポット試験器又は回路試験用押しボタン等の試験器により行うこと。
点検要領は、加熱試験器を使えない理由までは書いていません。
ただ、加熱試験器は感知器に熱を与える器具です。
熱を与える作業を、ガスが滞留するおそれのある場所で行えば、引火の危険を招きかねません。
そう考えると、この留意事項は着火源になりうる作業を避けるためのものと読み取れます。
加熱試験器を使えない場所は、点検の対象から外れるのですか。
いいえ、点検は行いますが、使う試験器を替えるのです。
替えたあとも、同じ判定で確かめます。
高圧受変電室では、なぜ別の試験器を使うのか

点検要領はその代表として、高圧受変電室を挙げています。
高圧とは何ボルトからなのかは、電気設備の技術基準を定める省令が決めています。
電圧は、次の区分により低圧、高圧及び特別高圧の三種とする。
二 高圧 直流にあっては七百五十ボルトを、交流にあっては六百ボルトを超え、七千ボルト以下のもの
感知器は天井にあるため、加熱試験器は長い伸縮ポールの先に付けて当てる使い方が一般的です。
点検要領は理由を書いていませんが、充電部の近くで長い金属製の棒を扱う危険を避ける意図があると読み取れます。
感電のおそれのある場所は高圧受変電室に限らず、「等」とあるので、設備の状況に応じて点検者が判断します。
受変電室の感知器も、天井にあるなら同じ方法では確認できませんか。
点検要領は、その場所の感知器を別の試験器で点検すると定めています。
停電や立会いの段取りは、電気の管理者と相談してください。
差動スポット試験器と回路試験用押しボタンとはどんな試験器か

どちらも、感知器に熱を当てずに作動を確かめる考え方の試験器です。 差動スポット試験器は、感知器の作動を離れた位置から確かめる試験器です。
試験口付きの差動式スポット型感知器では、感知器から空気管を引いて、離れた場所の試験器からテストポンプで空気を注入する方式が一般に使われます(メーカーの施工資料による)。
回路試験用押しボタンは、一般に押しボタンの操作で感知器の作動を模擬し、受信機側の表示などを確かめるものです。
ただし、加熱試験のように感熱部を実際に温めて確かめるのとは、確認の範囲が同じではありません。
そこで感知器の外形や設置状況の確認は、点検要領のとおり場所にかかわらず目視で行う項目として残ります。
外形 目視により確認する。変形、損傷、脱落、著しい腐食等がないこと。
警戒状況 設置後の用途変更、間仕切変更等による未警戒の部分がないこと。
試験器の校正のように、この試験器にも点検の決まりがありますか。
試験器の校正周期は試験器の校正周期の記事で整理しています。
遠隔試験機能付きの外部試験器は外部試験器の校正の記事も参考になります。
試験器を替えるとき、点検の前後に何を確かめておくのか

自動火災報知設備の一般的留意事項と、点検の運用を示した通知の両方に、点検の前後の確認が書かれています。
(1) 自動火災報知設備の点検に先立って、他の設備(消火設備、放送設備、防排煙設備等)との連動回路を遮断し、点検終了後はこれらを復元すること。
点検実施者の危険防止、防火対象物の利用者、通行人等の周囲の者に対する危害防止を図るため、関係者と十分に協議を行い、連絡をとった上で点検を行うこと。
点検終了後は、電源電圧、スイッチ類の位置及び収納状態等を再度確認することにより必ず元の状態に復旧しておくこと。
危険のおそれのある場所ほど、関係者との事前の協議が大切になります。
点検票の作り方と報告の期間は点検票と報告の記事にまとめています。
地震のあとに感知器が外れていたときの確認は地震後の感知器の確認の記事も参考になります。
危険な場所の点検は、専門の人に任せたほうがよいですか。
感知器の点検は、消防設備士や点検資格者が行う場合があります。
場所の危険性を事前に伝えておくと、安全に進められます。
よくある質問
まとめ
まず感知器の設置場所の危険性を、点検する人へ伝えておきます!
その一言で、試験器の選び方と段取りが決まりやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等の点検及び報告)
- 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第11 自動火災報知設備
- 消防用設備等の点検に係る運用について(平成14年6月11日消防予第173号)
- 電気設備に関する技術基準を定める省令(平成9年通商産業省令第52号)第2条
※本記事は公表されている法令、告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





