構造計算適合性判定を行う機関は、判定の業務をどのような決まりに沿って進めるのかを、自ら定めて届け出るだけでなく、見えるところに示し、記録として残す必要があります。
その手順は、法律に書かれています。
今回は建築基準法第77条の35の12から第77条の35の14を中心に、業務規程の認可と変更命令、業務区域等の掲示、帳簿の備付けと書類の保存、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
判定機関は、判定のやり方を自由に決めてよいのでしょうか。
何か決まりがあるのか気になります。
判定の業務に関する規程を定めて、国土交通大臣等の認可を受けることになっています。
まず条文から確認します。
その機関が、どこで判定をしているかは外から分かるのですか。
記録は残されているのでしょうか。
第77条の35の13に掲示の決まりが、第77条の35の14に帳簿の決まりがあります。
順番に見ていきましょう。
- 指定構造計算適合性判定機関は、判定の業務に関する規程を定め、国土交通大臣等の認可を受けなければならず、変更するときも同じです(第77条の35の12第1項)。
- 規程で定めるべき事項は国土交通省令で定められ、認可した規程が不適当となったと認めるときは、変更を命じられることがあります(第2項・第3項)。
- 機関は、業務区域などの事項を、事務所で公衆に見やすいように掲示するとともに、インターネットなどの自動公衆送信で閲覧に供しなければなりません(第77条の35の13)。
- 判定の業務に関する事項を記載した帳簿を備え付けて保存しなければなりません(第77条の35の14第1項)。
- 帳簿のほかに、判定の業務に関する書類で国土交通省令で定めるものも保存しなければなりません(第2項)。
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目次
構造計算適合性判定機関は業務の規程をどのように定めて認可を受けるのか

(建築基準法第七十七条の三十五の十二第二項)構造計算適合性判定業務規程で定めるべき事項は、国土交通省令で定める。
これを変更しようとするときも、同様に認可を受けることになります。
第2項は、規程で定めるべき事項は国土交通省令で定めるとしています。
規程の具体的な項目や、認可を受けるまでの手続の細かい内容は、この条文には書かれていません。
規程を変えるときも認可がいるのですか。
第1項の後段に、変更しようとするときも同様と書かれています。
変更にも認可が必要という書き方です。
認可を受けた規程が不適当になったとき国土交通大臣等は何を命じられるのか

認可は一度受ければ終わりではなく、不適当となったと認めたときに変更を命じられる書き方です。
どのような場合が不適当にあたるのかや、命令を出すまでの手順は、この条文には書かれていません。
認可を受けた規程でも、変更を命じられることがあるのですか。
第3項は、公正かつ的確な実施上不適当となったと認めるときに、変更すべきことを命ずることができると書いています。
認可後も見直しの余地がある書き方です。
判定機関は業務区域などをどこでどのような方法で公衆に示さなければならないのか

方法は一つではなく、事務所での掲示と、電気通信回線を使った閲覧の両方が書かれています。
掲示する事項の全部は、国土交通省令で定めるとされ、この条文には書かれていません。
掲示の大きさや、どのような手段で閲覧に供するかの細かい形式も、この条文には書かれていません。
掲示だけをしていれば足りるのですか。
第77条の35の13は、掲示するとともに、自動公衆送信により閲覧に供しなければならないと書いています。
両方を求める書き方です。
判定機関は業務の帳簿や書類を備え付けて保存しなければならないのか

(建築基準法第七十七条の三十五の十四第二項)前項に定めるもののほか、指定構造計算適合性判定機関は、国土交通省令で定めるところにより、構造計算適合性判定の業務に関する書類で国土交通省令で定めるものを保存しなければならない。
第2項は、帳簿のほかに、判定の業務に関する書類で国土交通省令で定めるものも保存しなければならないとしています。
帳簿に記載する事項や、保存の期間は、この条文には書かれていません。
保存する書類の種類も、この条文には書かれていません。
帳簿だけを残しておけばよいのでしょうか。
第2項に、帳簿とは別に書類も保存しなければならないと書かれています。
帳簿だけを想定した書き方ではありません。
規程や掲示や帳簿の規定を防火管理の現場ではどのように受け止めればよいのか

分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 項目 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 業務規程 | 業務に関する規程を定め、国土交通大臣等の認可を受ける(第77条の35の12第1項) | 認可が必要です |
| 規程の変更 | 変更しようとするときも同様に認可を受ける(第1項) | 変更にも認可です |
| 規程の内容 | 定めるべき事項は国土交通省令で定める(第2項) | 省令を見ます |
| 変更命令 | 不適当となったと認めるときは変更を命ずることができる(第3項) | 認可後も見直せます |
| 掲示等 | 事務所で掲示し、自動公衆送信で閲覧に供する(第77条の35の13) | 掲示と閲覧の両方です |
| 帳簿と書類 | 帳簿を備え付けて保存し、書類も保存する(第77条の35の14) | 帳簿と書類を残します |
この規定は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
また、第77条の35の12から第77条の35の14には、規程の具体的な項目、掲示する事項の全部、帳簿に記載する事項、保存の期間は書かれていません。
建物の新築や増築の場面では、判定を受ける手続の窓口や進み具合を、設計者や施工業者と共有しておくと、後の相談で慌てずに済みます。
明日から、次の点を確認してください。
- 建物の構造計算適合性判定を、どの機関が行ったかを設計者に尋ねて控えておく。
- 判定に関する書類の名称、日付、番号を、設計者や施工業者から書面でもらって保管する。
- 機関が掲示やインターネットで示している業務区域を、設計者と一緒に確かめておく。
- 判定の書類の保存や閲覧の細かい扱いは、建築の窓口に問い合わせる。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築の窓口と所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。
規程や帳簿の決まりは分かりました。
現場では、何から確かめればよいですか。
判定を行った機関と書類の日付を、設計者に確認して控えておきましょう。
消防の基準は、所轄消防署に別に確かめます。
よくある質問
まとめ
業務規程と掲示と帳簿の決まりがよく分かりました。
判定を行った機関を、設計者に確認します!
建築の判定と消防の基準は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第七十七条の三十五の十二・第七十七条の三十五の十三・第七十七条の三十五の十四(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。判定機関の運用は都道府県と建築の窓口ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





