消火器や感知器に、規格の基準の特例を受けた製品があるのをご存じでしょうか。
消防庁予防課は、平成24年3月22日の事務連絡で、平成23年に基準の特例を受けた検定対象機械器具等を情報提供しました。
通知には、8品目10型式の型式番号と、どの規格が特例になったのかが並んでいます。
この記事では、通知の背景、仕組み、機器の内容、注意点、明日から確かめることを解説します。
基準の特例を受けた消防用機器と聞いても、検定とどう違うのか分かりません。
消防庁は何を示したのでしょうか。
はい、消防庁が事務連絡で、特例を受けた機器を示しています。
まず、通知の中身から確かめましょう。
特例を受けた機器は、普通の機器と扱いが違うのですか。
通知には、設置や運用で押さえる点があります。
順に見ていきます。
- 消防庁予防課は、平成24年3月22日の事務連絡で、平成23年1月から12月までに基準の特例を適用した8品目10型式を情報提供しました。
- 基準の特例は、新たな技術開発に係る機器について、総務大臣が定める技術上の規格によることができる制度で、規格省令に条文があります。
- 特例を適用した機器には、消防法第21条の9の表示が付され、通知は「○ト」や「○特」のマークで示すとしていました。
- 吸引式の感知器は、設置及び維持の基準が設備等技術基準に無いため、原則として消防法第17条第3項の認定等の手続きが必要とされました。
- 通知が引く令第37条の号番号は当時のもので、現行の条文と照らして読む必要があります。
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目次
消防庁はなぜ基準の特例を適用した検定対象機械器具等を情報提供したのか

まず、その冒頭の部分を引いて確かめます。
標記の件について、平成23年1月から平成23年12月までに下記の8品目10型式が検定対象機械器具等に係る技術上の規格に関する基準の特例の適用を受け、消防法第21条の9の規定に基づく表示が付され、販売等に供されることとなったので情報提供いたします。基準の特例を適用した検定対象機械器具等については、その旨の表示として「○ト」や「○特」のマークを見やすい箇所に容易に消えないように表示することとしています。
本文は、事故や火災を挙げていません。
宛先は、各都道府県消防防災主管課と、東京消防庁と各指定都市消防本部です。
骨組みを、表にまとめます。
| 項目 | 通知の内容 |
|---|---|
| 発出 | 平成24年3月22日、消防庁予防課の事務連絡 |
| 宛先 | 各都道府県消防防災主管課、東京消防庁、各指定都市消防本部 |
| 対象 | 平成23年1月から12月までに基準の特例の適用を受けた検定対象機械器具等(8品目10型式) |
| 表示 | 消防法第21条の9の表示に加え、「○ト」や「○特」のマークを見やすい箇所に容易に消えないように表示 |
| 周知 | 都道府県管内の市町村(消防の事務を処理する一部事務組合等を含む)への周知を依頼 |
そのため、この記事も、通知の型式番号や号番号は当時のものとして読みます。
特例を受けた機器は、検定を受けなくてよいのですか。
いいえ、通知は検定の表示が付されるとしています。
次に、検定と特例の関係を確かめましょう。
検定と基準の特例はどんな仕組みなのか

まず、表示の決まりを引いて確かめます。
検定対象機械器具等は、第二十一条の九第一項(略)の規定による表示が付されているものでなければ、販売し、又は販売の目的で陳列してはならず、また、検定対象機械器具等のうち消防の用に供する機械器具又は設備は、第二十一条の九第一項の規定による表示が付されているものでなければ、その設置、変更又は修理の請負に係る工事に使用してはならない。
表示は、型式適合検定に合格した機器に付されます。
特例の条文は、機器ごとの規格省令にあります。
まず、消火器の規格省令を引いて確かめます。
新たな技術開発に係る消火器について、その形状、構造、材質及び性能から判断して、この省令の規定に適合するものと同等以上の性能があると総務大臣が認めた場合は、この省令の規定にかかわらず、総務大臣が定める技術上の規格によることができる。
同じ趣旨の条文は、通知が挙げる他の規格省令にもあります。
現行の条文を、表にまとめます。
| 機器 | 規格省令 | 特例の条 |
|---|---|---|
| 消火器 | 消火器の技術上の規格を定める省令(昭和39年自治省令第27号) | 第53条 |
| 泡消火薬剤 | 泡消火薬剤の技術上の規格を定める省令(昭和50年自治省令第26号) | 第23条 |
| 閉鎖型スプリンクラーヘッド | 閉鎖型スプリンクラーヘッドの技術上の規格を定める省令(昭和40年自治省令第2号) | 第16条 |
| 流水検知装置 | 流水検知装置の技術上の規格を定める省令(昭和58年自治省令第2号) | 第12条 |
| 感知器 | 火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第17号) | 第44条 |
| 中継器 | 中継器に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第18号) | 第15条 |
現在の申請の手続きは、末尾の関連記事で扱っています。
特例は、誰が認めるのですか。
総務大臣が、同等以上の性能があると認めた場合です。
次に、平成23年の中身を見ましょう。
平成23年に基準の特例を受けたのはどんな機器だったのか

まず、特例の概要を二つ引いて確かめます。
安全弁の作動範囲の上限値を19.6メガパスカル、下限値を17.5メガパスカルとし、本体容器をアルミニウム合金製とする消火器である。
閉鎖型スプリンクラーヘッドの感知性能が1種のものより高感度に設定しており、有効散水半径を2.8メートルとするものである。
消火器なら安全弁、ヘッドなら散水分布のように、通知は「主な特例事項」を付けています。
10型式を、表にまとめます。
| 種別と型式 | 型式番号 | 型式承認日 | 主な特例事項 |
|---|---|---|---|
| 小型消火器 二酸化炭素2.0kg(アルミニウム製) | 消第23~345号 | 平成23年5月27日 | 安全弁 |
| 小型消火器 二酸化炭素5.0kg(アルミニウム製) | 消第23~346号 | 平成23年5月27日 | 安全弁 |
| 泡消火薬剤 水成膜泡 2% | 泡第23~5号 | 平成23年8月15日 | 使用濃度 |
| 泡消火薬剤 合成界面活性剤泡(A火災用泡消火薬剤) 0.5% | 泡第23~8号 | 平成23年9月28日 | 使用濃度、発泡性能及び消火試験(適応火災) |
| ねじ式結合金具(吸管用クイック型) 呼称75 | ね第18~8~1号 | 平成23年1月17日 | 構造 |
| 光電アナログ式分布型感知器(吸引式及び試験機能付) | 感第23~1号 | 平成23年1月7日 | 用語の意義、構造、機能、公称感知濃度範囲、連続応答性及び感度 |
| 中継器(吸引式感知器用、アナログ式及び自動試験機能付) | 中第23~1号 | 平成23年1月7日 | 用語の意義、構造、機能、公称感知濃度範囲、連続応答性及び感度 |
| 閉鎖型スプリンクラーヘッド 可溶片型C72、呼称15(標準r2.8、下向き) | ス第23~3号 | 平成23年6月20日 | 散水分布 |
| 閉鎖型スプリンクラーヘッド 可溶片型C96、呼称15(標準r2.8、下向き) | ス第23~4号 | 平成23年6月20日 | 散水分布 |
| 流水検知装置 湿式(流水制御機能付)K50・60、自動警報弁型100(10K、縦) | 流第23~9号 | 平成23年4月13日 | 構造 |
通知の型式番号は、当時の表記のまま読んでください。
型式が10もあるのですね。
何が共通しているのですか。
共通するのは、規格の一部について特例を受けている点です。
何が特例かは、機器ごとに違います。
特例を受けた機器で見落としやすい点は何か

まず、A火災用の泡消火薬剤の部分を引いて確かめます。
消防隊の消火活動に用いることを想定しており、A火災に適用できるものであり、B火災に対する適応性については確認されていないものである。
次に、吸引式の感知器について、通知の部分を引いて確かめます。
分布型感知器は、サンプリング配管を用いて広範囲の煙を吸引し、火災情報信号を発信する感知器で、その公称感知濃度範囲が1メートル当たりの減光率で、0.1%から15.0%までのものである。
吸引式自動火災報知設備については、必要な性能を得るための設置及び維持の基準が設備等技術基準に規定されていないことから、設置に当たっては、原則として消防法第17条第3項により認定を受ける等の手続きが必要となること。
消防法第17条第3項は、特殊消防用設備等について、総務大臣の認定を受けたものを用いる場合の規定です。
現行の消防法施行規則の条文には、「吸引」や「サンプリング」という語が出てきません。
通知の当時と今の扱いは、所轄の消防署に確かめてください。
最後に、流水検知装置の部分を引いて確かめます。
当該流水検知装置については、同項の運用において乾式又は予作動式の流水検知装置として取り扱わないよう消防法施行令第32条を適用できるという趣旨であることから、運用にあたってはそのことに留意されたい。
同項第1号は、標準型ヘッドを用いる場合の水源の水量の算出で、乾式又は予作動式の流水検知装置が設けられたスプリンクラー設備は、設置個数の基準に1.5を乗じると定めています。
通知は、この運用に質疑が寄せられていると述べています。
令第32条は、消防長又は消防署長の判断で消防用設備等の基準を適用しないとする条文です。
通知の三つの留意点を、表にまとめます。
| 機器 | 通知の留意点 |
|---|---|
| A火災用の泡消火薬剤(0.5%) | A火災に適用できるもので、B火災に対する適応性は確認されていない |
| 吸引式の感知器と中継器 | 設置及び維持の基準が設備等技術基準に規定されていないため、原則として消防法第17条第3項により認定を受ける等の手続きが必要 |
| 乾式又は予作動式に該当しないとされた流水検知装置 | 規則第13条の6第1項の運用で、乾式又は予作動式として取り扱わないよう令第32条を適用できる趣旨 |
この点は、この記事の整理ではなく、通知の文言のままです。
特例を受けた機器は、どこでも使えるのですか。
通知は、使える場面が限られる例を示しています。
条件を確かめてから選びましょう。
明日から機器を選ぶとき何を確認すればよいのか

まず、現行の令第37条を引いて確かめます。
四 火災報知設備の感知器(火災によつて生ずる熱、煙又は炎を利用して自動的に火災の発生を感知するものに限る。)又は発信機
八 閉鎖型スプリンクラーヘッド
九 スプリンクラー設備、水噴霧消火設備又は泡消火設備(次号において「スプリンクラー設備等」という。)に使用する流水検知装置(別表第三において「流水検知装置」という。)
現行の令第37条が掲げるのは、第1号から第12号までです。
ねじ式結合金具は、その中に掲げられていません。
対応を、表にまとめます。
| 機器 | 通知が引く令第37条 | 現行の令第37条 |
|---|---|---|
| 消火器 | 第1号 | 第1号 |
| 泡消火薬剤 | 第3号 | 第3号 |
| ねじ式結合金具 | 第6号 | 掲げられていない |
| 感知器 | 第7号 | 第4号 |
| 中継器 | 第7号の2 | 第5号 |
| 閉鎖型スプリンクラーヘッド | 第9号 | 第8号 |
| 流水検知装置 | 第10号 | 第9号 |
- 設置する機器に、検定の表示が付いているかを確かめる
- 特例を受けた機器は、濃度や対象火災などの使用の条件を仕様書で確かめる
- 吸引式のように基準が条文に無い設備は、設計の前に所轄の消防署へ手続きを確かめる
- 通知が引く令第37条の号は、現行の条文と照らして読む
- 点検する機器の型式番号は、機器の表示と照らして控える
機器を選ぶとき、まず何を確かめればよいですか。
まず、機器に検定の表示が付いているかを確かめましょう。
そのあと、使用の条件を仕様書で見ます。
よくある質問
まとめ
特例を受けた機器の条件を、表示と仕様書で確かめます!
機器選びと設置は、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 事務連絡「基準の特例を適用した検定対象機械器具等について(情報提供)」(平成24年3月22日 消防庁予防課)
- 消防法(昭和23年法律第186号)第17条、第21条の2、第21条の9 e-Gov法令検索
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第32条、第37条 e-Gov法令検索
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第13条の6 e-Gov法令検索
- 消火器の技術上の規格を定める省令ほか各規格省令の基準の特例の条文 e-Gov法令検索
※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





