構造計算適合性判定を行う機関は、判定の実績や体制を関係者に見せる必要があり、国からの監督や立入検査も受けます。
その手順は、法律に書かれています。
今回は建築基準法第77条の35の15から第77条の35の17を中心に、書類の閲覧、監督命令と公示、報告と立入検査、防火管理者が押さえておきたい点をあわせて解説します。
判定機関の実績や体制は、外から確かめられるのでしょうか。
誰でも見られるのか気になります。
第77条の35の15に、書類の閲覧の決まりがあります。
まず条文から確認します。
その機関が不適切なことをしたとき、国はどう動くのですか。
調べる権限もあるのでしょうか。
第77条の35の16に監督命令の決まりが、第77条の35の17に報告と立入検査の決まりがあります。
順番に見ていきましょう。
- 指定構造計算適合性判定機関は、業務の実績や判定員の氏名及び略歴などを記載した書類を事務所に備え置き、関係者の求めに応じて閲覧させなければなりません(第77条の35の15)。
- 国土交通大臣等は、業務の公正かつ適確な実施を確保するため必要があると認めるときは、機関に監督上必要な命令をすることができ、命令をしたときは公示しなければなりません(第77条の35の16)。
- 国土交通大臣等又は委任都道府県知事は、機関に対し報告を求め、職員に事務所への立入検査や関係者への質問をさせることができます(第77条の35の17第1項)。
- 委任都道府県知事は、立入検査の結果、規程違反などの事実があると認めるときは、国土交通大臣に報告しなければなりません(第2項)。
- 報告を受けた国土交通大臣は、必要に応じ、業務の停止命令その他の措置を講ずるものとされています(第3項)。
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目次
構造計算適合性判定機関は事務所にどのような書類を備え置いて閲覧させなければならないのか

一当該指定構造計算適合性判定機関の業務の実績を記載した書類
二構造計算適合性判定員の氏名及び略歴を記載した書類
三構造計算適合性判定の業務に関し生じた損害を賠償するために必要な金額を担保するための保険契約の締結その他の措置を講じている場合にあつては、その内容を記載した書類
四その他指定構造計算適合性判定機関の業務及び財務に関する書類で国土交通省令で定めるもの
備え置く書類として挙げられているのは、業務の実績を記載した書類、判定員の氏名及び略歴を記載した書類、損害賠償の担保措置を講じている場合はその内容を記載した書類、そして国土交通省令で定める業務及び財務に関する書類です。
閲覧の手続や、財務に関する書類の具体的な種類は、この条文には書かれていません。
閲覧を求められるのは、判定を受ける人だけですか。
条文には、判定を受けようとする者その他の関係者と書かれています。
受ける人に限る書き方ではありません。
国土交通大臣等は判定機関にどのような命令をして何を公示しなければならないのか

(建築基準法第七十七条の三十五の十六第二項)国土交通大臣等は、前項の規定による命令をしたときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
第2項は、命令をしたときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならないとしています。
どのような場合に必要があると認められるのかや、命令の具体的な内容は、この条文には書かれていません。
公示の方法の細かい形式も、この条文には書かれていません。
命令が出たことは、外から分かるのですか。
第2項に、命令をしたときはその旨を公示しなければならないと書かれています。
公示の方法は国土交通省令に委ねられています。
国土交通大臣等や委任都道府県知事は判定機関に何を求めどのように検査できるのか

あわせて、職員に、機関の事務所へ立ち入らせ、業務の状況や設備、帳簿、書類その他の物件を検査させ、関係者に質問させることもできます。
どのような場合に必要があると認められるのかや、報告の様式や期限は、この条文には書かれていません。
報告を求めるのは、国土交通大臣だけですか。
第1項は、国土交通大臣等又は委任都道府県知事と書いています。
対象は、それぞれが指定した機関や判定を行わせた機関です。
立入検査で規程違反が分かったとき委任都道府県知事と国土交通大臣は何をするのか

(建築基準法第七十七条の三十五の十七第三項)前項の規定による報告を受けた場合において、国土交通大臣は、必要に応じ、第七十七条の三十五の十九第二項の規定による構造計算適合性判定の業務の全部又は一部の停止命令その他の措置を講ずるものとする。
(建築基準法第七十七条の三十五の十七第四項)第十五条の二第二項及び第三項の規定は、第一項の場合について準用する。
第3項は、報告を受けた国土交通大臣が、必要に応じ、第77条の35の19第2項の規定による業務の全部又は一部の停止命令その他の措置を講ずるものとしています。
第4項は、第15条の2第2項及び第3項の規定が、第1項の場合に準用されるとしています。
準用される規定の中身や、停止命令の具体的な要件は、この記事では扱わず、条文にも当該箇所には書かれていません。
知事が調べた結果は、どうなるのですか。
国土交通大臣の指定に係る機関の場合、知事は事実があると認めるときに国土交通大臣へ報告します。
その後の措置は大臣が講ずる書き方です。
書類の閲覧や監督や立入検査の規定を防火管理の現場ではどのように受け止めればよいのか

分けて読むと、混乱しにくくなります。
| 項目 | 条文の書き方 | 押さえる点 |
|---|---|---|
| 書類の閲覧 | 事務所に書類を備え置き、関係者の求めに応じて閲覧させる(第77条の35の15) | 備え置きと閲覧です |
| 備え置く書類 | 業務の実績、判定員の氏名及び略歴、損害賠償の担保措置の内容などを記載した書類(同条第1号から第4号) | 実績と判定員を示します |
| 監督命令 | 必要があると認めるとき監督上必要な命令をすることができる(第77条の35の16第1項) | 命令は公示されます |
| 報告と立入検査 | 報告を求め、職員に立入検査や質問をさせることができる(第77条の35の17第1項) | 報告と検査の両方です |
| 知事の報告 | 規程違反などの事実があると認めるときは国土交通大臣に報告する(同条第2項) | 大臣へ報告します |
| 大臣の措置 | 必要に応じ停止命令その他の措置を講ずるものとされる(同条第3項) | 停止命令などがあります |
この規定は、防火管理者の義務を直接決めるものではありません。
また、第77条の35の15から第77条の35の17には、閲覧の手続、財務に関する書類の種類、監督命令の具体的な内容、報告の様式や期限は書かれていません。
建物の新築や増築の場面では、判定を受ける機関の名称や、判定に関する書類の日付を、設計者や施工業者と共有しておくと、後の相談で慌てずに済みます。
明日から、次の点を確認してください。
- 建物の構造計算適合性判定を、どの機関が行ったかを設計者に尋ねて控えておく。
- 判定に関する書類の名称、日付、番号を、設計者や施工業者から書面でもらって保管する。
- 機関の業務の実績や判定員の略歴を知りたいときは、機関の事務所での閲覧を設計者と相談する。
- 機関に対する命令や検査の扱いは、建築の窓口に問い合わせる。
- 建築の話と消防の話は別の制度なので、両方の窓口へ確かめる。
建築の窓口と所轄消防署に、それぞれ確かめておきましょう。
書類の閲覧や検査の決まりは分かりました。
現場では、何から確かめればよいですか。
判定を行った機関と書類の日付を、設計者に確認して控えておきましょう。
消防の基準は、所轄消防署に別に確かめます。
よくある質問
まとめ
書類の閲覧と監督と立入検査の決まりがよく分かりました。
判定を行った機関を、設計者に確認します!
建築の判定と消防の基準は別なので、両方を確かめておくと安心です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第七十七条の三十五の十五・第七十七条の三十五の十六・第七十七条の三十五の十七(e-Gov法令検索)
※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。判定機関の運用は都道府県と建築の窓口ごとに確認が必要な場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。





