ハロゲン化物消火設備の点検で、防護区画の扉やシャッターを「閉まれば足りる」で済ませていませんか。
ところが開口部の条件は、薬剤の種類によって求められ方が違います。
条件が違えば、点検で見る中身にも差が出ます。
この記事では、ハロン系とHFC・FK系で開口部の条件がどう違い、点検で何を確かめるのかを、条文と点検要領で整理します。
防護区画の扉やシャッターは、どの薬剤でも同じように閉まればよいのではないですか。
薬剤で条件が変わります。
ハロン系は階高の三分の二以下の位置の開口部が対象で、HFC・FK系にはその高さの条件が付いていません。
では、点検ではどこを見ればよいのでしょうか。
点検要領は、区画変更等の照合・閉鎖装置の作動・換気の停止を挙げています。
順番に見ていきましょう。
- ハロン系は階高の三分の二以下の位置にある開口部に、HFC・FK系は高さの条件なしで放射前に閉鎖できる自動閉鎖装置を設ける定めです。
- 区画変更等の点検は、目視と設計図書で増・改築、模様替え等による開口部の増減がないかを確かめます。
- 自動閉鎖装置の外形は、目視及び手動操作で、ストッパーや障害物がなく開閉が円滑かを見ます。
- 電気で作動するものは手動式起動装置で確かめ、その際は必ず容器弁開放装置を取り外して行います。
- 総合点検では、自動閉鎖装置が正常に作動し、換気装置が確実に停止することを確かめます。
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目次
ハロゲン化物消火設備の開口部は薬剤の種類でどう扱いが変わるのか

まず、その条文を読んでみましょう。
全域放出方式のハロゲン化物消火設備を設置した防火対象物又はその部分の開口部は、次のイ又はロに定めるところによること。
イ ハロン二四〇二、ハロン一二一一又はハロン一三〇一を放射するものにあっては、第十九条第五項第四号イ(ロ)及び(ハ)の規定の例によること。
ロ HFC―二三、HFC―二二七ea又はFK―五―一―一二を放射するものにあっては、第十九条第五項第四号ロの規定の例によること。
イ(ロ) 床面からの高さが階高の三分の二以下の位置にある開口部で、放射した消火剤の流失により消火効果を減ずるおそれのあるもの又は保安上の危険があるものには、消火剤放射前に閉鎖できる自動閉鎖装置を設けること。
ロ 窒素、IG―五五又はIG―五四一を放射するものにあっては、消火剤放射前に閉鎖できる自動閉鎖装置を設けること。
「規定の例による」とは、引用先の書きぶりを、薬剤を読み替えて当てはめるという意味です。
ハロン系は、階高の三分の二以下の位置にある開口部のうち、消火効果を減ずるおそれや保安上の危険があるものに自動閉鎖装置が要ります。
さらに、自動閉鎖装置を設けない開口部の面積の合計にも上限が定められています。
HFC・FK系は、引用先のロのとおり「消火剤放射前に閉鎖できる自動閉鎖装置を設けること」だけが書かれていて、階高の条件は付いていません。
消火剤の量のほうは、ハロン系だけ開口部の面積に応じた加算の規定があり、その考え方は噴射ヘッドと開口部の加算の記事で、階高の三分の二以下の扱いは駐車場の質疑応答の記事でも扱っています。
うちの設備がハロン系かHFC・FK系かは、どこで見分けるのですか。
容器の銘板や設置届出の書類で、薬剤の名称を確かめます。
薬剤が分かれば、開口部の条件も決まります。
区画変更等の点検は設計図書と何を照合するのか

告示は短く、点検要領がその中身を書き分けています。
防護区画及び開口部面積の変更がないこと。
ア HFC-23、HFC-227ea及びFK-5-1-12以外を放射する設備を設けた区画で階高の3分の2以下の位置にある開口部で、消火効果を減ずるおそれのあるもの又は保安上の危険のあるものは自動閉鎖装置付となっていること。
イ HFC-23、HFC-227ea及びFK-5-1-12以外を放射する設備を設けた区画で自動閉鎖装置を設けない開口部(換気ダクト等を含む。)にあっては、防護容積と階高面積の比率を算出し、法に定められた範囲内であって、消火剤の量が十分であること。
ウ 増・改築、模様替え等による防護区画の容積、開口部等の増減がないこと。
エ 防護区画内の圧力上昇を防止するための措置及び過度の温度低下を防止するための措置を講じているものにあっては、当該措置に変更がないこと。
アとイは、HFC・FK系「以外」、つまりハロン系の区画に向けた書きぶりです。
ウは、増築や模様替えで容積や開口部が増減していないかを見る項目で、薬剤を問わず確かめます。
エは、圧力上昇や過度の温度低下を防ぐ措置に変更がないかを見るもので、後者の背景は温度低下対策の記事にまとめてあります。
開口部が増えていれば、設計時の計算が前提にしていた条件が変わっているかもしれません。
消火剤の量や避圧口の面積の考え方は、充てん比や蓄圧値の記事や避圧口の面積の記事が参考になります。
設計図書と現地を見比べるだけなら、私にもできそうです。
見比べること自体はできます。
ただ、変更が見つかったら点検業者へ先に伝えて、量や比率の見直しへつなげてください。
自動閉鎖装置の外形は目視と手動操作で何を確かめるのか

外形の項目は、告示にも点検要領にもあります。
変形、損傷、著しい腐食等がないこと。
ア 変形、損傷、著しい腐食等がないこと。
イ 取付けが完全で、扉等の開閉が円滑かつ確実に行えること。
ウ 扉等はストッパー、障害物等がなく、電気式又はガス圧式の自動閉鎖装置を除き常時閉鎖の状態にあること。
イの開閉が円滑かつ確実に行えることは、手で動かして確かめる項目です。
ウは、扉やシャッターの前にものを置いたり、ストッパーで止めたりしていないかという見方です。
また「電気式又はガス圧式の自動閉鎖装置を除き」とあるので、電気式とガス圧式は放射前に閉じる装置、それ以外の扉は常に閉じた状態が条件と読めます。
ハロン1301の防護区画は窓ガラスやダクトまで決まっているのか|開口部から排出装置まで五つの質疑応答を現行の条文と照らして解説も、ダクトや常時閉めている出入口の扱いを整理しています。
荷物を置いたり、扉をストッパーで止めたりしていても、閉まれば同じではないですか。
点検要領は、ストッパーや障害物がないことを判定に入れています。
普段の置き方から見直しておくと安心です。
電気で作動する自動閉鎖装置は手動式起動装置でどう確かめるのか

ここには、閉じる順番と安全上の注意が書かれています。
ア 変形、損傷、著しい腐食、端子の緩み等がないこと。
イ 確実に作動し、遅延装置の作動時限の範囲内で閉鎖状態となった後、消火剤が放出されるようになっていること。
ウ 出入口に設けてあるシャッタ等で、他に退避できる別の出入口等がないものにあっては、放出用スイッチ操作後、設定値(ハロン2402又はハロン1211を消火剤とするものにあっては20秒以上とする。)の範囲内で閉鎖完了する遅延装置等が設けられ、かつ、シャッタ閉鎖後に消火剤が放出される構造となっていること。
※ 手動式起動装置を操作するときは、必ず容器弁開放装置を取り外して行うこと。
イは、遅延装置の時限の範囲内で閉鎖状態になり、その後に消火剤が放出されることを求めています。
ウは、他に退避できる出入口がないシャッタ等の項目で、ハロン2402とハロン1211では設定値が20秒以上とされています。
理由までは点検要領に書かれていませんが、閉鎖が終わるより先に消火剤が出ないようにする順序の定めです。
起動装置を操作する試験なので、必ず容器弁開放装置を取り外して行うという注意書きが付いています。
手動式起動装置を操作したら、消火剤が本当に出てしまいませんか。
だから点検要領は、容器弁開放装置を必ず取り外して行うと定めています。
この手順を省かないことが大切です。
ガス圧で作動する装置と総合点検では何を確かめるのか

そして総合点検では、閉鎖と換気の停止をまとめて確かめます。
ア 変形、損傷、著しい腐食等がないこと。
イ 確実に作動すること。
ウ 操作管及び自動閉鎖装置等からガス漏れがないこと。
エ 自動閉鎖装置の復帰が、加圧時の圧力を抜くことにより自動的に行われるものにあっては、復帰が確実に行われること。
正常に作動し、換気装置が確実に停止すること。
ガス圧式は、試験用ガスを操作管につないで、確実に作動し、操作管や装置からガス漏れがないことを見ます。
復帰が圧力を抜いて自動的に行われるものは、復帰まで確認します。
総合点検は、非常電源に切り替えて起動させ、自動閉鎖装置が正常に作動し、換気装置が確実に停止することを確認する項目です。
なお、点検要領は放射区画を完全に換気するまで中に入らないよう求めています。
機器点検と総合点検で、開口部の見る中身は同じなのですか。
機器点検は装置ごとの外形と作動を、総合点検は閉鎖と換気の停止を一連の流れで確かめます。
見る場面が違います。
よくある質問
まとめ
まず設備の薬剤名と防護区画の開口部を、設計図書と見比べてみます!
その確認なら、区画変更の見落としが減ります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 消防法施行規則第19条第5項第4号・第20条第3項・第4項第2号の4(ハロゲン化物消火設備に関する基準)
- 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第7
- 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第7 ハロゲン化物消火設備
※本記事は公表されている法令、告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。





