工場の敷地や資材置き場に、電波塔のように細長いコンクリートや鉄の柱が単独で立っているのを見かけることがあります。
建物に属さないこうした柱も、法律上は「建築物」ではなく工作物として扱われます。
建物でなければ基準はゆるいのではと思いがちですが、高さが一定を超えるとむしろ避雷設備の設置まで義務づけられます。
柱の高さだけで、満たすべき基準の重さが大きく変わります。
敷地の隅に、資材の陰に隠れるように背の高いコンクリートの柱が立ってるんですが、あれも点検が必要なんですか。
高さが15メートルを超える柱や鉄柱なら、建築基準法施行令の対象になり、避雷設備まで必要になることがありますよ。
ただの柱なのに、なぜ避雷設備まで求められるんでしょうか。
工作物であっても雷撃のリスクは建物と変わらないからです。
今日はその仕組みを一緒に確認しましょう。
- 高さ15メートルを超える鉄筋コンクリート造・鉄柱・木柱等は「工作物」として建築基準法施行令の対象になります。
- 対象になるのは高さ15メートルを超えるものに限られ、旗ざおは最初から対象外です。
- 対象になると避雷設備や工事現場の危害防止に関する規定などが準用されます。
- 高さ20メートルを超える部分には避雷設備の設置が必要になります。
- 国土交通大臣の認定の有無で、追加で満たすべき規定の範囲が変わります。
▼
目次
なぜ高さ15メートルを超える柱にも建物と同じ基準がかかるのか

その根拠になっているのが建築基準法第88条第1項です。
政令(建築基準法施行令)が対象の種類と具体的な基準を定める仕組みは、他の工作物とまったく同じです。
根拠は建築基準法施行令第140条で、対象になった柱には次項以下で定める規定が準用されると定められています。
まずは自分の敷地にある柱がこの対象に入るかどうかを、次の章で確認しましょう。
うちにも背の高い鉄柱があるんですが、建築基準法が関係あるとは思ってもみませんでした。
見た目が柱でも、高さの条件を満たせば対象になります。
次は具体的にどんな柱が対象かを見ていきましょう。
どんな柱が対象になるのか

旗ざおのような紛らわしい例外もあるので注意が必要です。
一方で旗ざおは、どれほど高くても条文上はじめから除外されています。
高さの測り方や「これに類するもの」に当たるかどうかで迷う場合は、煙突や広告塔など他の工作物と同様に特定行政庁へ確認するのが確実です。
自分の敷地にある柱の高さを、まず実測することから始めましょう。
旗ざおは除かれるって、意外でした。
うちの柱は対象になりそうです。
高さを測るところが第一歩ですね。
対象に入ると分かったら、次は何を満たすかを見ましょう。
対象になると何を満たさなければならないのか

柱だからといって簡易な扱いにはなりません。
工事中の危害防止を定める第七章の8も準用されるため、施工中の柱にも仮囲いや落下物対策が求められます。
さらに、高さのある煙突と同じ考え方(大臣認定または構造計算による安全性の確認)も準用され、柱そのものの強度も証明しなければなりません。
「ただ突っ立っているだけの柱」として済ませられる規定ではないことを、まず押さえておきましょう。
15メートルより高いか低いかだけでなく、20メートルという別のラインもあるんですね。
2つの高さの基準が別々に効いてくるので、混同しないようにしましょう。
次は満たし方の分かれ道を見ます。
認定の有無で何が変わるのか

認定の有無によって、追加で準用される条文が変わります。
しかも、高さ60メートルを超える柱は条文上そもそも認定を受けることが必須で、この「認定なしの道」自体を選べません。
つまり「認定さえ取れば基準が軽くなる」のではなく、どちらの経路でも建物と同等の安全性を示す義務は変わりません。
既存の柱を持つ敷地では、設計図書に認定の記録が残っているかをまず確認しましょう。
うちの柱、認定を受けているかどうかなんて、どこを見れば分かるんでしょうか。
設置時の確認申請書類や構造計算書に記載があります。
最後に、明日からの確認手順をまとめますね。
明日からなにを確認すればよいのか

手元の柱に当てはめて、順番に確かめていきましょう。
- 柱の高さを実測し、15メートルを超えるか、旗ざおに当たらないかを確認する。
- 高さ20メートルを超える場合は避雷設備の設置状況を確認する。
- 確認申請書類や構造計算書に国土交通大臣の認定の記載があるか確認する。
- 高さ60メートルを超える柱は認定の有無を必ず確認する。
柱の周辺は資材置き場になりやすく、避雷設備や支線の点検が後回しにされがちです。
日常点検の記録を防火管理者としても把握しておくと、いざというときの説明に役立ちます。
まずは柱の高さを測るところから、施設の担当と確認してみます。
それが一番確実な第一歩です。
最後によくある質問をまとめておきますね。
よくある質問
まとめ
柱もただの柱じゃないんですね。
今日確認できてよかったです。
書類の確認や設計士への相談でお困りの際は、㈱防災屋でもご相談を承っております。
㈱防災屋 代表取締役/消防設備士
平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!
本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。
詳しい経歴・保有資格を見る
- 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
- 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
- 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
- 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
- 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
- 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
- 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
- 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
- eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了
趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)
参考・出典
- 建築基準法第88条第1項
- 建築基準法施行令第138条第1項第2号(工作物の指定)
- 建築基準法施行令第140条(鉄筋コンクリート造の柱等)
- 建築基準法施行令第129条の14・第129条の15(避雷設備)
- 建築基準法施行令第139条第1項第3号・第4号(構造計算による安全性の確認)
※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の柱が対象に当たるかどうかや確認申請の要否は、所轄の特定行政庁または指定確認検査機関にご確認ください。条例や運用は自治体ごとに異なる場合があります。





