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高さ15メートルを超える鉄筋コンクリート造の柱はなぜ避雷設備も必要になるのか|建築基準法施行令第140条が定める工作物への準用を解説

背の高い柱にも建物と同じ安全基準がかかることを示すアイキャッチ画像

工場の敷地や資材置き場に、電波塔のように細長いコンクリートや鉄の柱が単独で立っているのを見かけることがあります。
建物に属さないこうした柱も、法律上は「建築物」ではなく工作物として扱われます。
建物でなければ基準はゆるいのではと思いがちですが、高さが一定を超えるとむしろ避雷設備の設置まで義務づけられます。
柱の高さだけで、満たすべき基準の重さが大きく変わります。

敷地の隅に、資材の陰に隠れるように背の高いコンクリートの柱が立ってるんですが、あれも点検が必要なんですか。

高さが15メートルを超える柱や鉄柱なら、建築基準法施行令の対象になり、避雷設備まで必要になることがありますよ。

ただの柱なのに、なぜ避雷設備まで求められるんでしょうか。

工作物であっても雷撃のリスクは建物と変わらないからです。
今日はその仕組みを一緒に確認しましょう。

この記事の結論
  • 高さ15メートルを超える鉄筋コンクリート造・鉄柱・木柱等は「工作物」として建築基準法施行令の対象になります。
  • 対象になるのは高さ15メートルを超えるものに限られ、旗ざおは最初から対象外です。
  • 対象になると避雷設備や工事現場の危害防止に関する規定などが準用されます。
  • 高さ20メートルを超える部分には避雷設備の設置が必要になります。
  • 国土交通大臣の認定の有無で、追加で満たすべき規定の範囲が変わります。

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柱の高さで安全基準が変わる仕組みの図解

なぜ高さ15メートルを超える柱にも建物と同じ基準がかかるのか

建物と敷地内に単独で立つ高い柱に同じ青いチェックマークが付いている図
法律上「建築物」に当たらない工作物にも、建物と同じ安全基準を求める仕組みがあります。
その根拠になっているのが建築基準法第88条第1項です。
(建築基準法施行令第百四十条第一項)第百三十八条第一項に規定する工作物のうち同項第二号に掲げる工作物に関する法第八十八条第一項において読み替えて準用する法第二十条第一項の政令で定める技術的基準は、次項から第四項までにおいて準用する規定(第七章の八の規定を除く。)に適合する構造方法を用いることとする。
柱の形をした工作物であっても、法律上は建物と同じ土俵に立たされます。煙突や擁壁と並んで、高さのある柱状の工作物も建築基準法第88条第1項が定める準用の対象です。
政令(建築基準法施行令)が対象の種類と具体的な基準を定める仕組みは、他の工作物とまったく同じです。
根拠は建築基準法施行令第140条で、対象になった柱には次項以下で定める規定が準用されると定められています。
まずは自分の敷地にある柱がこの対象に入るかどうかを、次の章で確認しましょう。

うちにも背の高い鉄柱があるんですが、建築基準法が関係あるとは思ってもみませんでした。

見た目が柱でも、高さの条件を満たせば対象になります。
次は具体的にどんな柱が対象かを見ていきましょう。

どんな柱が対象になるのか

高い柱に青チェック、旗ざおに赤禁止マークが付いている図
対象になるかどうかは、柱の種類と高さで判断します。
旗ざおのような紛らわしい例外もあるので注意が必要です。
(建築基準法施行令第百三十八条第一項)二 高さが十五メートルを超える鉄筋コンクリート造の柱、鉄柱、木柱その他これらに類するもの(旗ざおを除く。)
対象は高さ15メートルを超える鉄筋コンクリート造・鉄柱・木柱等に限られます。コンクリート製に限らず、鋼製の鉄塔や木製の柱であっても、高さ15メートルを超えれば同じ扱いです。
一方で旗ざおは、どれほど高くても条文上はじめから除外されています。
高さの測り方や「これに類するもの」に当たるかどうかで迷う場合は、煙突や広告塔など他の工作物と同様に特定行政庁へ確認するのが確実です。
自分の敷地にある柱の高さを、まず実測することから始めましょう。

旗ざおは除かれるって、意外でした。
うちの柱は対象になりそうです。

高さを測るところが第一歩ですね。
対象に入ると分かったら、次は何を満たすかを見ましょう。

対象になると何を満たさなければならないのか

柱の先端に避雷設備、根元に工事用の仮囲いが付いた図
求められる中身は、建物の避雷設備や工事現場の安全対策とほぼ同じです。
柱だからといって簡易な扱いにはなりません。
(建築基準法施行令第百四十条第二項)前項に規定する工作物については、第五章の四第三節、第七章の八並びに前条第一項第三号及び第四号の規定を準用する。
準用されるのは避雷設備と工事現場の安全対策の規定です。避雷設備の設置基準(第129条の14・第129条の15)が準用され、高さ20メートルを超える部分は雷撃から保護しなければなりません。
工事中の危害防止を定める第七章の8も準用されるため、施工中の柱にも仮囲いや落下物対策が求められます。
さらに、高さのある煙突と同じ考え方(大臣認定または構造計算による安全性の確認)も準用され、柱そのものの強度も証明しなければなりません。
「ただ突っ立っているだけの柱」として済ませられる規定ではないことを、まず押さえておきましょう。

15メートルより高いか低いかだけでなく、20メートルという別のラインもあるんですね。

2つの高さの基準が別々に効いてくるので、混同しないようにしましょう。
次は満たし方の分かれ道を見ます。

認定の有無で何が変わるのか

認定書類が少ない柱と認定を受けず資材アイコンが積み上がる柱の対比図
満たすべき規定の範囲は、実は一本道ではありません。
認定の有無によって、追加で準用される条文が変わります。
(建築基準法施行令第百四十条第四項)第一項に規定する工作物のうち前項に規定するもの以外のものについては、第二項に規定するもののほか、第三十六条の三、第三十七条、第三十八条、第三十九条第一項及び第二項、第四十条、第四十一条、第四十七条、第三章第五節(第七十条を除く。)、第六節(第七十六条から第七十八条の二までを除く。)及び第六節の二(第七十九条の四(第七十六条から第七十八条の二までの準用に関する部分に限る。)を除く。)並びに第八十条の二の規定を準用する。
国土交通大臣の認定を受けた構造方法を使う柱は、耐久性に関する規定だけを追加で満たせば足ります。一方で認定を受けていない柱は、建築材料の品質や構造計算そのものを定めた規定まで、より広い範囲を満たす必要があります。
しかも、高さ60メートルを超える柱は条文上そもそも認定を受けることが必須で、この「認定なしの道」自体を選べません。
つまり「認定さえ取れば基準が軽くなる」のではなく、どちらの経路でも建物と同等の安全性を示す義務は変わりません。
既存の柱を持つ敷地では、設計図書に認定の記録が残っているかをまず確認しましょう。

うちの柱、認定を受けているかどうかなんて、どこを見れば分かるんでしょうか。

設置時の確認申請書類や構造計算書に記載があります。
最後に、明日からの確認手順をまとめますね。

明日からなにを確認すればよいのか

チェックリストと柱の模型と巻尺が置かれた机上のイラスト
条文を知っているだけでは、現場の確認は終わりません。
手元の柱に当てはめて、順番に確かめていきましょう。
  • 柱の高さを実測し、15メートルを超えるか、旗ざおに当たらないかを確認する。
  • 高さ20メートルを超える場合は避雷設備の設置状況を確認する。
  • 確認申請書類や構造計算書に国土交通大臣の認定の記載があるか確認する。
  • 高さ60メートルを超える柱は認定の有無を必ず確認する。
迷ったときは自己判断せず専門家に確認することが一番の近道です。書類が見当たらない場合や増改築を検討している場合は、設計時の建築士や特定行政庁の建築担当窓口に相談しましょう。
柱の周辺は資材置き場になりやすく、避雷設備や支線の点検が後回しにされがちです。
日常点検の記録を防火管理者としても把握しておくと、いざというときの説明に役立ちます。

まずは柱の高さを測るところから、施設の担当と確認してみます。

それが一番確実な第一歩です。
最後によくある質問をまとめておきますね。

よくある質問

Q建物に組み込まれた柱状の構造部分も対象になりますか?
A対象になるのは建築物に属さない単独の工作物としての柱に限られます。建物の柱や梁など建築物の一部として設計される構造部分は、通常の建築基準法の規定が直接適用されるため、この準用規定の対象にはなりません。
Q「これに類するもの」とはどんな柱を指しますか?
A条文はこの語の具体例までは示していませんが、鉄筋コンクリート造・鉄柱・木柱と同程度の強度・構造を持つ柱状の工作物が想定されます。判断に迷う場合は特定行政庁に相談するのが確実です。
Q避雷設備の構造基準はどこで確認できますか?
A建築基準法施行令第129条の14・第129条の15が基準を定めています。雷撃電流を安全に地中へ流せる構造方法であることと、腐食のおそれがある部分に腐食防止の措置を講じることが主な要件です。
Q既存の柱が対象と分かった場合、すぐに改修が必要になりますか?
A設置時の確認申請や検査済証の有無によって状況は異なります。自己判断で改修の要否を決めず、まずは書類の有無を確認したうえで所轄の特定行政庁や建築士に相談してください。

まとめ

✔高さ15メートルを超える鉄筋コンクリート造・鉄柱・木柱等は「工作物」として建築基準法施行令の対象になる。
✔根拠は建築基準法第88条第1項で、政令が対象の種類と基準を具体的に定める。
✔旗ざおは高さにかかわらず対象から除かれる。
✔高さ20メートルを超える部分には避雷設備の設置基準が準用される。
✔工事中の危害防止を定める第七章の8も準用される。
✔高さ60メートルを超える柱は認定を受けることが必須で、認定なしの道を選べない。
✔既存の柱は確認申請書類や検査済証の有無をまず確かめることが実務の第一歩。

柱もただの柱じゃないんですね。
今日確認できてよかったです。

書類の確認や設計士への相談でお困りの際は、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第88条第1項
  • 建築基準法施行令第138条第1項第2号(工作物の指定)
  • 建築基準法施行令第140条(鉄筋コンクリート造の柱等)
  • 建築基準法施行令第129条の14・第129条の15(避雷設備)
  • 建築基準法施行令第139条第1項第3号・第4号(構造計算による安全性の確認)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の柱が対象に当たるかどうかや確認申請の要否は、所轄の特定行政庁または指定確認検査機関にご確認ください。条例や運用は自治体ごとに異なる場合があります。

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