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自家発電設備の負荷運転は何をすれば先送りできるのか

自家発電設備の負荷運転は何をすれば先送りできるのかを表すアイキャッチ画像

自家発電設備の総合点検は、本来なら毎年、負荷運転か内部観察等で運転性能を確かめます。
ところが点検要領には、条件を満たせばこの点検を先送りできる例外があります。
条件は「予防的な保全策」という決まった中身を守っていることで、別添の様式にその記録を残しておく必要があります。
この記事では、予防的な保全策として毎年何を確認し、どの部品をいつまでに交換し、履歴表に何を書くのかを整理します。

うちの自家発電設備、毎年の負荷運転がけっこう手間なんです。

条件を満たせば先送りできる扱いがありますよ。
まずはその条件から見ていきましょう。

記録さえ残っていれば何でもいいわけではなさそうですね。

はい、確認項目と交換部品が様式で決まっています。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 負荷運転又は内部観察等は、製造年又は前回点検から6年を経過していなければ、予防的な保全策を講じることで先送りできます。
  • 予防的な保全策は、毎年の確認項目と期限内の部品交換の両方を満たして初めて成り立ちます。
  • 予熱栓・点火栓・冷却水ヒータ・潤滑油プライミングポンプは、設けられている場合に限り1年ごとに確認すべき項目です。
  • 潤滑油や冷却水、フィルター類、Vベルト、ホース、シール材、始動用蓄電池は、製造者の推奨交換期間以内に交換する部品です。
  • 交換・整備履歴表には、推奨年数・前回と今回の実績・今回の交換整備の具体的な内容まで記入します。

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自家発電設備の負荷運転を先送りする条件を毎年の確認項目と期限内の部品交換と履歴表への記録の4つの観点で示した図解

自家発電設備の負荷運転はなぜ先送りできるのか

自家発電設備の脇に壁掛けの交換整備履歴表が取り付けられている様子を示したイラスト
総合点検では、本来は毎年、負荷運転又は内部観察等で運転性能を確かめます。
点検要領には、この点検を先送りできる例外が用意されています。
消防庁の点検要領 第24 非常電源(自家発電設備) 機器点検 運転性能 原動機にガスタービンを用いる自家発電設備以外のものについて、負荷運転又は内部観察等を実施すること。ただし、製造年から6年を経過していないもの又はこの点検を実施してから6年を経過していないものであって、別添2に示す運転性能の維持に係る予防的な保全策が講じられている場合を除く。
先送りできるのは、製造年又は前回のこの点検から6年を経過していない設備に限られます。
しかも自動的に先送りされるのではなく、運転性能の維持に係る予防的な保全策が講じられていることが条件です。
対象はガスタービンを原動力とする自家発電設備以外のものです。
条件を満たさなくなれば、その年の総合点検で負荷運転又は内部観察等を実施することになります。

自動的に先送りされるわけじゃないんですね。

はい、予防的な保全策という決まった中身が条件です。
次はその毎年の確認項目を見ましょう。

予防的な保全策として毎年何を確認するのか

予熱栓と点火栓をテスタで確認している様子を示したイラスト
予防的な保全策は、毎年確認する項目と、期限内に交換する部品の2本立てです。
まずは毎年確認する項目から見ていきます。
消防庁の点検要領 別添2「運転性能の維持に係る予防的な保全策」 1 確認すべき項目 (1)自家発電設備に予熱栓が設けられている場合 予熱栓の発熱部に断線、変形、絶縁不良等がないこと。 (2)自家発電設備に点火栓が設けられている場合 ア 電極の異常な消耗がないこと。イ プラグギャップ値が製造者の指定値範囲内であること。ウ 異常なカーボンの付着がないこと。 (3)自家発電設備に冷却水ヒータが設けられている場合 ア 冷却水ヒータケース外周又は近傍の配管等に触れ、その他の部位より温度が高いことを確認すること。イ テスタにて冷却水ヒータの断線等の有無を確認すること。 (4)自家発電設備に潤滑油プライミングポンプが設けられている場合 潤滑油プライミングポンプが正常に作動していることを確認すること。
予熱栓・点火栓・冷却水ヒータ・潤滑油プライミングポンプは、設けられている場合に限り毎年確認します。
予熱栓は発熱部の断線や絶縁不良、点火栓は電極の消耗やプラグギャップ値、カーボンの付着を見ます。
冷却水ヒータはケース外周に触れて他の部位より温度が高いか、テスタで断線の有無まで確認します。
これら4項目は該当する部品が設けられている設備だけが対象で、無いものは確認そのものが不要です。

触って温度を比べるなんて、意外と地道な確認なんですね。

はい、テスタでの断線確認まで求められています。
次は交換すべき部品を見ましょう。

交換すべき部品は何が決まっているのか

オイル缶やホースやベルトやバッテリーが並ぶ交換部品の棚を示したイラスト
確認項目とあわせて、期限内に交換すべき部品も様式で列挙されています。
どれも設計上の標準的な使用期間を超えないことが条件です。
消防庁の点検要領 別添2「運転性能の維持に係る予防的な保全策」 運転性能の維持に係る予防的な保全策とは、1に掲げる項目を1年ごとに確認し、かつ、2に掲げる部品を標準的な使用条件の下で使用した場合に安全上支障がなく使用することができる標準的な期間として設計上設定される期間(製造者が設定する推奨交換期間等)以内に交換することをいう。 2 交換すべき部品 (1)潤滑油 (2)冷却水 (3)燃料フィルター (4)潤滑油フィルター (5)ファン駆動用Vベルト (6)冷却水用等のゴムホース (7)燃料、冷却水、潤滑油、給気、排気系統や外箱等に用いられるシール材 (8)始動用の蓄電池
交換すべき部品は、潤滑油から始動用の蓄電池まで8種類が列挙されています。
基準になるのは製造者が設定する推奨交換期間で、これを超えずに交換していることが保全策の前提です。
燃料フィルターと潤滑油フィルターは別の部品として分けて扱われ、ゴムホースとシール材もそれぞれ個別の項目です。
部品ごとに標準的な使用期間は異なるため、一律の周期で管理することはできません。

フィルターだけでも燃料用と潤滑油用で別々に数えるんですね。

はい、始動用の蓄電池まで含めた8種類です。
次は履歴表への記入のしかたを見ましょう。

交換整備履歴表の推奨年数欄には何を書くのか

自家発電設備の脇で点検員が交換整備履歴表にペンで記入している様子を示したイラスト
点検要領は、保全策が講じられていることを示す書類の例として、交換・整備履歴表の様式を示しています。
表の中心になるのが、部品ごとの推奨年数と交換実績の欄です。
消防庁の点検要領 別添1「運転性能の維持に係る予防的な保全策(参考例)」 非常電源(自家発電設備)の交換・整備履歴表 区分・部品等・製造者の交換(点検)推奨年数・前回の交換(点検)年月・今回の交換(点検)実績・今回の交換・整備の内容を記入する欄があり、自家発電装置の原動機潤滑油・発電機軸受潤滑油・冷却水・燃料フィルター・潤滑油フィルター・給気フィルター・冷却ファン駆動用Vベルト・ゴムホール・シール材のほか、制御装置の始動用蓄電池・PLC用電池、始動補助装置の予熱栓・点火栓・冷却水ヒータ・潤滑油プライミングポンプを部品等の欄に記入する。
部品等ごとに製造者の交換推奨年数を書き、前回の交換年月と今回の交換実績を並べて記録します。
始動補助装置の予熱栓・点火栓・冷却水ヒータ・プライミングポンプは、該当する設備だけが対象になる欄として区別されています。
給気フィルターのように今回は清掃にとどめた部品も、交換ではなく整備の実績として欄に残します。
推奨年数の欄が空欄のままでは、交換時期を守っているかどうかが後から確認できません。

交換じゃなくて清掃でも記録は残すんですね。

はい、今回の実績欄に整備内容として残します。
最後に内容欄の書き方を見ましょう。

今回の交換整備の内容欄には何を書けばよいのか

ひびの入った古いベルトと新しい交換用ベルトを見比べている様子を示したイラスト
履歴表は交換した・しないの二択ではなく、交換や整備の具体的な理由まで書く欄を持っています。
記載例を見ると、見た目の点検だけでなく分析結果まで反映されています。
消防庁の点検要領 別添1「運転性能の維持に係る予防的な保全策(参考例)」 非常電源(自家発電設備)の交換・整備履歴表 今回の交換・整備の内容の記載例 原動機潤滑油は金属粉混入の分析結果により交換、冷却ファン駆動用Vベルトはひび割れ、伸びにより交換、給気フィルターは清掃、始動用蓄電池は内部抵抗確認及び電解液補充と記入する。
今回の交換・整備の内容欄には、交換した事実だけでなく判断した理由まで書き残します。
原動機潤滑油の記載例では金属粉混入の分析結果により交換したことまで記録されています。
Vベルトはひび割れや伸びという具体的な劣化の様子、始動用蓄電池は内部抵抗確認と電解液補充という作業内容が書かれます。
理由まで書く欄があることで、次の点検者が同じ部品を見るときの判断材料にもなります。

分析結果まで書くなら、ただの交換メモとは違いますね。

はい、判断した理由まで記録に残す欄です。
最後に整理しましょう。

よくある質問

Qガスタービン式の自家発電設備にもこの先送りは使えますか?
Aいいえ。点検要領は原動機にガスタービンを用いる自家発電設備以外のものを対象としています。ガスタービン式はそもそも運転性能の確認方法が別に定められています。
Q予熱栓や点火栓が無い設備でも毎年の確認は必要ですか?
A不要です。別添2は設けられている場合に限って確認すべき項目としています。該当する部品が無い設備は、その項目自体が対象外になります。
Q推奨交換期間はどこの数値を使えばよいですか?
A製造者が設定する推奨交換期間です。標準的な使用条件で安全上支障なく使える期間として、設計上あらかじめ決められている数値を使います。
Q交換した事実だけ書けば、理由までは書かなくてもよいですか?
A参考例の記載では、金属粉混入の分析結果やひび割れ・伸びといった判断理由まで記入されています。理由を書いておくほうが、次の点検者への引き継ぎとして役立ちます。

まとめ

✔負荷運転又は内部観察等は、製造年又は前回点検から6年以内かつ予防的な保全策があれば先送りできる
✔対象はガスタービン式以外の自家発電設備
✔毎年の確認項目は予熱栓・点火栓・冷却水ヒータ・プライミングポンプ(設けられている場合のみ)
✔交換すべき部品は潤滑油から始動用蓄電池まで8種類
✔基準は製造者が設定する推奨交換期間
✔履歴表には推奨年数・前回と今回の実績を部品ごとに記入する
✔今回の交換・整備の内容欄には交換した理由まで書き残す

予防的な保全策の中身がこれで整理できました!

はい、履歴表の記録が無ければ先送りは使えません。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第24
  • 消防用設備等の点検要領(消防庁通知)第24 非常電源(自家発電設備) 別添1・別添2
  • 消防法施行規則第12条第1項第4号(自家発電設備に関する基準)
  • 自家発電設備の基準(昭和48年消防庁告示第1号)
  • 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)

※本記事は公表されている告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。

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