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自家発電設備の点検票にはどう書くのか|始動方式で変わる記入欄から専門技術者の記録まで解説

自家発電設備の点検票にはどう書くのか

自家発電設備の点検票は、自家発電設備という名前だけを書けば済むと思われがちです。
始動方式や冷却方式が違うだけで、記入する欄も大きく変わります。
点検周期を6年に延ばす記録には、電気主任技術者とは別の名前も必要になります。
この記事では、点検要領が定める自家発電設備点検票の記載要領を、点検票の実務に沿って解説します。

うちの自家発電設備、点検票の表題には設備名を1つ書けばいいんですよね。

いいえ、電源供給を受ける設備の名称を全部書きますよ。

始動方式が違うと、始動用蓄電池設備の欄も変わるんですか。

電気始動式なら別の点検票を添付しますよ。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 自家発電設備点検票の表題欄には、非常電源の供給を受ける消防用設備等の名称をすべて記入します
  • 始動用蓄電池設備が電気始動式の場合は、非常電源(蓄電池設備)点検票を別添として作成し添付します
  • ラジエータ冷却以外や始動補助装置が無いなど該当しない機器の欄は、判定欄を斜線で抹消します
  • 負荷運転は使用した負荷の種類・容量・運転時間を、内部観察等は特記事項があれば記入します
  • 点検周期を6年に延ばす記録には、電気主任技術者とは別の専門の技術者の氏名・資格もあわせて記入します

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自家発電設備の点検票は非常電源の設備名を記入し蓄電池設備は別添で添付し該当しない欄は斜線で抹消し6年延長は専門技術者を記録することを示した図解

自家発電設備点検票の表題欄にはどんな設備名を書くのか

自家発電設備の制御盤と、そこから枝分かれする屋内消火栓や排煙の配管のイラスト
自家発電設備の点検票は、自家発電設備という名前だけでは終わりません。
表題欄には、もう一歩踏み込んだ記入が求められます。
  • 表題の( )内の設備名記入欄には、自家発電設備から非常電源の供給を受けている消防用設備等の名称のすべてを記入します
  • ( )内に記入できない場合は、欄外に記入してよいとされています
表題欄は、自家発電設備を使う側のすべての設備を書き出す欄です。
点検票の記載要領は、表題の( )内の設備名記入欄に、自家発電設備から非常電源の供給を受けている消防用設備等の名称のすべてを記入すると定めています。
屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・非常コンセント設備・排煙設備など、この自家発電設備を非常電源として使う設備を漏れなく書き出す欄です。
備考欄には、工事施工会社名及び施工年月日もあわせて記入します。

うちは屋内消火栓と排煙設備、両方に電気を送ってるんですが。
両方書くんですか。

はい、非常電源を受ける設備は全部書いてください。
欄に入らなければ欄外でも構いません。

始動用蓄電池設備が電気始動式のときはなぜ別の点検票を添付するのか

バッテリーラック型の始動用蓄電池設備と、クリップで留められた別添の点検書類のイラスト
自家発電設備の点検票は、始動用蓄電池設備の欄を単独で埋め切りません。
始動方式によって、記入のしかたが分かれます。
  • 電気始動式のものは欄に「別添」と記入し、非常電源(蓄電池設備)点検票の機器点検の項目から設置状況・標識・逆変換装置を除いた部分を記入して添付します
  • 空気始動式のものは、始動用蓄電池設備を持たないため、この欄の判定欄を斜線で抹消します
始動用蓄電池設備の欄は、自家発電設備の点検票だけでは完結しません。
電気始動式のものは、欄に「別添」と記入したうえで、非常電源(蓄電池設備)点検票を別に作成して添付します。
添付する際は、機器点検の項目のうち設置状況・標識・逆変換装置の3項目を除いた部分を記入します。
総合点検でも扱いは同じで、蓄電池設備の点検要領に準じて確認し、原則として蓄電池設備の点検票を添付します。
一方、空気始動式のものは始動用蓄電池設備自体を持たないため、この欄の判定欄を斜線で抹消します。

別添の蓄電池点検票って、全部の項目を書き写すんですか。

いいえ、設置状況・標識・逆変換装置の3項目は除外してよいですよ。

冷却方式や始動方式が違うと点検票の欄はどう変わるのか

ラジエータと冷却ファン、斜線が引かれた判定欄のある点検票のイラスト
自家発電設備には、冷却方式や始動方式の違いで構造が分かれる機器がいくつもあります。
点検票は、該当しない欄を空欄のままにしません。
  • ラジエータ、配管等・冷却ファンの欄は、ラジエータ冷却方式以外の場合は判定欄を斜線で抹消します
  • 始動補助装置が無いもの、蓄電池設備や始動用燃料を使わないものも、それぞれの欄を同じように斜線で抹消します
点検票は「該当しない項目」を斜線で抹消するという共通のルールで処理します。
ラジエータ、配管等と冷却ファンの欄は、ラジエータ冷却方式以外の場合は判定欄を斜線で抹消します。
始動補助装置の欄も、予熱栓・冷却水ヒータ・潤滑油プライミングポンプなど名称を記入しますが、始動補助装置が無いものは判定欄を斜線で抹消します。
蓄電池切替性能・始動用燃料切替性能の欄も、それぞれ蓄電池設備や始動用燃料を使わない機器では同じ扱いです。
空欄のまま残すと記入漏れなのか該当なしなのか区別がつかないため、斜線という形で「対象外」を明示します。

空欄のままにしちゃダメなんですか。

空欄だと書き忘れと区別できません。
該当が無ければ必ず斜線を引いてくださいね。

総合点検の負荷運転と内部観察等はそれぞれ点検票にどう記入するのか

擬似負荷装置とストップウォッチを並べて置いたイラスト
運転性能の確認は、負荷運転と内部観察等のどちらで行ったかによって、記入する内容が変わります。
欄の空き方を見れば、どちらで確認したかが一目で分かります。
  • 負荷運転を選んだ場合は、使用した負荷の種類(擬似負荷・実負荷等)、負荷容量及び運転時間を記入します
  • 内部観察等を選んだ場合は、特記事項があれば記入する扱いにとどまり、負荷運転のような数値の記入欄はありません
負荷運転と内部観察等は、点検票の書き方そのものが違います。
負荷運転を選んだ場合は、使用した負荷の種類(擬似負荷なのか実負荷なのか)と負荷容量、そして運転時間を記入します。
内部観察等を選んだ場合は、特記事項があれば記入するという扱いにとどまり、負荷運転のような数値の記入欄はありません。
保護装置の欄には過回転停止装置の動作値を記入し、始動性能・運転切替性能の欄には始動時間・切替時間をストップウォッチ等で測定し小数点以下1桁まで記入します。
数値を記入する欄と、特記事項だけで足りる欄を見分けておくと、記載漏れを防げます。

始動時間とか切替時間は、だいたいの秒数でいいんですか。

いいえ、小数点以下1桁まで測って記入しますよ。

点検周期を6年に延ばす記録には、なぜもう一人の技術者名が要るのか

フックに掛けられた2枚の資格証カードと、ある日付に丸印が付いたカレンダーのイラスト
ガスタービンを原動力とする自家発電設備以外は、総合点検のたびに負荷運転又は内部観察等を行うのが原則です。
ただし、条件を満たせばこの点検を先送りできます。
  • 製造年又は前回点検から6年を経過していないもので、運転性能の維持に係る予防的な保全策が講じられている場合は点検を先送りできます
  • 点検票の備考欄には、電気主任技術者とは別に、自家発電設備の点検及び整備に必要な知識及び技能を有する者の氏名・資格もあわせて記入します
点検周期の延長は、記録に残っていてはじめて使える特例です。
点検要領は、運転性能の確認を自家発電設備の点検及び整備において必要な知識及び技能を有する者が実施することが適当だとしています。
点検票の備考欄には、電気主任技術者の氏名及び資格に加えて、この専門の技術者の氏名及び資格も記録し、負荷運転又は内部観察等の最終実施年月と、対象となる消防用設備等の設備名、予備品等の状況をあわせて記入します。
電気主任技術者は電気設備全体の保安を見る立場、専門の技術者は自家発電設備そのものの点検・整備を見る立場という、役割の異なる2人の記録です。
記録が残っていなければ、この扱いは使えません。

電気主任技術者さんが選任されていれば、それだけで6年延ばせるんですか。

いいえ、自家発電設備専門の技術者の記録も別に必要ですよ。

よくある質問

Q自家発電設備の点検票の表題には、自家発電設備という名前だけを書けばよいですか?
Aいいえ。非常電源の供給を受ける消防用設備等の名称をすべて記入します。( )内に書ききれない場合は欄外に記入します。
Q自家発電設備の始動方式が空気始動式の場合、始動用蓄電池設備の欄はどう書きますか?
A始動用蓄電池設備を持たないため、この欄の判定欄を斜線で抹消します。
Q総合点検で内部観察等を行った場合、負荷運転と同じように負荷容量や運転時間を記入しますか?
Aいいえ。内部観察等の欄は特記事項があれば記入する扱いで、負荷運転のような数値の記入欄はありません。
Q製造年から6年を経過していない自家発電設備は、自動的に運転性能の確認を省略できますか?
Aいいえ。運転性能の維持に係る予防的な保全策が講じられていた記録が残っていることが条件で、記録が無ければこの扱いは使えません。

まとめ

✔自家発電設備点検票の表題欄には、非常電源の供給を受ける消防用設備等の名称をすべて記入します
✔備考欄には工事施工会社名及び施工年月日も記入します
✔始動用蓄電池設備が電気始動式の場合は、非常電源(蓄電池設備)点検票を別添として作成し添付します
✔ラジエータ冷却以外や始動補助装置が無いなど該当しない機器の欄は、判定欄を斜線で抹消します
✔負荷運転は使用した負荷の種類・容量・運転時間を、内部観察等は特記事項があれば記入します
✔始動時間・切替時間はストップウォッチ等で測定し小数点以下1桁まで記入します
✔点検周期を6年に延ばす記録には、電気主任技術者とは別の専門の技術者の氏名・資格もあわせて記入します

どの欄に何を書けばいいか、だいぶ分かりました!

記入に迷ったときは、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 消防法施行規則第31条の6(消防用設備等又は特殊消防用設備等の点検及び報告)
  • 消防用設備等の点検の基準及び消防用設備等点検結果報告書に添付する点検票の様式を定める件(昭和50年消防庁告示第14号)別表第24 非常電源(自家発電設備)
  • 消防用設備等の点検要領(消防庁通知) 第24 非常電源(自家発電設備)

※本記事は公表されている法令、告示および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。点検票の記載要領は改正されることがあります。個別の判断は、消防設備士や所轄消防署にご確認ください。

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