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応援と受援はなぜ地域防災計画で配慮しなければならないのか|受援計画と共同訓練の例と民間企業やボランティアまで含む他の者を解説

災害対策本部の会議室に大きな地図と電話とパソコンが並ぶ様子を写した、応援と受援を地域防災計画にどう書くかを解説するアイキャッチ画像

災害が起きたとき、他の自治体や民間の力を借りて動くには、事前の準備が欠かせないと感じる方は多いと思います。
実は災害対策基本法では、地域防災計画を定めるときに、円滑に応援を受け、又は応援できるよう配慮することが求められています。
あわせて、応援や受援の相手には、民間企業やボランティアなども含まれると国の通知は説明しています。
国の通知と条文で、その中身を確かめます。

地域防災計画に、応援や受援のことまで書くのですか。

はい、計画を定めるときに配慮することが条文にあります。

応援や受援の相手は、行政機関だけでしょうか。

そこに通知の具体的な説明があります。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 防災会議は、地域防災計画を定めるに当たって、円滑に他の者の応援を受け、又は他の者を応援することができるよう配慮するものとされています(法第40条第4項・第42条第4項)。
  • 通知は、応援や受援の相手である他の者に、民間企業、ボランティア、NPO、NGO等を含むと説明しています。
  • 通知は、配慮の例として、災害応急対策の計画の中に受援計画を定めること、災害予防の計画の中に共同訓練の計画を定めることを挙げています。
  • 法第49条の2第1項は、災害予防責任者に、相互応援に関する協定の締結、共同防災訓練の実施などの措置を講ずる努力義務を課しています。
  • 通知は条番号を第3項と書いていますが、現在の条文では同じ内容の配慮規定は第4項に置かれています。

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応援と受援への備えを示す図解(計画に応援と受援への配慮、他の者に民間企業も含む、受援計画と共同訓練、協定の相手と窓口を確認の4つ)

地域防災計画を定めるとき、なぜ応援と受援への配慮が求められるのか

市役所の横に計画書のバインダーと地図が置かれた机があるイラスト

災害時には、他の自治体や機関の応援を受けたり、逆に応援に出たりする場面があります。
その準備を、地域防災計画を作る段階で配慮するよう求めているのが法第40条と第42条です。

(災害対策基本法の一部を改正する法律の運用について 平成24年6月27日 府政防第725号・消防災第235号)法第40条第3項又は法第42条第3項において、都道府県地域防災計画又は市町村地域防災計画を定めるに当たっては、各防災機関が円滑に他の者を応援し、他の者から受援できるよう配慮することを規定したところである。
(災害対策基本法第40条第4項)都道府県防災会議は、都道府県地域防災計画を定めるに当たつては、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において管轄指定地方行政機関等が円滑に他の者の応援を受け、又は他の者を応援することができるよう配慮するものとする。

地域防災計画は、応援を出す側と受ける側の両方への配慮を含めて定めます。
通知は、法第40条第3項・第42条第3項が円滑に他の者を応援し、他の者から受援できるよう配慮することを規定したと説明しています。
現在の条文では、この配慮の規定は第40条第4項・第42条第4項に置かれています。
第3項には、公共的団体や民間の団体との連携に関する基本的な方針を定めることができるという、別の規定があります。
通知は配慮を求める理由までは詳しく述べていないため、条文と通知の範囲で確認します。

地域防災計画には、応援を受ける側の配慮も入るのですね。

通知は円滑に他の者を応援し、他の者から受援できるよう配慮することを規定したと説明しています。

応援や受援の相手である「他の者」には、だれが含まれるのか

消防車と、会社の事務所ビルと配送トラックと、ボランティアのテントと段ボール箱が並び、右に市役所があるイラスト

応援を受けたり出したりする相手は、他の自治体や国の機関だけでしょうか。
通知は、その範囲を説明しています。

(災害対策基本法の一部を改正する法律の運用について 平成24年6月27日 府政防第725号・消防災第235号)ここで、他の者には、各防災機関のみならず、民間企業、ボランティア、NPO、NGO等を含むものである。この考え方は、法第49条の2においても同様である。
(災害対策基本法第49条の2第1項)災害予防責任者は、法令又は防災計画の定めるところにより、その所掌事務又は業務について、災害応急対策又は災害復旧の実施に際し他の者の応援を受け、又は他の者を応援することを必要とする事態に備え、相互応援に関する協定の締結、共同防災訓練の実施その他円滑に他の者の応援を受け、又は他の者を応援するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

応援や受援の相手は、行政機関だけとは限りません。
通知は、他の者に民間企業、ボランティア、NPO、NGO等を含むと説明しています。
この考え方は法第49条の2にも当てはまると、通知は述べています。
第49条の2第1項は、災害予防責任者に、相互応援に関する協定の締結や共同防災訓練の実施などの措置を講ずる努力義務を課しています。
相手が多様になるほど、平常時からの取り決めの大切さが増します。

応援の相手には、民間企業やボランティアも入るのでしょうか。

通知は、他の者に民間企業、ボランティア、NPO、NGO等を含むと説明しています。

「配慮する」とは、具体的にどのような取組を指すのか

市役所の前に受付テントと段ボール箱があり、右に消防車と救助トラックが訓練塔の隣に並ぶイラスト

「配慮する」と言われても、何をすればよいのか迷います。
通知は、想定される取組を例として挙げています。

(災害対策基本法の一部を改正する法律の運用について 平成24年6月27日 府政防第725号・消防災第235号)また、「配慮する」とは、例えば、以下のような取組が想定される。①災害応急対策の計画の中に、受援計画を定めること。②災害予防の計画の中に、複数の機関による共同訓練の計画を定めること。
(災害対策基本法第40条第2項第2号)当該都道府県の地域に係る防災施設の新設又は改良、防災のための調査研究、教育及び訓練その他の災害予防、情報の収集及び伝達、災害に関する予報又は警報の発令及び伝達、避難、消火、水防、救難、救助、衛生その他の災害応急対策並びに災害復旧に関する事項別の計画

通知が挙げる配慮の例は、受援計画と共同訓練の計画です。
通知は、災害応急対策の計画の中に受援計画を定めることを挙げています。
災害予防の計画の中に、複数の機関による共同訓練の計画を定めることも例に挙げています。
通知は「例えば」と述べており、この二つに限るとは書いていません。
第40条第2項第2号は、災害予防と災害応急対策などについて、事項別の計画を定めるとしています。

受援計画と共同訓練が、配慮の例なのですね。

通知は受援計画と共同訓練の計画を例に挙げています。

配慮の規定と努力義務の規定では、書きぶりがどう違うのか

机の上に開いたバインダーと虫めがね、右に倉庫があるイラスト

条文の書きぶりで、求められる度合いは変わります。
市町村の条文と、災害予防責任者の条文を見比べます。

(災害対策基本法第42条第4項)市町村防災会議は、市町村地域防災計画を定めるに当たつては、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において当該市町村等が円滑に他の者の応援を受け、又は他の者を応援することができるよう配慮するものとする。
(災害対策基本法第49条の2第2項)指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長は、前項の措置を講ずるほか、高度かつ専門的な技術、知識又は経験を有する人材の確保及び育成、資機材の整備、災害の状況に応じて機動的に応援を行う体制の整備、多様な主体との連携の強化その他の取組を推進することにより、他の災害応急対策責任者(第五十一条第一項に規定する災害応急対策責任者をいう。)を迅速かつ的確に応援するよう努めなければならない。

配慮の規定と努力義務の規定は、書きぶりが違います。
第40条第4項と第42条第4項は、防災会議が計画を定めるに当たって配慮するものとすると定めています。
第49条の2第1項は、災害予防責任者が措置を講ずる努力義務を定めています。
現在の第49条の2には第2項もあり、国の機関には人材の確保や資機材の整備などを推進して応援する努力義務が定められています。
通知は配慮の中身を「例えば」で示しており、例示にとどまることにも注意が必要です。

配慮と努力義務は、どう違うのでしょうか。

第40条第4項は配慮するものとすると定め、第49条の2第1項は努めなければならないと定めています。

明日から何を確認しておけばよいのか

チェックリストと協定書のフォルダと電話が並ぶ机と、旗竿のある小さな市役所のイラスト

応援と受援の準備は、災害が起きてからでは間に合いません。
通知が示す相互応援協定の考え方を確認したうえで、平常時の確認事項を整理します。

(災害対策基本法の一部を改正する法律の運用について 平成24年6月27日 府政防第725号・消防災第235号)(前略)相互応援協定については、大規模災害による同時被災を避ける観点から、遠隔地の地方公共団体との相互応援協定等の締結の推進に配慮されたい。

応援と受援の準備は、災害が起きる前に計画と協定で確かめておきます。
まず、自分の自治体の地域防災計画に受援計画の記載があるかを確認します。
次に、共同訓練の計画があるか、参加する機会があるかを確認します。
通知は、相互応援協定について遠隔地の地方公共団体との協定等の締結の推進に配慮するよう求めています。
事業者やボランティア団体の立場では、協定の相手と連絡窓口が決まっているかを確かめると役立ちます。
条文は改正で動くため、現在の法令で引き直して確認します。

自分の自治体の計画に、受援計画があるか確認してみます。

受援計画と共同訓練の記載を確かめることが第一歩です。
よくある質問もあわせてご確認ください。

よくある質問

Q受援計画とは何ですか?
A通知は、配慮の例として災害応急対策の計画の中に受援計画を定めることを挙げています。様式や記載事項までは、この部分には示されていません。
Q通知に書かれた第40条第3項は、現在も同じ条番号ですか?
A現在の同じ内容の配慮規定は、第40条第4項に置かれています。第3項には、公共的団体や民間の団体との連携に関する基本的な方針を定めることができるという別の規定があります。
Q他の者に民間企業やボランティアは含まれますか?
A通知は、他の者には各防災機関のみならず、民間企業、ボランティア、NPO、NGO等を含むと説明しています。
Q共同訓練の計画は、どの計画に定めるのですか?
A通知は、災害予防の計画の中に、複数の機関による共同訓練の計画を定めることを配慮の例として挙げています。

まとめ

✔地域防災計画を定めるに当たっては、円滑に他の者の応援を受け、又は他の者を応援できるよう配慮するものとされています(第40条第4項・第42条第4項)。
✔通知が第3項と書く配慮規定は、現在は第4項に置かれています。
✔通知は、他の者に民間企業、ボランティア、NPO、NGO等を含むと説明しています。
✔配慮の例は、災害応急対策の計画の中の受援計画と、災害予防の計画の中の共同訓練の計画です。
✔第49条の2第1項は、災害予防責任者に相互応援に関する協定の締結や共同防災訓練の実施などの努力義務を課しています。
✔通知の配慮の例は例示であり、二つに限るとは書かれていません。
✔平常時から受援計画と共同訓練の記載を確認しておくことが実務の備えです。

受援計画と共同訓練の記載、さっそく確認してみます!

それが一番の備えになります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 災害対策基本法の一部を改正する法律の運用について(平成24年6月27日 府政防第725号・消防災第235号)
  • 災害対策基本法(昭和36年法律第223号)第40条、第42条、第49条の2

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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