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敷地に計画道路がかかっていると容積率の計算はなぜ許可で変わるのか|建築基準法第52条第10項が定める計画道路の許可を解説

細い道路の脇に予定地の工事用囲いとコーンが並ぶ住宅地の写真

敷地の一部に、都市計画で決まっている道路の予定地がかかっていることがあります。
その敷地に建物を建てるとき、容積率の計算では、いまある道路と予定の道路のどちらを前面道路として見るのかが気になります。
建築基準法には、この場合の取り扱いを、特定行政庁の許可を条件に定めた規定があります。
今回は建築基準法第52条第10項が定める計画道路の許可について、許可の要件と、許可を受けたときの容積率の計算の変わり方を、防火管理者が押さえておきたい点とあわせて解説します。

うちの敷地に、都市計画の道路の予定地がかかっています。
容積率の計算は、どうなるのでしょうか。

建築基準法第52条第10項に、計画道路の取り扱いが定められています。
まず、対象になる敷地から見ていきましょう。

予定の道路が敷地にかかっていれば、自動的に計算が変わるのですか。
防火の面で気にしておく点もありますか。

条文は、特定行政庁の許可を条件にしています。
防火管理の面で確かめたい点もお伝えします。

この記事の結論
  • 第52条第10項は、都市計画で定められた計画道路に敷地が接するか、敷地内に計画道路がある建築物のうち、特定行政庁が許可したものについて定めています。
  • 許可を受けると、その計画道路を第2項の前面道路とみなして、容積率の規定を適用します。
  • 敷地のうち計画道路に係る部分の面積は、敷地面積に算入しません。
  • 許可は、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めたときで、あらかじめ建築審査会の同意が必要です。
  • この条文は建築基準法の容積率の話で、消防法令の基準を緩めるものではありません。

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計画道路にかかる敷地で特定行政庁の許可を受けると計画道路を前面道路とみなして容積率を計算する仕組みを示す図解

計画道路にかかる敷地はどんな場合に第10項の対象になるのか

敷地の端に予定の道路の破線がかかる区画を上から見たイラスト
第52条第10項が、この取り扱いの入口です。
条文は、計画道路とは何か、どんな敷地が対象になるかを書いています。
(建築基準法第五十二条第十項 抜粋)建築物の敷地が都市計画において定められた計画道路(第四十二条第一項第四号に該当するものを除くものとし、以下この項において「計画道路」という。)に接する場合又は当該敷地内に計画道路がある場合において、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可した建築物については、当該計画道路を第二項の前面道路とみなして、同項から第七項まで及び前項の規定を適用するものとする。
第10項が対象にするのは、都市計画で定められた計画道路に敷地が接する場合と、敷地の中に計画道路がある場合です。
ただし、第42条第1項第4号に当たる道路は、この項の計画道路から除かれています。
第42条第1項第4号は、事業計画のある道路のうち、二年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定した道路です。
この指定を受けた道路は、建築基準法の道路として別に扱われるので、第10項の対象ではありません。

計画道路にかかる敷地なら、いつでも対象になるんですね。
その次は、何が必要なのでしょうか。

条文に、許可が要ると書いてあります。
次に、その許可の中身を見ましょう。

第10項の許可は誰がどんな条件で出すのか

許可の判を押す書類と印鑑のイラスト
第10項は、対象になる敷地でも許可を受けた建築物だけに適用されます。
許可を出すのは特定行政庁で、その手続も条文が決めています。
(建築基準法第五十二条第十五項)第四十四条第二項の規定は、第十項、第十一項又は前項の規定による許可をする場合に準用する。
(建築基準法第四十四条第二項)特定行政庁は、前項第四号の規定による許可をする場合においては、あらかじめ、建築審査会の同意を得なければならない。
許可を出すのは特定行政庁で、交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときに限られます。
第15項は、第44条第2項を準用しています。
そのため、特定行政庁は、許可をする場合には、あらかじめ建築審査会の同意を得なければなりません。
許可の申請と判断は、建築士や特定行政庁の窓口で進める手続なので、申請者が自分で許可の可否を決められるものではありません。

許可には、建築審査会の同意もいるんですね。
許可を受けると、容積率の計算はどう変わるのでしょうか。

許可を受けると、前面道路の扱いが変わります。
条文に沿って、その中身を見ましょう。

許可を受けると計画道路はどのように前面道路として扱われるのか

現在の細い道路と予定の広い道路の断面を並べた模型のイラスト
許可を受けた建築物には、計画道路を前面道路とみなす取り扱いが働きます。
読み替えの範囲は、第2項から第7項までと第9項です。 許可を受けた建築物は、計画道路を第2項の前面道路とみなして、第2項から第7項まで及び第9項の規定を適用します。
第2項は、前面道路の幅員が12メートル未満のときの容積率を、幅員に応じた数値で頭打ちにする規定です。
計画道路が第2項の前面道路になると、その幅員で第2項の計算をします。
前面道路が二以上あるときは、幅員が最大のものを使うと第2項に書かれています。
この計算のしかたは、第2項の条文で確かめます。 たとえば、第一種住居地域で、第2項第2号の数値が十分の四だとします。
次の数値は、計算のしかたを示すための例です。
  • 現在の前面道路の幅員が6メートルのとき、容積率の限度は6×十分の四=十分の二十四で、240パーセントです。
  • 許可を受け、幅員8メートルの計画道路を前面道路とみなすと、8×十分の四=十分の三十二で、320パーセントになります。
この数値は、第2項の限度の例です。
第1項の都市計画で定めた容積率との両方を満たす必要があります。

許可を受けると、計画道路の幅員で計算するんですね。
敷地の広さの扱いは、どうなるのでしょうか。

敷地面積の扱いも、第10項の後段に書かれています。
次に、その中身を見ましょう。

敷地のうち計画道路にかかる部分は敷地面積に含めないのか

敷地の図から細長い帯を切り分けたイラスト
第10項の後段は、敷地面積の扱いを決めています。
計画道路を前面道路とみなす代わりに、その部分は敷地から外します。
(建築基準法第五十二条第十項 後段)この場合においては、当該敷地のうち計画道路に係る部分の面積は、敷地面積又は敷地の部分の面積に算入しないものとする。
敷地のうち計画道路に係る部分の面積は、敷地面積にも敷地の部分の面積にも算入しません。
前の例の敷地が300平方メートルで、そのうち計画道路にかかる部分が30平方メートルだとします。
この場合、容積率の計算に使う敷地面積は、270平方メートルです。
320パーセントで計算すると、延べ面積の限度は、270×320パーセント=864平方メートルになります。
数値は説明のための例で、実際の限度は、他の規定とあわせて特定行政庁の窓口で確かめます。

許可を受けると、敷地面積は小さくなるんですね。
実務で確かめておくことはありますか。

計画道路の位置と、敷地との重なりを図面で確かめます。
あわせて、防火管理の面で確かめておきたい点も見ましょう。

計画道路の許可を踏まえて防火管理者はなにを確かめておくとよいのか

書類ばさみと赤い印とチェックシートのイラスト
この許可は、計画道路の位置と敷地の関係で決まります。
条文が決めているのは建築基準法の容積率の話で、消防法令の基準の話ではありません。 計画道路の許可は、建築基準法の容積率と敷地面積の算定に関する取り扱いです。
許可を受けた建物でも、消防用設備等の設置や防火管理の義務は、消防法令の条文で決まります。
計画道路にかかる敷地に建物がある場合は、許可の有無と内容を建築士や特定行政庁に確かめる必要があります。
消防法令の判断は別なので、所轄消防署への相談も欠かせません。
明日から次の点を確認してください。
  • 敷地に、都市計画で定められた計画道路がかかっているかを、図面や特定行政庁の窓口で確認する。
  • 計画道路の許可を受けているかを、確認済証や許可書などの書類で確認して記録する。
  • 許可を受けている場合は、容積率の計算で計画道路を前面道路として扱った内容を、建築士に確認する。
  • 増築や用途変更で延べ面積が変わるときは、許可の範囲に収まるかを特定行政庁に相談する。
  • 消防用設備等の判断は、所轄消防署へ相談する。
建築基準法と消防法は別々の法律です。
容積率の話と消防の話を混同しないように、それぞれの窓口へ確かめておきましょう。

容積率の話と消防の話は、分けて確かめるんですね。
まず、敷地に計画道路がかかっていないかを確認します。

許可の有無が分かれば、増築のときの相談も早くなります。
相談は、特定行政庁と消防の両方の窓口にしておくと安心です。

よくある質問

Q計画道路にかかっていれば、許可を受けなくても前面道路とみなされますか?
A第10項は、特定行政庁が許可した建築物について、計画道路を第2項の前面道路とみなすと定めています。
Q計画道路の許可には、建築審査会の同意が必要ですか?
A第15項が第44条第2項を準用しているので、特定行政庁は、あらかじめ建築審査会の同意を得なければなりません。
Q計画道路にかかる部分も、容積率の計算では敷地面積に入りますか?
A許可を受けた場合は、敷地のうち計画道路に係る部分の面積は、敷地面積に算入しません。
Q計画道路の許可を受けた建物は、消防法令の基準も変わりますか?
A第10項が定めるのは、第52条の容積率の適用の取り扱いです。消防法令の判断は、消防法令の条文で確かめます。

まとめ

✔建築基準法第52条第10項は、都市計画で定められた計画道路に接する敷地や、計画道路がある敷地について、特定行政庁が許可した建築物の容積率の取り扱いを定めています。
✔第42条第1項第4号に当たる道路は、この項の計画道路から除かれます。
✔許可を受けた建築物は、計画道路を第2項の前面道路とみなして、第2項から第7項まで及び第9項の規定を適用します。
✔敷地のうち計画道路に係る部分の面積は、敷地面積に算入しません。
✔許可は、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるときに出し、あらかじめ建築審査会の同意が必要です。
✔この条文が定めるのは建築基準法の容積率の話であって、消防法令の基準を緩めるものではありません。
✔防火管理者は、計画道路の有無と許可の内容を確認して記録し、消防法令の判断は所轄消防署に相談します。

計画道路の許可を受けると、前面道路の扱いが変わるんですね。
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許可の有無が分かれば、増築の相談も進めやすくなります。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

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お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第五十二条(e-Gov法令検索)
  • 建築基準法第四十四条第二項(e-Gov法令検索)

※本記事は公表されている法令および消防庁等の資料に基づく一般的な解説です。許可の可否や運用は特定行政庁ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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