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住宅用火災警報器の設置率はなぜ全国平均でも8割にとどまるのか|条例適合率と10年超過の実態を解説

住宅用火災警報器の設置率が全国平均で8割にとどまることを示すアイキャッチ画像

住宅用火災警報器(住警器)は、平成23年6月までに全国すべての住宅で設置が義務化されました。
それから15年近くが経ったいま、消防庁がまとめた最新の調査結果には、ある課題が浮かび上がっています。
全国平均の設置率は8割強にとどまり、都道府県によって数字は大きくばらついているのです。
この記事では、令和8年6月1日時点の全国調査結果から、設置率・条例適合率・電池切れや10年超過の実態までを解説します

うちのマンションにも住警器は付いていますが、実際どれくらいの家が設置しているものなんでしょうか。

令和8年6月1日時点の全国調査では、設置率は85.5%でした。

思ったより低いんですね。

はい、都道府県によっては7割を切る地域もあります。
順番に見ていきましょう。

この記事の結論
  • 消防予第241号(令和8年6月15日)により、令和8年6月1日時点の全国調査結果が公表されました
  • 全国の設置率は85.5%、条例適合率は66.8%です
  • 都道府県別では設置率で最大25ポイント以上の差があります
  • 電池切れや故障は作動確認を行った世帯の約4.3%で確認されています
  • 設置から10年以上経過した住警器は約35.1%にのぼります

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住宅用火災警報器はなぜ8割どまりなのか

住宅用火災警報器の設置状況はなぜ毎年調査されるのか

消防本部が住宅の設置状況を調査する様子
住警器の設置率は、毎年決まって国が発表しているわけではありません。
まずは、この調査そのものがどんな仕組みで行われているのかを見ていきます。
住宅用火災警報器の設置率等の調査については、「住宅用火災警報器の設置状況等調査について」(令和8年2月5日付け消防予第53号)により依頼していたところです。消防庁にご提出いただいた調査結果を集計したところ、令和8年6月1日時点における設置率等の結果は別添のとおりとなりました。(住宅用火災警報器の設置状況等調査結果(令和8年6月1日時点)について 令和8年6月15日付け消防予第241号)
この調査は、消防庁が各都道府県・消防本部にあらかじめ依頼を出し、集まった結果を集計して公表するという二段階の仕組みです。 消防予第53号で調査そのものを依頼し、消防予第241号でその結果を公表するという流れになっています。
住警器の設置義務は平成16年の消防法改正で既存住宅にも広がり、平成23年6月までに全国すべての市町村で施行が完了しました。
それから15年近くが経ったいまも調査が続いているのは、義務化が完了した後こそ、実際にどれだけ守られているかを確認する必要があるからです。
次は、その最新の集計結果を具体的な数字で見ていきます。

義務化から15年も経つのに、まだ調査を続けているんですね。

はい、義務化はゴールではなく出発点という考え方です。

令和8年時点で全国の設置率と条例適合率はどうなっているのか

日本地図に設置率の地域差を示す図
設置率と条例適合率は、似ているようで違う2つの数字です。
それぞれの全国平均と、地域による差を確認します。
住宅用火災警報器の設置状況については、平成23年6月までに全ての住宅において設置が義務化されているところですが、全国平均値で設置率が約8割強、条例適合率が7割弱となっている一方、設置率や条例適合率が非常に低い地域も見られます。(住宅用火災警報器の設置状況等調査結果(令和8年6月1日時点)について 令和8年6月15日付け消防予第241号)
設置率は「何らかの形で設置している割合」、条例適合率は「市町村条例が定める場所の基準まで満たしている割合」です。 全国平均は設置率85.5%・条例適合率66.8%で、設置はしていても条例の基準までは満たしていない住宅が一定数あることがわかります。
都道府県別で見ると、設置率のトップは福井県の93.6%(条例適合率79.4%も全国1位)で、最も低いのは沖縄県の68.1%でした。
条例適合率では高知県の38.5%が最も低く、設置率・条例適合率とも47都道府県で大きな開きがあります。
同じ都道府県の中でも、消防本部の管轄ごとに数字がさらに割れていることが別添の地域別データからわかります。
次は、設置した住警器そのものの状態について見ていきます。

設置率と条例適合率で、こんなに差があるとは知りませんでした。

設置しただけで安心せず、場所まで確認することが大切です。

電池切れや故障はどれくらいの世帯で起きているのか

住警器の電池切れを示す図
設置してあることと、正常に作動することは別の話です。
作動確認の結果からわかった故障の実態を見ていきます。
作動確認を実施した世帯のうち約4.3%で住宅用火災警報器の電池切れや故障が確認され、設置から10年を経過した住宅用火災警報器の割合は約35.1%となっています。(住宅用火災警報器の設置状況等調査結果(令和8年6月1日時点)について 令和8年6月15日付け消防予第241号)
全国平均では、作動確認をした世帯の約4.3%で電池切れや故障が見つかっています。 都道府県別のデータでは、この割合にもばらつきがあり、10%を超える地域も存在します。
電池切れの警報音がうるさいからといって住警器そのものを取り外してしまうと、火災が起きても警報は一切鳴りません。
正しい対処は、電池だけを交換するか、機器そのものを交換することです。
理由までは通知に明記されていませんが、地域差の背景には周知活動の進み方や設置からの経過年数の違いなどが影響していると考えられます。
次は、経過年数そのものが持つ意味を見ていきます。

電池切れの音がうるさくて、外してしまったことがあります。

それが一番危険な対処です。
電池か本体を交換しましょう。

設置から10年を超えた住警器はなぜ交換が必要なのか

古い住警器を新しい住警器に交換する図
10年という数字には、法律上の根拠があります。
なぜ本体そのものの交換が必要になるのかを確認します。
住宅の用途に供される防火対象物の関係者は、次項の規定による住宅用防災機器の設置及び維持に関する基準に従つて、住宅用防災機器を設置し、及び維持しなければならない。(消防法第9条の2第1項)
条文が定めているのは「設置」だけでなく「維持」する義務です。 住警器は電子部品でできているため、設置から年数が経つと内部の劣化が進み、いざというときに作動しない可能性が高まります。
自動試験機能を持たない機種は交換期限が近づいたら本体ごと交換し、設置から10年以上が経過している場合は電池切れでなくても本体交換が望ましいとされています。
今回の調査では、10年を超えた住警器が約35.1%を占め、交換済みは16.8%、設置から10年未満はまだ29.3%にとどまることがわかりました。
なぜこの10年という目安が基本方針に盛り込まれたのか、より詳しい経緯は記事末の関連リンクで解説しています。
次は、この記事を読んだあと実際に何を確認すればよいかをまとめます。

うちの住警器も、もう10年近く経っている気がします。

本体のシールで設置年月を確認できます。
まずはそこから見てみましょう。

明日から住警器の何を確認すればよいのか

住警器の設置年月シールを確認する図
確認すべきことは、今日中に済ませられる範囲に収まります。
自宅や管理する物件を思い浮かべながら順番に見ていきましょう。
住宅用火災警報器の設置の定着を図ることはもとより、火災時における適切な作動を確保する観点から、設置された住宅用火災警報器の定期的な点検と、設置から10年以上経過している住宅用火災警報器に対する本体交換の推奨など、機会を捉えた適切な維持管理の更なる働きかけをお願いします。(住宅用火災警報器の設置状況等調査結果(令和8年6月1日時点)について 令和8年6月15日付け消防予第241号)
  • 就寝の用に供する居室と、その階から直下階へ通じる階段に設置されているか
  • 本体のシールで設置年月を確認し、10年以上経過していないか
  • 作動確認ボタンを押し、警報音が正常に鳴るか
設置場所・経過年数・作動の3点は、今すぐ自分の目で確認できます。 就寝に使う部屋と、そこから直下階へ通じる階段への設置は、市町村条例が共通して定める基準です。
本体のシールに設置年月が書かれていることが多く、まずそこで10年を超えていないかを確認できます。
作動確認ボタンを押して警報音が鳴らなければ、電池切れか故障のどちらかなので、放置せず対処します。
賃貸住宅の場合も、消防法第9条の2は「関係者」に設置・維持の義務を課しているため、居住者自身が確認しておく価値があります。

今日、帰ったらさっそく確認してみます。

場所・年数・作動の3点だけです。
ぜひ試してみてください。

よくある質問

Q設置率と条例適合率はどう違うのですか?
A設置率は何らかの形で設置している割合、条例適合率は市町村条例が定める設置場所の基準まで満たして正しく設置している割合です。全国平均は設置率85.5%に対し条例適合率は66.8%と、間に差があります。
Q都道府県によって設置率に差があるのはなぜですか?
A通知には具体的な理由までは明記されていません。数字としては、設置率が最も高い福井県で93.6%、最も低い沖縄県で68.1%と、大きな開きがあることが調査結果から確認できます。
Q電池切れや故障に気づいたらどうすればよいですか?
A電池だけを交換するか、機器本体を交換します。設置から10年以上経過している場合は、電子部品の劣化が考えられるため本体交換が望ましいとされています。
Q賃貸住宅に住んでいても設置義務は関係ありますか?
A関係します。消防法第9条の2第1項は住宅の用途に供される防火対象物の「関係者」に設置・維持の義務を課しており、持ち家か賃貸かは問いません。

まとめ

✔消防予第241号(令和8年6月15日)は、令和8年6月1日時点の全国調査結果を公表した通知です
✔調査の依頼は消防予第53号(令和8年2月5日)にさかのぼります
✔全国の設置率は85.5%、条例適合率は66.8%です
✔都道府県別では最大25ポイント以上の差があります(福井93.6%〜沖縄68.1%)
✔電池切れや故障は作動確認世帯の約4.3%で確認されています
✔設置から10年以上経過した住警器は約35.1%にのぼり、本体交換の目安とされています
✔設置義務の根拠は消防法第9条の2・施行令第5条の6・第5条の7と市町村条例です

今日中に、自宅の住警器を確認してみます。

場所・年数・作動の3点を確認すれば十分です。
㈱防災屋でもご相談を承っております。

防火管理はプロにお任せ下さい

まずはWebで無料お見積りを!

お問い合わせ

監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 住宅用火災警報器の設置状況等調査結果(令和8年6月1日時点)について(令和8年6月15日付け消防予第241号・消防庁予防課長)
  • 住宅用火災警報器の設置状況等調査について(令和8年2月5日付け消防予第53号)
  • 消防法第9条の2
  • 消防法施行令第5条の6・第5条の7

※本記事は公表されている法令および消防庁の通知に基づく一般的な解説です。条例や運用は市町村ごとに異なる場合があります。個別の判断は所轄消防署にご確認ください。

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