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広告塔や高架水槽はなぜ建物と同じ構造基準がかかるのか|建築基準法施行令第141条が定める工作物への準用を解説

高い広告塔がビルの脇に立つ外観写真

商業施設の敷地や屋上に、建物とは別に単独で立つ大きな看板塔や、円筒形の高架水槽を見かけることがあります。
これらは建物ではなく「工作物」として扱われますが、高さが一定を超えると建築基準法の対象になります。
看板や貯水槽だからといって、構造の基準が緩いわけではありません。
対象になれば、材料の制限から避雷設備まで、建物と同じ水準の安全性が求められます。

屋上に大きな看板塔が立ってるんですが、あれも建築基準法の対象になるんですか。

高さ4メートルを超える広告塔なら、建築基準法施行令の対象になり、材料や構造にも基準がかかりますよ。

ただの看板の柱なのに、そんなに基準が細かいんですね。

倒れれば周囲に大きな被害を与えるからです。
今日はその基準を一緒に確認しましょう。

この記事の結論
  • 高さ4メートルを超える広告塔・広告板等、高さ8メートルを超える高架水槽・サイロ等は「工作物」として建築基準法施行令の対象になります。
  • 主要な部分を組積造や無筋コンクリート造にすることは原則禁止で、鉄筋等による補強または大臣認定の構造方法が必要です。
  • 対象になると避雷設備や工事現場の危害防止に関する規定などが準用されます。
  • 高さ20メートルを超える部分には避雷設備の設置が必要になります。
  • 高さ60メートルを境に、国土交通大臣の認定の要否が変わります。

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広告塔と高架水槽の安全基準を確認する4つのステップの図解

なぜ高さ4メートルを超える広告塔にも建物と同じ基準がかかるのか

敷地内に単独で立つ看板塔と隣の建物に同じ青チェックマークが付いている図
法律上「建築物」に当たらない工作物にも、建物と同じ安全基準を求める仕組みがあります。
その根拠になっているのが建築基準法第88条第1項です。
(建築基準法施行令第百四十一条第一項)第百三十八条第一項に規定する工作物のうち同項第三号及び第四号に掲げる工作物に関する法第八十八条第一項において読み替えて準用する法第二十条第一項の政令で定める技術的基準は、次のとおりとする。
看板塔や貯水槽の形をした工作物であっても、法律上は建物と同じ土俵に立たされます。煙突や柱と並んで、広告塔や高架水槽も建築基準法第88条第1項が定める準用の対象です。
政令(建築基準法施行令)が対象の種類と具体的な基準を定める仕組みは、他の工作物とまったく同じです。
根拠は建築基準法施行令第141条で、対象になった広告塔や高架水槽には次項以下で定める規定が準用されると定められています。
まずは自分の敷地にある看板塔や貯水槽がこの対象に入るかどうかを、次の章で確認しましょう。

うちにも屋上に看板塔があるんですが、建築基準法が関係あるとは思ってもみませんでした。

見た目が看板でも、高さの条件を満たせば対象になります。
次は具体的にどんな工作物が対象かを見ていきましょう。

どんな広告塔や高架水槽が対象になるのか

低い看板にマーク無し、高い看板塔と高架水槽に青チェックマークが付いている図
対象になるかどうかは、工作物の種類と高さで判断します。
看板と貯水槽で、境目になる高さも違います。
(建築基準法施行令第百三十八条第一項)三 高さが四メートルを超える広告塔、広告板、装飾塔、記念塔その他これらに類するもの 四 高さが八メートルを超える高架水槽、サイロ、物見塔その他これらに類するもの
対象は高さ4メートルを超える広告塔・広告板・装飾塔・記念塔等、または高さ8メートルを超える高架水槽・サイロ・物見塔等に限られます。
看板の骨組みだけの構造物でも、装飾塔や記念塔のような形状でも、高さの条件を満たせば同じ扱いです。
高架水槽はマンションや工場の屋上でよく見かける円筒形の貯水タンクで、これも高さ8メートルを超えれば対象になります。
「これに類するもの」に当たるかどうかで迷う場合は、他の工作物と同様に特定行政庁へ確認するのが確実です。
自分の敷地にある看板塔や貯水槽の高さを、まず実測することから始めましょう。

看板と貯水槽で境目の高さが違うんですね。
うちの看板塔は対象になりそうです。

高さを測るところが第一歩ですね。
対象に入ると分かったら、次は何を満たすかを見ましょう。

対象になると何を満たさなければならないのか

組積造の柱に赤い禁止マーク、鉄筋補強された柱に青チェックマークが付いている図
求められる中身は、材料の制限から避雷設備までいくつもあります。
看板だからといって簡易な扱いにはなりません。
(建築基準法施行令第百四十一条第一項第一号)国土交通大臣が定める構造方法により鉄筋、鉄骨又は鉄筋コンクリートによつて補強した場合を除き、その主要な部分を組積造及び無筋コンクリート造以外の構造とすること。
まず、主要な部分を組積造や無筋コンクリート造にすることは原則禁止です。
鉄筋・鉄骨・鉄筋コンクリートで補強した場合に限り、例外として認められます。
さらに避雷設備の設置基準(第129条の14・第129条の15)が準用され、高さ20メートルを超える部分は雷撃から保護しなければなりません。
工事中の危害防止を定める第七章の8も準用されるため、施工中の広告塔にも仮囲いや落下物対策が求められます。
さらに、高さのある煙突と同じ考え方(大臣認定または構造計算による安全性の確認)も準用され、構造そのものの強度も証明しなければなりません。

レンガを積んだような造りの看板塔は、そのままだと基準を満たさないということですか。

その通りです。
鉄筋等で補強するか、大臣認定を受けた構造方法を使う必要があります。

認定の有無で何が変わるのか

認定書類が少ない看板塔と資材が積み上がった看板塔の対比図
満たすべき規定の範囲は、実は一本道ではありません。
認定の有無によって、追加で準用される条文が変わります。
(建築基準法施行令第百四十一条第四項)第一項に規定する工作物のうち前項に規定するもの以外のものについては、第二項に規定するもののほか、第三十六条の三、第三十七条、第三十八条、第三十九条第一項及び第二項、第四十条から第四十二条まで、第四十四条、第四十六条第一項及び第二項、第四十七条、第三章第五節、第六節及び第六節の二並びに第八十条の二の規定を準用する。
国土交通大臣の認定を受けた構造方法を使う広告塔や高架水槽は、耐久性に関する規定だけを追加で満たせば足ります。一方で認定を受けていないものは、建築材料の品質や構造計算そのものを定めた規定まで、より広い範囲を満たす必要があります。
しかも、高さ60メートルを超えるものは条文上そもそも認定を受けることが必須で、この「認定なしの道」自体を選べません。
つまり「認定さえ取れば基準が軽くなる」のではなく、どちらの経路でも建物と同等の安全性を示す義務は変わりません。
既存の広告塔や高架水槽を持つ敷地では、設計図書に認定の記録が残っているかをまず確認しましょう。

うちの看板塔、認定を受けているかどうかなんて、どこを見れば分かるんでしょうか。

設置時の確認申請書類や構造計算書に記載があります。
最後に、明日からの確認手順をまとめますね。

明日からなにを確認すればよいのか

チェックリストと看板塔の模型と巻尺が置かれた机上のイラスト
条文を知っているだけでは、現場の確認は終わりません。
手元の広告塔や高架水槽に当てはめて、順番に確かめていきましょう。
  • 広告塔・広告板等は高さ4メートル、高架水槽・サイロ等は高さ8メートルを超えるかをまず実測する。
  • 主要な部分が組積造や無筋コンクリート造のままになっていないか確認する。
  • 高さ20メートルを超える場合は避雷設備の設置状況を確認する。
  • 確認申請書類や構造計算書に国土交通大臣の認定の記載があるか確認する。
迷ったときは自己判断せず専門家に確認することが一番の近道です。書類が見当たらない場合や補強・改修を検討している場合は、設計時の建築士や特定行政庁の建築担当窓口に相談しましょう。
広告塔や高架水槽の周辺は資材置き場になりやすく、避雷設備や支柱の点検が後回しにされがちです。
日常点検の記録を防火管理者としても把握しておくと、いざというときの説明に役立ちます。

まずは看板塔の高さを測るところから、施設の担当と確認してみます。

それが一番確実な第一歩です。
最後によくある質問をまとめておきますね。

よくある質問

Q建物の壁面に取り付けられた看板も対象になりますか?
A対象になるのは建築物に属さない単独の工作物としての広告塔・広告板に限られます。建物の外壁に直接取り付けられた看板の多くは建築物の一部として扱われ、この準用規定の対象にはなりません。判断に迷う場合は特定行政庁に確認してください。
Q「これに類するもの」とはどんな工作物を指しますか?
A条文はこの語の具体例までは示していませんが、広告塔・広告板・装飾塔・記念塔、または高架水槽・サイロ・物見塔と同程度の構造・高さを持つ工作物が想定されます。判断に迷う場合は特定行政庁に相談するのが確実です。
Q避雷設備の構造基準はどこで確認できますか?
A建築基準法施行令第129条の14・第129条の15が基準を定めています。雷撃電流を安全に地中へ流せる構造方法であることと、腐食のおそれがある部分に腐食防止の措置を講じることが主な要件です。
Q既存の広告塔が対象と分かった場合、すぐに改修が必要になりますか?
A設置時の確認申請や検査済証の有無によって状況は異なります。自己判断で改修の要否を決めず、まずは書類の有無を確認したうえで所轄の特定行政庁や建築士に相談してください。

まとめ

✔高さ4メートルを超える広告塔等、高さ8メートルを超える高架水槽等は「工作物」として建築基準法施行令の対象になる。
✔根拠は建築基準法第88条第1項で、政令が対象の種類と基準を具体的に定める。
✔組積造・無筋コンクリート造は原則禁止で、鉄筋等による補強または大臣認定の構造方法が必要になる。
✔高さ20メートルを超える部分には避雷設備の設置基準が準用される。
✔工事中の危害防止を定める第七章の8も準用される。
✔高さ60メートルを超えるものは認定を受けることが必須で、認定なしの道を選べない。
✔既存の広告塔等は確認申請書類や検査済証の有無をまず確かめることが実務の第一歩。

看板塔もただの柱じゃないんですね。
今日確認できてよかったです。

書類の確認や設計士への相談でお困りの際は、㈱防災屋でもご相談を承っております。

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監修・編集者
青木 俊輔
青木 俊輔

㈱防災屋 代表取締役/消防設備士

平成元年生まれ、三重県鈴鹿市出身。祖父が創業した消防設備業者で10年間勤務した後、独立・起業。現在は青木マーケ㈱、㈱防災屋、(一社)予防団の運営に携わる。Amazonベストセラー1位『改訂版 消防設備士0類』著者。月刊誌「電気と工事(オーム社)」でコラム連載中!

本記事の消防法令、消防用設備等の技術情報および記述内容を監修・編集しています。

詳しい経歴・保有資格を見る
学歴
  • 鈴鹿工業高等専門学校 材料工学科 卒
  • 静岡大学工学部物質工学科 材料科学コース 卒
  • 静岡大学大学院工学研究科物質工学専攻 修了
保有資格
  • 消防設備士:甲種特類、甲種1~5類、乙種6・7類
  • 危険物取扱者:甲種、乙種1~6類、丙種
  • 防火対象物点検資格者/防災管理点検資格者/甲種防火管理者
  • 第二種電気工事士/工事担任者(総合通信)/第三種電気主任技術者
  • 自家用発電設備専門技術者/特種電気工事資格者/職長・安全衛生責任者
  • eco検定/民泊適正管理主任者/フォークリフト運転技能講習 修了

趣味:ギター、バスケットボール(全国高専大会優勝・キャプテン)

主な活動

参考・出典

  • 建築基準法第88条第1項
  • 建築基準法施行令第138条第1項第3号・第4号(工作物の指定)
  • 建築基準法施行令第141条(広告塔又は高架水槽等)
  • 建築基準法施行令第129条の14・第129条の15(避雷設備)
  • 建築基準法施行令第139条第1項第3号・第4号(構造計算による安全性の確認)

※本記事は公表されている法令に基づく一般的な解説です。個別の工作物が対象に当たるかどうかや確認申請の要否は、所轄の特定行政庁または指定確認検査機関にご確認ください。条例や運用は自治体ごとに異なる場合があります。

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